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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第57話:愚か者の末路ッス!

(サントハイム城)
クリフトSIDE

影が主の背丈を上回る黄昏時……
私達は母国であるサントハイムに戻ってきた。
今朝キングレオで不吉な話を聞いた為、リュカさんのルーラを用い急いで帰って来たのだ!

堅牢な城門を潜り城内へと侵入する……
中は薄暗く禍々しい雰囲気を漂わせた、モンスターの巣窟になっていた……
「わ、私達のサントハイムが……」

目の前の現状を見て嘆くアリーナ様……
私も込み上げる怒りに憤りを感じてた時、突如リュカさんが私の背中を押しアリーナ様へと接近させた!?

何だか状況が掴めないまま、私の胸がアリーナ様の右肩にぶつかった時……
「アリーナ様……悲しまないで下さい。私と一緒にサントハイムを占拠する敵を倒し、平和な城に戻しましょう!」
リュカさんの言いたい事に咄嗟に気付いた私は、アリーナ様の肩を抱き寄せ慰める事が出来た。

「ゴホン!」
ブライ様の咳払いで少しだけ離れ平静を装ったが、アリーナ様にも私の気持ちが伝わったらしく、顔を赤めて頷いてくれた。
リュカさんありがとうございます!

私の後ろではブライ様とリュカさんが、小声で会話をしております……
「キサマ……状況を解っているのか!?」
「状況……? 美少女を口説くチャンスって事かい?(笑)」

リュカさん……“どんな時でもチャンスを見逃すな!”って事ですね!
勉強になります……こんなリュカさんの教えを請うてきたから、ウルフさんは格好いいのですね!?
私も彼の様になれますかね? 尤もアリーナ様一筋で良いのですけど……

クリフトSIDE END



(サントハイム城)
マーニャSIDE

ここに憎きバルザックが居る……
以前は人が生活してただろう城内を、モンスターの攻撃を駆逐しながら歩む私達。
なんとか二階へ上がり大広間に辿り着くと……

「ほぅ……エドガンの娘共は、まだ生きていたのか」
玉座の間には巨大な化け物が居り、私とミネアを見て笑いながら嘯く。
私達の事を知っている!? まさかコレが……

「おい、ここに『バカザンス』って奴居る? 僕達其奴を探してんだよね……君知らない?」
「バ、バカザンス……!? な、何だキサマ……デスピサロ様ではないのか?」
「リュカさん『バルザック』です……『バカザンス』ではなく『バルザック』ですから! まぁ内容は同じですけど、名前を間違えちゃ可哀想ですよ。なんせ実際『バカザンス』ですからね(笑)」

緊張気分を一気に吹き飛ばすリュカの声……
しかも、その内容に絶句するバルザックと思われる巨体。
追い打ちでウルフの丁寧な訂正ツッコミ……
最高だ!

「意味が伝われば良いんじゃね?」
「ふざける人間風情がぁ! 我が名はバルザック……究極の生命体にして神をも超える存在!」
やはり奴がバルザック……

「究極ぅ~……? どの辺が究極なんだよ……(すげ)ー不細工だし、頭も悪そう。それに神を超えたって言うけど、神って馬鹿だからね! アレを超えても凄くは無いんだよ」
リュカの凄いところは、他人(ひと)を馬鹿にする時のムカツク口調だ!
この口調で馬鹿にされて冷静でいられる奴は居ないと思う。

「だ、黙れ人間! 俺は魔族の王であるデスピサロ様……いや、デスピサロすら凌駕する強さを手に入れたんだ! あの(デス)(ピサロ)は俺に実験をさせる為、わざわざサントハイムの人間共を異空間に生け捕りにしたらしいが、本当は既に進化の秘法は完成してたのだ! 俺が世界一の強さを手に入れる為、キングレオの馬鹿にも秘密にしてた、最高の切り札なのだ!」

「……じゃぁ何で今なお、お前はこの城に居座ってるんだよ!? 本当はデスピサロってのが怖くて、ここでお山の大将を決めてたんだろ!? プププッ、だっせー!」
「キ、キサマー!」

リュカの侮辱に怒りを露わにするバルザック。手に持つ棍棒を床に叩き付け、強烈な怒号を浴びせてくる。
リュカの5倍はあるだろう今のバルザックの姿……
そんな奴が手に持つ棍棒は、リュカの身体と同じくらいの大きさだ。

そんなバルザックが眼前に立ち塞がり、私達を威圧してくる……正確にはリュカを威圧してるのだが……途轍もない恐怖が身体を硬直させる。
以前の奴からは感じる事のない恐怖感だ!

「うわぁ……間近で見ると不細工感がハンパない! わざわざ不細工になりたがる神経が解らないよ……」
「リュカさん、多分ですけど……コイツは見た目より強さを重視して、こんな変な姿になったんだと思いますよ」
ウルフの言う通りだ……リュカも解ってて言ってるのだろうけど、わざわざ指摘されると間抜け加減が際立つわ。

「でもウルフ、強さを欲してこの姿になったワリには……そんな強そうには見えないけども……どうなの?」
「そんな事感じるのはリュカさんだけですよ……ですから、ちょろっとブッ飛ばしちゃって下さいよ」
どういうことだ……リュカにはバルザックが強く見えないのか?

「愚かな人間共めぇ~……俺様の強さが解らないらしいな!」
「あはは、僕らが『愚かな人間』なら、お前は『もっと愚かな化け物』だろ! 不細工だし(笑)」
口喧嘩では圧勝だ……リュカに勝とうとするのはムリそうだ。

「いい加減にしろー!!」
だが(バルザック)にもそれが解ったのだろう……
突如巨大な棍棒を振り上げ、リュカ目掛けて叩き付ける!

(ズン!)
一歩も避けなかったリュカ……
大惨事な状況を予想してしまったのだが、現実は違っていた。

「な、何だと!?」
自身の身体程もある棍棒を、左腕だけで受け止めるリュカ!
しかも棍棒の凹凸に指を引っかけ、押し切る事も引き抜く事も出来なくしている。

「ほれ、どうした……究極の生命体は非力な生命体なのか? それとも究極に弱い生命体の事を言ってたのか? まぁ神より凄い程度じゃこんなもんかな?」
膠着状態が続く現状……
しかしリュカの次の動きで全てが動き出す……リュカの思う通りに!

「そら!」(ドスッ!)「ぐはぁぁぁ!」
掴んでた棍棒を引き寄せると、一緒に付いてきたバルザックの腹部に深々と蹴りをメリ込ませる。
彼の5倍はあろう巨漢が蹲り、リュカの視線よりも低い位置で悶絶の表情を浮かべてる。

「なぁ質問があるんだけど……サントハイムの人々を助けるにはどうすれば良いの?」
目の前にあるバルザックの頭を鷲掴みにすると、真面目な口調で人々の救出方法を問い質すリュカ。
最初からこの事を聞き出す為、闇雲に戦闘をせず小馬鹿にしていったのだろうか?

「こ、この国の人間を……異空間に閉じ込めたのはデスピサロだ! その方法は知らんし、解放の方法も知らん! 俺様もデスピサロに頼まねば、実験体を連れ出す事も出来んのだ……」
「……って事は、やっぱりデスピサロを探さないとダメって事か!?」

大きく溜息を吐き(バルザック)の頭を放り出すリュカ。
バルザックも先程のダメージから回復したらしく、ゆっくりと立ち上がる。
そして……

「その通り……デスピサロを倒さねば、サントハイムの連中を助ける事は出来ん。従ってキサマ等に人々を救出する事など出来ないのだ! 何故なら、この場で俺様に殺されるからな!」
立ち上がった時点で予想はしていたが、長々と台詞を吐いてから私達(リュカ)を攻撃するとは思ってなかった。

だから対応する用意が出来ており、バルザックが唱えたヒャダルコも、リュカが唱えたバギによって打ち消される。
バルザックは更に凍り付く息を吐きかけたのだが、素早く接近したリュカのアッパーカットによって、自らの口を凍らせるだけに止まった。

凍り付いた口を押さえ、のたうち回るバルザック……
口が開かなくなってしまったのだ、これ以上凍り付く息を吐く事も、魔法(ヒャダルコ)を唱える事も出来ない。
圧倒的な強さでバルザックを無力化させるリュカ……
奴が弱いのではない……リュカが強すぎるのだ!

「……どうするコレ? 因縁のある奴が何とかしてよ……」
そこまで言うとリュカは後方へ下がり、瞳を輝かせて迎えるリューラとじゃれ合ってしまった。
『何とかして』と言われても……無抵抗の相手をいたぶるのはちょっと……

私とミネア、それにアリーナ姫一行とウルフが、同じ事を考えてた時……
切羽詰まったバルザックが棍棒を振り回し反撃に転じてきた!
怪力による力任せの攻撃しか出来ないが、それでも当たれば即死する勢いで棍棒を振り回す。

「クリフトさんはスクルトを何度も唱えて、ブライさんはバイキルトでアリーナの攻撃力をアップさせて下さい! ミネアさんは奴の足下を狙ってバギマを……マーニャさんはメラミで棍棒を狙って下さい!」

バルザックの悪足掻きに即座に対応したのはウルフだった。
私達(因縁のある者)に指示を出し、奴への攻撃を促す。
そして……

マーニャSIDE END



 
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