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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第46話:色んな趣味の人が居るのは解ってるけど、知り合いが騙されるのは……笑えるッス!

(ハバリア)
ウルフSIDE

ビビアンさんの家に入ると、奥の部屋から男の声が聞こえてくる。
「ビビアン……お客さんか?」
聞き覚えのある声……そう筋肉馬鹿(オーリン)の野太い声だ。

「うん、オーリン……貴方のお知り合いって方を連れてきたのよ」
どう見ても女性にしか見えないビビアンさんは、可愛らしい笑顔で奥の部屋のオーリンに話しかけ、俺達の入室を促す。

「オーリン無事だったのね! 良かった……心配してたのよ私達!」
マーニャさんとミネアさんが部屋に入るなりベッドで横になっていたオーリンに近付き話しかける。
見た感じ怪我は殆ど回復しているみたいだ……まだ彼方此方に包帯を巻いているけど……

「マ、マーニャお嬢さんにミネアお嬢さん!? どうしてここに……そ、それよりお二人ともご無事で何よりです!」
慌てて半身を起こしマーニャさん・ミネアさんに向き直るオーリン……
その際にイチモツがポロリと布団から零れる……
どうやら奴は、飯を食うかビビアンを抱くかしかしておらず、常に裸だったみたいだ。

「あ……し、失礼しました!」
慌てて布団で股間を隠し身を整える。
流石のミネアさんも最近理解してきたらしく、今のオーリンにドン引きしてる……と、思ったのだが「小さい……」と囁き溜息を吐く。ダメだこのネーちゃん……

オーリンの名誉の為に言っておくが、奴のは大きい方だと男の俺でも思います。
きっと彼女の規準がリュカさんに固定されているから、今みたいな呟きが零れるんだと思う……
俺の見ても同じ事言うだろうなぁ……同じくらいだし。

「ウ、ウルフ……その……元気だったか……?」
俺をブン殴った事を思いだしたのだろう……
気まずそうに話しかけてくる。

「俺は無事だ。そんな事より、アンタが無事で良かったよ……しかもこんなに可愛いコイビトまで作って……隅に置けないな!」
俺は自分を殴り窮地に追い込んだ奴の為、笑顔で賛辞を送る。
心からの笑顔だ……気を抜くと爆笑してしまいそうな心の籠もった笑顔だ!

「ああ……コイツには助けられた。何とかキングレオ兵を撒いたのだが、大怪我で動けなくなっているところを救って貰った。しかも町まで連れ帰ってもらい、甲斐甲斐しく世話までしてもらっている。俺は彼女を心から愛しているぜ!」

ビビアンさんを手繰り寄せ、膝の上に座らせると見せ付けるかの様にキスをするオーリン……
ダ、ダメだ……笑いそうで……
俺は慌てて口を押さえ、後ろを向いて堪える……が、身体がヒクヒクと動いてしまう。

「ど、どうしたんだウルフ……泣いてるのか?」
「え? あ、あぁ……お前が無事で本当に良かったと思ってな……」
本当は違うが勘違いしてくれたから……

「お前……良い奴だな! 済まなかったな迷惑をかけちまって!」
「いや……気にするな、済んだ事さ」
そう済んだ事なのさ……それより現在進行形の事態が面白くて耐えられない!

俺は慌てて家の外へ飛び出す!
もう耐えられなくなり、ビビアンさんの家から離れたところで笑い転げる。
何時かオーリンが真実を知る日が来る事を願って。

ウルフSIDE END



(ハバリア)
リュカSIDE

「ど、どうしたんだアイツ……?」
オーリンと呼ばれる男がウルフの行動に不思議がる。
まぁ当然だろう……今の恋人が元は男と知らずに付き合っているのだから。

とは言え感心しないなぁ……
人それぞれ趣味趣向があり色んな人生があるのだから、男の()に対する偏見を持つのは良くないと思う。
後で叱った方が良いだろう。

「気にするな……アイツも色々あったんだ。それよりも僕の娘について情報を頂きたいのだが……」
「娘?」
「マリーちゃんの事よオーリン」
奴の膝の上に座るビビアンがイチャイチャしながら説明を入れる。
うん。イライラする……

「あぁ……あの生意気な女がアンタの娘なのか。子育てには気を付……」
オーリンの台詞を途中で遮り奴の頭を右手を掴むと、少し力を入れて呟く様に警告する。
「俺は怪我人だろうと遠慮しない……次に家族の事を侮辱したら、この役に立たない頭を握り潰すぞ!」

「うあぁあぁぁぁ! ご、ごめんなさい! もう言いません……娘さんの事を悪く言いません!」
馬鹿(オーリン)は泣きながら謝罪した。
ついムッとしてしまい脅しすぎたかもしれない……

だがお陰で色々情報を聞く事が出来た。
奴の頭から手を離すと、媚を売る様に色々な事を話してくれるオーリンとビビアン。
まぁ総合すると、キングレオの横暴を許せなくなったライアンという戦士が、色々情報を集めてお城に乗り込もうと画策しているらしい。

一緒に居るのはマリーだし、大事にならなければ良いけど……
被害を最小限に抑え、物事を解決出来れば良いのだけど……
あぁ……心配だ。

リュカSIDE END



(ハバリア)
シンSIDE

情報を仕入れに行ってたウルフさん達が、この町の宿屋に到着した。
先に俺達が部屋を確保しておいたので、各々の部屋に立ち寄る一行……
しかしウルフさんとリュカさんだけは違う行動をとる。

宿屋にあるラウンジに直行すると、ウルフさんを目の前にして説教を始めるリュカさん。
一体何があったのか解らず、ただお二人を見詰める俺が居る。
リューノちゃんに聞いても「ちょっと……ね」と言葉を濁すだけ。

「良いかウルフ……世の中には色んな人が居るんだ。その中には女の心を持ちながら、男の身体で生まれてきてしまう不幸な人も居る……」
ふ~ん……そんな人が居るんだ!?

「す、済みません……」
「いや……謝ってほしい訳じゃないんだ。理解して欲しいんだよ……人々は誰しも生まれを選べないって事を! そして身体に心を合わせるんじゃなく、心に身体が合わせなければならない事を!」
何か難しい事を言っている……

「お前、急に身体が女になって、僕に口説かれたら……抱かれるかい?」
「嫌ですよ気色悪い!」
うん。気色悪い……そんな想像はしたくもない!

「あの子は生まれつきそうだったんだ! 心は女の子なのに身体が男の子として生まれてしまった……苦しかっただろうね。好きになった男の子に告白しても、今のウルフみたいに『気色悪い!』って言われ続けたんだよ……きっと」

「そ、そうですよね……本当、俺のさっきの態度は酷いですよね……」
リュカさんに怒られ落ち込むウルフさん。
何だろう……男の人にナンパされて、酷い態度をとっちゃったのかな?

「あれ……ウルフってば説教されてるの?」
そこにマーニャさんがやって来て、ウルフさんとリュカさんを遠目に眺め呟いた。
何かを知っているのかもしれないと思い、俺はマーニャさんに目で問いかける。

すると教えてくれた一連の出来事。
オーリンさんとビビアンさんとの関係を……
なるほど……リュカさんが怒っている内容と一致するね。

でもウルフさんの気持ちも解らないでもない……
元男だと知らずに付き合っているオーリンさん……うん。笑ってしまいますよね!?
しかしリュカさんは偏見無く物事を見ている。

うわぁ~格好いいなぁ……

シンSIDE END



 
 

 
後書き
リュカさんの悟りきった態度が不思議な方は、短編「始まりはこの日から…」を読んで下さい。 
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