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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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-蘇った男、サンダー-

 
前書き
長かった…
今まで書いた中で、一番長いです。

テスト二日前なんだけど大丈夫か、俺。

遂に来た!

みんなの人気者、地獄の底から不死鳥のごとく蘇った奴の名は! 

 
遊矢side


遂に今日、デュエルアカデミア本校と、ノース校の友好デュエルの日だ。

ノース校の移動手段はなんと、潜水艦だと言うので、デュエルアカデミア本校の生徒は、港で今か今かと潜水艦の到着を待っていた。

俺は、本校代表として挨拶するために、鮫島校長の近くにいた。

「鮫島校長。ノース校の代表は一年生らしいですが、どんな奴なんですかね。」

「それが分からんのだよ。向こうの校長は『秘密兵器』としか言わんし…」

秘密兵器って…

人間か?そいつ。

「まあ、相手が誰であれ絶対に勝つんだよ遊矢くん!」

「はあ…」

いつになく殺気立った鮫島校長に、若干引いてしまった。

そこに−

ザパァァァァと、音を立てて潜水艦が浮上した。

さっきまで騒いでいた本校生徒も、流石に静かになる。

「いや、ひさびさだね鮫島校長。」

メガネをかけた男−おそらくはノース校の校長−が、潜水艦から出てくる。

「去年はそちらに負けたが、今年こそはこちらが勝たせて貰うよ。」

「はて、それはどうでしょうね…で、そちらの秘密兵器とやらは…?」

鮫島校長と、ノース校の代表が握手をする。

…近くから見ていた俺からすれば、互いに腕を潰しあっていたが。

なんか恨みでもあるのか。

「ハハハ、そう急ぐな。…皆!出てきて良いぞ!」

ノース校の校長がそう宣言すると、一糸乱れぬ統率された動きでノース校の生徒たちが出てくる。

軍隊みたいだな。

そして、その中心にいるのは-

「万丈目!?」

かつて三沢に敗れ、この学園を去った男、万丈目準だった。

「黒崎遊矢か。万丈目、さんだ!」

…本物だな。

あいつは、学園を去る時に船でどこかへ向かったらしい。

ということは、あいつ、船でノース校までたどり着いたのか…?

「紹介しましょう。彼がノース校の代表、万丈目準です。」

「違うぞ校長!地獄の底から不死鳥のごとく蘇った俺の名は!」

万丈目は叫ぶと同時に、指を天に向かって高く掲げた。

「一!」

『十!』

万丈目の叫びに呼応し、ノース校の生徒たちまで叫び始める。

「百!」

『千!』

「万丈目サンダーだ!」

…は?

突然のことに、俺-というか本校生徒-は反応出来なかった。

前言撤回。
軍隊じゃなく、宗教集団だ。

恋する乙女教とかではない、本物の。

「怖じ気づいたか黒崎遊矢!分からなければ、もう一度言って聞かせるぜ!」

万丈目…サンダー…?は、再び指を天高く掲げた。

「いや、もう良い!」

しかし、それも聞こえない様子。

「一!」

『十!』

「百!」

『千!』

「万丈目サンダー!」

『サンダー!』

「俺の名は!」

『サンダー!』

「万丈目!」

『サンダー!』

もういいや。

「ほほ…まさか万丈目くんとは…こちらの代表、黒崎遊矢くんです。」

あ、どうも。
黒崎遊矢です。


「ふん!貴様が代表だったか黒崎遊矢!」

サンダー!のかけ声を止め、俺の元へ歩いてくる。

「貴様には、一度借りがある…今度こそ貴様を倒し、天上院くんを解放させる!」

…?
…あー。万丈目が学園からいなくなる前に、学園で流れていたらしい噂だ。

『黒崎遊矢は罰ゲームとして、天上院明日香を連れまわしている』

という、根も葉もない噂である。

自然消滅したらしいが、明日香ファンクラブでは、まだその噂を支持しているとか。

「万丈目くん!」

そう言って走ってきたのは、噂の主、明日香だった。

「やあ天上院くん!久しぶりだね。」

「ええ、久しぶり。だけど、そんな噂はデタラメよ。まだ信じてたの?」

万丈目って、明日香を前にすると口調が変わるな。

なんでだろう。

「いや、俺は必ず君を救ってみせるよ。この万丈目サンダーの名に賭けて!」

話を聞かず、ビシィッと指を突く万丈目。

…付き合いきれん。

顔合わせも終わったことだし、騒動が始まる前に控え室に行こう。

「ちょ、ちょっと遊矢!」

「頑張れ明日香。健闘を祈る。」

なにやら喚いている明日香と万丈目…サンダー…を無視して、俺は控え室に向かった。


わざわざ代表の為に用意された控え室に着いたが、別にやることは無かった。

デッキの調整も昨日に済んでいるし、試しに明日香ともデュエルした。

…まあ、ようは一刻も速くあの場から離れたかっただけなのだが…

「遊矢!」

「大変なことになったぞ、遊矢!」

明日香に三沢が、いきなり駆け込んできた。

「大変なこと?」

「ああ。万丈目の兄たちがいきなりやって来たんだ。」

それのどこが大変何だよ。

「そもそも、万丈目の兄たちって誰だ?」

「万丈目くんのお兄さんたちは、それぞれ政界と財界の重要人物よ。いきなりヘリコプターでやって来たの。」

ふーん。

「いくら俺の知らない有名人が来たって…」

大変なことにはならない、と言おうとしたが、三沢が先に口を開いた。

「最後まで聞いてくれ遊矢。その万丈目の兄たちが、この友好デュエルをテレビで放映しようと、テレビ局を用意したんだ!」

「へぇ、テレビ局…テレビ局ゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

ということは…

「まさか…」

「あなたのデュエルが全国放映されるってことよ、遊矢。」

当たって欲しくない予想が、当たってしまった。

「テ、テレビ局なんて嘘だろう?」

「いや、本当のことだ。…信じたくない気持ちも、分かるが。」

こちとらただの小市民だっつーの。

いきなりテレビで全国放映されますって言われて対応できるか!

「…三沢、変わってくれ。代表決定戦、俺の負けで良いから。」

「そういう訳にはいかないな。」

ですよね。

「十代は羨ましたがってたわよ、テレビでデュエル出来るなんて。」

「なら変わってみやがれ十代!」

相手の立場に立ってみなきゃ、分からないこともある。

…深い言葉だな。

「…仕方ない。考え方によっては、【機械戦士】の力を全国のお茶の間に見せつけられるわけだ。」

ポジティブシンキングで行こうか。

「何事も考え方次第、ということか。」

「そういうこと。…それより、万丈目…サンダー。どうしたんだあいつ。」


「ええ。上手くは言えないけど…雰囲気が変わった気がするわ。」

俺たちの中で、一番万丈目…サンダー…と付き合いの長い明日香が言うのだ。

俺の気のせいではあるまい。

「あいつも、ノース校で色々あったのだろうな。」

「色々、ねぇ…」

話をしている内に、開始10分前となった。

「それじゃ、私たちはそろそろデュエル場に行くわ。」

「おう。わざわざ来てくれてありがとな。」

明日香と三沢がデュエル場に歩いていく。

二人の…いや、亮も入れて三人の…為にも、負けられないな。

デッキをもう一度見て、俺はデュエル場に向かうことにした。



友好デュエル、会場。

いつものデュエル場なのだが、テレビ局とノース校の連中がいつもと違う。

「まさーか、このワタクシがテレビに出るなんーて…」

俺も同じ気持ちですよ、クロノス教諭。

「それでは、デュエルアカデミア本校と、ノース校との友好デュエルを始めるノーネ!」

デュエル場のいたるところから歓声が上がる。

「まずは本校代表!シニョール黒崎遊矢なノーネ!」

本校生徒たちから応援の声が上がる。

どうもどうも。

「そしてノース校代表…」

「いらん。俺の名前は、俺自身が宣言する!」

万丈目…サンダー…が、クロノス教諭からマイクを奪い取って、そのままマイクパフォーマンスに入った。

「貴様ら!この俺を覚えているか!」

本校生徒に向かって叫んでいるようだ。

「俺の退学を、自業自得だと言った者!馬鹿な奴だと笑った者!俺は戻ってきたぞ!」

いや、あれは自業自得だろう。

「地獄の底から不死鳥のごとく蘇ってきた俺の名は!」

指を高く掲げた。

…またあれか…

「一!」

『十!』

「百!」

『千!』

「万丈目サンダー!」

『サンダー!』

気が済んだのか、マイクをそこらへんに投げる。

「行くぞ黒崎遊矢!」

「ああ。楽しんで勝たせてもらうぜ!」

デュエルディスク、
セット。

「「デュエル!!」」

俺のデュエルディスクに『後攻』と表示される。

「俺の先攻!ドロー!」

万丈目…サンダー…のデッキは、地獄デッキのままか?

それとも…

「俺は、《仮面竜》を守備表示で召喚!」

仮面竜
ATK1400
DEF1100


「仮面竜!?」

地獄デッキでも、十代が戦ったというVWXYZデッキでも使わないカードだ。

新しいデッキか…

「カードを一枚伏せ、ターンエンド!」

「俺のターン、ドロー!」

頼むぜアタッカー!

「俺は《マックス・ウォリアー》を召喚!」

マックス・ウォリアー
ATK1800
DEF800

マックス・ウォリアーの登場と共に、ノース校の連中から笑い声が出る。

ま、だろうな。

「黙れ貴様ら!」

万丈目…サンダー…が、ノース校の連中に向かって叫ぶ。

「こいつは、黒崎遊矢は貴様らよりはるかに強い!侮るな!」

…え?

「…お前、本当に万丈目か…?」

「万丈目、さんだ!安心したぞ、貴様がまだ【機械戦士】を使っていてな!」

どうやら、万丈目は【機械戦士】と再び戦いたかったようだ。

ただの負けず嫌いか。

「気を取り直して、マックス・ウォリアーで、仮面竜に攻撃!《スイフト・ラッシュ!》」

出来れば効果破壊したかったが、残念ながらそんなカードは無かった。

「仮面竜が破壊されたため、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚出来る!現れろ!伝説の一角!《アームド・ドラゴンLV3》!」

アームド・ドラゴンLV3
ATK1200
DEF900

「レベルアップモンスターだと!?」

レベルアップモンスター。

デュエルモンスターズの中でも、かなり数が少ないレアカードだ。

それを何故万丈目が…?

「これこそ、ノース校に伝わる伝説のカード!このカードで貴様を葬ってやるわ!」

「くっ…カードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」

伝説のカードなんてものを、持ち出して来たってのか。

「俺のターン!ドロー!
クックック…俺のターンのスタンバイフェイズ時に、アームド・ドラゴンLV3の効果を発動!このカードを墓地に送ることで、デッキから《アームド・ドラゴンLV5》を特殊召喚出来る!進化せよ!アームド・ドラゴンLV5!」

アームド・ドラゴンLV5
ATK2400
DEF1700

「…これが、レベルアップモンスターか…!」

「そうだ!だが、これだけではないぞ!アームド・ドラゴンLV5の効果を発動!手札からモンスターカードを一枚墓地に捨てることで、捨てたモンスターの攻撃力以下の相手モンスターを破壊することが出来る!俺は攻撃力1400の《ドラゴンフライ》を捨てて、マックス・ウォリアーを破壊する!《デストロイド・パイル》!」

セリフが長いぞ万丈目!

アームド・ドラゴンの効果により、マックス・ウォリアーは破壊されてしまう。

「これで貴様を守るモンスターはいない!アームド・ドラゴンLV5で、黒崎遊矢にダイレクトアタック!《アームド・バスター》!」

「リバースカード、オープン!《攻撃の無力化》!戦闘を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

アームド・ドラゴンLV5の攻撃が、時空の渦に吸い込まれていく。

「チィッ…ターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー!」

アームド・ドラゴンLV5…恐らくはまだ、進化することだろう。

ならば進化する前に叩く!

「《レスキュー・ウォリアー》を召喚!」
レスキュー・ウォリアー
ATK1600
DEF1700

「そして、レスキュー・ウォリアーをリリースすることにより、《ターレット・ウォリアー》を特殊召喚!」

ターレット・ウォリアー
ATK1200
DEF2000

「ぐっ…そいつは…!」

「そういや、お前との前のデュエルでも使ったな。ターレット・ウォリアーの攻撃力は、リリースした戦士族モンスターの元々の攻撃力分、攻撃力がアップする!」

ターレット・ウォリアー
ATK1200→2800


「これでアームド・ドラゴンLV5の攻撃力を超えた!ターレット・ウォリアーで、アームド・ドラゴンLV5に攻撃!《リボルビング・ショット》!」

ターレット・ウォリアーが放つ弾丸に、アームド・ドラゴンLV5は破壊される。

「ぐうっ…!」

万丈目LP4000→3600

「俺はこれでターンエンドだ。」

「俺のターン!ドロー!」

さて、どう来る?

「甘く見るなよ黒崎遊矢!リバースカード、オープン!、《|リビングデットの呼び声》!蘇れ!アームド・ドラゴンLV5!」

アームド・ドラゴンLV5
ATK2400
DEF1700

「もう復活して来たか!」

「驚くのはまだ早いぞ!更に通常魔法、《レベルアップ!》を発動!アームド・ドラゴンLV5を進化させる!出でよ!《アームド・ドラゴンLV7》!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800
DEF1000


シャープなデザインになり、更に身体が大きく進化するアームド・ドラゴン。

「アームド・ドラゴンLV7の効果を発動!手札から、《闇より出でし絶望》を墓地に捨てて、貴様のフィールドの攻撃力2800以下のモンスターを全て破壊する!《ジェノサイド・カッター》!」

破壊効果も進化してやがる!

ターレット・ウォリアーの攻撃力は2800。

ちょうど2800以下だ。

「再び、貴様のフィールドはがら空きとなった!アームド・ドラゴンLV7でダイレクトアタック!《アームド・ヴァニッシャー》!」

今度は防ぐ手が無い!

「ぐあああッ!」

遊矢LP4000→1200

…ライフポイントを大きく削られた…!


「フン!貴様のターンだ黒崎遊矢!」

ターンエンドと言え!

「俺のターン、ドロー!」

流石に強いぜ万丈目…

だが、簡単には負けられないな。

「速攻魔法、《手札断殺》を発動!お互いに二枚捨て二枚ドロー!」

さあてお約束!

…は、今回は無し。

《リミッター・ブレイク》が手札に無かったからだ。

「手札にあるこのカードは、攻撃力を1800にすることでリリース無しで召喚出来る!出でよ!《ドドドウォリアー》!」

ドドドウォリアー
ATK2300→1800
DEF900


今度フィールドを空にしたら、負ける。
ならば、攻める!

「ドドドウォリアーでは、アームド・ドラゴンLV7には適わないぞ!」

「そんなことは分かってるさ。装備魔法、《デーモンの斧》と、《ジャンク・アタック》をドドドウォリアーに装備する!」

ドドドウォリアー
ATK1800→2800

これで攻撃力が並んだ。

「ドドドウォリアーで、アームド・ドラゴンLV7に攻撃!《ドドドアックス》!」

「チッ…迎え撃て!アームド・ヴァニッシャー!」

舌打ちから察するに、万丈目は俺の狙いに気づいているようだ。

「墓地から、《シールド・ウォリアー》を除外することで、この戦闘でドドドウォリアーは破壊されない!」

「やはりか!」

シールド・ウォリアーが、アームド・ドラゴンLV7の攻撃を防ぎ、その間にドドドウォリアーが斧で斬りつける。

「ジャンク・アタックの効果を発動!装備モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える!」

アームド・ドラゴンLV7の攻撃力は2800。

よって、ダメージは1400だ。

「ええい、一度ならず二度までもアームド・ドラゴンが…」

万丈目LP3600→2200

「ターンエンドだ!」

「俺のターン!ドロー!」

どう来る…

「俺はモンスターを守備表示でセット!更にカードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」

守りを硬めて来た…いや、万丈目はあくまで攻めるタイプ。

アームド・ドラゴンの為の準備だろう。

「俺のターン、ドロー!
ドドドウォリアーで、セットモンスターに攻撃!ドドドアックス!」


「セットモンスターは、《メタモルポット》だ!リバース効果により、お互いに手札を全て捨て、五枚ドロー!」

ドドドウォリアーの効果では、メタモルポットの効果は無効に出来ない…

まあ、俺の手札も増えるから良いか。

「墓地に捨てた、《リミッター・ブレイク》の効果を発動!デッキ・手札・墓地から、《スピード・ウォリアー》を特殊召喚出来る!デッキから守備表示で出でよ!マイフェイバリットカード、スピード・ウォリアー!」

『トアアアッ!』

スピード・ウォリアー
ATK900
DEF400

「加えて、ジャンク・アタックの効果を発動!メタモルポットの攻撃力の半分のダメージを受けてもらうぜ!」

メタモルポットの攻撃力は700。

…無いよりマシだ。

万丈目LP2200→1850

「ターンエンドだ!」

「この程度のダメージ、関係無い!俺のターン!ドロー!」

メタモルポットにより、万丈目の手札はとても増えている。

来るか、アームド・ドラゴン。

「まずは、速攻魔法、《サイクロン》!貴様の装備魔法、デーモンの斧を破壊する!」

竜巻にデーモンの斧が破壊される。

ドドドウォリアー
ATK2800→1800

「どんどん行くぞ!通常魔法、《死者蘇生》を発動!蘇れ!アームド・ドラゴンLV5!」

アームド・ドラゴンLV5
ATK2400
DEF1700

なんでレベル5?

レベル7が墓地にいる筈だが…ああ、蘇生制限か。

アームド・ドラゴンLV7は、通常魔法、《レベルアップ!》により召喚された。

よって、蘇生制限を満たしていないのだろう…多分。

「アームド・ドラゴンLV5の効果を発動!手札のドラゴンフライを墓地に捨てて、スピード・ウォリアーを破壊する!デストロイド・パイル!」

「ちっ…!」

スピード・ウォリアーはなすすべも無く、アームド・ドラゴンLV5に破壊される。

「貴様のそのモンスターは厄介だからな。」

「そいつはどうも…」

スピード・ウォリアーを厄介と言ったのは、多分お前が初めてだ。

「バトル!アームド・ドラゴンLV5で、ドドドウォリアーに攻撃!アームド・バスター!」

「ドドドウォリアー…!」

もっとも攻撃力が高い機械戦士がやられた…

遊矢LP1200→600


「これで俺はターンエンドだ!それと同時に、アームド・ドラゴンLV5の効果が発動する!」

「何だと!?」

「このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したエンドフェイズ時、このカードを墓地に送り、アームド・ドラゴンLV7へと進化する!現れろ!アームド・ドラゴンLV7!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800
DEF1000

「俺のターン、ドロー!」

再び現れた、アームド・ドラゴンLV7。

今度はキチンと召喚条件を満たして。

だが、俺にも。

「《ロケット戦士》を攻撃表示で召喚!」

ロケット戦士
ATK1500
DEF1300

メタモルポットで得た手札がある!

「更に、モンスターが通常召喚に成功した時、このカードは特殊召喚出来る!来い!《ワンショット・ブースター》!」

ワンショット・ブースター
ATK0
DEF0

「ロケット戦士で、アームド・ドラゴンLV7に攻撃!」

「自滅する気か!?」

「いいや。ロケット戦士は、自分のターンのバトルフェイズ時のみ、戦闘では破壊されず、戦闘ダメージを0にし、戦闘した相手モンスターの攻撃力を500ポイント下げる!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800→2300

「それがどうした!お前のフィールドにいるモンスターの攻撃力は、0だぞ!」

「攻撃力0のモンスターを甘く見るなよ!メインフェイズ2に、ワンショット・ブースターの効果を発動する!このターン、自分のモンスターと戦闘して、破壊されなかった相手モンスターを破壊する!蹴散らせ!ワンショット・ブースター!」

ワンショット・ブースターのミサイルに、アームド・ドラゴンLV7が爆発する。

「カードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」

「俺のターン!ドロー!」

アームド・ドラゴンを倒し続けてはいるが、正直に言うと、俺の方がピンチだ。

アームド・ドラゴンは破壊しても、様々なサポートカードにより復活する。

「俺は仮面竜を守備表示で召喚!」

仮面竜
ATK1400
DEF1100


リクルーターか。

あれを倒せば、再びアームド・ドラゴンLV3が出てくるだろう。

「俺のターン、ドロー!」

万丈目のフィールドには、ドラゴン族のリクルーター、仮面竜と、一枚のリバースカード。

対する俺のフィールドは、ロケット戦士にリバースカードが一枚だ。

「俺は通常魔法、《戦士の生還》を発動!墓地のドドドウォリアーを手札に加える!」

リバースカードが気になるが、ここは攻める!

「ドドドウォリアーを、攻撃力1800にして妥協召喚!」

ドドドウォリアー
ATK2300→1800
DEF900

「バトルだ!ドドドウォリアーで、仮面竜を攻撃!ドドドアックス!」

「くっ…だが、仮面竜の効果を発動!」

ちょっと待った!

「ドドドウォリアーが戦闘する時、ダメージステップ終了時まで、墓地で発動する効果を無効にする!よって、リクルート効果は無効になる!」

「なに!?」

これでアームド・ドラゴンLV3の特殊召喚は封じた。

「行け!ロケット戦士!万丈目にダイレクトアタック!」

「万丈目、さんだ!リバースカード、オープン!《レベルの絆》!相手プレイヤーにカードを二枚引かせる代わりに、攻撃宣言と効果を無効化したレベルアップモンスターを墓地から召喚条件を無視して特殊召喚出来る!攻撃表示でアームド・ドラゴンLV7を特殊召喚!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800
DEF1000

…何度も何度も大変だな、アームド・ドラゴン。

「レベルの絆の効果で二枚ドローし、攻撃を続行する!ロケット戦士でアームド・ドラゴンLV7に攻撃!」

ロケット戦士がその名の通りロケットに変形し、アームド・ドラゴンに突撃する。

「さっきも言ったが、ロケット戦士は自分のターンのバトルフェイズ時のみ、戦闘では破壊されず、戦闘ダメージを0にし、相手モンスターの攻撃力を500ポイント下げる!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800→2300

「メインフェイズ2に、墓地の《ADチェンジャー》効果を発動!墓地に存在するこのカードを除外することで、フィールド場のモンスターの表示形式を変更する!俺はロケット戦士を守備表示にする!」

俺のライフポイントはわずか600。

用心しておくにこしたことは無い。

「カードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー!
通常魔法、《天使の施し》を発動!三枚ドローし、二枚捨てる!」

万丈目がニヤリと笑った。

良いカードでも引いたのか?

「俺は通常魔法、《貪欲な壺》を発動!墓地のアームド・ドラゴンLV3、5、7、仮面竜二体をデッキに戻すことで、二枚ドロー!」

墓地のモンスターを再利用可能にし、二枚ドローする優秀な魔法カード、貪欲な壺。

墓地にモンスターが溜まりやすいアームド・ドラゴンにはピッタリのカードだ。

「更に、墓地の風属性モンスターである、ドラゴンフライを除外することで、《シルフィード》を特殊召喚!」

シルフィード
ATK1700
DEF700

簡単な召喚条件と、ハンデス効果があるモンスターか。

「そして、シルフィードをリリースし、アームド・ドラゴンLV5をアドバンス召喚!」

アームド・ドラゴンLV5
ATK2400
DEF1700


「また来たか!…やっぱり、強いな、万丈目…」

「万丈目、さんだ!まだまだ終わらんぞ!俺は、フィールドのアームド・ドラゴンLV7をリリースし、手札から《アームド・ドラゴンLV10》を特殊召喚する!現れろ!伝説の最終進化!アームド・ドラゴンLV10!」

アームド・ドラゴンLV10
ATK3000
DEF2000

これがアームド・ドラゴンの最終形態…

「アームド・ドラゴンLV10のモンスター効果を発動!手札を一枚捨てることで、相手フィールドの表側表示のモンスターを全て破壊する!俺は手札のおジャ…モンスターを捨て、貴様のモンスター全てを破壊する!」

…おジャ?

「手札から、《エフェクト・ヴェーラー》の効果を発動!相手モンスターの効果を無効にする!」

いざという時に助かるラッキーカードだ。

エフェクト・ヴェーラーがアームド・ドラゴンLV10を包み込んで、効果を無効にする。

「何だそのカードは!」

「ラッキーカードさ。」

本当に、くれて助かったな。

「ええい、バトルだ!アームド・ドラゴンLV10で、ドドドウォリアーに攻撃!《アームド・ビッグ・ヴァニッシャー》!」

「リバースカード、オープン!《ガード・ブロック》!戦闘ダメージを0にし、カードを一枚ドロー!」

俺の残りライフはわずか600…アームド・ドラゴンの攻撃を食らう訳にはいかない。

「チィッ…アームド・ドラゴンLV5で、ロケット戦士に攻撃!アームド・バスター!」

ロケット戦士は破壊されたが、守備表示のためダメージは無い。

…守備表示にしておいて良かった…

「こいつでトドメだ!速効魔法、《レベルダウン!?》!フィールド場のレベルアップモンスターを選択してデッキに戻し、戻したモンスターよりレベルが低く、同じ名前を含むレベルアップモンスターを特殊召喚する!俺はアームド・ドラゴンLV10をデッキに戻し、アームド・ドラゴンLV7を特殊召喚!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800
DEF1000

「速効魔法だと!?」

それはつまり…

「そうだ!俺はまだ、このターン攻撃が出来る!行け!アームド・ドラゴンLV7!黒崎遊矢に引導を渡せ!アームド・ヴァニッシャー!」

アームド・ドラゴンLV7が放った攻撃が俺に迫る!

「これでこの俺!万丈目サンダーの勝ちだ!」

まだだ!

「手札から効果を発動!《速効のかかし》!相手モンスターにダイレクトアタックされた時、手札からこのカードを捨てることで、バトルフェイズを終了させる!」

さっきのガード・ブロックで引いたカードだ。

危なかったな…

「しぶとい奴だ…!だが、貴様のフィールドにはリバースカードが一枚!手札はわずか一枚だ!少しだけ寿命が延びただけに過ぎん!カードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」

確かにな。

万丈目の言っていることは正しい。

「俺のターン、ドロー!」

引いたカードは…

「俺はスピード・ウォリアーを召喚!」

『トアアアッ!』

スピード・ウォリアー
ATK900
DEF400

信じてたぜ、マイフェイバリットカード!

「貴様は最後までそいつか!スピード・ウォリアー一体で、俺のアームド・ドラゴンLV7が倒せるものか!」

「倒すさ。スピード・ウォリアーに装備魔法、《進化する人類》を発動!自分のライフポイントが相手より下の時、元々の攻撃力は2400となる!」

スピード・ウォリアー
ATK900→2400

「お前のアームド・ドラゴンが進化するように、俺の機械戦士たちも進化する!バトルだ!スピード・ウォリアーで、アームド・ドラゴンLV5に攻撃!《ソニック・エッジ》!」


進化する力を得たスピード・ウォリアーが、アームド・ドラゴンLV5に向かっていく。

「スピード・ウォリアーは、召喚したターンのバトルフェイズ時のみ、攻撃力が倍になる!」

スピード・ウォリアー
ATK2400→4800

「これで終わりだ!万丈目!」

「万丈目、さんだ!リバースカード、オープン!《突進》!アームド・ドラゴンLV5の攻撃力を、700ポイントアップさせる!」

アームド・ドラゴンLV5
ATK2400→3100

「突進だと!?」


アームド・ドラゴンLV5の攻撃力が700ポイントアップしたが、攻撃力はスピード・ウォリアーの方が上だ。

「ぐあああッ!」

万丈目LP1950→250

「甘かったな黒崎遊矢!俺のライフポイントは、まだ残っているぞ!」

「くっ…俺のライフポイントがお前より上になったため、スピード・ウォリアーの元々の攻撃力は、1000になる。」

スピード・ウォリアー
ATK4800→2000

突進が無ければ、デュエルは終わっていたが…

「さあ、ターンエンドと宣言しろ!それが貴様の最後だ!」

『サンダー!』

『サンダー!』

『万丈目サンダー!』

ノース校の連中が、万丈目の勝利を讃えるかのように叫びだす。

「…それはどうかな。」

「何?」

「まだ、俺のバトルフェイズは終わってないぜ!」

今からやるコンボは、何の偶然か、昨日の夜、4人で相談したコンボだった。

「リバースカード、オープン!《イクイップ・シュート》!」

ありがとな、明日香、三沢、亮!

「イクイップ・シュートだと…!?」

「このカードは、バトルフェイズ中にのみ発動出来る。自分フィールド上に、表側攻撃表示で存在するモンスターに装備された装備カード1枚と、相手フィールド上に存在する表側攻撃表示のモンスター1体を選択し、選択した装備カードを選択した相手モンスターに装備する。その後、選択した装備カードを装備していた自分のモンスターと、 選択した相手モンスターで戦闘を行いダメージ計算を行う!」

…相変わらず、分かり難いテキストだな。

明日香が初見で使い方が分からなかったのも頷ける。

「つまり、まずはスピード・ウォリアーに装備されている進化する人類をアームド・ドラゴンLV7に装備する!」

スピード・ウォリアーの周りにあった進化する力が、アームド・ドラゴンLV7へと移る。

「そして、スピード・ウォリアーとアームド・ドラゴンLV7でバトルを行う!」

「血迷ったか黒崎遊矢!アームド・ドラゴンLV7!スピード・ウォリアーと黒崎遊矢にトドメをさせ!アームド・ヴァニッシャー!」

アームド・ドラゴンLV7が放った攻撃は…スピード・ウォリアーには効かなかった。

「なに!?何故スピード・ウォリアーが倒せない!」

「装備魔法、進化する人類の効果により、俺のライフが相手のライフより多い場合、装備モンスターの元々の攻撃力は、1000となる!」

アームド・ドラゴンLV7
ATK2800→1000

俺のライフは600。

万丈目のライフは250だ。

「そしてスピード・ウォリアーは、進化する人類が外れたことにより、攻撃力は1800!」

スピード・ウォリアー
ATK2000→1800

「イクイップ・シュートの効果により、スピード・ウォリアーでアームド・ドラゴンLV7に攻撃!ソニック・エッジ!」

「うわああああッ!」

万丈目LP250→0


「え?万丈目さんの方が負けたのか?急いでカットだ!カット!」

テレビ局の方々が急いでカットしていた。

万丈目の兄たちに雇われたのだ、当然だろう。

…カットするのが、少し遅かったようだが。

ま、そんなことより。

「よっしゃああああッ!
楽しいデュエルだったぜ!万丈目!」

ワァァァァァァァ!

と、本校生徒から歓声が上がる。

『サンダーァァァ!』

ノース校の方だ。

こちらは、万丈目の負けを悔しかっているようだ。

…慕われてるな、万丈目。

その万丈目は、膝をついたまま動かなかったが。

「準!」

スーツ姿の男が二人、万丈目に詰め寄っていく。

察するに、彼らが万丈目の兄たちだろう。

「私たちが用意したレアカードを使わないばかりか、あんなデッキに負けおって!」

…あんなデッキ、だと?

「すまない兄さんたち…でも俺は、自分で作ったデッキで勝ちたかったんだ!」

「黙れ!この万丈目一族の恥め!」

「黙るのはあんたらの方だ、万丈目の兄貴たち。」

…しまった。
つい、入ってしまった。


「何だお前は!これは我ら兄弟の問題だ!部外者は引っ込んでいろ!」

ごもっとも。

「ならこっちはデュエリストの問題だ。レアカード=強いとか考えてるデュエリストじゃない奴は帰ってもらおう!」

『そうだそうだ!』

『遊矢の言う通りだ!』

『楽しいデュエルだった!万丈目は良くやったぜ!』

『サンダー!』

本校もノース校も関係ない、誰もがデュエリストとして万丈目を庇っていた。

「ぬう…」

「それに、文句があるならお前ら自身が来たらどうなんだ!?」

デュエルも出来ないくせに、デュエリストの領域に入ってこないでもらおう!

「帰るぞ!」

「あ、ああ…」

万丈目の兄貴たちが帰っていった時、また歓声が上がった。


友好デュエルも終わり、ノース校の連中を見送りに港にいた。

そこでは、みんなが万丈目の為に泣いていて、慕われていることが十二分に分かる。

それでも、俺に恨み事一つ言わないのだから、気持ちの良いデュエリストたちである。

「おめでとう、遊矢!」

「お、明日香か。」
話しかけて来たのは、明日香だった。

三沢たちとははぐれたのか、別れたのかは知らないが、一人だった。

「いや、昨日のコンボで助かったよ。」

「元々、あのコンボを入れてたのは遊矢でしょう。」

「いや、まあそうなんだが…」

あ。
そういえば、と思ってエクストラデッキの中から、《サイバー・ブレイダー》を取りだす。

先日明日香から、お守り代わりにもらったものだ。

「これ、ありがとな。」

「…それ、あげるわ。私はサイバー・ブレイダー四枚持ってるから、これからもお守り代わりに持っていて。」

「そうか?」

なら貰っとくか。

それから、あの時は危なかっただの話している内に、ノース校の潜水艦が出発する時刻になる。

「万丈目ともお別れか…またいつか、デュエルしたいな。」


「誰がお別れだ!誰が!」

声に振り向き、後ろにいたのは…

「万丈目!?」

「万丈目くん!?」

万丈目だった。

「万丈目、さんだ!貴様に借りを返すまで、俺はここに残る!」

元々、本校の生徒だからな…

「オシリス・レッドだがな。」

「ぐっ…黙れ三沢!」

三沢が合流する。

「オシリス・レッドってどういうことだ?」

「出席日数と、遊矢との約束でな。万丈目は「さんだ!」オシリス・レッドになったのさ。」

約束…?
あーあー。

昇格デュエルの時にノリで言ったのだ。

負けたら、一年間オシリス・レッドだと。

…忘れてたな。

「じゃ、これからよろしくな、万丈目。」

「何度も言わせるな!俺の名は!」

指を高く掲げる。

「一、十、百、千、
万丈目さんだ!」 
 

 
後書き
一、十、百、千、
万丈目サンダー!!

…あのハジケっぷりを、上手く書けてるかどうか不安です。

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