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ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
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アイングラッド編
SAO編
  新たなる出会いと再会


44層ボス攻略会議当日、オラトリオ・オーケストラは慌ただしいことになっていた。

「なんで起こしてくれなかったの!?」
「起こしましたよ!!俺が2回、ユウリが3回も!!」
「体が起きるまでは気を抜いちゃだめ!!」
「自分でなんとかして下さい!!」
「ほら、アー君。ご飯よ」
「……ムニャ。ありがと……グゥzzz」
「アード、寝ながら飯食うな。起きろ!!」

というようにホルンは寝坊し、新人のアードはまだ半分寝惚けいるというわけだ。
特にホルンのやつは起床アラームでも起きないという緊張感の無さだ。

「すまん、レイ。もう少し待ってくれ」
「了解だ。別に今日ボス戦やろうって訳じゃ無いから、歩きながら食べても大丈夫だが?」
「じゃあもう行こう!すぐ行こう!」
「えーお腹空いた~」
「帰ってから食べてもいいでしょ!!」
「では、アー君と先に行ってるわよ」
「アード君食べるの速っ!!」



















「遅い……」



以前にも前にも同じことを言った気がするぞと思ったが考えてみれば毎度のことなのでさほど気にせず、不機嫌オーラ全開の閃光様から目を放す。
ソロとはいえボス戦で少なからず功績を挙げているあいつ抜きで会議を始める訳にも行かず、かと言って時間に遅れるのも許しがたい。

という葛藤を抱えている様子だ。と、そこへ

「アード…自分で走ってくれないか?」
「ぐぅ……」
「………」
「……すまんレイ」
「はぁ、良いんだけどさ……」

なにやら気の抜けた会話をしながらレイと最近の注目株ギルド、オラトリオ・オーケストラがやって来た。



「よ、キリト。久し振り」
「……ああ」
「なんだよお前までテンション低いぞ。誰か死んだのか?」

「貴方を待っていたんです!!遅れて来たのなら、謝罪して下さい」

そこへ鬼の形相の副団長殿がやってきた。

「……キリトよ。何時ぞやのデジャブに感じたのだが……」
「……今回ばかりはちゃんとあやまったほうがいいんじゃないか?」
「うむ……そうだな」

と言って背負っていた人を下ろし(正確にはギルドのメンバーに投げ渡し)、



「あー…すまんな皆。寝坊したやつを待ってたら遅れた。以後気を付ける」
「ちょっとお!?あたしのせいなの?」
「「どー考えてもホルン(先輩)のせいだ(です)!!」」
「しゅん……」
「……10分後に会議を始めます」



そう言って閃光様は去って行った。

それよりもわけの解らないやつと組まされる前に早くレイとパーティーを組んでおこうと彼らの方へ歩いて行くと、何やらさっきとは雰囲気が違った。

「カイト、確かなの?」
「……ああ、俺も信じられないが……レイ、確かに副団長は『アスナ』っていう名前なんだな」
「間違えない。フレンド登録してるから、綴りも確認できる……どうだ?」

レイはウィンドウを可視モードにし、何かを確認させているようだ。

「…………」
「どうしたんだ?」

特にカイトが挙動不審なので、彼に話かけてみた。

「副団長は……アスナは、俺の知り合いかもしれない」
「……リアルでってことか?」
「そうだ。昔からの、な」
「「「へぇ~」」」
「な、何だよ。そんな関係じゃないからな!?」
「どーだかな」

最後にレイが嫌味タップリに追撃を加え、カイトが沈黙したところを本題(パーティー結成)に入り無事、組むことができた。



「ところでキリト。ひとつ頼みがあるんだが」
「なんだ?」
「もう1人、加えていいか?」












「紹介する、ソロプレイヤーのリオだ」
「キリトさんよろしくお願いします」
「キリトでいいよ。よろしく」
「よし、リオは始めて組むから俺達がボス戦で何時もしてることを説明するぞ」

と言ってフリー入力画面を開いき、光点を4つ配置する。

「俺達は基本的にオラトリオ・オーケストラの援護に回る。あいつらはスピード系のビルドばっかだからな。基本的にやつらの盾役になることが多い。とはいっても積極的に庇うことはない。気持ちだけ構えておいてくれ」
「了解」

光点の前に新たに3つの点が配置された。

「もう1つ、ボス戦では死者を出さないことが大前提だ。そこで、俺達は途中から遊撃に作戦変更する。さっき許可も貰ったから大丈夫だ」
「1人で大丈夫なのか?」
「大丈夫だからソロやってんの」
「成る程……」

その後の攻略会議は順調に進み、攻略決行は明日の10時からとなった。











会議が終わり、本部へ戻って1人になった瞬間力が抜け、座り込んでしまった。
あんな大人数をまとめるのは並大抵のことではない。彼女所属するギルドのマスターである《あの人》はいつも平然とやっているが。

この世界で体力的な疲労はないが、精神的な疲労は蓄積される。
そのせいで、一度寝ると長い時間寝てしまい。生活リズムが狂ってしまうというのはそう珍しい話ではない。

最も、この世界にきてからまとまった睡眠をとった記憶がない自分には縁の無い話だが。



帰り支度をしていていると。ほとんど時間通りに来ることの無い、某大太刀遣いが頭に浮かんだ。連鎖的にその周囲の人達が浮かんでくる。

初めてのフロアボス、初期の何層かを共に戦った『黒の剣士』。

近くで会うのは始めてで、名前だけは知っている最強ギルド候補の一角、オラトリオ・オーケストラのメンバー。非公然と囁かれているその二つ名はアスナも耳にしたことがあった。



その剣閃を正確に捉える事は不可能とされる『幻影刀』 ユウリ
多彩な攻撃手段とトリッキーな戦術で敵を翻弄する『道化師』 ホルン
スタッフを自在に操つるその姿はまるで孫悟空と言われる『猴王』 アード
そして、雷のような鋭く速い斬撃を繰り出す『雷閃』 カイト……



そこまで思い出してはっと顔を上げる。

このデスゲームが始まった日、兄にこのゲームを貸してくれと頼んだとき、たしか兄はこう言った……



『海斗君に宜しくな…』



「海斗……君?」




もう思い出すまいと決めていた記憶が蘇る。



そのときにはもう部屋を飛び出していた。




 
 

 
後書き
どーも。一週間ぶりです。

リオくんが初登場なのにものすごく出番がないです。ごめんなさい。
そのうち活躍するはずです(汗)

オラトリオ・オーケストラメンバーに厨二全開な二つ名をつけてしまいました。
作ってくださった方々、気に入らなかったら訂正お願いします。

アード君の猴王は孫悟空の別名、美猴王からとりました。 
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