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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第24話 惚れ薬騒動

 さて、いきなりネギ・スプリングフィールドが魔法バレをした次の日。

 何故か朝の職員会議にネギが来ていない。
 指導教員の源先生もオロオロしている。
 仕方ないので、ネギ抜きで職員会議も終わりだ。
 結局教員全体への挨拶もしてないけど、大丈夫なんだろうか?

 オレの方は1時間目から授業があるから準備して時間を待つ。隣の瀬流彦先生からも「どうしたんだろうねぇ?」とか聞かれるが知ったこっちゃない。

 瀬流彦先生が乾いた笑いを浮かべながら、2-Bのホームルームへ向かった後、ネギは始業寸前のタイミングで2-Aの雪広に先導されて職員室に入って来て、荷物を置くと直ぐに出て行く。
 まったく気にした様子がないんだが、始業前に朝礼を兼ねた職員会議があるのを知らないんだろうか?
 最初にもらった要項に書いてあったと思うんだが。

 一応、クラス名簿や指導用の教科書を持って行ったので、ホームルームと英語の授業はできるんだろうが、指導教員と一緒に行かなくて良いんだろうか?

 まぁ、気にする必要もないか。一応念のため木乃香と千雨には、デバイスを使って授業風景を撮っておくように頼んであるから大丈夫だ。

 多分。





 なお、英語の授業中にまた神楽坂の服を脱がしたらしい。木乃香の乾いた笑いと千雨のあきれた思いが授業中に念話で伝わって来て思わず吹いた。





  ☆  ★  ☆  





 放課後、職員室で帰る準備をしていると木乃香から泣きそうな念話が届いた。

 そういや、なんか廊下でドタバタしていたなぁ、とか思って詳しく聞いたら、神楽坂に渡そうとした怪しげな薬をネギが飲んでから、えらくネギが可愛く見えるらしい。
 で、木乃香以外にも周りにいた子らも同じ感じで、一緒に追いかけ回しているらしい。
 幸い、ネギを見失ったため、念話ができるようになり、慌てて念話で助けを求めて来たらしい。
 千雨に確認すると、千雨の方は遠くから見ていたらしく、「木乃香の痴態は撮ったからなぁ」とか笑いの念話が届いた。

「廊下で騒いでいるようだから見て来ます」

 と周りの先生方に告げて、木乃香と合流する。

 うんまぁ、惚れ薬の効果のようでした。

 何考えてんだ?

 とりあえず、吸引符を使い生徒達から1人1人魔法の効果を抜いて行く。吸引符が便利なのは吸引した魔法の効果が、見る人が見ればわかることだ。
 麻帆良最強の魔法使いである学園長は、高位の陰陽師でもあるので、この符を見ればすぐにわかるだろう。

 5人分で5枚使ったので、没収される可能性も考え、3枚を持って学園長室に報告に行く。



 学園長室の扉をノックし、名前を告げると「入っておいで」と返事が。

「失礼しま~す」

 一声かけて中に入る。学園長は机に書類を広げ、決済の仕事かなんかをしていたようだ。

「お仕事中すみません」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。いやいやかまわんよ。で、どうしたんじゃ?」

「実は、最終課題中のネギ・スプリングフィールド氏が惚れ薬を使い、一般生徒を巻き込んで騒ぎを起こした模様です」

「ヴフォッ」

 あまりにもな報告に学園長も思わず噴いた。
 当たり前だ。人の精神を操るなんて魔法世界でもタブーだ。しかもそれを一般人に向けるなど「オコジョ刑」確定だ。

「なお、巻き込まれた中には学園長のお孫さんも含まれています」

「な、なんじゃと」

 とまぁ、こんな感じで話し出す。

「職員室で帰り支度をしていたら、廊下が騒がしかったので、注意しようとして出たんです。するとあからさまにおかしな感じで右往左往している生徒達がいましてね。調べてみたら精神操作系の魔法がかかっていたので、こっそりと吸引符で魔法の効果を吸い取り、無効化しました。その後、聞き取り調査をすると、どうやらネギ・スプリングフィールドを追いかけていたらしいんですよ。被害にあった生徒は皆2-Aの生徒ですし。それで、学園長に報告に来ました。あっ、これ使った吸引符です。ご確認下さい」

 一気に話し、吸引符を学園長に渡す。一目見てわかったんだろう、放心してるわ。

「それと………」

「ま、まだあるのかね?」

「なんか女生徒が脱がされてるみたいです。多分ネギのせいでしょう。メルディアナでも同じことをしてたので」

「な、なんてことを………」

 うん、頭を抱えてるね。後頭部は隠れてないが。

「では、残念ながらネギ・スプリングフィールドの最終課題は試験2日目で終了と。きっとメルディアナで最短記録じゃないですかね? まぁ、オコジョになるんだから関係ないでしょうが」

 これは本当。ネギのやったことは普通に魔法犯罪だから。しかも、関西呪術協会の次期長候補も巻き込むとか戦争の引き金を引いたことになってもおかしくないレベルだ。しかも高畑先生の証言もあれば、「相手に承諾もとらず記憶消去未遂や読心術の使用、一般人への魔法バレ」など余罪も出て来たりする。まぁ、魔法バレの方は神楽坂が黙っていると言えば、罪にはならないが。

「ま、待つんじゃ」

「どうしました?」

「うむ。子供がやったことじゃ。今回は厳重注意で済ますことにする」

「子供がですか」

「うむ、そうじゃ」

「そうですか」

 馬鹿馬鹿しい。違法行為に子供がどうの関係あるか。よしんばあるとしても、それを判断するのは学園長じゃないだろうに………。

「わかりました。なら、ネギ・スプリングフィールドの試験は続行ということで」

「そうじゃ」

「了解です。メルディアナの校長も喜ぶでしょう」

「ふぉっふぉっふぉっ。そうじゃろうなぁ」

「では、報告は以上なんで失礼します」

「うむ。ご苦労さん」

 こんなやりとりをして学園長室を出る。

 次の日、瀬流彦先生から図書室の扉が壊されており、本がぶちまけられ、破損しているのを聞かされ、何故か授業の谷間のオレも片付けを手伝わされることになった。
 片付けを手伝っている先生らが不思議がっていたので、瀬流彦先生に昨日あったことを伝えておく。直接伝えなかったのはどの先生が魔法先生かわからなかったからだ。どうやら、一般生徒や先生に秘匿するため、全員魔法先生だったようだが。
 片付けが終わり職員室へ戻り際、大学部の明石教授から声をかけられる。2-Aに娘さんが在籍しているらしく、昨日の件を詳しく聞きたいとのことだ。
 学園長に口止めされてなかったよなぁ、と思い、学園長の時と同じように説明した。

 絶句してた。

 どうやら、明石教授も「英雄」の息子に期待してたらしい。
 娘について心配している姿に好感を覚えたので、お節介ながら、「英雄」の息子の従者(ミニステル・マギ)になることのデメリットを忠告しておく。

「あぁ、ボクは娘に魔法関係に関わらせるつもりはないから」

 と笑っていたが、ネギの魔法バレからの従者化というコンボを学園長が密かに画策しているのは疑ってもないらしい。

「ならイイデスネー」

 と乾いた笑いをして、明石教授とは別れた。



 ちなみに昨日の晩に一連の件は、メルディアナの校長と月村を通じて詠春殿に伝わっている。電話で話した時、忍義姉さんと校長はあまりのことに絶句してたが。 
 

 
後書き
お風呂イベントと新聞配達イベントは上手く絡めれなかったので、惚れ薬イベントだけになりました。 
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