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東方悠久闇

作者:璃燐
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第一章:堕とされた妖怪達
  第一話:失いし記憶を求めて……

 
前書き
にじファンで活動していた璃燐と申します

にじファンの活動停止に伴い此方と後複数のサイトに同時に避難しました
この小説はツクールノートというブログを制作している
イケメンツクーラーのRISE氏がRPGツクールVXで制作したゲームの小説版になります。
人から許可もらって書けるって何か責任重大な感じもするけど、より良い作品に為る様頑張ります

では、東方悠久闇………ゲームスタート! 

 
第一話:失いし記憶を求めて……

月夜に照らされる深い竹林の中に、一つの影がゆっくりとした足取りで少しずつ前へ
進んで行くが、体調が悪いのか左右に揺れて今にも倒れそうである

「……ここ、は……どこ……だ……?」喉が乾き切った様な枯れた声で呟き、朦朧と
する意識の中で辺りを見回した。すると月明かりに照らされ、穏やかな風で揺れる溜め池を見つける

「…み……水、を……」見つけた溜め池の方を向き、乾いた喉を潤したい一心に水を求めて
歩くものの、後、数歩と言う所で足を挫いてしまいその場に倒れ込んでしまう

「……くっ……う……」倒れ込むも池に必死に手を伸ばすものの、目の前の視界が徐々に霞んでいく

「……く、そ………意識…が………」やがて、伸ばし切った腕が地面に落ち、その場でピクリとも
動かなくなってしまった……




妹紅Side

「はぁ……随分と遅くなっちゃったわね。」今日の仕事を終えたが、すっかり暗くなった
此処『迷いの竹林』を慣れた足取りで進み、自分の家へ帰宅しようとしていた

「………………あら?」微かな月明かりが暗い竹林の中を照らすと、近くに何かが
横たわっているのが見えた。何かと思い近づくと人が倒れていたのだ。少し慌てたが
傍に寄り、容体を確認しながら呼びかけた

「ちょ、ちょっと……大丈夫?」しかし返事は無い。気絶したなら返事が出来ないのは
当たり前だが、もしかすると既に息絶えているので可能性も否定できなかった

「もしもし?生きてる?」やはり返事が無い。最後の確認で顔に耳を傾けると
僅かながら呼吸音が聞こえた。どうやら生きてはいるらしい

「もぉ、仕方ないわねぇ……」仕方ないので倒れている青年の腕を自分の肩に置き、
腰に手を当ててバランスを取り自分の家まで運び込んだ






???Side





何だろう?徐々に明るく為ってくる……朝…かな?そう思い瞼を開けてみると木製の簡素な
造りの天井が見える。あれ?確か俺は……

「此処、は……」そう呟き、背を起こすと如何やら布団で寝かされた様だ。確か外に居た
はずだが、誰かが運んでくれたんだろうか?

「あ、やっと起きたんだ?」すると、俺の声が聞こえたのだろう、近くの椅子に座っていた人が
立ち上がり近づいて来る。声を聴く限り女性の様だ

「はい、まずは此れをゆっくり飲んで。勢いついて飲んじゃ駄目よ?起きたばかり
何だから」俺は渡された容器に入っている水を言われた通りにゆっくりと飲み干した。身体が一応
満足したのだろうか?少しだけ楽に為ったみたいだ

「……………………ふぅ」と、溜め息を吐くと相手の人も安堵の表情が見える

「もう大丈夫みたいね。まったく反応ないから一時は死んでるかと思っちゃったわよ」

「……………申し訳ない。俺もあのまま死ぬんじゃないかと……」本当に、この女の人が助けてくれ
なければ、間違いなく死んで居ただろう…冗談抜きで……

「ふふ、何事も無い様で良かったわ」

「ええ、本当に助かりました。……えっ、と…」そういえば、俺はこの人の名前を知らなかった。
なので少し戸惑ってしまった

「ああ、私の名前は妹紅…藤原 妹紅よ。君は?」

「妹紅さんか……妹紅さん、本当ありがとうございました」本当に感謝も仕切れない。そうでなければ
俺は死んでいたのだから……

「いいわよ、そんな畏まらなくても。妹紅でいいわ。それで、君の名前は?」

「ん、ああ俺は…………」俺は自分の名前を言おうとした時、頭の中に何も浮かんでこなかったのだ……
何回も名前を思い出そうとしたが、結局言う事が出来ず沈黙していた。
妹紅さんはそんな俺を見て首を傾げていた

「……………………」

「………どうしたの?」流石に変に思ったのか、妹紅さんが話し掛けてきた

「………思い出せない」

「ん?なにが?」意味が良く伝わっていないのか、再び首を傾げている

「……何も、思い出せない」

「え?思い出せないって……自分の名前も?」今度は流石に伝わったのか、若干驚いた表情を見せた

「…………そう、見たいです。冗談抜きで………何も思い出せない…」自分の名前処か、
何処に住んで居て、何をして居たのかも思い出せないでいた。

「うーん、……其れはまた困ったわねぇ…」

「……妹紅さん、幾つか聞いても良いですか?」

「いや、だから妹紅でいいわよ。それに敬語も気持ち悪いからやめて欲しいわ……」

「ああ……分かった、そうする。(何も、気持ち悪いまで言わなくても……)」丁寧に話していたら、
イキナリ気持ち悪いとか言われると精神的に辛かった。まぁ、見た目同い年見たいだったし
少し砕けた喋り方が丁度良いんだろうと思った

「其れで何を聞きたいのかしら?正直私もあまり人と関わらないから、あんまり役に
立てそうにないけど……」

「えっと……とりあえず此処が何処なのか教えてほしい」

「何処って、此処は私の家だけど?当たり前じゃない」確かに此処は君の家だけど、そう言う意味で
言ったのでは無いんだけどなぁ……

「あ、いや……そういう事じゃなくて……」頬に残念な汗を流しながら、きちんと聞く事にした

それから俺は少し長い時間を掛けて、妹紅から色々と話を聞く事と為った。
此処が『幻想郷』と言う世界である事を。人間以外にも妖怪や吸血鬼が普通に存在する事も。
他にも『スペルカード』と言った決闘方法があると言う事まで教えてくれた

更に妹紅が言うには、俺が外の世界から幻想郷に飛んできた外来人ではないのかと言う事。
最初は言ってる事の意味が良く理解出来なかったが、要は別世界の人間と言う事らしい

俄かに信じがたい話だったが、この世界ではそう云った事が時々あるらしい

俺もそうだと確証は持てないが、記憶が無い為、肯定も否定もする事が出来ない。
とりあえず可能性の一つとして記憶に入れて置く事にした

「……私から教えられるのは此れ位かしら」と妹紅の説明が終わったようだ。其れを頭の中で
纏めると、改めて凄い世界に飛ばされたなぁ~と思った

「ああ、色々教えてくれてありがとう。今の話で此処がどういった世界かって言うのは
大体把握できたよ」

「そう、それなら良かったわ。ただ、さっき話した外来人の話だけど……私が君の事を
全く見かけた事が無いってだけだから信憑性は薄いわよ?
私、普段からあまり他人と関わらないし、あんまり人里にいる人達の事知らないし……」

「いや、十分過ぎるくらい教えてくれたよ、妹紅は。無理言って御免な」

「……まぁ、それで君は此れからどうするの?」

「……問題はそれだな。此処が何処かも分かってない状態で、まずは何をするかって話だが……」
此処から移動するとして、最初の場所は何処に行くかだが……

「それなら、博麗神社に行ってみたら?」ポンっと軽く手を叩いて、行く場所を指定してきた

「博麗神社?その神社に何かあるのか?」

「何かって言うか…幻想郷じゃ、困った事が有ったらとりあえず博麗神社の巫女に会いに行くって
言うのが得策って言われてるのよ」

「何だ、その便利屋みたいな巫女さんは……」でも困った人が居たら、皆が神社に殺到しそうだな……

「其れにさっき言ってた外来の話も、もっと詳しく聞けると思うわよ。あの巫女、スキマ妖怪とも
仲良いみたいだし」また知らないのが出て来たな……

「スキマ……妖怪?良く分からないが、その妖怪(人)が外の世界について詳しいって
事なのか?」いったい、どんな人なんだろうな……

「私も詳しくは知らないけど、外からこの世界に来るのは基本的にその妖怪の仕業だって話よ?
だから、今回の事もそうなんじゃないって思えるのよ」じゃあ何か?俺は其れに巻き込まれて、しかも
記憶も無くなったのか?色々な意味で凹みそうだ……

「そうか……行く宛も無いわけだし、とりあえず、その博麗神社って所に行ってみるか」とりあえず
、何とか行き先は決まったな

「此処からだと人里を越えてないと行けないし、結構時間が掛かるわ。明日に為ったら私が案内
してあげる」そんなに遠い場所に在るのかな?神社って?けど妹紅にはお世話に為ってばっかりだな……

「何から何まで……本当に申し訳ない」

「別に気にしなくて良いわよ。道案内が私の日課みたいなものだしね」それは、どんな日課なんだろうか……
日課と言うより仕事の方が近いんじゃないのか?

「それに最近、竹林の妖怪達が殺気だってるしね。以前はそうでも無かったのに最近じゃ明るい時間帯
でも露骨に襲い掛かってくるわよ」俺はそんな危険地帯に倒れていたのか?襲われなくて良かった……
ある意味運が良いなぁ俺って…

「妖怪って言うくらいだし、其れ位は普通じゃないのか?」

「此処じゃ妖怪も人間も割と上手くやってたの。でも最近じゃ一人で森を歩くなんて危険過ぎて
、絶対にやっちゃいけない程にまで為ってるわ」

「そ、そんなに危険なんだったら、妹紅も危ないんじゃないのか…?」

「ううん、私はその辺の妖怪くらいだったら楽勝だから、心配しなくて良いわよ。君の事もちゃんと
守ってあげるから」

「はは…俺も足を引っ張らない様にしないと」女の子に守られるってちょっと、男として情けなく思えるし……

「まぁ、とりあえず今晩は君も……」妹紅は突然言葉を詰まらせながら、俺の顔を不満そうに
見ていた。いったいどうしたんだろうか?

「……?俺がどうかしたのか?」

「いや、ずっと君って言うのもどうかと思うんだけど……。適当に名前付けちゃっていいかしら?」
そういえば、俺は今の所記憶が無いから名前も無いのと同じか?無くなる前はどんな名前
だったんだろうか?

「ん…そういえば俺も名前が無いと不便だな?自分で考えるのもアレだし、妹紅が決めてくれ」
今の俺じゃあ、変なのを考えそうだから、妹紅に考えてもらう事にした

「…じゃあ、今日の夜に会ったから『キョウヤ』ね。はい決定」

「…一瞬、変な呼び名を付けられたらどうしようかと思ったが、まともで良かったよ」随分安直な
名前だが、自然と嫌な感じが無いからそれにする事にした

「一応、漢字で書いたら『今日夜』…は、格好悪いし『恭夜』が妥当な所かしら?」

「別に漢字まで決めなくても良いと思うが……まぁ俺は、後者で構わないよ」流石に、『今日夜』は
ないな?うん、無いな……

「ん、それじゃ改めて宜しくね。恭夜」

「ああ、此方こそ宜しく頼む」とりあえず、名前が決まったので朝に備えて寝る事にした。妹紅に予備の
布団を出してもらい俺は眠りについたのだった………






恭夜Side



其れから、朝を迎えて起き上がると妹紅は既に起きていた様だ…寝坊したかな?
俺は、顔を洗って眠気を取ると妹紅が傍に寄ってくる

「おはよう。それじゃとりあえず人里まで案内するけど……一応これ等を渡しておくわね?」妹紅から
差し出されたものは、良く手入れされた銀製の鋭いナイフと傷などに良く効く薬草を数枚渡された

「銀のナイフ…随分良く切れそうだが、俺が貰っても良いのか?」

「ええ、大丈夫だとは思うけど一応ね?此処周辺の妖怪なら、其れでも十分対応できると思うわ。
恭夜次第だけどね」

「はい、頑張らせて頂きます……」返す言葉も無かったな………

「それじゃ、人里は此処からずっと南に抜けた所だから、明るい内に出発しましょう」そうして
妹紅の家を出た





家から少し細い道を進むと、俺たちは目の前に居るモノと目が合ってしまう

「あらら、早速邪魔なのが沸いてるわね?」

「気のせいか…植物が普通に歩いてる気がするんだが……」植物だぞ?普通は歩かないだろう?

「そりゃ歩くわよ。こんなのでも一応妖怪見たいなモノなんだし」だからって植物が歩く事は無い
だろうに……

「………そうですか」

「さてと、それじゃ今から相手するけど…恭夜、やれる?無理そうだったら下がってて頂戴」

俺は、ほんの一瞬だけ考えると、自然と足が前進んで妹紅と並ぶ様に手に持ったナイフを
逆手に持ち構えの体制をとった

「……流石に試しもしない内から逃げるのは格好悪いしな。やれるだけやってやるさ!」

「そう、じゃあ行くわよ!!」妹紅も多少笑みを浮かべながら、妖怪に構えをとり、一緒に駆け込んだ。

「私があのリーダーっぽい奴抑えるから、恭夜はあの二体をお願い!」妹紅が走りながら
指示を出す。確かにあの赤っぽい草妖怪は、取り巻きとは違う感じがするな。俺は見よう見真似で
手にしたナイフを振う

「ハッ!」俺を絡め取ろうとした蔓状のモノを切り裂き、急所に見える球根部分を力強く突刺した

「ギョエェェェ!?!!……」独特の叫びを挙げると、まるで枯れた様に萎びて逝き動かなくなる。
残るは後一体だ!

「シャァァァァァ!!」もう一体は絡めようとせず、蔓状のモノを俺の体に叩き付けてきた。痛みに慣れて無い
せいか、身体に衝撃が走る

「ぐっ!…このぉ!?」ナイフを数回振い、蔓状のモノを切り飛ばし弱点の球根に深々と刃を突刺した。
俺が相手をしていた二体の草の妖怪は倒し終わったようだ……

「そうだ!妹紅は……」妹紅の方を見ると、赤草の妖怪は蔓を鞭の様に振うも軽々と
避けられているのが見える

「さて、準備運動はこれぐらいにして、終わらせるかな?」その言葉と同時に、妹紅は足に
炎を纏わせ、全ての蔓を炎を纏わせた蹴りで焼き飛ばし、弱点の球根部分に風穴が開き、赤草の
妖怪は叫びを挙げる前に絶命した……妹紅強すぎ……

「何よ、普通にやれるじゃない。其れだけ戦えれば十分すぎる位だわ」戦いながら見て
たんですか?貴女は……俺は改めて彼女の強さが分かった気がした

「自分でも驚いたよ……俺って意外とやれる子だったらしいな。」

「ふふ、これなら問題なく進めそうね。それじゃ早く人里まで下りましょう」そうして俺は妹紅の
案内を頼りに人里を目指して、この竹林を抜ける事にしたのだった………
 
 

 
後書き
さて、いかがだったでしょうか?もし質問、感想など有りましたらドシドシお送り下さい!

では、また! 
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