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銀河英雄伝説〜門閥貴族・・・だが貧乏!

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第20話 二次との遭遇

 
前書き
大変お待たせしました。

実に10ヶ月振りの更新です、最近体調不良等が重なり、詰まっておりました為、中々更新できませんでした。時期を見ておいおい更新して行く予定です。

今回の登場人物はazuraiiru先生のご許可を頂きました。先生ありがとうございました。 

 
帝国暦482年10月1日

■オーディン ブラウンシュヴァイク邸 

母親に急かされるように壇上へ上がりラミディアの前に進んだフレーゲル男爵は引きつった笑顔を見せながら挨拶をする。

「帝国男爵ヨアヒム・フォン・フレーゲルと申します。叔母上様にはご機嫌麗しく」
「帝国男爵ハーラルト・フォン・シャイドと申します。叔母上様にはご機嫌麗しく」

同じ様に挨拶するシャイド男爵だが、彼はごく普通の笑顔で挨拶している。何故なら『自分は関係無いのです、色々やったのはフレーゲル男爵です』と門閥貴族らしく責任逃れの理論武装をしているからである。

フレーゲルとシャイドの挨拶を受けたラミディアは叔母上の所で一瞬眉を動かしたが、至って冷静な態度で応対する。
「フレーゲル男爵、シャイド男爵、何時ぞやの宴ではお世話になりました」

ニッコリと挨拶するラミディアだが内心はあのフレーゲルが嫌みでも言うのかと思っていたところが、緊張しているのか気分が悪いのか青い顔で脂汗をかきながら作り笑いし挨拶してくるのを見て、叔母上の所では『お前より年下だよ!』と思いながらも大人の対応をしようと考える程に冷静になりつつあった。

「はっはい、叔母上と知らずにご無礼の段平にご容赦を」
尊大でプライドの塊のようなフレーゲル男爵が頭を下げる姿にラミディアは驚く。
「いえ、男爵も公爵の事を思ってこそと存じますから」

ラミディアも此処でフレーゲルと一悶着するよりはと、当たり障りの無いようにする。
ラミディアの受け答えに安堵した表情を見せるフレーゲル男爵。

そして、壇上には育ての親と言う事で密かに招待された、父アンスガー、母アリーヌ、伯父アーデルベルト、兄アーダルベルト、姉フェリシアの姿が現れた。

ブラウンシュバイク公爵家の様な門閥貴族トップの御屋敷での宴など、初めての事で緊張しまくる五人を親しく応対する、ブラウンシュバイク公爵の姿が印象的であった。

「ラミディアを今まで育てて頂き、真に忝ない」
先代ブラウンシュバイク公爵に礼を言われて、青くなったり赤くなったりするアンスガーであった。
「とんでもございません……」

「皆、ファーレンハイト男爵は、今話題の惑星新規開発の第一人者と言えよう、皆の所領の惑星で開発不能な物が有れば、話を聞いてみるがよいぞ」

オットー氏の宣伝に、“安請け合いしたら大変じゃない”とラミディアは頭を抱えたくなった。


ラミディアが、悪戦苦闘する中、壇上から降りたフレーゲル男爵とシャイド男爵は、トイレに行く振りをして、辛うじて電話室へ向かい、外で待機しているコルプト子爵弟に連絡する事が出来た。

「コルプト子爵、私だ、フレーゲルだ」
『フレーゲル男爵、宴が終わるのは何時ですか、そろそろ待ちくたびれたのですがね』
映像に映るコルプト子爵弟は暇そうにしている。

「それなのだが、緊急事態が起こった」
『なんでしょうか?』
言うべきか、言わざるべきかと思ったが、言わないと止められないとフレーゲル男爵は考え答える。

「ラミディア・フォン・ファーレンハイトは実は、私の叔母上だったのだ」
『はぁ?????』
映像に映るコルプト子爵弟は怪訝そうな表情で疑問顔をする。

「お爺様の隠し子だったんだ」
『…………』
驚いた様子のコルプト子爵弟。

「と言う訳で、襲撃なんぞしたら、それこそ我々の破滅だ、判ったな」
コルプト子爵弟も事態を把握したのか青くなり頷く。
『フレーゲル男爵、それは真で有ろうな?』

「真も真だ、お爺様、叔父上、御母上から直接お聞きしたのだから」
『判った、この件に関しては、誰にも言わない事にしよう』
「そうだな、そうしよう」

些か心配ではあるが、フレーゲルも此で済んだと思ったのであるが、まさかコルプト子爵弟が返す刀で、リッテンハイム侯爵の元へ、向かい、今回の隠し子騒動を伝えるとは夢にも思わなかったのである。所詮コルプト子爵家は蝙蝠で有った訳で、両家から信用されない家であったが、分別のつかないフレーゲル男爵は頼にも因って、一番仲間にしてはいけない人物を仲間に入れていたのである。





自分に対する、襲撃未遂事件が、消え去った事も知らずに、当たり障りのない話をブラウンシュヴァイク公爵家一門や取り巻きの貴族達と、上級貴族としての話をしなければ成らなかった、ラミディアとしてみれば“そんな絵画だ観劇だって話、うちは貧乏だから知らないよー!”腹の中で舌を出していた。

そんなこんなで、ヒルデスハイムだ、コルプトだ、ラートブルグだとか原作で聞いた事がある連中や聞いた事もない連中が愛想笑いで笑いかけてくるのを相手をさせられてへとへとになっている中で、後にラミディア終生の友となるべく人物と遭遇する事となった。

ラミディアが大まかな貴族と挨拶を済ませ、一息ついていたとき、美しい黒髪の夫人と三人の女児を連れた貴族が挨拶してきた。
「ラミディア様、私はクラウス・フォン・ヴァストパーレ男爵と申します。これは妻のマルレーネ、長女のマグダレーナ、次女のコンスタンツェ、三女のロスヴィータでございます」

ヴァストパーレ男爵夫人と此処で会うとは、ラミディアにしてみれば驚きであった。何故なら、あれだけラインハルトやアンネローゼの味方していた家が、実はブラウンシュバイク公爵家に繋がりが有る家だったのだから。

更に原作の剛胆さが目立つ後のヴァストパーレ男爵夫人が余りにお淑やかにしているのが可笑しく思えたが、それを言う訳には行かずにごく普通に挨拶をする。

「ラミディア・フォン・ブラウンシュバイクと申します。以後お見知りおきを」
一応最初にフレーゲルの母である姉に“ファーレンハイトを名乗らずにブラウンシュバイクを名乗りなさい”と言われたので、挨拶では渋々ブラウンシュバイクと名乗っているのである。

父親の男爵はパッとしないごくありふれた貴族にしか見えないが、母親がエネルギッシュでかかあ天下であることが醸し出されていた。そんな中、ラミディアはマグダレーナと親しく話し始めた。

暫くして、ヴァストパーレ男爵夫人が左右を見回して一人の年若い貴族に手招きをして呼ぶ。
「エーリッヒ、こちらへ来て、ラミディア様にご挨拶なさい」

夫人の声にその少年が気づき近づいてくる。
「ラミディア様、当家の遠縁に当たるリメス男爵家の若当主を紹介いたしますわ」

はぁ?リメス男爵ってココアさんの爺さんの家だよね、二次ではもう廃嫡しているはずだけど、いや原作にリメス男爵なんて出てなかったし、どう言う事だとラミディアは思った。

「ラミディア様、始めまして私はエーリッヒ・フォン・リメスと申します。以後お見知りおきを」
はぁ????其処にいたのは、丁重に貴族風の挨拶を行う黒髪の可愛い感じの少年だった。

驚いているラミディアにマグダレーナが話しかける。
「ラミディア様、エーリッヒは五年前に御両親と御祖父を事故で亡くされて、我が家で姉弟のように育ちましたのよ」

はぁああ??何でココア閣下がこの世界に居るんだ?此処は銀英伝の世界だろ、あれか、ラインハルトが平凡な人生を送るから原作のバタフライエフェクトが起こったのか?それともこの世界は田中先生の銀英伝じゃなく、azuraiiru先生の二次創作銀英伝の世界なのか????

 
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