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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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大魔王ゾーマの城

<ゾーマの城>

ゾーマの城内部は強さが桁違いのモンスターで溢れかえっている。
城内に侵入して最初に対峙したのが『ドラゴン』と『マントゴーア』の2匹だ。
ドラゴンはルビスの塔でも戦っており、ラングストンとカンダタ・モニカの連携で倒す事は出来たのだが、初めて戦うマントゴーアには大苦戦!

先制攻撃でウルフがメラを唱えたのだが、マホカンタを使われ魔法が跳ね返ってしまう。
慌ててアルルとハツキが接近戦を試みるが、マントゴーアのバギクロスをまともに喰らってしまい弾き飛ばされる。
しかし即座に唱えたウルフのベホマラーにより、戦っていないリュカ達も含め回復出来たので、次の魔法が来る前に斬りつけ撃退する事が出来た。


そんなこんなで襲い来る敵を撃破しつつ、アルル達はゾーマの城を奥へと進んで行く。
そんな中、アルルの内に1つの不安が沸き起こっていた…
それは自身の強さへの不安だ。

アルルは新たに『王者の剣』を手に入れ、それ以前とは比べ物にならないくらいの強さを身に着けた………と思っている。
しかしルビスの塔で苦戦した『ドラゴン』相手に、アルルのお下がりの『稲妻の剣』を装備したラングストンと、前回と装備の変わらないカンダタ・モニカが圧勝した為、『現状の実力は装備の所為なのでは?』との思いが心を支配しているのだ。

敵本拠地まで来てそんな不安を抱えている事は誰にも言えず、何時もと変わらない素振りでアルルは大魔王の下へと進んで行く。


そして一行はある広い空間へと足を踏み入れた。
そこには左右に3体ずつ、大きな逞しい魔神の石像が並んでおり、その石像の横を通り抜けないと奥には進めない状況になっている。

皆が警戒する中、別の事に悩みながらアルルだけが奥へ向かって歩き出すと…
(ガラガラガラ…ガシャン!)
音を立てて入口に鉄格子が下りてきて、逃げ出せない様にロックがかかってしまった。
奥の通路を見ても同じ状況で、この広間での罠を解除しないと戻るも進むも出来なくなっている。

「ど、どうしよう…閉じこめられてしまったわ!?」
パーティーリーダーが心の不安と相俟って、囚われてしまった現状に泣きそうになっている。
次なる罠への恐怖から、誰もが入口付近から動けないでいると、後方にいたリュカが6体ある石像に近付いて、勢い良く1体を破壊した!

(ドガ!)(グワァァッァァ!!)
石像を破壊するや、その石像だと思っていた物はモンスターの『大魔神』へと姿を戻し、リュカの強烈な一撃を喰らい、大きな悲鳴を上げて絶命する。

そうなると何時までも石像のフリをしていられないのが残りの5体だ。
慌てて大魔神へと姿を戻し、各々アルル達へと攻撃を仕掛ける。
即座に反応出来たのはラングストンとハツキだ。
それぞれ1体ずつ相手をして、攻撃を凌いでいる。

次に反応したのはウルフ…
一瞬だけ動けなかったカンダタとモニカに、大きな拳を振り下ろそうとする大魔神に向け、イオラを唱えて弾き飛ばす。

そして次の1体はリュカが離れてしまった為、手薄になったアメリアやルビスの非戦闘要員に向かい攻撃を仕掛けてきた。
だが威力を押さえ込んだマリーのメラミにより、あえなく消し炭にされあの世へと旅立つ。

しかし最も最後まで反応出来なかったのが、悩めるリーダーの勇者アルルだ。
恐怖と不安と突然の出来事に動けないでいると、最後の1体が猛然と攻撃を仕掛けてきた。
アルルは避ける事も受ける事も出来ないでいると、颯爽と割り込んできた別世界の勇者ティミーが、持ち込んだグランバニアの剣で大魔神の攻撃を受け止め、そのままの勢いで吹き飛ばされる。

「ティ、ティミー!!……こんのぉ~!!」
愛しい彼氏が吹き飛ばされ、やっと動ける様になったアルルが慌てて大魔神を切り捨てる。
大魔神はアルルの振り切った王者の剣により、真っ二つに切り分けられあの世へと去っていった。

「大丈夫ティミー!?」
まだラングストン・ハツキ・ウルフ・カンダタ・モニカの相手する3体が片づいていないのに、脇目も触れずティミーの下へ駆け寄り抱き付くアルル。

「だ、大丈夫…僕は大丈夫だから、アルルはみんなを助けてあげて」
アルルはティミーに言われ初めてまだ戦闘中である事に気が付き、慌てて他の敵に向け攻撃を仕掛けた。


そして戦闘が終わり、改めてティミーの下へ集まる一行。
「大丈夫ですかティミーさん?まともに大魔神の攻撃を受けてましたが…」
程良く汗をかき、どことなく色っぽくなっているハツキが心配そうにティミーの身体を触って確認する。
「だ、大丈夫です!ホント、大丈夫ですから…」
アルル以外の美女に身体を触られる事など滅多にないティミーは、顔を真っ赤にしながらハツキから逃げる様に後ずさる。

「ただ…剣が折れてしまいました…ごめんなさい…戦力ダウンです」
申し訳なさそうに砕け折れたグランバニアの剣を見せ、状況を説明するティミー。
「そんな…戦力なんてどうでもいいの!貴方が無事だっただけで…」
アルルは涙を流しながらティミーの胸に抱き付き、力の限り抱き締める…剣で受けたとは言え、その剣が折れる程の攻撃を喰らった胸に抱き付いて。

《ぐわぁぁぁ…》
苦痛に顔が歪むティミー…プライドにかけて悲鳴を漏らさない様にしている。
だが力の限り表情を直し、アルルの両肩を掴んで引き離すと、目線を合わせて話しかけるティミー。(ちょっと涙目)

「アルル…何を悩んでいるのかは分からないけど、ここは敵の本拠地だ。常に集中して身構えていないと、取り返しのつかない事が起きるかもしれない。もし話せる悩みだったら、今すぐでも相談に乗るし、そうでなくても僕は何時も君の側にいる!だから今は大魔王討伐に集中しよう。大丈夫…君は強いんだ。その剣のお陰だけでなく、勇者アルルは強いんだ!自信を持って突き進もう!」

悩んでいた自分を心配し常に見ていてくれた事に…
瞳に涙を溜めてまで心配してくれる彼氏に…
全ての悩みを解決してくれた愛しい彼氏に…
アルルは感極まって泣きながら再度抱き締めた!

《ぎゃぁぁぁ!!!》
先程以上の苦痛を見せるティミー…
(ぽきゃ)
小さくだが確実に響く、何かが折れる音…

「あ…肋骨折れたな…」
彼氏に抱き付き自分の世界に浸っているアルル以外には聞こえたリュカの呟き。
皆、目を瞑り哀れんでいる。

数々の死線を潜り抜けてきたアルルは、並の女の子に比べれば遙かに力強いのだ。
このパーティーに居るとそれが分からなくなるけど…



 
 

 
後書き
さぁ…遂にここまでやって来ましたアルル一行。
そしていよいよ、あの偉大なる勇者の登場です。
こちらの世界の各所に、色とりどりの足跡を付けてきたあの勇者が! 
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