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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百三十二話  『過去と大切なこと』

 
前書き
今回は夜襲の話です。

戦闘描写で久しぶりに投影というか魔術自体を使いますね。

今まで魔法メインでしたから。 

 






Side ティアナ・ランスター



「うっ…」

目を覚ました。
でも少し見慣れない天井だった。
それで最後の記憶を思い出そうとしていると横から声をかけられた。

「ティアナ、起きたのね」

そこには優しい笑みを浮かべたシホさんがいた。
綺麗だわ…。
っと、そんな事を考えている時じゃなくて。

「あたしは…」
「ここは医務室。ティアナは模擬戦後に気絶してしまったのよ。覚えてる?」

それで記憶が鮮明に思い出されてくる。
そうだ。あたしは気絶してしまったんだ。

「す、すみません! 気絶なんてしてしまいまして…!」
「平気よ。付き合っていた私も久しぶりに休むことができたしね」

シホさんはそう言って笑う。
それで少し恥ずかしくなり、ふと下半身がスースーすると思ってみたらズボンを履いていなかった。
それでさらに恥ずかしくなった。
そこにシャマル先生も部屋に入ってきて、

「あ、ティアナ。大丈夫?」
「はい。ご迷惑おかけしました…」
「そう。でもどこも怪我はないようで安心したわ」
「はい…」

それでシャマル先生はあたしのズボンを持ってきてくれた。
ふと時間を見ると、

「九時過ぎ!? よ、夜!!?」
「よく熟睡していたわよ。
死んでるんじゃないかって思うくらい。
シホちゃんはティアナが起きるまで付き合うって言うしね」
「はい。責任は最後まで見ないとと思いまして」
「最近あんまり寝ていなかったんでしょう?」
「は、はい…」
「溜まっていた疲れが一気に来ちゃったのよ。もうこんな無茶な行動はしないでね?」
「はい。わかっています。あたしはシホさんに正してもらいましたから」
「そう…。よかったわね、シホちゃん。ティアナの心を救えたのね」
「はい、もうティアナは大丈夫だと思います」
「あ、あの! シホさん、何から何までありがとうございます!」
「それはなのはやスバルにも言ってあげてね? 二人共すごく心配していたから」
「はい!」

それであたしはズボンを履いて自室へと戻って、

「あ、ティア! やっと起きたんだね」
「ええ。心配かけたわね、スバル」
「ううん。大丈夫だよ。…それより今日は残念だったね」
「平気よ。改めてシホさんの心の器の大きさに気づかされたから。
それよりなのはさんに謝りに行こうか。昨日までの無茶な訓練の件に関して」
「そうだね!」

それでオフィスまで二人で向かってみるけどそこにはフェイトさんしかいなかった。

「あ、ティアナにスバル。もう大丈夫?」
「はい! ご心配おかけしました。ところでなのはさんは…?」
「今はまだ訓練場で色々とお仕事をしているところだよ」
「そうですか…それじゃ伝えといてください。なのはさんに謝りたいと…」
「わかった。それとね、二人共」
「「はい…?」」
「明日…ううん、もしかしたら今日にもなのはの教導の意味も兼ねて私達の過去を教えると思うから覚悟しておいてね」

なのはさん達の過去。それって…。
とりあえず、

「わかりました!」
「それじゃ失礼します」

それでスバルと二人で部屋に帰り際、

「なのはさん達の過去ってなんだろうね?」
「さぁね。でも、大事な話だと思うわ」
「そうだね」

そして自室でゆっくりとしている時だった。

ブーブー!

突然アラートが鳴り響き、あたし達はすぐに準備をするのだった。



◆◇―――――――――◇◆



Side シホ・E・S・高町



アラートにすぐに管制室へと向かう私達。
そして中に入ると、

「ガジェット航空二型、四機編隊が十体、十二機編隊が三体…計76機確認されました。
発見時から変わらずそれぞれ別の軌道で旋回飛行中です」
「場所はなにもない海上か。レリックの反応もないし、付近には海上施設も船もない」
「まるで撃ち落としに来いと誘っているような…」

その通りね。
こちらの戦力を測っているのだろう。

「テスタロッサ・ハラオウン執務官ははどう見る?」

それでまずフェイトに聞いてくるはやて。

「たぶんスカリエッティは私達の情報が欲しいからああしてガジェッドを動かしていると思うんだ」

まずフェイトがそう答える。

「うん。こちらは超長距離砲撃を叩き込めば済む話やしな」
「一撃で全機撃墜です!」

リインが元気にそう声を上げる。

「うん。だからこそ奥の手は見せない方がいいと思うんだ」
「そうやな。この程度でリミッター解除は底を知られるからな。高町教導官はどないや?」
「こっちの戦力調査が目的ならなるべく新しい情報を出さずに今までと同じ行動で沈めていけばいいと思う」
「シュバインオーグ教導官はどうや?」
「そうね…逆転の発想をしたらどうかしら?」
「逆転の発想…?」
「そう。一撃で沈めてそれをこちらの奥の手と思わせるのよ」
「うーん…でも、それやとやっぱりリミッター解除になってまうで?」
「忘れているわよ、はやて。“魔術”にはリミッターなんて存在しないって…」
「ちょっ…! ここでまさか宝具使う気か?」
「ええ。あの程度ならそんなすごい宝具を使わなくても撃墜可能。
みんなの奥の手も出さずにすぐにかたがつけられるからお得よ」
「うー…まだ宝具の存在を知られるのはまずいと思うんやけど?」
「平気平気…!
それに宝具に対抗できるやつなんて私の世界じゃあるまいしそうそういるわけないわ」
「そか? なら任せてええか?」
「ええ、任せて。この程度の宝具なら知られても痛くも痒くもないから。
私が知られてしまうもっとも怖いのは固有結界一つだけだしね」

もちろんこの発言に慢心要素はかなりあるだろう。
私はわざと言っているのだから。
でも今回はあえて切り札の一つを出す。
囮として危ない橋を渡ろうとしているのは百も承知だ。
でも、もしかしたらこれでアクションを起こす奴がいるかもしれない…。
そう、例えば隻眼の魔術師の男とかね。
これで何も起こらなければそれでいい。
でも、これでなにか反応を示せばアタリだろう。
そのうち行動を起こすかもしれないから待ち構えていないとね。
そんなこんなで作戦は決まり私達はフォワード陣が待っているヘリポートまで向かう。
そこではすでにみんなが集まっていた。

「ティアナ。もう大丈夫…?」
「はい! ご心配おかけしました! もう無茶な行動はしません!」
「うん。ならいいかな。
それと今回の任務はシホ隊長が一撃で沈める予定だからみんなは見てるだけでいいよ?」
「え…一撃でって…」
「あんなに距離が離れているのにできるんですか?」

みんなが一様に不安な表情をしている。

「任せなさい。見事一撃で沈めてやるわ。久しぶりに宝具を使うしね」

私の『宝具』という言葉にフォワード達がハテナな顔をする。
だが私はみんなの前でその異常性をすぐに見せることになる。
久しぶりに見せる私の本来の姿。

「―――投影開始(トレース・オン)

デバイスの弓ではなく使うのは投影した洋弓。
デバイスでは宝具の魔力に当てられて悲鳴を上げて耐えられないのでしょうがない。
そして、

投影、重装(トレース・フラクタル)

投影する宝具は『赤原猟犬(フルンティング)』。
それを弓に番えて私は時間をかけて魔力を注ぎ込む。



◆◇―――――――――◇◆



Side レン・ブルックランズ



宝具を使うと言ってシホさんはその手にデバイスではない弓を手に出した。
あれがシホさんの言う転送魔術?
こんな魔力のこもった弓を転送できるんだ。
でも、そんなものはまだ甘かった。

投影、重装(トレース・フラクタル)

そう唱えた途端に現れたトゲがたくさんある剣? それとも矢? それらを転送してきた途端、寒気を感じた。
原因はその矢から溢れてくる凶悪なくらいの魔力。
それに思わず恐怖を感じている僕がいた。
見れば僕以外のメンバーもその矢から感じる桁違いな魔力に圧倒されて汗を流して無言になっている。

「ひ、久しぶりだね。この感覚は…」
「…うん。やっぱりシホの使う宝具は魔法と比べて桁違いだ…」
「だな。あたしでも恐怖を感じちまう…」
「…ああ。だが私としては心地いい空気だ」
「はいです」

なのはさんもフェイトさんもヴィータ副隊長もシグナム副隊長もフィアット副隊長もシホさんの放とうとしている矢に圧倒されているようだ。






Side ラン・ブルックランズ



私は前からシホさんの使う魔術…転送魔術の事を聞いていたけど、私達の使う通常の魔術と比べてもその威圧感は桁違い。
まるで矢を番えているシホさんが別人ではないかと思うくらいの冷たさを感じてしまう。
これがシホさんの魔術師としての顔の一端。
私の想像以上だ。
体の震えが止まらない。
レンが思わず私の手を握ってきたけど今回ばかりは私も握り返した。
だって一人じゃなんか怖い。
ティアさんもスバルさんも手を握り合っていてなんとか耐えている。
エリオとキャロもそうだ。
そして長い時間が経過したような感覚の中、静かにシホさんがその真名を解き放った。

「…赤原を往け、緋の猟犬……………赤原猟犬(フルンティング)!!」

そして放たれた赤い魔弾は一直線に海上へと向かって放たれていって遠くの海上では何度も爆発音が響き渡る。
シホさんは、見えているんだろうな。
前に聞いた話だけどシホさんの視力は魔術で強化して最高四キロ先まで見渡せるという。
だから今も何度も起こっている爆発はシホさんが目視できているからなんだ。

「残り……………10、9、8……………とどめ……壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

一際大きな爆発が感じられた。
そして、

『が、ガジェッド航空二型………76機全機撃墜…。もう存在は確認できません』

ロングアーチからの報告が通信で聞こえてくるが、私達はただただその威力に目を見張ることしかできないでいた。

『シホちゃん、ご苦労さま。もうガジェッドの反応はないからみんなを下がらせてええよ』

八神部隊長からの通信でシホさんは、

「了解よ」

もう、先ほどの魔術師としてのシホさんの姿はなく普段のシホさんの姿に戻っていた。
その手にはすでに弓は握られておらず無手だった。
それで私達は溜まっていた息を吐き出す。
あんなものは初めてだったからとても疲れた気分だ。



◆◇―――――――――◇◆



Side ジェイル・スカリエッティ



……………なんだね? あれは。
一つの魔法とは違う異質な魔力反応がガジェッドに向かってきたかと思うとその矢は次々と軌道を変えて一体、また一体と撃墜していく。
ある時には軌道上にあるガジェッドを三機か四機同時に貫いて爆発させる。
そして減っていくガジェッド達。
撃墜させるために放ったものだがここまで一方的だと何のために出したのか分からなくなってくる。
そしてもう後数機となって突然その矢は破裂するかのように爆発を引き起こし残りのガジェッド達を巻き込んで爆散した。
私の想像を遥かに越えた威力…。
一体機動六課はなにを放ったというのだ…?
魔導師の姿は確認できなかった。
だとしたら超長距離からの狙撃だとでもいうのか?
私が考えを巡らせているとそこに一通の通信が入ってきた。
誰かと思って出てみると、

『やぁドクター』
「おぉ…。魔術師殿か。どうしたのかな?」
『なに、君のおもちゃが瞬くもなく撃墜されたと思ってね。見ていたぞ?』
「そうか。で、君はあれがなにかわかるのかい?」
『ああ。あれは“宝具”と呼ばれる神秘の塊だ』
「宝具…?」
『そうだ。しかもあれはシホ・E・S・高町の力の一端に過ぎない』
「あれで一端かい?」
『ああ。ここ数年、何度か私の鍛えた魔術師を送り込んではいるが奥の手を出したことなど一度もない』
「君は彼女の奥の手を知っているのかい?」
『さすがの私でもそこまでは知り得ていない。だが宝具を扱える異常性だけは確かだ』

ふむ、だとするとこれは機動六課の戦力を見直す必要があるな。

「わかった。情報感謝する」
『ああ。せいぜい頑張りたまえ。私の手が借りたかったらいつでも言ってくれ。力になろう』
「ああ」
『では失礼するよ。良い夜を…』

それで通信は切れる。
しかし、そうなるとシホ・E・S・高町………Fの遺産達よりも是非実験材料として入手したい人材だ。
どうやって彼女を捕らえようか?
真っ当な手段では彼女を捕らえる事はまず難しいだろう。
まずは外掘りから埋めていくか?
私の計画通りにまずは彼女達から…。
私は思惑を広げながらもその事だけを考えていた。

「ふふふ……………あはははは! 楽しみで仕方がないよ!!」



◆◇―――――――――◇◆



それから現場待機も解除されそれぞれが今日の事件はもう終わったことだし解散という流れになろうとしたがシホがそれを止めた。

「シャーリー、少しいいかしら?」
「はい? なんですか、シホさん?」
「明日話す予定だったなのはの教導の意味を今みんなに教えない? 私達の過去も踏まえて…」
「…いいんですか?」
「うん。私もいいと思うよ」
「そうだね」

なのはとフェイトも賛成したので全員で話をする事になった。
それでロビーに集まってシャーリーがモニターを展開して代表して話し出す。

「…昔ね、一人の女の子がいたの」

最初はごく普通の女の子だった。
シホという異世界からの来訪者の存在もあったがまだ魔法と関わりを持たない一般人だった。

「友達と学校に行って家族と一緒に幸せに暮らして、そういう一生を送るはずだった」

でも、ユーノとフィアットという双子の出会いで、それから始まるなのはとシホの魔法との出会い。

「もとから魔術師だったシホさんは別として、魔法学校に通っていたわけでもなく、特別なスキルもあったわけでもない。
偶然の出会いで魔法を得てたまたま魔力が大きかっただけの九歳の女の子」
「それが私…高町なのはなんだよ」
「ま、私はなのはとは違い魔術を行使してなのはの手伝いをしていたわけだけどね…」
「そして魔法と出会ってから数ヶ月して命懸けの実戦を繰り返した…」

なのはとフェイトが戦う光景が映されてエリオ達は驚きの声を上げる。

「私は当時、家族環境が複雑だったんだ。
あるロストロギアを巡ってなのはとシホとは敵同士だった。
この事件の中心人物は私のお母さん…プレシア・テスタロッサだった。
それから名前が取られてP・T事件と呼ばれた。
あるいはジュエルシード事件とも呼ばれているの」

そしてなのはのスターライトブレイカーの光景が映されて、

「集束砲!? こんな大きな…!」
「九歳の女の子が…」
「ただでさえ大威力砲撃は体にひどい負担がかかるのに…」
「うん。当時の私は無茶を続けてきたんだ…」

なのはが少し暗い表情でそう言う。

「そして然程時も経たずに戦いは続いた」
「私達が深く関わった闇の書事件…」
「襲撃戦での撃墜未遂と敗北」

そしてなのははリンカーコアを奪われ、シホが重傷を負う光景が映されて、

「シホさんのあの傷…!」
「あんな大怪我を負ったら命の危険もあったんじゃ…!?」
「うん…。当時の私は即緊急入院しなければいけない程の大怪我を負った。まぁ、少し事情があってすぐに治ったんだけど…」

シホはアンリミテッド・エアの覚醒により覚醒したアルトリアの事を語った。

「それに打ち勝つために選んだのは当時はまだ安全性が危うかったカートリッジシステムの使用…」
「私は体の負担も無視して自身の限界値を無理やり引き出すフルドライブ…エクセリオンモード。
誰かを救うため、自分の想いを通すための無茶を私は使用し続けた…。
だけどそんな無茶を続けて体に負担が生じないわけなかった…」
「事件が起きたのは入局二年目の冬…異世界での捜査任務の帰り。
ヴィータちゃんやオリヴィエさん達と出かけた場所でふいに現れた未確認体。
いつものなのはちゃんだったら何の問題もなく味方を守って落とせるはずだった相手。
でも、その時未確認体はAMFでなのはちゃんの魔導を完全に封じてしまい…」
「私は…撃墜されてしまったの。もともと無茶も祟っていて動きが万全じゃなかったから簡単に敵に的にされてしまった…」
「そして結果がこれ…」

そこではなのはの重傷の姿が映された。
それにフォワード陣は声を上げる。
信じられないのだろう。なのはのこんな姿が。

「なのはちゃんは無茶して迷惑をかけてごめんなさいって私達の前では笑っていたけど…」
「私の前だけでは何度も後悔して泣いていたわ…」

シホの言葉になのはは顔を赤くして、

「シホちゃん、それは言わない約束だよ」
「あ、ごめんごめん…」

今でこそこうして笑いあって話しているけど当時のなのははもう飛べなくなるかもしれないという思いで壊れかけた。

「無茶をしても命をかけてもゆずれぬ戦いはある。
だがティアナ。お前がミスショットをしたあの場面は命をかけてでもどうしてでも討たねばならない状況だったか?」
「…いえ、それは間違いだったと思います。それを、シホさんに気づかせてもらいました」
「そうか。なら私からはもう言う事はない」

それでシグナムはフッと笑う。

「私は…みんなに同じ思いをしてほしくない。
だから無茶なんてしなくてもいいように、みんなが元気で帰ってこれるようにっていう想いでみんなに教導しているんだ」
「………」

ティアナは少し泣きそうになっていて、なのはと二人で話す機会を作って二人で話すことになった。



◆◇―――――――――◇◆



Side スバル・ナカジマ



あたしは今シャーリーさんやフォワードのみんなとなのはさんとティアの話す光景を見ていた。

「みんなはまだ原石のようなものなんだよ? 磨けば光る。
エリオはスピード、キャロは優しい支援魔法、スバルはクロスレンジの爆発力、レンは硬い防御での守り、ランは近接での大威力での斬撃…。
五人を指揮するティアナは射撃と幻術でみんなを守って知恵と勇気でどんな状況でも切り抜ける。
そんなチームが理想系でゆっくりだけどその形に近づいていっている」

耳を凝らしてよく聞いてみるとなのはさんはあたし達の事をどこまでも考えてくれている。
嬉しくなってくる。

「それも、シホさんに教えてもらいました」
「うん、知ってるよ。実は私達もあの場にいたんだよ。
シホちゃんに隠れていてって言われて隠れて聞いていたんだ」
「えっ!?」
「でも、私の言いたいことを全部シホちゃんに持ってかれちゃったからなぁ…。
やっぱり私のお師匠さんにはまだまだ敵わないってところかな?」
「いえ、なのはさんの話も役に立ちました…」
「そう? なら嬉しいな。でもティアナも考えとしては間違いではないんだよ」

なのはさんはクロスミラージュを持つと、

「システムリミッター、テストモードリリース」

そう言ってティアにクロスミラージュを渡して「モード2」って言ってみてといった。
そしてティアが命令するとクロスミラージュがダガー形態に形をとった。

「ティアナは執務官志望だから、ここを出て執務官を目指すようになったらどうしても個人戦が多くなるし、将来を考えて用意はしていたんだよ」

それでなのはさんの気持ちに気づかされてティアは涙を流して何度も「ごめんなさい…」と言って謝っていた。
それであたし達も感激しているところに頭になにかを振り下ろされていた。
見るとシホさんがどこから持ってきたのか虎のストラップがついている竹刀を持ってあたしの頭を叩いていて、

「出歯亀もいいけど自分達の事も考えなさい。ティアナもやっと吹っ切れたんだから…」
「「「「「はい!」」」」」

そうだ。なのはさんだけじゃなくてシホさん達もあたし達の事をしっかりと見てくれている。
それなら頑張らなきゃいけないよね!

「シホさん! なのはさん共々これからも教導よろしくお願いします!」
「ええ。みっちりとしごいてあげるわ。覚悟しておきなさいね?」
「「「「「はい!」」」」」


そして翌朝、

フォワードの皆とフェイトさんと集まって、話をしながら訓練場まで向かう。
そこでフェイトさんが語る。

「技術が優れてて華麗に戦える魔導師をエースって呼ぶの。
その他にも優秀な魔導師を表す呼び名があるって知ってる?」

それであたし達はなんだろうと頭をひねる。
でもすぐにフェイトさんが、

「その人がいたら困難な状況も打破できて、どんな厳しい状況でも突破できる…そういう信頼を持って呼ばれる名前、ストライカー…」

ストライカー、か…。
あたし達も将来そんな魔導師になれるかな?

「なのはやシホは訓練を始めてすぐの頃から言っていたんだよ?
うちの六人は優秀なストライカーになれるはずだって…。
だからうんと厳しく、そして大切に丁寧に育てるんだって豪語していた…。
だからそんな二人の気持ちに応えられるように、みんな頑張っていこうね?」
「「「「「「はい!」」」」」」

なのはさん達がそんな事を思っていたんだ。
だったらなのはさん達の目指すストライカー。
必ずなってやろう。
あたし達はそう思った。
そしてなのはさん達のところに到着して、

「それじゃ朝練頑張ろうか!」

なのはさんの一言であたし達は元気に返事を返すのだった。


 
 

 
後書き
なにげなく投稿ペースが三日から四日間毎に増えました。

ストックが減ってきましたからまた書きためないといけません。

少しスランプ気味だが頑張ろう…。 
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