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銀色の魔法少女

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第二十一話 決着 後編

side 遼

 みんなのやる気が頂点まで高まる中、私は焦っていた。

(さて、みんなの士気が上がるのはいいことなんだけど、……どうしよう、とてもじゃないけど言えないよ!)

 当初、私はある程度時間を稼いだらレイを一人で倒す予定だった。

 レイのスキルは操作可能な自動型。

 たとえレイにその気がなくても、レイに危機が迫ると自動で発動する。

 けれど、私との戦いでは一度も発動しなかった。

 いや、ちゃんと発動していたと思う。

 ただ、効果がなかっただけで。

 腕を凍らせた時も、膝蹴りを入れた時も、そんなの感じなかった。

 どの技も、少し間違ったら死亡確定なのに発動しないわけがない。

 となると、発動していたけど効果がなかったのだと私は考えた。
 
 要するにAMFと同じ、魔力にしか効果がない。

 それに彼の必殺技も見切った。

 …………まあいちいち説明が面倒だから簡単に言うと、いつでも殺れるということだ。

 だけど、なのは達が来てしまった。

 そして説明する暇もなく、士気向上。

 それに、フェイトがやる気になっているのに、私が出番を奪っていいわけがない。

(考えろ! 考えるんだ、私! 何か、なのは達が活躍してレイを倒す方法を考えろ!)

 レイに魔力攻撃は通じない。

 属性攻撃はかき消される。

 エアは強力。

 いろんな単語が私の頭を駆け巡る。

 

 そこで私は、天啓にも似た閃きを得る。



(……あれ?)

 おかしい、確かにおかしい。

 その一点だけが、歪。まるで白銀の世界に向日葵が咲いているような、圧倒的な違和感。

 そこから、私はある仮説を思いつく。

(もし、あれが弱点をカバーするためのものなら、魔力攻撃でもレイを倒せる!)




side ALL

『少し、皆に話がある』

 遼が念話で話しかける。

『なのは、奴に大威力砲撃をしたことは?』

『ディバインバスターを一発、それとあの人がそれの三倍くらいの威力のを一発だけだよ』

『その時、やつはどうした?』

『えっと、私のは手で受け止めて、あの人のは手に持ってたドリルで防いでたけど、それがどうかしたの?』

 遼は内心ほくそ笑む。

『いや、ちょっとした確認じゃ』

 遼はフェイトとなのはを見る。

『フェイトになのは、我の考えが正しければ、あやつに止めをさすのは主らじゃ』

『え? 私の魔法はあの人には通じないのに!』

『私だって、レイに勝ったことないのに……、シグルドさんの方が余程』

 二人は驚く。

 彼女たちの予想では彼に止めをさすのは遼の予定だった。

『我の魔力はアリシア戦で打ち止めじゃ、だから我はサポートに徹する、主らは合図をしたらお互いに全力の魔法を叩き込めばよい』

 次に、アルフとユーノに。

『主らもサポートじゃ、二人をしっかり守れ』

『うん!』『任せな!』

 最後に、レイ。

「さて、それじゃあまずは我が最初に動くとするかの」

 遼はとっくに修復が終わっていたノートゥングを抜く。
 
「上等だ、今までの借り、倍にして返してやる」
 
  




side レイ

 一番忌々しい奴が、俺に斬りかかる。

「は!」

 それを俺はエアでなぎ払う、はずだった。

「甘いわ!」

 あいつはそれを剣で受け止める。

 まただ、こいつは、こいつだけが俺の思い通りにならない。

 計画だって、本当は原作通りに攻め込んできた管理局相手に使うはずだった。

 ジュエルシード集めで、あんな怪我を負うはずじゃなかった。

 全部、全部、こいつのせい。

 その怒りを込めて、天地乖離す開闢の星を放つ。けど、当たらない。

 強く歯を噛み締める。

「ほれ、スキありじゃ!」

 そう言って急に目の前にあいつが現れる。

 エアで迎撃、は無理だったから、左手で殴りつける。

「甘いわ」

 それは片手で受け止められる。

 利き手じゃない方の手じゃ、こうなることはわかっていた。

 だからそのまま俺は体を引いて、エアで貫こうとして、気がつく。

「!?」

 俺の全身が凍りついていた。

「だからスキありじゃと言うたろうに、主の動き、完全に封じさせてもろうたぞ」

 なんとか動こうとするけど、固くてまったく動かない。

「主のスキルも発生した効果には無力、我を近づけた時点で、こうなることはわかりきっていたことじゃ」

 こいつの凍結変換には魔法を使わない。

 魔力が直接凍結(結果)に変わる。

「そして、これで詰じゃ」

 急にあいつが離れる。

 

 その先に、俺は破滅の光を見た。


 魔力吸収の限界を超えた光の奔流に、俺はなすすべもなく、飲み込まれた。 
 

 
後書き
長い! すごく長い! どうもやややです。
ほかと比べて短いけど、正直ここまで長くなるのは予想外!
本当はもっと一話を長くしたいけど、
そうしたら文字数が安定しなくなるので、まあ仕方ないね。 
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