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ストライクウィッチーズ1995~時を越えた出会い~

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第五話 ロマーニャ基地②

 
前書き
最近忙しくてあんまり寝れてないなぁ、とか思っていたら風邪をひいて熱を出しました。
なかなかどうして侮れないもので、夏風邪ってのは長引きやすいんですね。

と、いうわけで少々更新が滞り気味になるやもしれませぬ。
一応、現在は第九話まで書き溜めてあるので、調子のいい時を見計らって投下しまする。 

 
 ――ロマーニャ基地 食堂


 すっかり日も高く昇った午前。ロマーニャ基地はちょうど昼食時であった。食堂の大きなテーブルには、所狭しとおいしそうな料理が並んでいる。それをみんなで食べるのが501部隊のしきたりなのだが、本日はそこに若干1名の新入りが混じりこんでいる。

「はい、みんな注目。今日からここで生活することになる、沖田和音少尉よ」
「お、沖田和音です! 今日からお世話になります」

パン、っと手を打ったミーナが食卓の全員を制し、皆に対して和音を紹介する。
さて、大まかにここまでの経緯を説明しよう。
 司令室でミーナと坂本相手にあれこれと質問を重ね、所持品などを見せ、さらにはユニットの解説や整備班の見解などを総合的に鑑みた結果、どうやら和音は本当に未来からやって来た扶桑のウィッチである、という結論がだされた。
 となれば、当面の生活について一定の目途を立てなくてはなるまい。さてどうしようかとなった時、ミーナは満面の笑みを浮かべてこう言ったのだ。

『今すぐに結論は出せないわ。しばらくは此処に居ていいのだし、色々お話を聞かせて頂戴ね?』

 それはつまり、和音に対してここ第501統合戦闘航空団に――半ば居候ではあるが――入れ、と言っているのと同じことだった。行く当てもない和音に他の道がある筈もないことは火を見るよりも明らかである。和音の501逗留は、トントン拍子で話がついた。その後『部隊の皆に貴方を紹介しないとね』といって食堂に連れてこられて今に至るのである。

(ここが、第501統合戦闘航空団なんだ……)

 緊張でガチガチになりながら頭を下げる和音。
 自分が過去にタイムスリップしてしまった事も勿論だが、自分が今かの有名な第501統合戦闘航空団に居ると言う事が信じられない。

「あ、沖田さん。もう体は大丈夫なんですか?」

 厨房から割烹着姿の宮藤がやって来て言う。軍人の癖に割烹着が似合うというのもなかなかに奇妙な話だが、宮藤が着ると不思議としっくりくる。

「はい、もう大丈夫です。宮藤さん」

 どうぞ、と差し出された湯呑を受け取りつつ、ミーナに促されて席に座る。ちなみに、和音が未来からやって来た、という事情は既に基地の整備班を含むほぼ全員に知れ渡っている。無論、箝口令が敷かれたうえでの話で、基地の外には漏れないよう配慮してある。

「あの……沖田さんは、本当に未来から来たんですか?」

 遠慮がちにそう訊いてきたのは、今日も今日とて料理に腕を振るうリネット・ビショップであった。事情をミーナから聞いているとはいえ、大多数が半信半疑なのだ。

「あ、ごめんなさい。自己紹介がまだでしたね。私はリネット・ビショップです。よろしくお願いしますね」
「よ、よろしくお願いします」

 にこやかに笑顔を浮かべつつ全員に給仕をするさまは、ウィッチというよりメイドさんのようだ。

「それでその、沖田さんは本当に未来から来たんですか?」
「ええ、まあ来たというか、来てしまったというか……?」

 とどのつまりは壮大な迷子なので、実際問題あまり格好のいい話ではない。が、本当に未来からやって来たのだと分かると、居並ぶ一同は俄然和音に対して興味がわいたらしい。食事の手を止めて、ジーっと和音の方を注目する。

「まさか、リベリアンの冗談がそのまま真実だったとはな」
「申し訳ありませんバルクホルン大尉。私もまだ現実が信じられなくて……」
「なに、気にすることはないさ。同じウィッチである以上、我々は何時だって同志だ。よろしく頼むぞ、沖田少尉」
「は、はい!」
「なに言ってるんだバルクホルン。これは凄い事じゃないか。まるで映画みたいだよ!」

 呆れ半分、驚き半分で言うのがゲルトルート・バルクホルン大尉。カールスラント空軍きってのエースであり、規律と規則に大変うるさい厳格な人物である。そして横から茶々を入れるのがリベリオン出身のシャーロット・E・イェーガー大尉。両人とも和音の時代では英雄である。

「どうしてこう扶桑のウィッチと云うのはいつもいつも厄介ごとを持ち込みますの!?」

 と、そういうのはガリア貴族の出であるペリーヌ・クロステルマン中尉。日頃ツンツンしているくせに、根っこの部分でお人好しなのは、既に部隊の誰もが知るところだ。「……ほう? 私も扶桑のウィッチだぞ?」と坂本にジト目で睨まれて沈黙するところが何とも可笑しい。

(すごいなぁ……どうして私はこんなところに来ちゃったんだろう?)

 歴史の教本にその名を残すような偉人、超人を前にして、和音は何とも言えない微妙な気持ちで昼食のパスタを口に運ぶ。

「あ、これ美味しい……」
「ね! ね!? やっぱりロマーニャの料理は最高だよね!」
「う、うわあ!?」

 トマトの酸味が程よく効いたミートソースに笑顔を浮かべた瞬間、テーブルの下からなにやらすごい勢いで小さな塊が和音の胸に飛び込んできた。

「フランチェスカ・ルッキーニだよ! 階級は少尉で、えーと、えーと……よろしくね!」
「あ、はい。ご丁寧にどうも……って!」

 ――モニュモニュ

「ななな、何をしているんですか!?」
「何って、おっぱいを揉んでるんだよ?」

 胸をまさぐる手の感触に、あわててルッキーニを引き剥がす和音。かたやルッキーニの方は、そんなことも分からないの? と言いたげな表情で首をかしげている。あげく、しばらく掌を動かし続けた結果、なにやら悟ったような表情でうんうんと頷いて見せる。

(この人が、本当にあのルッキーニ中佐なのぉ……?)

 ロマーニャ最高の戦力と言われ、時のマリア姫とも親交があったエースウィッチ。
 太陽のように明るく朗らかで、それでいて戦闘では常に思慮深く、何よりも仲間の生存を第一とした在り方は、当時から高く評価されていた……ハズなのだが。

「うーん、芳佳やペリーヌよりは大きいかな!」
「「なっ!?」」

 目の前に居る本人はどうか。これではただの悪戯っ娘ではないか。
 他人のおっぱいを揉んで品定めしていたなどと、果たして後世の誰が知るだろう。
 加えて、隅の方ではなにやら打ちのめされた様な悲痛な面持ちで崩れ落ちる2人がいたりする。

(第501統合戦闘航空団っていったい……)

 未だ掌の感触が残る胸を抑えつつ、何故そんなに手馴れているのだと言い知れぬ恐怖を感じる和音。と、そこへシャーリーがやって来てルッキーニを抱き寄せる。

「こら、ルッキーニ。食事中にそういうことをするなって言っただろ?」
「で、でもぉ……」
「ダメだ。ほら、ちゃんとごめんなさいを言うんだぞ?」
「うじゅー……ご、ごめんなさーいっ!!」

 ムスッとした表情のルッキーニをあやしながら、シャーリーは膝の上で髪を撫でてやっている。その様はなんだか本当の親子のようで、実際、部隊でも姉妹か親子のようだと認識されていたりする。

「ええっと、沖田少尉だっけか? ルッキーニが迷惑をかけてごめんな。まだ見ての通り小さいんだ。許してやってくれないか?」
「いえ、私は大丈夫ですので。気にしないでくださいイェーガー大尉」
「そんなに堅苦しくなくていいよ。わたしのことはシャーリーって呼んで。ここじゃあみんなそうなんだ」

 バチーン、とウィンクを決めて魅せるシャーリーに、和音は思わず、ほうっと見とれてしまった。

(あれがシャーロット・E・イェーガー大尉かぁ……すっごく、大きい……)

 ウィッチになる以前はレーサーとして活躍し、その後は501部隊でも活躍。非公式ではあるものの、人類初の音速突破を成し遂げたウィッチとしても有名だ。退役後は故郷へ戻り、再びスピードレーサーの道へ。なによりも速さを求めることに生き甲斐を感じ、後年実用化されたジェットストライカーの試作機に対し、「速さが足りない」とダメ出しした逸話は今なお有名だ。

「おかわり欲しい人いますか~?」

 厨房から顔をのぞかせるリーネと宮藤。2人の料理は部隊でも好評のようで、あっちこっちからおかわりの声が上がる。

「沖田さんはどうしますか?」
「えーと……じゃあ、お願いします」
「はい。ちょっと待っててくださいね」

 満面の笑みで皿を受け取ったリーネにつられて笑いながら、和音は賑やかで楽しい昼食を過ごしたのだった。





「「「ごちそうさまでしたっ!!!!」」」

 東は扶桑、西はリベリオン、果ては欧州諸国を含めた世界各国のウィッチらが、皆一様にごちそうさまでしたをする光景は、和音にとっては実に意外だった。多国籍の部隊というのは、もっとこう、なんというか機械的な気がしていたのだが、どうやらそうではないらしい。

「宮藤さん、リーネさん」

 食器の片づけをしようとした宮藤とリーネを、ミーナが思い出したように呼び止める。
 くるりと振り返った2人に向けて、ミーナはにこやかにほほ笑みながら言った。

「一応、沖田さんの部屋を用意したの。2人が案内してくれるかしら?」
「「わかりました!」」

 驚いたような表情をする和音に対し、坂本とミーナは泰然とソファに身を沈めたままだ。昨日の今日だというのにこの手際の良さ。統合戦闘航空団の隊長は伊達ではないということか。

「ああ、それからもう1つ。沖田、このあと少し時間はあるか?」
「は、はい。問題ありませんが……」

 時間など腐るほどあるくらいだ。困ることなど何もない。が、肝心の仕事や何やらが何もないのだからどうしようもない。

「お前のユニットについて少し話を聞きたい。基地の案内が終わってからで構わんから、格納庫の方に顔を出してくれ」
「了解しました!」

 頼んだぞ、と言い残して食堂を出ていく坂本を見送ると、食器の片づけを終えたらしい宮藤とリーネがやって来て言う。

「行こう、沖田さん。基地の中を案内するよ!」
「ここの基地、ものすごく広いんですよ。地下には洞窟もあるんです」
「そうなんですか!?」

 驚いて目を丸くする和音の手を取ると、リーネと宮藤の2人は駆け出して行った。






「えっと、改めて宜しくお願いします。リーネさん、宮藤さん」
「ううん。そんなに気にしなくてもいいよ」
「同じウィッチですから」

 出身国も、生まれた時代も、何もかもが違うというのに、不思議と2人は和音を温かく迎え入れてくれた。食堂を出て、談話室を抜けた後、3人は長い石造りの廊下を歩いていた。

「あ、滑走路……ここ、海が見えるんですね」
「そうだよ。なんだか横須賀を思い出しちゃうなぁ」
「芳佳ちゃんも海の傍に住んでたんだよね。あ、ここから見えるのはアドリア海ですよ」
「なるほど、これが……」

 和音も欧州の海を見るのは初めてだ。なんというか、扶桑の海よりもなお一層濃く蒼い気がする。

「ねぇねぇ、和音ちゃんってさ――」
「か、和音ちゃん!?」

 唐突に、宮藤が和音の顔を覗き込むようにして話しかけてくる。と、和音は思わず宮藤の口から洩れた「和音ちゃん」なる一言に耳ざとく反応してしまう。

「うん。和音ちゃん。だって私たち友達でしょ?」
「友達……」
「そうだね。私の事もリーネ、って呼び捨てにしてくれていいんですよ?」

 うぅ、といつになく狼狽する和音。3度の飯より空が好き。男勝りに飛ぶことだけを追い求めてきた空戦馬鹿だ。こういう〝女の子らしい〟会話をしたことというのは、思えばあんまりなかったのである。

「あ、そうだ」
「なんでしょうか、宮藤さん」

 ポン、っと手を打った宮藤が思い出したように言う。

「和音ちゃんはさ、未来から来たんだよね? じゃあ和音ちゃんが生まれたのっていつ?」
「あ、私もちょっと気になるかも……」

 屈託のないその笑みには、個人の事情を掘り返して悦ぼうなどという無粋な気持ちは微塵もなく、ただ未来の自分がどうなっているかが気になるという、純粋な好奇心だけがあった。

「ええっと、ですね……」
「「うんうん」」

 和音が頭の中の記憶を辿りながら話し始めると、宮藤とリーネがグイッと顔を寄せてくる。

「今この時代が1945年で、ここへ来る前の時代は1995年でした。なので、今から数えると――」
「大体50年くらい、ってことだよね」
「私も芳佳ちゃんもきっとお婆ちゃんになってるね」
「リーネちゃんはおとぎ話の魔法使いのおばあさんみたいになってそうだなぁ」
「ええ~!?」

 自分の未来を想像して笑い合う二人。その様子は実に楽しげだった。

「あれ、そう言えば和音ちゃんは何歳なの?」
「私ですか? 今年で14歳になりました」
「「じ、14歳!?」」

 ちなみに、芳かとリーネはそれぞれ15歳で、部隊における最年少はルッキーニの13歳だ。ということは、和音は501部隊内でルッキーニに次ぐ年少組という事だ。――が、しかし。

「……リーネちゃん、和音ちゃんって14歳に見える?」
「……ううん。なんか、すっごくしっかりしてそうだよね」
「え、ええっと……??」

 なにやらヒソヒソと話し合うリーネと宮藤。と、そうこうしている間に、ミーナによって割り当てられた和音の部屋の前まで来た。年季の入った木製の扉が和音たちを出迎える。

「はい。ここが和音ちゃんのお部屋だよ。お手洗いがあっちの奥で、お風呂は少し離れたところにあるんだ」
「分からないことがあったら何でも聞いてね」

 ガチャリ、とドアノブを回して部屋の中に入ってみる。落ち着いた洋風の個室は、窓から射す陽光のおかげで随分と明るかった。惜しむらくは、荷物も私物もないが故に少々殺風景極まりないところか。まあ、こればっかりは仕方がないと諦めるしかなさそうだ。

「間取りは私や芳佳ちゃん達と一緒なんだね」
「あぁ~フッカフカのベッドだぁ~」
「み、宮藤さん!?」

 ここが基地の個室なのか、と感慨に浸る和音の横で、にへら、とだらしなく笑った宮藤がベッドに上に倒れ込む。食後の昼寝でもする気だろうか。

「ねえ和音ちゃん」
「なんでしょうか?」
「50年後の私たちってどうなってるの?」
「芳佳ちゃん、さすがにそれは……」

 宮藤の浮かべる笑みは本当に屈託がなかった。本能的に、和音は未来の事象を伝えるべきではないのかもしれないとも思ったが、この2人になら平気だろうと快諾した。

「そうですね……誰の話がいいですか?」
「どうするリーネちゃん」
「全員聞いてみたい気もするよね」

 宮藤同様、ベッドに上に川の字を作りながら話す3人。
 昨日の今日で挨拶を交わした者同士とは思えない。

「はいはい! じゃあ、坂本さんの話が聞きたい!」

 勢いよく言ったのは宮藤だった。それを聞いて和音は小さく頷いてから話し始める。

「坂本少佐ですか……たしか、魔法力がなくなってもしばらくは退役せずに前線に留まって、新人の教練や戦闘指揮にあたったそうです」
「へぇ……なんというか、今とやってることが同じだね」
「坂本少佐らしいね、芳佳ちゃん」

 記憶の糸を手繰りながら和音が続ける。

「その後、本国に戻ってあと、既存の海軍・陸軍に加えて、新たに空軍の設立に尽力されました。ジェットストライカーにも興味を示されたそうです」
「へぇ~そうなんだ」
「空軍って、たしか和音ちゃんの時代だと扶桑にも空軍があるんだよね?」

 ブリタニアにはこの時代でも既に空軍が存在するが、扶桑はいまだ海軍と陸軍の二軍制だ。空軍の設立はこれよりだいぶ先の事であり、これによって扶桑皇国軍の構造は大きく変わることになる。

「一応、私も空軍の所属ですので。あ、あと坂本少佐……私の時代では少将ですが、剣道の道場を開いていましたよ」
「そうなの?」
「はい。それはもう凄く厳しい道場だそうで、門下生を片っ端から叩きのめして鍛えあげていたそうです。あまりにも厳しいので、〝門限を破ると坂本送りだぞ〟なんて冗談ができたくらいです」

 本来、ウィッチの養成校では何かしらの武術をやるのだが、和音は柔術を選択していた。なので、坂本に剣術を教わったことはない。が、坂本に剣を学んでいた友人の事はよくおぼえている。門下生たちを引き連れて歩くその様は、さながら忠臣蔵の討ち入りもかくやと言う迫力があった。

「あ、あはは……なんだかすっごく坂本さんらしいや……」
「はっきりと想像できるところが凄いよね」

 必死に笑いをこらえつつ身もだえする2人。直接教えを叩きこまれている2人からすればかなり面白いのだろう。

「私は剣術が苦手なので、正直坂本少将の道場に行かずに済んでホッとしていました」
「あ~、わかるわかる。私も竹刀を持つとすぐに腕が痺れちゃうんだよね」
「ダメだよ、芳佳ちゃん。坂本少佐の訓練はちゃんと受けなきゃ」
「え~、わたしは訓練よりお昼寝の方が好きだなぁ」

 と、3人が顔を見合わせて笑ったまさにその時だった。



「――――ほう? なにやら面白そうな話をしているな、3人とも」



「「「うわあ!?!?」」」

 びっくりしてベッドから飛び上がると、果たして何時から其処に居たのか、竹刀を片手にこめかみをピクピクと震わせた坂本が立っていた。噂をすればなんとやら、である。

「あ、あの! 坂本少佐、これはその……ええっと……」

 慌てふためきしどろもどろになる和音。そんな和音の横で小さくなるリーネと宮藤。

「なあ、沖田」
「は、はいっ!」
「せっかくの機会だ。お前にも稽古をつけてやろう」
「……ゑ?」

 それは稽古ではなくもう何か別のものである気がしないでもなかったが、ひよっこ少尉の和音はビビッて何も言えなくなっていた。

「あとで格納庫に来いと言っておいたのに、いつまでたっても来ないから迎えに来てみれば昼寝だと……? そんなに退屈なら私が剣の稽古をつけてやる!」

 パシィン、と床を竹刀で叩く坂本。よもや50年後も全く同じことをしていようとは、さすがにこの時代の誰もが想像しなかっただろう。60歳を過ぎてなお力量は衰えず、道場で現役のウィッチをバッタバッタと斬り倒すその姿は、ある種の都市伝説と化したほどだ。

「……がんばってね、和音ちゃん」

 ボソ、っと宮藤が呟く。がしかし、坂本がそんな呟きを聞きのがす筈がなく……

「何を弛んでいるか! お前たち3人全員だ! さあ今すぐ外に出ろ! ウィッチたるもの、一に訓練二に訓練だ!」
「「「ええええ――――っ!!!!」」」

 こうして、3人とも夕ご飯まで延々竹刀を振らされる嵌めになったのだが、それはまた別のお話である。
 
 

 
後書き
熱の所為で頭がおかしいのか、作中におけるズボンがパンツに見えて仕方がない今日この頃です(汗)
 
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