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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんなインタビューは本人に聞かせてもあんまり意味ない

織斑一夏の場合。

え?ゴエモン?
そうだなー・・・ちょっと羨ましいな。あいつ俺と違ってなんだかクラスに溶け込んでるっていうか・・・俺が皆に声かけてもなんか遠慮してるっていうか特別扱いされてるっていうか・・・距離を感じるんだよ。でもゴエモンはあんまりみんなと距離がないっつーか、一緒に楽しそうに話してるのはやっぱ羨ましい。

俺の話も聞いてくれるし、なんかいい意味でマイペースだな。
この前箒がすげぇ怒っててさ、ゴエモンの部屋に突入していったんだ。それで暫くしたら戻ってきた。そしたらさっきまでの怒りはなりを潜めて、むしろ上機嫌だったんだよ。あいつが笑ってる所なんて久々だったな。

きっとゴエモンと話してリラックスできたんだろうな。俺なんかいつも怒らせてばっかりで・・・うん、やっぱりゴエモンが羨ましいよ、俺。



セシリア・オルコットの場合。

真田さんですか?良き友人としておつきあいしておりますわよ?ISの声が聞ける、なんて言葉最初は眉唾でしたが、実際ティア・・・ああ、ブルー・ティアーズの事ですわ。とにかくティアは真田さんとお話ししてからさらに調子がよくって・・・
真田さんのアドバイスをもらってからは私もとっても調子がいいんですのよ?

・・・お、男としてどうか、ですか?そうですわねぇ・・・

私、強い男が理想の男性ですの。女性に媚びへつらわずにまっすぐで力強い男。正直昔はそれ以外の男など一人たりとも認めない、という感じだったと思います。
でも真田さんはそんな理想とも悪いイメージとも不思議と重ならないんです。どちらでもない。そのふわっとした柔らかさというか、緩さというか、それが彼の魅力なのかもしれませんわね。のほほんさんと同じでいつの間にか近くにいるタイプですわ。ISコアが彼に惹かれるのもなんだか頷けます。
彼は人の心にゆとりをもたらしてくれる人ですわ。



更識楯無の場合。

何というか、掴みどころがないわね。ウナギみたいというより、必死になって霧を掴もうとしてるみたい。

初対面の時、彼がどんな人物か見極めるために話しかけたわけなんだけど・・・最初は無視されてるのかと思ったわ。でもまさか私のミステリアス・レイディといきなりお話を始めてるなんて思わないじゃない?
本音ちゃんはマイペースだけど見るところは見てるし、ずれてるように見えてもしっかりしてるのよ。でも彼は違う。本当に見てる所や価値観、感覚が微妙にずれてるんだと思う。正直私の一番苦手なタイプね。お喋りでもなんでも先手を取って主導権を握るのが私の好みなんだけど、彼はその先手を先手として認識してない。相手にされてないの。それで無理にでも振り向かせようとしたところで不意打ち。本当ズルイ子よね。

それに、周囲の心の敷居を自然に下げてるわ。虚が彼をフォローするようなことをしたのがいい証拠だわ。・・・という愚痴を簪ちゃん相手にしちゃったのよ・・・まさか私の敷居まで下げてたなんて。

しかもその愚痴のおかげで簪ちゃんが前ほど私を避けなくなったの。いや良いことなんだけどね・・・手玉に取られたようでなんか悔しいわっ!!あとカエルは苦手だからやめてぇぇ~!!



一言メッセージ

布仏本音:ぜぜ~なんかわいいね~。かんちゃんも最近ぜぜーなんの世話を手伝てくれるんだよ~?
布仏虚:あれ以来出入り口近くに設置されたゼゼーナンちゃんを恐れて会長が仕事から逃げなくなりました。
更識簪:お姉ちゃんの弱点を教えてくれたし、会ったことないけどきっといい人。ゼゼーナンにも慣れてきた。
篠ノ之箒:そうだな・・・うん、優しい奴だ。

山田麻耶:私の所に初めて質問しに来た生徒の記念すべき第一号さんです!とってもいい子ですよ!
織斑千冬:あの短期間で小娘どもと馴染んでいるのは一種の才能だな。



4月24日

「・・・ひどい報告書だな。こんなもの提出した暁にはアリスやトラッシュに笑われる」

笑われたところで何か感じることがある訳でもないのだが。ルームメイトの立場を利用して収集した内容をリストにしてみたが、これは報告書と呼べるレベルのものではない。ついでに真田のDNAも涎やら髪やらサンプルを取っておいたが真田は疑いもしなかった。大丈夫かこいつ。
しかしそれよりも問題はあいつの能力だ。

現状もう私の相棒はすでに懐柔済と考えるのが妥当だろう。いや、あいつ自身がやってなくてもあいつの相方であるオウカは確実にやってるはずだ。

「監視任務もこれで終わりかな・・・正体ばれたし、もう任務続けられねえだろ」

というか相棒が懐柔されたなら首輪が外れたと同意義だろう。下手をすればこのまま処分されるかもな。・・・それにも何の感慨も湧かないが。

最後に一言メッセージに、「身元不明の誰かさん:他人を信用し過ぎだからまずは隣の人間から疑ってみるべきだ」と書き加えて上司に送り付けた。


翌日、任務内容の変更が言い渡された。

『だれかさんはこれより任務内容を変更し、真田悟朗左衛門が他組織からの懐柔を受けないよう常に監視、護衛することを最優先とせよ あんぽんたんの上司より』
「なんで?」

――ああ、今日も無感動で無意味で無価値な一日が始まる。からっぽの心の片隅の重箱の隅にこびり付いた、疑問と安心という小さな小さな感情のかけらを残して。
  
 

 
後書き
ストレンジ・アリス(奇妙なお嬢さん)・・・S.A.の同僚の一人。いわゆるESP能力者で、旧ソ連の技術者たちが細々と続けていた実験の過程で生まれた失敗作。能力の抑制が効かず、ISの頭部バイザーを常に展開しないと自身の超能力を抑えきれず超感覚過敏に陥る。彼女のISはハイパーセンサーが不完全にしか働かないが、超能力を使ってその穴を埋めている長距離砲撃機。メンバーの中でも一番感情豊かで今の自分を幸せだと考えている。トラッシュとは仲良し。

トラッシュ・ボトム(最低の屑ちゃん)・・・S.A.の同僚の一人。年長者のくせに恋路に首を突っ込むのが大好き。元はPKOの平和維持軍にいたらしいがその後どのような経緯を経てS.A.に入ったかは不明。ただ、自分を最低の屑と呼んでいる時点でまともな理由ではないだろう。彼女のISは拡張領域が最初から存在しないため、全ての武装がIS内蔵型もしくは後付型である。その代り度重なる改良で相手の武器の使用許諾(アンロック)を強制的に解除するハッキング機能及びステルス機能が発達している。 
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