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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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A's編 その想いを力に変えて
  27話:引越・転校・蹴球

 
前書き
 
最近題名を決めるのに結構困っている作者です。
今回は四話の途中までです。
  

 
 
 
「え?親子って……」
「リンディさんとフェイトが?」
「そう。まだ本決まりじゃないんだけどね、養子縁組の話をしてるんだって」

グレアム提督との面談を終え、俺となのははエイミィに連れられていると、そんな話が持ち上がった。

「プレシア事件でフェイトちゃん、天涯孤独になっちゃったし、艦長の方から家の子になる?って。
 フェイトちゃんもプレシアの事とか、色々あるし。今は気持ちの整理がつくのを待っている状態だねぇ」
「そうですか…」

……まぁ俺達が首を突っ込めるような事柄じゃないのは、確かだな。

「なのはちゃん的には、どう思う?」
「え……?う~んと…なんだか、すごくいいと思います!」
「そっか。因に士君は?」
「俺か?うむ……まぁ養子になるならないは別に口出しするつもりもない」
「なんか冷たいなぁ…」
「ただ……」
「「ただ…?」」

フェイトがリンディさんの養子、つまりハラオウン家に行くという事は……

「クロノの野郎がフェイトの兄貴になる、というのが俺個人として面白くて…」

今すぐにでも腹を抱えて笑いたいぐらいだ。

「あ、そっか!」
「うんうん、そうなの!でもあの二人、結構気が合うみたいだし、案外いい感じの兄弟かもって思っててさ!」
「あははは!そうですね!」

確かに、あの二人は真面目という面で似たものがあるからな。波長は合うのかも。

しかし……

(これでクロノをいじる話題が一つ増えた訳だ)

そう思いながら心の中で少し黒い笑みを浮べる俺であった。

「士君、その笑顔怖いよ…」
「お、顔に出てたか。失敬失敬」


















また場所は変わり、本局のとある休憩スペース。後ろには自販機も置いてある。後で飲んでみるか……

「さて、アースラスタッフは今回、ロストロギア“闇の書”の捜索及び魔導師襲撃事件の捜査の担当することになりました。ただ、肝心のアースラがしばらく使えない都合上、事件発生時の近隣に、臨時作戦本部を置く事になります」

つまり俺達の世界、地球に本部を置いて、そこで闇の書に対抗しよう、ということか。

「分割は、観測スタッフのアレックスとランディ」
「「はい」」
「ギャレットをリーダーとした、捜査スタッフ一同」
「「「「「「はい」」」」」」
「司令部は私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん。以上三組に分かれて駐屯します。
 因に司令部はなのはさんの保護をかねて――――なのはさん達のすぐ近所になりま~す」

先程までの艦長らしい雰囲気から一変し、笑顔でそういうリンディさん。
隣り合わせに座っていたなのはとフェイトは顔を見合わし、直後なのはが大きな声で喜びを表現する。

(これはまた……騒がしくなりそうだ…)

笑顔で話し合う二人を見て、俺は小さく笑みをこぼした。


















―――翌日

なのは家の近所のマンションにて、引っ越しが行われていた。
しっかし、作戦本部置くって決めた次の日にはこうして引っ越しへと行動できるとは……管理局の行動力、恐るべし。いや、リンディさんがか?

そう思いながら、新たにハラオウン宅となった部屋のソファーに座っていると、足下で服が引っ張られるのを感じた。

「ん…?」

見てみるとそこには見慣れたフェレットと、どこかで見たような赤い毛の子犬がいた。

「……えっと…?」
「あ、ユーノ君とアルフは、こっちではその姿か」

俺が反応に手間取っていると、部屋の設備のチェックをしていたエイミィがやってきた。
てか、やっぱり子犬の方はアルフか?

「新形態、子犬フォーム!」
「なのはやフェイトの友達の前では、こっちの姿でないと」

確かに、アルフの場合は大きくなったときの姿をアリサにもすずかにも見られているし、なにより……

「ユーノの場合は男だって知られたらどうなるかわかったもんじゃないな」
「そ、それは言わないで欲しかった…」
「君らも色々と大変だね~」

「―――わぁ~!アルフちっちゃい!どうしたの?」
「ユーノ君もフェレットモード久しぶり~!」

と、その途中で現れたのは言うまでもない、なのはとフェイトだ。
フェイトは子犬のアルフに舐められ、なのははフェレットをなで回していた。

「あらら、ほんとに大変そうだ」
「えぇ、これからアリサ達が来たらもっと大変に―――」
「なのは、フェイト。友達だよ」
「「は~い!」」

噂をすればなんとやら。タイミングも丁度いい時に、クロノが来客の知らせを届けにきた。二人は玄関に行き、俺も一緒についていく。まぁ、客が誰かなんて聞かずともわかる。

「こんにちは~」
「来たよ~」
「アリサちゃん、すずかちゃん!」
「初めまして、なんて言うのもなんか変かな?」
「ビデオメールでは、何度も会ってるもんね」
「でも、会えてうれしいよ。アリサ、すずか」

とまぁ、やはりアリサとすずかという訳で。

「ん?なによ士、何か文句あるの?」
「なんの話だいったい」

こいつ…ほんと勘が鋭い。

「フェイトさん、お友達?」
「「こんにちは~!」」

すると家の中から緑の長い髪を揺らして、リンディさんがやってきた。

「こんにちは、すずかさんにアリサさん、よね?」
「はい…?」
「私達のこと…」
「ビデオメール見せてもらったの」
「そうですか!」
「よかったら、皆でお茶でもしてらっしゃい」
「あ、それじゃあ家のお店で」
「そうね、じゃ折角だから私もなのはさんのご両親にご挨拶を。ちょっと待っててね」

色々とトントン拍子に決まって行く中、俺の台詞が一個もないのは、どうかと思う今日この頃。
リンディさんは服を着替える為か、家の中に戻っていく。それを見届けてから、最初にすずかが口を開いた。

「綺麗な人だね」
「フェイトのお母さん?」
「えっと、その……今は、まだ、違う…」

アリサの疑問に顔を少し赤くしながら答えるフェイト。顔を赤くしているというと、満更でもないのかね、養子の話は。

「士君も来るよね?」
「…断る、と言ったら?」
「「………」」
「わかった、わかったからそんな泣きそうな目で俺を見るな!」


















それから数日後。

だらけきった日曜日を名残惜しみながら過ごし、今日は月曜日。
HRまでをこれまただらけて過ごし、先生がやってきたのを見計らい教室の皆はそれぞれの席に戻っていく。

「さて皆さん。実は先週急に決まったんですが、今日から新しいお友達が、このクラスにやってきます」

俺は背中をいすに預け、腕を組んで目を閉じる。言うなれば、完全に昼寝(?)をする格好だ。因に席は前回の窓際とは逆の扉側。だが後ろというのは変わらない。

自分のクラスに転校生がやってくるという小学校ではありがちのイベントに、何故こんな態度でいるのか。
それは至って単純で……

「海外からの、留学生さんです。フェイトさん、どうぞ」
「失礼します」

そう、転校生の正体を知っているからだ。
先生が教室の出入り口の扉に向け言うと、扉越しで少しくぐもった声が聞こえ、その後すぐに扉が開く。
そこに現れた人物は、目で見なくともわかる。

「あの、フェイト・テスタロッサと言います。よろしくお願いします」

スタスタと聞こえる足音が止まると、大分聞き慣れたフェイトの声が聞こえてくる。その後周りから拍手が起こる。

片目だけ開けて教卓の側を見ると、丁度フェイトと目が合う。するとフェイトは安心したかのように笑いかけてくる。
俺もそれに対し目をつぶり、フェイトに向け笑顔を見せる。










HRも終わり、授業と授業の合間の時間。教室の一角では、何かを囲むように人だかりができていた。
もう言うまでもない。転校イベントにありがちな、転校生への質問という拷問(笑)が、そこでは行われていた。

「ねぇ、向こうの学校ってどんな感じ?」
「わ、私学校には…」

「すっげぇ急な転入だよね、なんで?」
「そ、それは色々あって…」

「日本語上手だね。何処で覚えたの?」
「前に住んでたのってどんなとこ?」
「え……その…あの、えっと…」

次々とマシンガンのように飛び交う質問。人と人との合間から見えるフェイトの表情からは、それらにどう対処すればいいか困惑しているのが丸分かりだ。

「フェイトちゃん、人気者」
「あれを人気者と呼んでいいのか?」
「あれはちょっと大変かも」

少し離れた場所、正確にはなのはの席にてそういう、すずかと俺となのは。時期が時期だし、海外からのってのがより他の皆の興味を引いたのだろう。

[つ、士!ちょっと助けて…!]
[ん~?ちょっとお前の反応が面白いから放置]
[な、なにそれ~!?]

急に聞こえるフェイトからの念話にそう答え、隙間から見えるフェイトに(意地悪な方で)百万ドルの笑顔を見せる。

「しょうがないな~…」

そこで動きを見せたのが、アリサだ。何か面倒だという感じの顔をしながら、フェイトを囲む集団へと向かっていく。

「はいは~い!転入初日の留学生を、そんなに皆でわやくちゃにしないの」
「アリサ…!」
「それに質問は順番に。フェイト困ってるでしょう?」

こんなところで意外にもリーダーシップを発揮するアリサ。他の皆を言いなりにしているところを見ると、やはり何か持っているんだなと心の中で思う。

「はい!じゃあ俺の質問から!」
「はい、いいわよ」
「向こうの学校って、どんな感じ?」
「えっ…えっと……私は、普通の学校には行ってなかったんだ。家庭教師というか、そんな感じの人に教わってて…」
「へ~そうなんだ~」

それからは一つ質問を終える度に皆が騒いで、それをアリサが止めて、一人が質問して……の繰り返し。フェイトも順調に襲いかかる質問に、落ち着いて対処していく。

「あいつ、案外委員長とか生徒会長とか向いてんじゃねぇのか?」
「そうかもね~」
「フフフ…」












半日を終え、現在昼休み。なのは、フェイト、アリサにすずかは、それぞれ弁当を持って屋上へと向かっていく。

「フェイトちゃん、初めての学校の感想はどう?」
「年の近い子がこんなにたくさんいるの初めてだから、なんだかもう、ぐるぐるで……」
「あはははは!」
「まぁ、すぐに慣れるわよ、きっと」
「うん…だといいなぁ……」

そういえば、とフェイトは続けて、

「士、さっきはどうしたんだろ?なんかお弁当食べようって誘おうと思ったら、どっか行っちゃってたけど……」
「あぁ、それね。それなら…」

フェイトの疑問に、なのはが廊下の窓へと駆け寄り、窓越しに何かを探し始める。

「あ、あれだ!フェイトちゃん、あれあれ!」
「……?」

そして何かを見つけると、フェイトに顔を向けながら窓の外を指差す。
フェイトも窓の外を覗く為、なのはの横にいく。そして外を覗くとそこでは。




「周りに出されないようにマーク!門寺には三人掛かりだ!」
「「「おう!!」」」

「三人とは、容赦ねぇな四年生!」
「士!無理するな!」
「わぁってるよ!」




「あ、あれは?」
「あぁ、あれ。サッカーよ。士は時々、同じクラスの男子と組んで別のクラスの子達とやったりするのよ」

校庭で繰り広げられる球蹴り。その中心で球を所持する士と、それを取り囲む士より一回り程大きい三人の男子。さらにその周囲に散らばる同じクラスの子や、士を囲む三人と同じぐらいの年の男子。

[フェイトちゃん、サッカーって知らないよね?ユーノ君はそうだったけど]
[う、うん。あれは、こっちの世界でのスポーツ、なの?]
[そう!サッカー、といっても今は人数が少ないから正式なサッカーって訳じゃないみたいだけど…]
[…?]
[後で教えてあげるから、ちょっと見てて]

なのははフェイトへと念話を繋ぎ伝える。

「それにしても、今日は上の学年とやってるのね」
「そうみたいだね」
「上の学年、ってことは…四年生?」
「うん。時々あるんだ、そういうの」

そう話しながら、再びグラウンドへ目線を移すと……



「よっ、ほっ!」
「「「なにぃ!?」」」
「年上相手に三人抜き!?」
「いけぇ、士!!」

「行くぜぇ!」
「くっ、来るならこい!」

「見様見真似っ、我流“タイガーショット”!!」



「わぁ…ボールがすごい勢いでネットに…」
「にゃはは…相変わらず容赦ないなぁ、士君は…」
「時々やるけど、何なのかしらあれは?」
「見様見真似って言ってるけど、何を見てなんだろう?」

観戦している四人はそれぞれ感想を述べ、苦笑いや微笑みを交わす。

「まぁあいつはあれだし、私達は私達でお昼食べよ」
「そうだね」
「それじゃあフェイトちゃん、屋上行こ!」
「う、うん…!」

そうして少女達は再び廊下を歩いていき、目的地である屋上へと向かっていった。

  
 

 
後書き
 
次回はおそらく漫画とサウンドステージの複合回を。
漫画の方は友人から聞いた程度なのでどうなるかわかりませんけど、なんとか頑張ります。
  
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