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SAO─戦士達の物語

作者:鳩麦
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キャリバー編
  百二十五話 女王の請願

 
前書き
はい、どうもです!

さて、今回はウルズからのご依頼を受けます。

では、どうぞ!! 

 
アルンの街の、世界樹側の端っこに、その扉は有った。
元々は鍵がかかっており、本来あの邪神救済のクエストを達成しなければ絶対に此方側からは開く事のない、そもそも、殆どのプレイヤーは一瞥しても装飾オブジェクトの一環と思って何もしないだろう。
そんな扉の鍵は、リーファ、キリト、リョウの三人がALOの世界樹攻略を終えた後、リーファがふとアイテム欄の端っこにあったのを見つけたらしい。恐らくは、トンキーを助けて世界樹の洞から出てきた際に、自動的にアイテム欄に追加されたのだろう。

そんな扉の中へ、メンバーは一列になって入っていく。
最後にレコンが入り、扉を閉めると、それは自動的に再施錠された。

「これは……」
「何段あるの?これ……」
「底見えないね……」
ヒョウセツ、リズ、アイリが呟くように言うと、アスナがはきはきした声で返した。

「うーん、アインクラッドの迷宮区タワー丸々一個分くらいはあったかなー」
そう言うと、クライン、シリカ、リズ、ついでにレコンとアウィン、アイリがうへぇ、と言った顔になる。
サチは苦笑しており、ヒョウセツも口の端が引きつっている。そんな顔にリョウは苦笑しつつ、13人は前進を始める。
と、リョウと同じく苦笑していたキリトが、突然こんな事を言いだした。

「あのなぁ、普通にヨツンヘイム行こうと思ったら、アルンから東西南北に何キロも離れた階段ダンジョン行って、モンスター倒しながら下に進んで最後に守護ボス倒してようやく到達できるんだぞ!普通ニ時間のとここのルートで行けば五分だぞ!俺がリーファなら一回1000ユルドでこのルート使わせる商売始めるね!!」
自慢するような事でも無いのを胸張って行った馬鹿ちんに苦笑して、リーファが突っ込む。

「あのねぇ、お兄ちゃん。此処通っても、出口でトンキーが来てくれないと落ちて死ぬしかないよ」
「つかそれなら、“アレ”に呑まれれば三分かからねぇぞ?」
「リョウ兄ちゃん思い出させないで」
重ねたリョウの言葉に更に突っ込んで、リーファはずんずん前に進んでいく。そんな妹の姿にうはははと笑って、リョウ達も後に進む前で、キリトは相変わらず何事かを言っていた。

「そんな訳だから、一段一段、感謝して降りるんだぞ」
「アンタが作った訳じゃないでしょ」
シノンの鋭い切り返しにキリトが黙りこんで話は終了……と思われた時だった。

「ご指摘ありがとう」
次の瞬間何を思ったか。キリトはスッと右手を出して……
ギュっ!!と思いっきりシノンの後ろでユラユラ売れていた彼女の“尻尾”を握った。

「フギャァッ!!?」
「ぶはっ!?」
突如、シノンが凄まじい悲鳴を上げ、その瞬間リョウが思いっきり吹きだす。何をするのかは分かっていたが、反応が面白過ぎた。
爆笑するリョウの前方で、シノンがキリトの顔を引っ掻こうと爪を振るうのをキリトがひょいひょい避けると言うコメディチックな展開が巻き起こっていて、それが更にリョウの笑いを増長させる。

「アンタ、次やったら鼻の穴に火矢ブッ込むからね!!」
「っはっはっはっはっはっはっ!!!!」
フンッ!と言って前を向いたシノンの後ろで、リョウが爆笑を続ける。
と、リズ、シリカ、リーファ、アスナと、肩の上のユイは完璧に同機した動きで首を左右に「やれやれ」と振り、サチは苦笑、アイリはリョウと同じくつぼったらしく、必死に吹きだすのを堪えている。その後ろでヒョウセツはと言うと……

「あ、あの尻尾には、感覚が有るのですか?」
「あー、そうなのよね、ついでに耳にも。行き成り握られると……まぁ、何て言うか、飛んでも無く、アレな感じがするのよ」
「は、初めて知りました……」
そんな解説を、同じくケットシーのアウィンから受けていた。

「っはっはっはっはっはっ!!」
「リョウ兄ちゃん!!!」
相変わらず爆笑しているリョウに、シノンが流石に耐えかねたのか顔を赤くして怒鳴る。それを見てか後ろからサチが「リョウ、しーちゃんが怒ってるよ」と言って、ようやくリョウは笑いを抑える努力を始める。

「恐れをしらねぇなぁ、お前ら……」
「カオスだぁ……」
クラインとレコンが、そんな事を言っていたとか何とか。

────

それから五分ほどして、一行はヨツンヘイムの上空に有る、トンキーの乗り場に到着した。
トンネルから突然視界が開け、青白くキラキラとした氷の結晶が舞う、美しくも残酷な一面の銀世界が視界一杯に広がる。

「うわぁ……!」
「凄い……」
「すっごーい!!」
「へ、へぇ……」
ヨツンヘイム自体を見るのが始めてな、猫三名とアイリが声を上げる。シリカの頭の上に居るピナも、羽毛をパタパタとしきりに動かして興奮気味だ。
ちなみにアウィンは問言うと、前だけを真っ直ぐに見て絶対に下を見ようとしない。そう言えばこいつかなり極度な高所恐怖症だったなとリョウは思い出す。
実は今も見栄張っているだけで内心がちがちかもしれない。

「身ぃ乗り出して落ちんなよ。特に其処の水猫と食べ猫、後シルフ新人」
「単純にアウィン以外って言いなさいよ」
リョウの言葉に、苦笑しながらリズが突っ込んだ。
此処から眼下の地面までは、約一キロある。落ちれば間違いなく即死だ。ちなみに、地下でありながらこのヨツンヘイムは常に明るい。地上から漏れて来る僅かな光や、フィールドのそこら中に散らばる光る水晶、あるいは人型邪神が築いたのかあちらこちらに有る城塞で灯る青や黄緑色の灯が、全体を照らしているからだ。

真下を見ると、直径一・五キロと言う超巨大な大穴。グレートボイドがある。その何もかもを飲み込む迫力は圧巻の一言だ。と言っても、彼等の目の前に有るそれもまた、大したものだが。

見た目としては、世界樹の根によって支えられた、巨大な逆三角形の氷のピラミッドだ。
近すぎるためリョウ達には最早巨大な氷塊のように映るが、しかしその尖端には確かに今も、少しだけキラリと時折光る物が有った。そこに、《聖剣エクスキャリバー》が有る……

「うっし、アスナ、サチ、頼む」
「うん」
「はい」
リョウが言うと、後方支援組の二人が同時に同じスペルワードを唱え始める。唱え終えると、まるで上等のダウンジャケットを着込んだように、メンバー全員の身体からそれまであった刺すような寒さが消えた。凍結耐性上昇の支援魔法(バフ)である。

「おっけ」
「うん……そう言えば、リョウ兄ちゃん」
「ん?」
「考えが有るって言ってたけど……一体……」
「あぁ、ま、すぐわかるさ。良いからほれ、トンキー呼べよ」
「う、うん」
頷くと、リーファは虚空に向けてピィィィィィィィッ!と音高く口笛を吹いた。
数秒すると、ボイドの広がる眼下の暗闇の中に、白い影がポツン、と表れ、くるぉぉぉぉ…………んと言う鳴き声が響いてきた。
表れたのは超巨大な空飛ぶ象クラゲ。しゃもじのような白く平べったい胴体に八つの大きな羽。以前は陸上歩行型だったのが、「羽化」して変化して変身した、なんとも奇妙な姿だ。

「トンキーさーーーーーん!」
ユイが嬉しそうに呼びかけると、トンキーは再びくるぉぉぉぉーーーーんと鳴いて一気にらせん状の軌道を描きながら上昇してくる。
ドンドン大きくなるそのシルエットに、クラインやシリカ、リズ、シノンが一歩後ずさる。アイリとアウィンは興味深々と言った様子で、ヒョウセツは邪神自体は見慣れているためか無言で見ている。

「大丈夫大丈夫。彼奴ああ見えて草食だからさ」
キリトが後ずさった四人にそう言うが、そこにすかさずリーファが……

「この間、お魚上げたらペロッと食べたよ」
「へ、へぇ……」
引きつった笑いを浮かべて答えたキリトの後ろで、一度後ずさった四人が更に後ずさる。
ついに全員の前まで上がってきたトンキーは、その象っぽい顔でメンバーを見渡し、長い鼻の先のふさふさと家毛の生えた部分で位の棘棘した頭をわしゃりと撫でる。

「うびょるほっ!?」
「へぇ、結構可愛いじゃない」
「ほんと~」
訳のわからない声を上げたクラインの横で、アウィンとアイリがそんな事を言った。アイリなどはトンキーの鼻をカリカリと掻いてやっている。

「でしょ~!」
可愛いと行ってもらえたからか、リーファの何やら楽しげだ。
ちなみにリョウとしては……

「てかお前何で此奴は大丈夫で高いとこ駄目なんだよ?」
「そ、それとこれとは別の話でしょ!……って、いうか……ねぇ、リーファ?」
それまで普通にトンキーを見ていたアウィンが、不意に、思い出したように……と言うか、思い出したくない物を思い出してしまったかのような顔で、リーファに問うた。

「この子に……乗るの?」
「うん。そうだよ?」
リーファが至極当然そうにそう言った途端、アウィンは一歩後ずさった。首を傾げるリーファに向けて、リョウは苦笑しながら彼女の高所恐怖症の事を解説する。

「あ、あはは……で、でも大丈夫だよ!空中通るのは一瞬だから!」
「あ、あはは、そうよね!あ、あはははは……」
乾いた笑いを浮かべながら、ひきつった顔でアウィンは硬直している。

「どー見ても大丈夫って顔じゃねぇよなぁ」
「煩いわよリョウ!!」
面白がるようなリョウの言葉に怒鳴りつつ、アウィンはもう一度トンキーを見た。

「ま、お前が乗るのはそいつじゃねぇけどな」
「え?」
そう言うと、リョウは少し前に出た。

「さてと、そんじゃ呼ぶかね!来い!!三虎(ミコ)ォォォ!!!」
「わっ!?」
「ちょ、兄貴行き成り……」
リョウは突然虚空に向けて大声で叫び、それに驚いたキリトや他メンバーが講義する。それに苦笑しつつ、リョウは返す。

「わーりわり。彼奴指笛じゃ来ねぇんだわ」
「彼奴?」
シリカが首を傾げて聞く。それに笑いながら、リョウは答えた。

「おう。ほれ、来たぞ?」
「あははは……」
リョウの言葉に、サチが苦笑しながら虚空を見た。全員がそちらを見ると、空の向こうから、再び白い点が此方に近寄って来る。

「あれは……?」
「トンキー……じゃないよね?勿論」
ヒョウセツに続いて、傍らのトンキーを見ながら、リーファがそう言った。
それは近づくにつれて、どう言った“生物”であるかが分かるシルエットを見せる。そしてそれがなんであるかが完璧に確認できた時……そこにいたメンバーがそれぞれ、二通りの感想を漏らした。

「「「「「「「と、虎ぁ!?」」」」」」」
「「「「かっけぇぇぇぇ!!!!?」」」」
それは、巨大な虎だった。真っ白な毛並みに黒の縞模様が付いたその巨大な体躯と、猫にも似た頭部の耳と顔は、間違いなく虎のそれだ。
しかしそれは唯の虎では無かった。頭部が三つある。所謂、ケルベロスのような頭部をしていたのだ。そして同時に、その虎は空中を走っていた。

トンキーのように羽をはばたかせて飛ぶのではなく、虎の四本の足元に何処からともなく発生する雲を踏んで空を飛んでいたのだ。その奇怪であり、神々しくもある姿は、中国の伝承に登場する白虎のようでもあった。

「さって、紹介するぜ。ミコだ」
全員に向けて顔を向けてニヤリと笑いながら、そう言うと同時、巨大な空を掛ける三頭虎は、グォォォォォォォォッ!!!と、大声で咆哮した。
その声がビリビリと大気を震わせ、リョウとサチ意外のメンバーは後ずさると言うよりも身構える。

「はは、問題ねぇよ。此奴一応肉食だけどな」
そう言いながら、リョウは近寄って来た虎にモンスターか何かの大きめの肉をひょいひょいと投げる。無論、一つの頭に一つずつ平等にだ。
と、くるぉぉん。とトンキーの鳴く声がして、リョウは不意を打たれたようにそちらに顔を向ける。

「なに?お前も欲しいの?」
リョウの言葉に答えずともトンキーはヒョイ。と鼻を持ち上げつつ答える。

「ほれっ」
答えるようにリョウがその鼻に向けて肉を投げると、トンキーはぱしっとそれを掴んでパクリと食べた。

「オイ此奴肉も喰うじゃん」
「み、みたいだね……」
リョウの言葉に苦笑で返したリーファを見て、はっはっはとリョウは笑う。と、グォォォ、ガァ。と鳴きだしたミコにリョウは「あー、分かった分かった」と言って、その巨大な猫の頭に覆いかぶさるようにして彼等其々の耳の根元や頭を掻き始める。

ゴロゴロゴロ……と嬉しそうに喉を鳴らすミコの三つの頭を笑いながら撫でている。

「へぇ……意外と人懐っこいんだねぇ……」
「うん。特にリョウには良く甘えてるよ」
驚いたように言ったアスナの横で、サチが微笑んで言った。
そんな事を言っていると後ろでキリトとクラインが騒いでいるのが聞こえて来る。

「つかよぉ、虎の方に乗りたくねぇ?」
「それは同感かも……けど良いもんかな、それで……」
「?何だよお前ら、ミコのりてぇの?」
リョウが気が付いたらしくキリトとクラインに聞く。

「そりゃあ……」
「男としちゃあ、やっぱ、なぁ!」
「ふーん」
と言う訳で……

────

グォォォォォォォッ!!と雄々しい虎の方向が響く。と同時に……

「うっひょぅ!!」
「虎乗りだぜぇ!!」
「すっご……!」
男どもの子供のように興奮した声が、ヨツンヘイムの広大な空中に響く。
結局、ミコには男性陣とアイリ、それにサチが乗り込み、その他の女性陣はトンキーに乗る事になった。
隣のトンキーではまた、女性陣がトンキーの上で下を見たり見なかったりしているが、そんな中……

「下は見ない、下は見ないわよ……」
「うんうん、大丈夫、大丈夫ですよ~」
アウィンはトンキーのど真ん中で一人、アスナにしがみついて目をきつく閉じている。と言うか若干涙目だ。

「よーし、トンキー、ダンジョンの入口までお願い!」
「ミコ、お前もだ、頼むぜ!」
くおぉーーーーん。グォォォォォォッ!!と良い鳴き声が響いて、二匹は空中へと繰り出した
トンキーは滑るように、ミコは(おかしな話では有るが)途歩なので少し揺れ気味に、二匹は空中を進む。そんな中、不意にキリトがリョウに声を掛けた。

「それにしても……兄貴、何時の間にこんなデカイ虎さんと知り合ったんだ?」
デカイ虎さん、とは勿論ミコの事だろう。妙な言い回しに苦笑しつつ、リョウはあっけらかんと答える。

「前に一回、サチと一緒にちーっとな。あれがホントにクエストフラグだったのか確かめたくてよ、死に戻り覚悟で、ためしにヨツンヘイム行ってみたんだわ。勿論、呑まれてな?」
ニヤリと笑ったリョウに、サチが抗議の声を上げた。

「うぅ……何にも教えてくれなかったんだよ。リョウ。唯ついてこいって言うばっかりで……」
「そりゃひどいな」
キリトの苦笑に爆笑しつつ、リョウの話は続く。

「んで、降りてめんどくせぇ邪神共を避けつつ進んでったら、岩に囲まれたとこで身動き上手くとれずに、邪神にボッコにされてる此奴を見つけたわけだ」
後はトンキーの時と同じだ。と、リョウは肩をすくめた。まぁサチとしては始め「あの邪神に魔法一発頼むわ」と言われて何を言っているのかと思ったものだ。ついでに言うと、平地に出て追いつかれかけた所に機動力を取り戻してスピードと運動性で人型邪神を圧倒したミコを見た時には、心底ほっとしたものである。

「へぇ、羽化はあったのか?」
「いんや。見ての通り羽ねぇしな。ただその後ボイドの近くまで連れてかれてしばらく寝てたぜ?その後起きたら身体が光って、今じゃこの通りだ」
軽くミコの頭の一部を掻きながら、リョウは言った。ガァ、と心なしか嬉しそうにミコは鳴いて、そんな事を言っている間にも二匹はドンドン空中を進んでいく。と……

「ん?」
リョウがふと視線を向けたその先で、突然、トンキーが羽を鋭角にたたみ……自分の下で、ミコがふと身構えたのが分かった。

「っ!お前ら捕まっ!!?うぉぉ!?」
「え、きゃぁっ!?」
「な、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
「わっ、ィヤッホーーーーゥ!!」
六人其々が其々の大声を上げた。何故かと言うと……トンキーとミコ、それぞれが行き成り、一気に地表に向けての急行下を始めたからだ。
ちなみに隣のトンキーの上では、女性陣が甲高い悲鳴を上げている。
ミコとトンキー、それぞれの背中に生えたふさふさの毛にしがみついて、四人は必死に急降下の風に耐える。殆ど落下するような降下でみるみる内に迫る地表を見ながら、リョウは考えた。
今までなら素直にダンジョンまで背中に乗せて言ってくれた二匹が行き成りこんな行動を取ると言う事は……

『なんか……イベントかぁ?』
そうこうしている内に地表が近付き、一気にブレーキを掛けた二匹にメンバーはそれぞれの邪神の背中に押し付けられるような形になる。

「っつぅ、お前ら、無事か?」
「う、うん」
「なんとか……」
「ったくなんだってんだよ」
「うぅ、くらくらする……」
「楽しかったねー」
気持ちは分からないでもないが、アイリ、このメンバーの中でその発言は少々抜けているとリョウは言いたくなった。
そのまま、ミコはゆっくりとトンキーの横へと付く。リョウとキリトが其々メンバーの無事を確認しようとした……その時だった。

「あ、お兄ちゃん……リョウ兄ちゃん……!!あれ、あれ見て!!」
「あ?」
「え?」
突然、リーファが凄まじい形相でリョウとキリトに向けてある一点を指差しながら叫び、反射的に二人は、と言うか、メンバー全員がそちらを向いた。
それはリーファの声が大きかったからだけでは無い。その声が、半ば悲鳴に近かったからだ。指差されたのは左前方。そちらに向けて全員が視線を向けると同時、視界の向こうで突如色とりどりのライトエフェクトが瞬き、次の瞬間遠くから凍てついた冷気を震わせる重低音のサウンドが聞こえて来た。恐らくは、大規模な攻撃型スペルによる物だろう。

視線を良くこらすと、薄暗い視界の向こうにその原因だろう光景が見えた。くるるぅぅぅーーんと、トンキーが悲しげに鳴いたのが聞こえた。無理もない。立った今聞こえたスペル攻撃の集中砲火にさらされているのはトンキーと殆ど同じ姿をした、象水母型の邪神だったのだ。
攻撃しているのは、種族混成型の大規模なレイドパーティだ。人数は三十人と言ったところだろうか?それ自体は、別段ヨツンヘイムならば珍しい光景でも無い。ただ、その光景には通常のヨツンヘイムとは明らかに違う違和感があった。

「あれって……!?」
「……うわー……成程」
象水母を攻撃しているのは、プレイヤーだけでは無かったのである。
プレイヤー達のすぐ横で、多腕型の人型邪神が、その手に持つ半ば鈍器に近い巨剣をふるっていたのである。

ぼるぼるぼるぅぅぅ!!と雄叫びをあげて大柄な所属であるノ―ムの六、七倍はありそうな巨体が、その刃を振り下ろし、象クラゲの硬質な外皮を叩き割る。その上から傷口を広げようとするかの如く、レイドパーティの攻撃スペルやソードスキルが束となって次々に炸裂する。

「どう言う事……?あの邪神を、誰かがテイムしたの……?」
「そんな、あり得ません!」
アスナの喘ぐような一言を、即座に否定したのは隣にいたシリカだった。

「邪神級モンスターのテイム成功率は、最大スキル値に専用の装備でフルブーストしても0パーセントです!!」
「てことは……」
リズが少し首を捻りながら言った。

「あれは……便乗、してるって事?人型が水母を攻撃するのに、のっかって……」
「そ、それこそ、お、おかしくない……?」
先程の急降下のせいで未だにガクガクなアウィンが言った。どうでも良いが大丈夫かと若干心配になるくらいガクガクしている。

「い、いくら何でも……隣で戦闘してて、人型がプレイヤーの方にヘイトむ、むけないなんて……お、おかしいと思うわよ?」
「そ、そうよね……確かに、ヘイト管理するにしてもちょっと現実感が無いわ……」
アウィンのようすに若干苦笑しながら、シノンも彼女の意見に同意した。

「いや……多分ありゃぁ……」
「あっ……!!」
リョウの言いかけた言葉を、リーファのか細い声が遮った。
もう一度邪神とレイドパーティの居る方を見ると、戦闘が終わる場面だった。
当然、勝者は人型邪神とレイドパーティの側だ。攻撃に耐えきれなかったらしい象水母が地面に横倒しになり、其処にとどめのスペルと鉄剣が降り注いで……
ひゅうるるるるるぅぅぅぅぅぅぅ…………と悲しげな断末魔と共に象水母の巨大な身体が割れ砕け、爆散した。

「っ……!」
くおぉぅぅぅ……とトンキーが悲しげに鳴いて、その上に居たリーファが顔を伏せ、肩を震わせる。アスナの頭上に居たユイも、深く俯いて居るようだ。

「リーファちゃん……」
少し心配そうなレコンの言葉が聞こえた、しかしそれ以上何も言えず、少し悔しそうな顔をしたレコンを一瞥して、リョウは再び正面の状況見る。
其処にはこれまた奇妙な光景が広がっていた。テイムは愚か、プーカによって扇動されている訳でも無ければ、まして魔法による幻惑状態でも無い人型邪神と、その足元のレイドパーティが……再び連れだって新たなターゲットを探しだしたのだ。

「な、何で戦闘にならないんだ!?」
「そう言うクエなんだろ。ほら、アレ見ろよ」
驚いたように言ったキリトに、リョウは面白くもなさそうに右側の丘を指差した。そこでは同じように、大規模なレイドパーティが二匹の人型邪神と共に多脚ワニ型の邪神を狩っている。がぁ……と、小さな声でミコが鳴いた。

「人型と協力して動物型を狩る。さっき言ってたスロータークエって、要はそう言うクエなんじゃねぇのか?」
「…………!」
リョウの発言に、殆ど全員が息をのんだ。そんな中、サチがおずおずと言った様子で言う。

「で、でもリョウ、それって、おかしくないかな?だって、あのダンジョンには人型の邪神が居て、その奥にエクスキャリバーが有るんだよね?なら……」
「動物型では無く、人型を倒すのが通りの筈。人型と協力して邪神を倒せばエクスキャリバーが手に入ると言うのは、少々矛盾していますね」
サチの言葉を、ヒョウセツが受け取って言った。
確かに、リョウはむぅ?と唸ると、少し考えこむように黙りこむ。しかし、思考がまとまるより前に、新たな事が起きた。

「んぉう!?」
「えっ!?」
後方に座っていたクラインとアイリから声が上がり、反射的に全員がそちらを向く。
丁度トンキーとミコの間辺りの空間に、光の粒が集まり始めていた。それはやがて人の形に凝縮し……ローブ風の衣装を身にまとった、金髪の美女へと変化した。
突如現れた超然とした美貌を持つ彼女に対し、クライン含む男性陣は一様に叫んだ。

「でっ…………けぇ!!」
そう。その女性は、リョウ達と比べるとかなりの大きさを持っていた。身長3メートル半と言ったところか。見上げるほどの美女は此方の第一声を気にした様子はない。荘厳な雰囲気を纏ったまま、ゆっくりと口を開く。

「私は、《湖の女王》ウルズ」
その言葉は、プレイヤーの物とは明らかに違う、良く響く、荘重な声として発された。

「我が眷属と絆を結びし妖精たちよ」
眷属……と言うだけに、どうやら女性はトンキー達の同類らしかった。と言うのも、彼女のふわりとした金髪も、根元は半透明の職種としてうねうねしているし、手足の先には鱗も見てとれる。元はトンキーと同じようなヨクワカンナイ系邪神で、今はこちらとズムーズに会話を進めるために、人間の姿として目の前に現れていると思えなくもなかった。
リョウは確か何処かの這い寄る混沌系邪神もそんな感じの邪神だったなと思って、SAN値が下がりそうなので考えるのをやめた。

「そなたらに、私と三人の妹達から一つの請願が有ります。どうかこの国を、《霜の巨人族》から救って欲しい」
ふむ。ともするとこの女性はクエストの依頼用NPCなのだろうか?こんな登場の仕方をするNPCは初めてだが……いや、可能性としては攻撃用Modのトラップと言う事もない訳ではない、注意しておくにこした事は無いか……そんな事をふーむ、と思っていると、丁度キリトの肩に、パタパタと小さな文字通り妖精が飛んで来た。

「パパ、あの人はNPCです。でも……少し妙です。通常のNPCのように固定応答のルーチンによって喋っているのでは無く、コアプログラムに近いエンジン・モジュールに接続されています」
「つまり……AI化されているってことか?」
「そうです」
コクリと頷いてユイは結んだ。リョウはその会話を聞きつつも、ウルズの言葉に耳を傾ける。彼女は右手で広大な地下世界を示すと、ゆっくりとした声で話し始めた。

「この、《ヨツンヘイム》はかつて、そなたたちの住む《アルヴヘイム》と同じように、世界樹ユグドラシルの恩寵を受けて、美しい水と緑に覆われ、我々《丘の巨人族》とその眷属たる獣たちが、穏やかに暮らしていたのです」
そう言ったウルズの力なのか、白い雪と氷に覆われた世界に重なるように、一つの光景が現れた。緑と、豊かな草木と花、そして清らかな水に満たされた、温かさのある世界だ。焼けた地平の続くサラマンダー領や、荒野ばかりのノーム領よりも自然豊かで、その世界に置いてはあの大穴。グレートボイドは巨大な湖となっていた。澄んだ水を何処までも湛えるそれに向けて、天頂から世界樹の根が伸びている。その先は湖に届き、全方位へと広がっている。


その根元には、丸太で組んだ家家の並ぶ、街が有った。それらは地上の央都アルンに、実によく似ていた。
ウルズはそんな風景をしばらく見入っていたメンバーに、少し悲しげな声で言った。

「ヨツンヘイムの更に下層には、霜と氷に覆われた国、《ニブルヘイム》が存在します。かつてかの地を支配する霜の巨人族の王、《スリュム》は、狼に姿を変えてこのヨツンヘイムに忍び込み、鍛冶の神ヴェルンドが鍛えた《全ての鉄と木を断つ剣》エクスキャリバーを世界の中心たるウルズの泉に投げ入れました。それは世界樹の最も大事な根を断ち切り、その瞬間、ヨツンヘイムから世界樹の恩寵は失われたのです」
そう言うと、ウルズは再び一つの光景を映し出した。
最早それはスペクタクル映画さながらの光景の一つと言えた。
突如中央の湖、《ウルズの泉》を覆っていた世界樹の根がのたうち、一気に天蓋へ向けて縮小していく。湖近くにあった家家はひとたまりもなく吹き飛び、あらゆる木の葉は落ちて、木は枯れ、光が薄れて川の流れる草原は枯れ果て霜が降り河は凍りつき、吹雪が吹いて景色が一変していく。
中央にあった巨大なウルズの泉すら一瞬で凍りつき、中から何体もの水生型邪神モンスターがはじき出される。トンキーのような象水母タイプもいるようだ。
世界樹の根の縮小は尚も止まらず、凍り付いたウルズの泉を絡め取って天蓋へと引き上げていく。そのままかつて湖だった氷塊は天蓋に食い込む。疑いようもなく、かつてウルズの泉だったそれはあのダンジョンなのだ。氷塊の尖端に光り輝く剣が見えた。
《ヨツンヘイム》と、《ユグドラシル》二つの世界を丸ごと切り離した、伝説にして最強の剣。《聖剣エクスキャリバー》

そうして全ての水が氷へと姿を変え、湖も川も消えた世界の中心、かつて巨大な泉であったそこには巨大な大穴。それは正しく、今メンバーの前に広がる、《ヨツンヘイム》だった。余りの光景に、これがゲームの一クエストであると言う事も忘れて無言なるメンバーに、ウルズは事の終わりを説明した。

この後スリュムが配下の《霜の巨人族》を引き連れ、大挙してヨツンヘイムに押し寄せ、多くの砦を築いて丘の巨人族を幽閉。ウルズと二人の妹は凍りついた湖の底に何とか逃げ延びた物の、既にかつての力は失っている事。
そしてかつて《ウルズの泉》だった氷塊に、《スリュムヘイム》を築き、其処に暮らしている事。
そして、もう一つ。

今行われている虐殺はスリュムが妖精達をだまして行わせている者で、目的はウルズの眷属である動物系邪神達を皆殺しにしてウルズの力を完全に失わせ、スリュムヘイムをアルヴヘイムまで浮き上がらせる事、かの王が抜けば世界樹の復活を赦し、スリュムヘイムを崩壊させるエクスキャリバーを報酬に与える筈は無く、限りなく近いが真の力は持たない《偽剣カリバーン》を与えるつもりであろうと言う事まで。
当然、そんな事をされれば央都アルンは壊滅するだろう。どうやらスリュムの目的は、アルヴヘイムすらも霜に閉ざし、世界樹の梢へと攻めのぼる事らしい。其処に実ると言う、《黄金の林檎》を手にするために。

「ず、ずっるい……王様がそんな事して良いの……」
話を聞き終えて、リーファが唖然としたようにそんな事を言った。
しかしまぁ、古今東西、物語にしろ現実にしろ、ずる賢い王等と言うのはいくらでも居るものだ。と言うか中にはもっとロクでもない事をしている物も少なくないのだ。
フィクションノンフィクション問わず、力を持つ者と言うのは、基本正義の味方ではないのである。

まぁ、ただし──

「その狡猾さこそが、スリュムの最たる武器なのです。しかし彼は、我が眷族を滅ぼすのを焦る余りに、一つ大きな過ちを犯しました。配下の巨人の殆どを、巧言によって集めた妖精の戦士たちに協力させるため、地上へと降ろしたのです。故に、今あの城の守りは、かつてないほどに薄くなっています」
そうして、クエスト、《女王の請願》の最も重要な一言が、彼女の口から発された、内容は、言うまでもなく……

「妖精達よ、スリュムヘイムに侵入し、エクスキャリバーを《要の台座》より引き抜いて下さい」

──ただし、フィクションに置いてのほとんどは、それらの者たちは敗北するのが王道なのだが。


────

トンキーとミコが上昇し、ダンジョンの入口まで到達する間に、状況の整理が行われた。

結果から言えば、恐らくもし動物型邪神が殲滅され尽くせば、本当にスリュムヘイムがアルヴヘイムに上昇する可能性は十分にあるらしい。
たとえ運営側からの警告が無い状態であっても、《ザ・シード》系列のMMOの中で唯一カーディナル・システムがSAOに使用されていたフルスペック版の複製品を使っているALOに置いては、フルスペック版にのみ搭載される《クエスト・自動生成機能》が有るらしい。
ネットを通じて世界中の伝承や伝説などを調べ、クエストを翻案、無限に作成すると言うこのシステムが、もし今まで停止していたにも関わらず運営側の何らかの操作によって起動していた場合、クエスト内容如何では、行きつく所まで言ってしまう可能性も無きにしも非ず。と言う事だそうだ。
寧ろ場合によっては、このクエスト、及びALOそのものの基盤となっている北欧神話に置いて、ニヴルヘイムからやってくる《霜の巨人族》だけでなくムスペルヘイムから来る《炎の巨人族》がアルヴヘイムで戦を始め、世界の全てを焼きつくすと言う終末の日。

《神々の黄昏 (ラグナロク)》

最終的にアインクラッドを消去、つまり崩壊させる事を役割としていたカーディナルには、ワールドマップの全てを破壊し尽くす権限もある。と説明者であるユイは語った。
もしもそれが運営の意図せざる展開であったとしても、カーディナルの自動バックアップ機能を運営が利用していた場合、設定次第ではフィールドデータは巻き戻せないかもしれないらしい。

今でこそ、人口の半分が世界樹上の《ユグドラシル・シティ》に移ったが、未だにアルン高原のダンジョン攻略のベースシティや交易の中心として、休日ともなれば大いににぎわう都市である。キリトやリョウ、リーファや、他の何人かのメンバーにとっても思い出深い街だ。

「こうなったら、やるしかないよ。お兄ちゃん」
そう言ったリーファが、手に持ったメダリオンを高くかざした。
ウルズからもらいうけたそれには大きな一つの宝玉が埋め込まれており、綺麗にカットされている。しかし今、その半分が漆黒に染まっており、光を跳ね返す事が無い。
ウルズによれば、この宝玉が完全に黒く染まった時、ヨツンヘイムの動物型邪神は全て殲滅され、ウルズは力を失うらしい。要はこの宝玉が黒く染まった時こそが、スリュムのアルヴヘイムへの侵攻が始まる時と言う訳だ。

「だな。今日集まったのは、あの城に殴りこんで《エクスキャリバー》を手に入れるためだったんだし、守りが薄いって言うなら願ったりだ」
「時間制限付きのクエなんざ慣れっこだしな。いっちょやってやっか」
キリトの言葉に、リョウもニヤリと笑って言った。
二人は自身のステータスウィンドウを開くと、それぞれ少しばかりの操作を行う。
キリトの背にはリズが打った剣に交差するように、以前アインクラッドのボス攻略でドロップした剣が現れる。
リョウの腰には、柄の短い偃月刀が現れた。
二人とも普段はボス攻略等で目立ち過ぎるのが嫌でこれを使う事は余りないのだが、今回は話が別だ。久々に其々の全力の武装をしたリョウとキリトを見て、クラインが企むように笑って言った。

「おーし、んじゃあ今年最後の大クエストだ!ばしっときめて、明日のニュースの一面のったろうぜ!!」
即物的であはるものの、まぜっかえす者はいなかった。
「おぉー!」と全員で唱和すると、彼等の足元でトンキーとミコがくるるーーん!グォォォォッ!!と鳴く

入口にたどり着いた邪神達から飛び降り、各自其々状態確認に入る。

初めに降り立ったリーファが、トンキーの耳を撫でながら言った。

「待っててね、トンキー、ミコ、絶対に貴方の国を取り戻してあげるからね!!」
振り向いて、少し湾曲した愛用の長剣を抜く。

「ワクワクするねー!あ、ヤミ、大丈夫?」
「えぇ……まぁね……ふぅ。やっぱり高い所は……」
「無理はしないでくださいね。気分が悪く突然ログアウトしてしまう方も居ますから。
言いながら、アウィンはクローを手にカチャリと付け一度ヒュンッと振る。ヒョウセツはアウィンの事を心配しつつ懐から木のような素材の杖を取り出し、アイリも腰の刀をシャランッと音を立てながら抜いた。

「どのくらい通じるか分からないけど……が、頑張ります!」
「その息だぜレコンよぉ!ガンガン行こうぜだ!」
背に付けた刀を抜き放ったクラインの横で、レコンがダガーを抜いた。

「トンキーさん達の為ですから、負けません!!」
「きゅるっ!!」
「リーファもやる気になってるしねー、いっちょ頑張っちゃうか!!」
「ま、アルンが壊れるなんて、皆望んでないしね」
シリカが腕を「おー!」振りあげる頭の上で、ピナもまた、前足の片方をぽーん!と振り上げる。
リズが苦笑しながらぶぉんっ!と音を立ててメイスを担ぎ直し、シノンも弓の弦を確認しつつ軽く肩をすくめた。

「頑張ろうね!サチ!!」
「うんっ!」
互いにワンドを取り出したサチとアスナが、それぞれ掌をぐっ。と握りしめ、頷く。

「……そう言えば、兄貴と全力全開でダンジョンなんて、久しぶりだな」
「おぉ、そうだっけか?……あ。脚引っ張んなよ?」
リョウが冷裂をぶんぶん振りまわし手伸ばしながらニヤリと笑って言うと、ヒュンヒュンと左右の剣を振って調子を確かめていたキリトが二ヤッと笑った。

「信用ないなぁ……ま、足手まといにならないようには努力するさ」
「そいつは結構。そんじゃまぁ……」
リョウが冷裂の回転を止め、ダンッ!!と地面に柄を叩きつけるのと同時に、キリトも剣の試し振りを終え、シャリィンッ!!と音を立てて、大きく二本の剣を振った。
眼前に屹立するは、氷の二枚扉。以前来た時に居た門番は居ない。ウルズの言った通り、守りが薄くなっているのだ。扉が開きだす。

前衛にリョウとキリトを中心に、クライン、リーファ、アイリ。中衛にリズ、シリカ、アウィン、レコン。そして後衛にアスナ、シノン、サチ、ヒョウセツとフォーメーションを即座に組む。

「行くか!」
「あぁ!!」
二人の声と共に、全員が一斉に氷の床を蹴り飛ばして、走り出した。
 

 
後書き
はい!いかがでしたか!?

と言うわけで次回からスリュムヘイムの戦いになります!
いやぁ、にして、もまぁ毎回の事ですが、説明文なっげww

読み飛ばされてしまう事も多いこれらですが、実は書くのに一番苦労するのも、伏線隠しやすいのも此処なんですよねw
地の文を原作●パクリにならないように気をつけているのですが……今回は、ダメかも……

次回はミノタウロス編!

ではっ!

 
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