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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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A's編 その想いを力に変えて
  24話:蒼雷と紅炎の斬撃

 
前書き
 
シグナム姐さんとの戦いです。自分的には満足の出来だと思うんですが……。
というか、これが俺の限界だと思ってください。
  

 
 

士が急に現れた剣士と、空中で相見えている頃。

場所は海鳴の一つのビル。
そのビルの一部には大きな穴があり、中には白い服を纏いひび割れた魔道の杖――レイジングハートを持つ少女――なのはがいた。
なのはも士同様、何者かから急襲を受け、このビルへと弾き飛ばされていた。

「ケホッ、ケホッケホッ…!」
「でぇええいっ!」
「っ!?」

そして大きな穴を通り、外から赤いゴスロリ風の服を着た赤毛の少女が勢い良く中へ入ってきて、手に持つハンマーを大きく振りかぶる。

〈 Protection 〉

大きく振り下ろされたハンマーは、桃色の壁に進行を阻まれる。

「ぶち抜けぇぇぇぇぇ!!」
〈 Jawohl(了解)!〉

が、赤毛の少女は大きく叫び、ハンマーの後部からさらに魔力を噴射させ、桃色の壁を文字通りぶち抜く。
魔法壁によって多少威力は落ちているが、それでも脅威的なのは確か。その攻撃を受けたなのはの上着――バリアジャケットは消え失せ、なのは自身も大きく吹き飛びビルの壁と衝突する。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

赤毛の少女は少々息を切らしながら手に持つハンマーを振るう。するとハンマーの一部がスライドし、中から拳銃の薬莢(やっきょう)のようなものが飛び出す。

攻撃を受けたなのはは、あまりの痛みに声を上げる事もできないでいた。
そこへゆっくりと歩み寄ってくる赤毛の少女。なのははレイジングハートを少女に向けるが、その手は震えている。霞む視界には、ハンマーを大きく振りかぶる少女の姿。

(こんなので……終わり…?いやだ……ユーノ君…クロノ君…士君……)





―――フェイトちゃん!





そのときだ。

突如響く金属音。
構えていてもやってこない痛みに疑問を抱きながら、なのはがゆっくりと目を開けると……

目の前には赤毛の少女のハンマーを止める、黒いマントを纏った金髪の少女が。そしてその少女の手には、黒い斧のようなもの。その背中を見た回数は数える程だが、忘れる事のないもの。何度も戦い、何度も再会を夢見た、あの子の姿。

「ごめん、なのは。遅くなった」
「…ユーノ、君…?」
「くっ、仲間か…!」

次に現れたのは同じく見慣れた顔。魔法の事を教えてくれた、自分の大事な友人、ユーノ。
彼等を見た赤毛の少女は金髪の少女のもつ斧を弾き、後ろに飛んで距離を取る。

すると金髪の少女は黒い斧を少女に向け、

〈 Scythe from 〉

先端の機械的な部分をスライドさせ、魔力刃を展開する。


「―――友達だ…」


そして赤毛の少女の言葉を否定するように小さく、だが力強くそう言い、金髪の少女―――フェイトは、斧から鎌となった自身の魔道の杖―――バルディッシュを構える。


















場所は戻り、士と桃色の剣士との戦い。

戦場は上空へと変わり、そこには月光により光る金色の翼と、桃色の魔力が飛び交っている。ぶつかる度に火花が散る。

「はぁぁあああ!!」
「ヴェェエエエイッ!!」

飛び交う二つの影は何度もぶつかり合い、いくつもの金属音を奏でる。

「はっ!」
「せいっ!」

そして今再びぶつかり合うが、今度は先程までとは違っていた。

「レヴァンティン!」
〈 Schlangeform 〉

仕掛けたのは桃色の髪の剣士だ。距離を取りながら女が持つ剣を一旦鞘に納めると、かけ声と剣から発せられた音声と共に再び剣を抜き放つ。

すると鞘から出てきた刀身は分裂し、一本のチェーンによって連結された、連結刃へと変わる。

「なっ!?(おいおい、そんなのアリかよ!?)」

その光景を目にした士は、驚きの声を上げる。
相手の周りを飛び交う連結刃は、元の刀身の長さからは考えられる程の長さになっているからだ。

「(魔法だからって何でもアリって訳じゃないだろ!)くっ!」

士は少々メタな事を考えつつ、彼女から距離を置くように後退する。

「はぁあっ!」

だが彼女がそれを許す訳もなく、剣を振るうと連結刃を先回りさせ、士の退路を断つ。
それだけじゃなく、連結刃を士を逃がさないよう、取り囲むように操作する。

「くそっ!(こんな器用なマネまで…!)」
「はっ!」

取り囲まれ止まった士に、追い打ちと言わんばかりにかけ声を出す。
すると周りを囲っていた連結刃が士の領域を浸食していく。

「(これで捕まえたつもりか?)甘ぇよ!」
〈 ATACK RIDE・MACH!〉

だが士もそれを受けるつもりはさらさらない。
ライドブッカーからカードを取り出し発動。ブレイドの“マッハジャガー”同様、スピードを強化し狭まる連結刃の合間をくぐり抜け、攻撃を回避する。

「だぁああっ!」
「っ!」

そのスピードを保ったまま、士は女へと斬り掛かる。連結刃のままでは、防御ができないと踏んだ為だ。

だが、彼女は士が振るった一撃を、鞘で受け止めるのだ。

「ぐっ…ぐぎぎ…!」
「くっ、ぅう…くぅっ!」

ギリギリと金属が擦り合う音が続く。

「はっ!」
「っ!」

しかしそれも数分としない内に、彼女が士を押し出す事で終わりを告げる。

士は後退させられながらも左足で回し蹴りを放つが、彼女は屈む事で回避。そして自らも右足で後ろ蹴りを放つ。

士は腕を交差させ、その攻撃を受ける。
そのまま士は蹴り出され後退、相手側も蹴り出した反作用で少し後退する。

「(これで!)レヴァンティン!」
〈 Exprosion 〉

連結刃を元の剣に戻し鞘へ。かけ声と共に剣の一部をスライドさせる。
そして空中で体勢を立て直している士に向け、

「飛竜一閃!」

剣を抜き放つ。今度は魔力を付加された連結刃がまっすぐ士の元へ走っていく。

「くっ!」
〈 ATACK RIDE・METAL!〉

士はさらに新たなカードを発動し、再び胸の前で腕を交差させる。
そこへ連結刃が到達し、衝突する。それと同時に爆発が起き、士は爆煙に包まれる。

「………」

剣士の女は剣を振り、連結刃を元の剣へと戻す。

―――確かに、手応えはあった。

そう思いながら晴れていく爆煙をじっと見つめると、そこには腕を交差させたまま変わらない姿でいる士がいた。

「く~っ、さすがに効いた…」

交差させていた腕を解き、手をブラブラさせる。
先程発動したカード、先程と同じくブレイドの“メタルトリバイト”と同様の効果で防御力を上げたのだ。だが、見た目よりも多くのダメージを受けているようだ。

(くっそ!なんつう威力だ!こんな技、他にもあったらたまんねぇぞ!やっぱ決めるなら―――)

(これでも倒れないか……これ以上長い時間をかける訳にも、カートリッジを消費する訳にもいかん。やはりここは―――)


((一撃で―――決める!!))


二人同時に同じ考えが纏まった瞬間、二人は同時に動き出す。
士はライドブッカーよりカードを、女剣士は自らの剣を高々と掲げる。

「レヴァンティン!」
〈 Exprosion 〉

「いくぞ、トリス」
〈FINAL ATACK RIDE・bu bu bu BLADE!〉
〈 Lightning slash!〉

女剣士のかけ声で剣に炎が纏われ、士がカードを発動すると剣に雷が帯電する。

「「…………」」

炎が轟々と、雷がバチバチと音を出す中、二人はじっとお互いをにらみ合う。




――――刹那!




ドンッ!!

空気が弾けるような音と共に、二人は動き出す。

「紫電―――」
「ライトニング―――」

女は炎を纏った剣を体の横へ、士は自分の真上に。
それぞれ横と縦に斬り捨てようと、剣を構え力を込める。


「一閃!!」


「スラッシュ!!」


お互いの技は衝突し、爆音と共に二人の姿は爆煙に塗れる。その煙の量は先程士が攻撃を受けたときよりも多い事から、お互いに威力が絶大だという事が分かる。

「どわっ!?」
「くっ…!?」

その中から同時に飛び出す二つの人影。それらは空中で静止し、それぞれ剣を構える。

「「…………」」

そしてまたも沈黙が続く。

この少し重苦しい空気の中、口を開いたのは、

「――――強いな…」

「……?」

女の方だった。
剣を構え、警戒はしつつも、士に声をかける。

「最初は本当に魔導師かどうか疑っていたが……いや、今も疑っているが。さすがにここまで強いとは思ってもいなかった」
「それはこっちも同じだ。ここまでやり合う事になるとは、思わなかったよ」
「………そう言えば、まだ名乗っていなかったな」
「ん?」

女はそういい、切っ先をまっすぐに士に向ける。

「私はベルカの騎士、ヴォルケンリッターが将、『シグナム』!そして我が剣、『レヴァンティン』!」

「……俺は仮面ライダー、ディケイド。デバイス名は、トリックスター」

それぞれが自分の名前を言い、お互いを認め合う。
そして再び、二人の間に流れる空気は緊迫したものへと変わる。

「後はもう、互いの剣で語るのみだ」
「話し合いははなっから無しかよ……」

各々が剣を構え、次の一手へと備える。
緊迫した空気が最高点に達し、二人が共に動こうとする。




――――その瞬間




「てぇええやぁぁあああっ!!」


「―――っ!?」

士の背後から新たな声が響く。
反応して士が振り向くと、目の前には拳が現れる。すぐ腕を交差させ防御に入る。

だが振り向いてすぐという、体勢の悪いまま防御した為、防御しきれず地面へと吹き飛ばされる。
そして道路とぶつかり、煙を巻き上げる。

「『ザフィーラ』!何故ここに…!?」
「シグナム、無事であったか」

士を襲ったのは、屈強な体つきに焼けたような黒い肌。青白く光る髪をもつ人物―――シグナムは『ザフィーラ』と呼ぶ男だ。

「ヴィータの方に増援が来た。一人で手こずっているようだ」
「……そうか」

ザフィーラからの報告を受け、シグナムは静かに思考する。

「……ヴィータが怪我でもしたら主も心配する。私達も向かおう」
「分かった」

そう言って、シグナムとザフィーラはヴィータというもう一人の仲間の元へ向かった。

一方、その光景を道路にできたクモの巣模様の上で見ていた士は、頭を振って揺れる視界を元に戻す。

「くそっ…今のは仲間か?」
〈マスター、二人が向かった先にはなのはさんの魔力反応が!しかもなのはさんの反応が小さくなっています!〉
「なにっ!?」
〈それだけじゃありません!先程なのはさんへ向かった反応と、また別の反応が二つ戦っています!〉
「……ただ事じゃないのは確かだな…」

そう言いながらライドブッカーに手をかける。

「俺達も急いでいくぞ」
〈はい!〉






―――だが、




「すいませんが、そうはさせませんよ」


「っ、ぐああぁあぁぁ!!」

不意に聞こえる声と、いきなりの銃声と共に士の体から火花が散る。
その攻撃で耐えきれなくなった士は、呆気なく地面に転がる。

「ぐっ、くそぉ……誰だ!?」
「ふふふふ……」

士の声に対し、襲撃者は不敵な笑い声を上げ、ビルとビルの間の路地から、その姿を現す。

月夜の光を浴びながら、全身を黒よりも濃い漆黒で染まった屈強なアーマー。肩や肘などの各部には禍々しい突起物のようなものが。
そこに走る緑、赤、黄色、銀色、青、白に前者とはまた違った、キラキラと光る白のライン。
顔は体と同じ漆黒に染まり、赤い複眼が闇に灯る。その姿は、まさに………


――――仮面ライダー


「初めまして、と言っておきましょう。ま、私はあなたの事をよく(・・)知っているんですがね」

丁寧な言葉ながら、相手を見下したような口調をしながら士に歩み寄る。

「てめぇは…いったい…?」

ゆっくりと立ち上がりながら士が問いかけると、襲撃者は仮面ライダーにはない禍々しい口角を上げ、口を開く。



「ただのライダー似の怪人、とでも言っておきましょうか……」


  
 

 
後書き
 
はい、てな訳で。
最後に出てきた奴、分かる人には分かると思います、はい。
どうも贔屓で陳腐なネタなんで、どんな反響が来るか至極心配です。

では、また次回に
  
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