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問題児たちが異世界から来るそうですよ?~MEMORY~

作者:月見酒
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~6~

 
前書き
更新が遅くて申し訳ない 

 
 [6]

「おんしの実力がわからん以上そのギフトゲームをクリアできるか不明だがおんしの望むコミュニティならあるぞ」

 飛鳥達“ノーネーム”が“フォレス・ガロ”とギフトゲームをする日、ロストだけは白夜叉から話を聞いて別のギフトゲームに参加しようとしていた。

「ここかな?白夜叉さんが言っていた場所は」

 場所は海のような広大な水辺。ロストが白夜叉に紹介されたギフトゲームの場所だった。

「ギフトゲームの挑戦者か?」

 ザアァァ

 水中から声と共に現れたのは巨大なイカのような怪物だった。その大きさはおそらく十六夜と戦った蛇神よりも大きいだろう。

「そう、君に勝てば“ペルセウス”ってコミュニティに挑戦できる権利の一つが貰えるって聞いて」

「なるほど、ならばさっそくギフトゲームを始めるぞ」

「その前に一つ聞いていいかな?」

「何だ、何が聞きたい」

「君は人語を話せるのかい?」

「お前達人間が他の生物の言葉を理解するギフトを持つ者もいるのだ。人語を理解するギフトを持つ動物がいても不思議ではあるまい」

「そうなんだ。たしかにそうだね。わかったよならギフトゲームのルールを教えて」

「ああ。これを見ろ」

 ロストの目の前に“契約書類(ギアスロール)”が現れる。

『ギフトゲーム名“海魔の多脚(かいまのたきゃく)”

・プレイヤー ロスト

 クリア条件 
・クラーケンの足をかい潜り挑戦権の証を奪う

 敗北条件 
・プレイヤーの全身が水に浸かる
・プレイヤーが勝利条件を満たせなくなる、プレイヤーが敗北を認める

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します』

“契約書類(ギアスロール)”を承諾した瞬間今までなかった足場が水上に現れた。

 足場は広いがどの場所でもクラーケンの脚は届くと思われる。

「お前の好きなタイミングで開始の合図を出せ」

「じゃあ、行きます」

 開始と共にギフトを発動させる。

 和服を着た黒髪の女性姿になり舞台の隅に置かれた挑戦権の証である。玉目掛けて走り出す。

 ザバアァン

 水柱と共にクラーケンの脚が数本現れる。

 今回の舞台はかなり広い。ロストは全速力で走っても一分以上かかるだろう。この距離をクラーケンの脚を回避しながら近づくのは難しいと思われる。

 クラーケンの脚の何本かは証の前で壁のように道を塞ぐ。そのうえでロストを残りの脚が襲う。

「弾き飛ばせ!『拒絶の衣』!」

 ロストはギフトを発動させる。ロストの周りでクラーケンの脚が止められる。

「中々やるなお前。この数の脚を一度で止めるとは」

「私としては止めるだけでなく弾き返すつもりだったのだけれど」

「ならばもっと力を入れねばな。我の脚は特別製なのでね」

 クラーケンの脚は次第にロストを囲んでいく。ロストのギフトは自身に近づく脚を止める事は出来てもロストを囲もうと回る脚を止める事は出来なかった。

(このままではじり貧ね何か対策を考えないと・・・・・・いや、やっぱり)

「先に謝っておくわクラーケン。本当はこの力だけで倒そうと思ったのだけど」

 そう言うとロストはギフトの発動を解除した。姿が元の白髪の青年、十六夜達と初めて会った姿に戻る。

 その腕には今までなかった物―――弓が握られていた。

「じゃあ、行くよ。クラーケン」

 言葉と同時に姿が変化する。

 髪は炎を思わせるように赤く、瞳は夕日のようなオレンジ色の青年。

 革で作られた鎧のような服を身につけている。

 クラーケンは様子を見る為か動いていない。

 ロストが持つ弓は全体的に白いが持ち手より下が赤黒く染まっている。

「なかなか楽しいギフトゲームだったが悪いな。もう終わりだ」

「ほう。お前にそれほどの力があると言うのか、面白い。見せてみろ!」

 勢い良くクラーケンの脚が動き出す。その動きはまるで本来の脚の数より多い様に見えた。

 対してロストは弓ではなくナイフを構える。・・・・・・自分の手首に向けて。

「!?」

 ロストの手首から血が噴き出す。その血を受けて弓が赤く光り始めた。

 矢をつがえずに弓を引く。血を流し続けているが左腕にぶれはない。

「『紅の血が、世界を穿つ』」

 弓の力を解放する言霊とともに引き絞った弦を放す。

 シュッ。ヒュン。

 何処からともなく赤い光りの矢が降り注ぐ。

「ガハッ!?」

 赤い矢はロストの『拒絶の衣』を難無く受け流していたクラーケンの脚を貫いた。

 ロストが再び弓の弦を引き絞ると一際大きな赤い矢が現れる。

「これで一撃で最後だ。『紅の血が、世界を穿つ』」
 挑戦権の証を守るように阻んでいた脚を大きな矢は弾き飛ばす。

 ロストは走り出した。動きを止めなかった脚がロストを追う。

 クラーケンの脚が追いつく頃には既に挑戦権の前に。

「俺の勝ちだ!」

 ロストの手が挑戦権の証である球に触れる。

 その瞬間、光りが溢れ出しそれを合図にゲーム終了となった。






「見事。我の負けだ」

「楽しいゲームだったよ。また機会があればやりたいな」

「ああ。いつでも来い。我は歓迎する」

 ゲームが終わりロストは元の姿に戻っていた。

 挑戦権の証を手にし、自分より数倍もでかいクラーケンを相手に楽しげに話している。

「それよりロストよ。忘れているかもしれんが挑戦に必要な証はそれだけではない。もう一つ必要だぞ」

「そういえば忘れてたよ。何処に行けばもう一つの証を持ってる人に会えるの?」

「それについては心配するな。もうすぐ来る」

 しばらく待っていると、三人の老婆が現れた。

 しかし、三人の老婆は普通の人間ではなく、三人で一つの目玉を持っていた。

「ワシらがもう一つの挑戦権の証を持つ、グライアイじゃ」

「えっと、僕の名前は・・・・・・」

「よい。既に聞いておる。ロストよ、ワシらはあまり他者と関わるのは好まん。手短にいくぞ。ワシらがおぬし提示するゲームは・・・・・・」

 目の前に“契約書類(ギアスロール)”が現れる。

『ギフトゲーム名“An eyeball can looked for”

・プレイヤー ロスト

・クリア条件
 湖に沈んだ挑戦権の証を手に入れる

・クリア方法
 日が沈むまでに見つけること。それ以降は湖に入ってはいけない

・敗北条件
 降参か、ゲーム開始から三回以上日が沈む

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。』

「じゃあ、探してくる」

「さっさと行け」

 シッシと、手を振るグライアイ。




 ロストが立ち去り、クラーケンとグライアイが残った。

「お前のゲームは相変わらずめんどくさいな」

「ぬしのゲームが単純過ぎなんじゃ」

「しかし、いつも同じゲームだなぁ。何でだ?」

「ワシらは目を湖に投げられた事があるからじゃ。皆同じ目に遭えばよい」

「そんな事だからめんどくさいんだよ。お前は」

「うるさい」

 人間なら肩を竦める様な雰囲気の仕種をして黙るクラーケン。

 グライアイはそんなクラーケンを無視した。





「湖に沈んだ挑戦権を探せって言われても・・・・・・」

 ロストがいる湖はかなり広くて深い。何の準備もせずに潜ったところで見つかる可能性は無いだろう。

 日はまだ高く時間はあり、ロストは考えながら湖の周りを歩く。

「試しにやってみるかな?」

 クラーケンを倒した弓を取り出す。姿も変化し湖を見据える。

「『紅の血が、世界を穿つ』」

 弓の力を解放する言霊を呟く。自分の腕の血を弓に与え弦を引き絞る。そして・・・・・・放つ!

 何本もの赤い矢が湖に放たれるが、大量の水を弾いたがただそれだけで終わった。

「チッ、無理か。やはり力技で湖の底までは見えないか。・・・・・・だが」

 クリアの糸口は掴んだ。

 弓を仕舞い、衣を出す。姿がまた変化する。

「思ったより簡単なゲームだったわ。弾き飛ばせ『拒絶の衣』」

 湖の水だけを拒絶し弾く。歩いてまたは、跳んで行ける場所を進んで行く。

 大した時間も掛からずに挑戦権の証がある場所に辿り着いた。

「これでゲーム終了ね」





「さすがだな、グライアイのゲームをこうも簡単にクリアしてしまうとは」

「別に簡単だったって事も無いよ。ただ相性がよかっただけだよ」

「グライアイはもう行ってしまったからな、我から言わせてもらおうゲームクリアおめでとう」

「ありがとう。目的も果たしたし、僕は行くよ」

「ああ、ペルセウスは5桁のコミュニティ、気をつけよ」

 ロストは頭を下げて背を向け歩き出す。コミュニティ“ノーネーム”に戻るために。

 実はロストはゲーム中にまた一つ記憶を取り戻していた。しかし、ロストは思う。

(何で記憶がバラバラなんだろう?)

 ロストの取り戻した記憶に同じ人の記憶が一つとしてなかった。 
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