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Magical Girl Lyrical NANOHA- 復元する者 -

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第4話 白と黒の邂逅









金髪の少女との出逢いから次の日。
朝は、いつも通りの穏やかな始まりを向かえた。
昨日の事は、頭の片隅に留め、気持ちを改めて学校へと向かう。
バスになのはと共に乗り込み、アリサ達と一緒に登校する。
でも、今日はいつもの登校風景と一つ違う。
新たな仲間が一人増えた。
綺麗なプラチナプロンドを靡かせ、新しい制服に身を包む少女。

葛葉の『人型戦略破壊魔術兵器(マホウ)』たる少女……戸籍を取得し、高町家の家族の一員となった『高町 サクラ』である。
嬉しそうな様子で楽しげにアリサやすずかと話している。


「へぇ~、なのはちゃん達の親戚なんだ」

「うん!そうなんだよ」

「出身は何処よ」

「イギリスだよ」

「サクラちゃんのお母さん……叔母さんがイギリス人なんだって。お母さん言ってたよ」


四人の少女達がバスの一番後ろの席を陣取り話す姿は何処か微笑ましい。
他の乗客に迷惑な気がしないでもないが、誰も気に止めた様子はない。
なのは達が話している横……窓側の席に座り、窓枠に頬ずえを付きながら、葛葉は静かに四人の会話を聞き流していた。
楽しげに話す彼女達の横で昨日出会った少女を思い出す。


(ーーーありがとう)


確かに聞こえたお礼を言う言葉。
思い出しながら、心で苦笑いする。
不思議な少女であった。
最初に仕掛けてきたにしては、律儀な娘だと思う。
素直に礼を言われるなど思いもよらなかった。
家族以外の人間に礼を言われたのは久しぶりだった。
故に、内心で複雑な感情が渦巻く。

ーーあの少女は、なのはの“敵”になる。

ーージュエルシードを巡り、幾度も衝突する。

最早、葛葉の中では確信めいたものがあった。
彼女と話していた時に見た、その瞳。
そこに強い“意志”を感じ取った。
それと、哀しみの様な感情もーーー。

今のなのはには無い、理由と動機を彼女は持っている。
思ったよりも大人しいだろう少女が、非武装の同い年くらいの子供に向かって魔法を放ってきた程だ。
何か深い理由がある筈だ。

葛葉なりに彼女の事を考察していると、いつの間にかバスは学校に到着していた。
一度、思考を切り上げ、四人と共にバスから降りる。
今日からサクラも加わり、新しい学校生活が始まる。
それがほんの少しだけ、楽しみに感じていた。

サクラの転入先のクラスは、なのはや葛葉らと同じであった。
朝のHRで、先生と共に入ってきた時は驚いた。
前の席に座るなのはからは、嬉しそうな雰囲気を出しており、サクラもなのはの姿を確認すると小さく手を振っていた。
まさか、同じクラスなるとは思わなかった。
父や母が何か手を回したのだろうか。
若しくは、兄の恋人にして、すずかの姉…月村 忍。

我が身内関係には地味に権力を持つ人や人外な人物が多すぎる。
戸籍に関しても、普通の方法でなど取得していない筈だ。
転入の手続きも然…。
身内の非常識さに呆れ返りながら、笑顔でなのは隣に座るサクラを見て思うーーー。


ーーー相棒の“人”としての生活を見守ろう。

ーーー彼女と僕は二心同体。

ーーー彼女が“死ぬ”時は、自分も“死ぬ”時なのだから。

ーーー故に、今この時は……

ーーー健やかに過ごしたい。










第4話 [白と黒の邂逅]










授業も終わり、放課後。
アリサ&すずかは習い事に赴き。
なのははユーノと共にジュエルシードの探索に向かった。

残った葛葉とサクラは……。


「初日の学校生活はどうだ?」

「楽しかったんだよ~!」


和気藹々と話ながら通学路を歩き、帰路についていた。
今日の学校の感想を聞きながら、歩き続ける。


「授業の内容はどうだ?解るか?」

「問題無しだよ。マスターから知識は中にいた時から貰ってるから」

「卑怯者」

「マスターの知識は私の知識なんだよ!」


胸を張って堂々として言い放つ。
転生者である為、他の小学生よりは明らかに知識量は上だ。
しかし、その知識は葛葉が努力で得たモノ。
何の努力もなく、繋がっているだけで知識を蓄積していくサクラを罵っても許されるだろう。


「そうだ、マスター」

「ん?」

「明日からなのはちゃんのお手伝いしてもいいかな~」

「ーーー」


サクラの言葉に顔をしかめる。
主であるからと言って、彼女の行動を制限するつもりはないが、なのはとジュエルシードを探すと言い出すとは考えていなかった。


「何故だ?何で手伝いたい」

「マスター、ユーノくんは兎も角、なのはちゃんは素人さんだよ?怪我したらどうするの?」

「ユーノがなのはを守ればいい。こっちは手伝ってやってる側だ。盾ぐらいにはなってもらう」

「マスター~…」

「サクラは好きにすればいい。僕は遠慮する」


会話を切り、スタスタと歩いていく葛葉。
慌てて、サクラが後についていく。
少々、気まずい雰囲気が二人の間に流れる。
サクラは内心で少し失敗したと反省する。
彼が少しでも、何かに関わり、その心の空を埋める事が出来ればと思い、なのはの回収作業に参加しようと思ったが、考えが甘かった。
自分が手伝うと言えば、協力してくれるだろうと思った。
でも、サクラは自己で思考し、行動出来るスタンドアローンの『戦略破壊魔術兵器(マホウ)』。

更に言えば、同じ『マホウ』でなければ、サクラを(こわ)す事は不可能。
葛葉と彼女を害せる存在はこの“世界”に存在しえない。
なのは達が使う魔法が何処までのモノかまだ情報がなく、判断がつかないが……あらゆる戦術と戦略を破壊する人類を超越した存在たる『マホウツカイ』を打倒できるとは思えないのが本音だ。
葛葉が本腰を入れれば、直ぐにジュエルシードを集められるだろう。


(だけど……マスター。貴方は動かないんだよね?まだ“目的”を見いだせないから)


彼には、“生きる”目的が欠如している。
家族という枷を持つが故に、死を選ばないに過ぎない。

それが何と悲しいことかーーーー。
彼が今を生きている理由は“家族”を泣かせたくないから。
自分の為ではない。
家族と他人……自分以外の誰かの為に生きている。

だからだろうか?
願いを叶える宝石に関わろうとしないのは……。
まるで、写し鏡を見ているようで見ていたくないから。


(マスター…貴方の幸せは何処にあるのかな?)


葛葉の姿を後ろから見つめながら、そんな事を考えているとーーー。


「!?マスター!!」

「ーーーなに?」


サクラが急に大きな声を上げる。
焦ったような顔色で葛葉に語りかける。
一体どうしたのだろうか?


「この道沿いの先からジュエルシードの魔力の気配がするんだよ!?」

「何?」

「それに近くに、なのはちゃんの魔力と後一つ……同レベルの知らない魔力反応がーーー

「っ!?」

「あ!ま、マスター!?」


最初、眉を潜め、面倒そうな顔から一変。
弾かれた様に慌てて駆け出していく
瞬間魔力換装(フリューゲルブリッツ)』を使い、高速で移動する。
一瞬でサクラの目の前から掻き消えた。
サクラもまた、気配のする方へと走り出した。
後ろにいるサクラに目もくれず、疾走する。
まだ、未熟故に光速で移動する事は叶わないが、十分な速度。

サクラの報告の中の知らない魔力。
脳裏に浮かぶのは、金色の少女。
まさか、こんなに早く鉢合わせするとは……。
動揺を押し殺し、なのはの下へと急ぎ向かう。


「ーーー間に合えよーーー……!」


口から溢れた呟きは、移動の速さに消える……。
葛葉(マホウツカイ)(なのは)を助けるためーーー。

ーーー夕暮れの空の下を駆け抜けていく。









★★★★★



空に引かれる桜色と金色の光。
せめぎあう白と黒の人影。

金髪の少女がツインテールの綺麗な髪を靡かせ、無骨な形の斧を想わせるデバイスを華奢な体で振るう。
それを受け止める茶髪に同じくツインテールの少女。
降り下ろされるデバイスを、なのはは前方に魔方陣の盾を展開し、防ぐ。
火花が散る矛と盾。
互いに拮抗するも一瞬。
なのはの方の盾が、振り抜かれた一撃に砕け散る。


「っーーーー」


勢いと本能のまま、半ば反射的に距離を取る。
それを見て、金色の少女はーーー。


「ーーーバルディッシュ……」

《Scythe form---》


デバイスの先端のギミックが音を立て、形状を変える。
形を変えて魔力刃が伸び、鎌の様になる。
形状を変えたデバイスを少女を一度振りかぶりーーー。


《Arc saber---》


デバイスから機械音声が聞こえる。
少女が横に一閃。
デバイスを振り抜くと、伸びた魔力刃が回転をしながら飛んでいく。

金色の回転刃が、なのはに迫る。
飛んでくる魔力刃を視界に収め、なのはは再び(シールド)を展開する。
回転刃は盾に直撃すると盾に阻まれたまま、回転を続け、魔力と体力を削る。
止められたのを確認するとデバイスから機械音声が発せられた。


《Saber Explosion》


デバイスから唱えられる言葉。
回転刃が光を放ち、盾の前で爆散する。


「キャァァーーーーーー!?」


盾が爆発の威力と衝撃により、砕かれ、なのはは地上へと落下をし始める。
金色の少女が、それを上から眺めながら、自分の周囲に魔力スフィアを4つ展開する。
なのはは衝撃に意識が朦朧としながら、その姿を見詰める。
見詰めていると、彼女の唇が僅かに動き、何かをなのはへと呟いてきた。


「ーーーーゴメンね……」

「っーーーーー!?」


聞こえてきたのは、小さな謝罪。
言葉と共に周囲に浮かぶ魔力スフィアが槍弾となり、なのはに向かって放たれる。
高速の槍弾は、意識の朦朧とした状態で落下していくなのはに迫っていく。
後少しで着弾しようとしたその時。


「ーーー『復元する原初の世界(ダ・カーポ・ゼロ)』ーーー」


幾何学模様の蒼い魔方陣がなのはの前方に出現し、彼女に迫る槍弾を後片付けもなく、掻き消した。
その光景に目を見開いて驚きを示す金色の少女。
なのはは意識が徐々に戻り、先程までの落下の重力が無いことを不思議に思う。
目を開けて、自分の状況を確認する。
最初に目に入ったのは、見知った横顔。
角度からして抱き抱えられているようだ。
所謂、お姫様抱っこの状態で……。
恥ずかしさに顔を赤らめる余裕もなく、その顔を見詰める。

共に生まれ、共にに育った自分の半身。
不機嫌そうな顔で文句を言いながらも、最終的には助けてくれる優しい少年。
肩の所で切り揃えられた黒髪が靡き、真剣な眼差しで空を見上げ、誰かを見詰めていた。


「……くず……は……?」


意識は回復してきたが、衝撃のダメージが抜けきっていない。
掠れた声で、双子の兄の名を呼ぶ。
声に気付いて、葛葉は抱き抱えたなのはに視線を向けた。
意識が戻り、無事な様子に安堵したのか。
不機嫌そうな顔付きを和らげ、なのはに語りかける。


「大丈夫か?なのは」

「……うん」


ゆっくりと確かに頷くのを見て、葛葉は視線を滞空している黒衣を纏う少女へと向け直す。
昨日の件もあってか、瞳の中に静かな怒りを見せる彼に少し怯む様子を見せた。
構うことなく、葛葉が冷静な声音で話し出す。


「昨日振りだね。通り魔さん?」

「っーーー!?……好き好んで貴方を襲った訳じゃない」


葛葉の物言いに多少の動揺を表すが、直ぐに消え、無表情に戻る。
その感情の制御を見て、自身の中の考察に確信を持つ。
やはり、戦い馴れている。
戦闘においての心の乱れは命取り。
昨日の身のこなしや、状況判断から察するに戦闘訓練を受けている。
これでは、なのはが勝てるわけもない。

それを解らず、挑みに行った愚妹の蛮行に内心で呆れ返る。
心の中でため息をついていると、今度は少女の方が尋ねてきた。


「貴方は何故ここに?」

「愚妹の魔力反応がしたから様子を見に来たんだよ」

「……愚妹……?」


最初は葛眉を潜め、怪しむ表情を浮かべるが大切そうに抱き抱えられている なのは を見て、得心のいった顔をする。


「その子が?」

「残念ながらな……それで?目的はまた“これ”か?」


葛葉がなのはを片手で抱き抱え直し、空いた手の指先で何かを摘まみ、少女に見せる。
指先に摘ままれた“それ”を見て少女の顔色が変わる。
そこにあったのは、目の前で抱き抱えられている なのは と奪いあっていた蒼い宝石(ジュエルシード)


「いつの間に!?」

「移動しながら回収させてもらった。これをなのはと取り合っていたんだろ?」

「ーーー渡して下さい」


少女が葛葉に、鎌に変わったデバイスを向ける。
葛葉は表情を変えず、話し続ける。


「別に渡してやってもいい。なのはは君に“敗けた”んだから。勝者には褒美がないとな?」

「これは遊びじゃない」

「その通りだ。遊びじゃない。だから聞きたい」

「?……何をーーーー」

「僕の片割れ(きょうだい)を傷付けて迄、何故これを集めるのか……その理由を知りたい」

「っーーー!?」


微かな殺気が放たれる。
少女は一瞬、身体を強張らせるが、直ぐに肩の力を抜いてデバイスを構え直す。
その挙動を見て、なのはとの練度差を実感する。
殺気に反応して固まってしまったのを見る限り、対人戦の経験が少ないようだが。


「知ってどうするんですか?」

「何も……知りたいだけさ、君の理由は僕の家族を傷付けて迄、正当性のあるモノなのか……それを確かめたい」

「ーーーー」


さっきよりも緊張が混じった声音で話す少女。
葛葉が理由を答えると、無言で此方を見ている。

二人共に、何も口を開く事無く、沈黙が周囲を支配する。
細やかに吹く風と木葉のさざ波が響き渡る。
先に沈黙に耐えかねたのは少女の方。

何かを口にしようとしたその時ーーーー。


「なのは!?」

「っーーー」

「……全く……空気の読めない小動物だ」


沈黙を破るように聞こえてきた妹を呼ぶ声。
何かを口にしようとした少女も、この場にいる人間以外の大声に驚き、口をつぐんでしまう。
盛大な溜め息を吐き、肩の力を抜く葛葉。

やれやれ、といった様子で頭を掻きながら、摘まんでいたジュエルシードを少女に向かって投げる。
自分に投げられたジュエルシードを慌てて少女が掴む。
困惑した様子で葛葉を見る。
昨日と同じリアクションに少し可笑しく思い、口元に笑みを浮かべて話す。


「邪魔が入った。今日はここまで……持ってけ」

「良いの?」

「僕としては、誰がそれを手に入れようと興味がない。君が持っていっても問題ない」


笑みを浮かべながら、興味がない様に言い放つ。
少女は、葛葉の言い様に控えめな苦笑いを浮かべた。


「ーーーありがとう」

「それは昨日も聞いた。今度会う事があれば、お礼じゃなくて話を聞かせてくれ」

「ーーーーうん……」


僅かに、小さく頷き、了解を示す少女。
次に、なのはの方に視線を向けた。


「今度あった時は手加減出来ないかも知れない」


なのはへと忠告する少女。
彼女からしてみれば、同じ物を奪い合う敵同士……仕方ないかもしれない。


「ジュエルシードは……諦めて」


最後のそう言い残し、飛び去っていった。
少女の去っていった方向を見つめ続ける葛葉。
腕の中のなのはは少女の言葉を聞き届けると再び意識を手放していた。
暫くして、なのはや葛葉のいる場所にサクラとユーノが到着した。
焦った様子で二人に話し掛けてくる。


「なのは!無事!?」

「マスター!?なのはちゃんは大丈夫!?」

「ーーーーお前ら、僕の心配してないのか?」


葛葉が不機嫌そうな声を出し、二人を睨む。
ユーノは兎も角として、相棒(サクラ)にも心配されないのは、中々悲しい。


「さっき意識が戻って、また寝たよ……怪我も軽傷だ。問題ない」

「良かったんだよ~……」


サクラは安堵し、目を少し潤ませながら、なのはの頭を優しく撫でる。
ユーノもなのはの無事を確かめると、葛葉に問いかけてきた。


「葛葉、ジュエルシードは?」

「あぁ……持ってかれた」

「持ってかれた!?誰に!?」

「さぁ?……そういえば、名前聞くの忘れてた」


これはうっかりしていた。
理由を聞くのに主観を置いていたため、名前を聞くのを忘れていた。
何処か投げ遣りな感じの葛葉にユーノが言葉を続ける。


「あれは危険な物なんだぞ!そんな適当なーーー」

「ユーノ……」


怒鳴る様に葛葉に食って掛かるユーノ。
それに対して、返す葛葉の声音は平坦。
刺すような視線でユーノを見る。
それを見て、ユーノが怯む様に言葉を詰まらせた。


「僕がここに来たのは、なのはを守る為だ。石ころの一つや二つどうでもいい。そもそも、お前は今まで何処で何をしていた?」

「それはーーー」

「どうせ、家にいたんだろ?小動物をつれ回すと目立つからな」

「ーーーーー」


葛葉の指摘が正しく、反論出来ないのか。
完全に沈黙するユーノ。
サポートすら満足に出来ない目の前の小動物に怒りを通り越して呆れ返る。
怒る事すら馬鹿馬鹿しくなった。


「まぁいい……だが、もし今度なのはに何かあったらーーー“殺す”ぞ?」

「っーーーーー!?」


今後の為に、脅しの意味としてユーノに殺気をぶつける。
葛葉から放たれた今までに感じた事のない殺意に気が遠くなりそうになりながらも、どうにか耐えきるユーノ。
身体を硬直させて動かない。
この程度、無様なものだが、本当の争いを知らない以上仕方ないだろう。
彼の一族は流浪の民みたいだが、本質は学者だ。
闘争と無縁で生きてきた事が会話していてよくわかる。


「今後は精々、なのはの盾役にでもなれ。補助役にはそれしか出来んだろう?」

「……はい」


葛葉の言葉に項垂れる仕草をするユーノ。
その姿を見て、多少溜飲が下がる。
なのはを地面に静かに横たえ、手を翳しながら言霊を呟く。


「ーーー『復元する原初の世界(ダ・カーポ・ゼロ)』ーーー」


横たわる身体の下に幾何学模様の蒼い魔法陣が浮かび上がる。
なのはの身体が、蒼き光に包まれ、先程まで負っていた怪我もバリアジャケットの損傷も跡形もなくなった。

「どうだ?レイジングハート。一応、君も損傷を受ける最善の状態まで戻したんだが」

《condition all green.Thank-you》

「どういたしまして」

レイジングハートからの礼に微笑み答える。
葛葉はなのはを地面から静かに起こし、おんぶすると歩き始めた。
背中で穏やかな寝息を立てる妹。


「帰ろうか?我が家に」

「うん!」


サクラとユーノを伴い、帰路に着く。
家に着くまでの間、葛葉は金色の少女を想う。
彼女が誰か害してまで、ジュエルシードを集める理由。
叶えたい願いあるのか、それともーーーー。

何はともあれ。
只の失せ物探しが、急に面倒な事になり始めた。
恐らく、彼女はジュエルシードを集めるのにユーノの様に管理局とやらに届け出の様なもの出していないだろう。
つまり、現在は違法な手段で集めてる事になる。


(管理局とやらが、そろそろ出てくるか……そうなったら不味いな)


流石に目の前で顔見知りが逮捕されるのは、寝覚めが悪い。
とはいえーーー。


(まぁ、此処は地球だし……管理外世界だから、どうとでも立ち回れるかな?)


此れから起こるであろう展開を予測を立てながら。

会ったばかりの少女の身を案ずる葛葉であったーーーー。









 
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