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環の理

作者:三島 渓山
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鋼の錬金術師
  人造人間3

 
前書き
同じ日に新話を二回も更新するなんて二度とあるまい! 

 





 エルリック兄は一緒に飲み込まれてたマヌケ(笑)に問いかける。



 「エンヴィー……ここは真理の扉なのか?」

 「へえよく分かったね。まあ“お父様”の力をもってしても本物になれなかった失敗作だけどね。」

 「そうか……くそ!」



 ドン!やりきれない思いを地面にぶつけている。



 「『扉』の開けた者が必要……『扉』自らを作る……“お父様”っては誰?大総統?」

 「はっ!あんなガキが“お父様”な訳あるか!」

 「大総統と“お父様”は別なのね」

 「大総統も造られた人間なんだな?」

 「そうだよ」

 「最悪だ……全てに賢者の石が絡んでやがる。イシュヴァールも“お父様”の指示なのか?」



 大総統の上“お父様”。大総統でも化け物面してたがそれより上がいるなんて……。



 「イシュヴァール!ははっ!あれ程簡単な内乱はないね!」

 「?」

 「覚えているかい?あの内乱が勃発したきっかけを!」

 「軍将校がイシュヴァールの子供を誤射した……と聞いたけど?」

 「そう!このエンヴィーが!子供を打ち殺した張本人!」

 「!!?」



 そんな馬鹿が……変身能力か……!それなら穏健派の将校が撃ち殺したという事実と繋がる……だって本人がやった事じゃないんだから!



 「あれは愉快だった!一つの出来事でドミノ倒しの様に広がる内乱は!本当に人間は操り易く面白い生き物だよ!」

 「…………」

 「その後の将校は軍法会議行き!邪魔な奴も消せて内乱も起こせて一石二鳥!」

 「てめぇが……」

 「止めろ!」



 エルリック兄が何をやろうとしたか分かった為、やめさせようと羽交い絞めにする。それを剥がそうとエルリック兄はジタバタともがく。



 「止めるな!あいつが、あいつが!」

 「ここであいつを殴ってもしょうがないわ!」

 「あいつがウィンリィの両親を奪ったんだ!大佐は何も思ってないのかよ!?」

 「軍服を着た瞬間、国家錬金術師となった瞬間に殺す覚悟は決めたわ!」

 「……!」

 「それにここを出る算段がついたのに仲間割れはしょうもないわよ」

 「本当か!?」

 「その為にはエンヴィーに手伝ってもらわないといけないんだけど……」



 エンヴィーの方をちらっと横目で見る。



 「……本当にここから出る方法なんてあるの?俄かには信じがたいね」

 「あるわ。だから貴方は落ち着きなさい」

 「……ああ」



 私はエルリック兄を離した。エルリック兄は深呼吸で気を静めている。



 「それで方法って何だ?」

 「真理の扉を開くのよ」

 「そんな事して何になるんだ?」

 「正しい入り口から入れば正しい出口から出れるんじゃないかって言ってるのよ」

 「……そうか。通行料さえ差し出せば出れるかもしんねえな」

 「そこでエンヴィーの出番だ」

 「ああ?」

 「賢者の石だよ。それを通行料にすれば三人ぐらい余裕で出れるわ。問題はどうやって扉を開くかだけど……」



 それが唯一思いつかない。



 「人体錬成だ」

 「……誰を錬成すんのよ?死んだ人間は生き返らないって身を持って経験したでしょ」

 「俺だ」

 「は?」

 「自分自身、生きた人間を錬成し直すんだ。それなら扉が開く可能性は高い」

 「なるほどね……」



 理にかなってると思うわ。真理に理がかなうってのは皮肉みたいだけど。



 「悪いけど錬金術はからっきしでね。あんた達に任せるよ」

 「私は人体錬成の陣を覚えていないから任せたわ」

 「おう」



 周りの海を形成する血で錬成陣を書くエルリック兄。書き終わった後、手を合わせる。まるで神に祈るかの様に。



 「懐かしいな。またこれを開けるだなんて」

 「エンヴィー」

 「はいはい」

 「……ってでか!?」



 何か巨大化してるよ!正に化け物って感じね!



 「こっちのほうが賢者の石を見せやすくてね」

 「これ全員人か……(一体何処で仕入れたのか)」

 「ぐ……お……」

 「いきなり……か……!」



 グラトニーに飲まれた時と同じ感覚、前世の私が感じたであろうと思う感覚と同じ……!



 「…あ…」

 「?」

 「ありがとう」

 「……!」



 その瞬間、また意識が持っていかれた。





 ~~~~~~





 「ぐぅ……」

 「エンヴィー?」

 「あれがエンヴィー!?」



 くっここはどこだ……?エルリック弟の声と……おっさんの声?



 「兄さん!」

 「アル?鎧の……ってことは……」

 「戻って来れたみたいね」

 「兄さん血が!」

 「俺の怪我じゃねえよ」

 「兄さん!」



 エルリック弟がエルリック兄に抱き着いた!その鎧姿じゃ相当痛いと思うよ?



 「いでででで!ヤバイって!骨が!折れる!」

 「兄さん兄さん兄さん!」

 「大げさだっつうの!心配し過ぎ!」

 「良かった……生きてた……」



 感動の対面だー(棒)



 「悪い、心配かけた」

 「……感動のシーンはそれぐらいにして実際ここはどこなのよ?」

 「おお……すっかり忘れてた。暗いなぁ……地下か?夜……か……」

 「これは驚いた。腹から人間が……」

 「ホーエンハイム……?」



 ホーエンハイム?誰かの名前か?



 「鋼の手足……鎧……エルリック兄弟か?」

 「……奴じゃない……?」

 「誰かと間違えてないか?ん?待て……ヴァン・ホーエンハイムの事か?」

 「奴を知ってのか!?」

 「一応父親です」

 「父親!」

 「おわっ!?」



 変な奴……敵対の意志はないみたい。それよりも興味が勝ってる?



 「はははは!あいつ子供なんぞ作りおった!」

 「どういう事……?」

 「さあね。このエンヴィーにも分からないよ」

 「しかし、『エルリック』が姓になっとるが?」

 「『エルリック』は母親の姓だ!ホーエンハイムと母は入籍してねぇ!」

 「そうか……母方の姓だから気付かなかった……奴はどこに?」

 「知らねぇよ!」

 「生きていた……奴が死ぬ訳がない……」



 エルリック兄弟の父と関係のある……グラトニーが食おうとしない……謎の人物。こいつが“お父様”なの……?



 「話聞けよ!」

 「ぬ?弟の方は左手がないな」

 「あ!アルすまん!お前の左手グラトニーの中に置いて来ちまった!」

 「嘘ぉ!?治るのこれ!?」

 「つーかお前の肉体が……扉の……」

 「これでいいかな?」



 ……確かに錬成の音はした。あれは錬金術、間違いない。間違いないが……ノーモーションだって?



 「お前達は大切な人材だからな。身体は大事にせねばならんぞ。他に怪我は?」

 「あ……大佐は?」

 「あー?特にしてないわ。さっさとこんな辛気臭い所から帰りましょ」

 「……誰だお前は?」

 「―――は?」



 まだまだこの長い一日は終わりそうにないみたいね。
 
 

 
後書き
モバマス・・・アーニャ当たりませんでした。 
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