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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第19話 二人の初恋が激しくなるようです



Side 愁磨


所変わらず、此処はメガロ首都。

あの後、起きたジャックが俺とナギをからかって来たが、俺とナギとエルザ姫の一撃でまた沈んだ。

ああ、休暇に入ってすぐに、ノワ―ルとアリアの事は二人に紹介した。

アリカは日記読んでたから驚いて無かったけど、ちょっと悲しそうな顔してた。なぜだ・・・。

そして、エルザさんはすげー驚いてた。


えーと。で、頭脳担当で話した結果、結局俺も調査に駆り出さされた。

その上、敵基地の破壊までやらされた。と言う訳で―――――――


「もう動きたくない……………。」

「・・パパ・・・お疲れさま。」(ナデナデ


ああ~。久しぶりのアリアたん・・・。

因みに此処は『闇』の家の中じゃない。

あっちじゃまだ数時間しか経ってないが、それでも中に居るよりはいいだろうと・・・

ああ、説明もダルイな・・・・・・・。


「シュウったら、本当に疲れているわね……。でも…垂れてるシュウは可愛いわ………。」


ノワールが頬を撫でて来る。やべぇ・・・ゾクゾクする。


「愁磨、お楽しみの所申し訳ありません。

急な用事がありま・・ノワールさん、アリアちゃん。そんなに睨まないでください・・・・。」


と、アルが空気を読まずに来た。


「酷いですね愁磨。私が好きで家族の団欒を邪魔しているとでも?」

「お前の場合否定出来んだろうが。ってゆーか心を読むな。」

「顔にありありと出てましたから。所でアリアちゃん。

今日も可愛いですね。このスk「ノワ―――――――ル!!」」

「分かっているわ!!アリア、逃げるわよ!!!」


ノワールはマッハで(比喩にあらず)アリアと一緒に『闇』へ逃げ込んだ。

既に視聴無効にしてあるので、変態が何を言おうと無駄だ。


「フフ、手厳しいですね。」

「俺の娘にちょっかい出したらぶっ殺すからな。」

「私はただ愛でたいだけなんですが・・・。まぁ、今は我慢しましょう。

実は、アリカ姫がさっきから貴方を探してあちこちうろうろしているのですが。」

「……俺、疲れてるんだが……。仕方無い。えーと、あったあった。『活力ドリンコ』~~。」


要するに、リポ○タンDの即効&効力upした物だ。名前は、某狩りゲームと一切関係ない。


「(ゴクゴク)あ゛~~まっずい。」

「貴方なら美味しく創れるでしょう?」

「馬鹿、良薬は口に苦ぇんだよ。」

「変な拘りですね・・・・・。」

「ふん、俺の勝手だ。別にいいだろ。」

「そうなのですけれどね。・・・ああ、アリカ姫の場所はお分かりで?」

「『答えを出す者』で一発だよ。んじゃ、行って来らぁ。」

「バグよりはチートですよねぇ・・・・・・。」


実際その通りだしな。

――えっと、アリカ、アリカは何処だ~。


「あ、丁度良いところにおったな。

済まぬ、シュウマ。聞きたい事があるのじゃが。」

「後ろですかそうですか。で、何のよ―――」


と、振り向くと、アリカは今までの薄桃のドレスでは無かった。

アイボリー色の体の線が出るタートルネックの長袖で、胸には菱形のシルバーアクセサリー。

ふわりと広がった黒のフレアスカートと、同色のニ―ソックスが完璧な絶対領域を作っている。

透明な金髪は何時も通りストレートだが、常の苛烈さより今は可憐さと色気を感じる。

雰囲気としては、大人っぽい恰好の高校生?、だろうか。

これは・・・・、総合点――――


「な、なんじゃ、ジロジロ見おって。

どうせ私には似合ってn「PERFECT……。」…え……。」

「いやいや、これはこれは素晴らしい。芸術レベルだ。なんて言うか、そう、良いな。

似合ってるぞ。」

「お、お世辞などいらぬ!!///

こ、これは義姉君に無理矢理着せられた物であって、別に…私の様な、無愛想な女になど似合わぬ。」

「俺がお世辞を言うと思ってんのか?俺が似合うって言ってるんだから、似合ってるんだよ。」

「口の減らん奴じゃ!!も、もう良い…。義姉君を見かけんかったか?」

「ん?いや、見てないけど。」

「そうか…。実は、義姉君と買い物に行こうとなっての。

『ドレスにローブでは無く、これに着替えなさい。』

とこれを渡されたのじゃ。それで着替えたは良いが、肝心の義姉君が見当たらんのじゃ。」


・・・ん?なんかアルの話と違―――


「あら、アリカ。探し―――あらあら、お邪魔みたいね。」


エルザさんが狙い澄ましたタイミングで来て、ニヤリと笑う。

その顔には『してやったり』、とありありと書かれている。よもや、変態と姫様がグルとは・・・。


「何よ、アリカ。一緒に行く人居るんじゃない。」

「え?あ、義姉君、誤解じゃ!これは―――」

「私は他の人と行くからごゆっくり~。シュウマさんアリカをよろしく。頑張るのよ~~~」

「えぇ?!ちょ、まっ――――」


――時既に遅し、エルザさんはもう視界の外だ。

異常事態に体が言う事を聞かないって本当なんだな・・・。


「……如何しろと言うのじゃ、義姉君……。」


途方に暮れるアリカ。・・・偶には乗るのも一興か。


「しゃーないな。買い物行こうぜ、アリカ。」

「な?!何故私が主と行かねばならぬのじゃ!」

「…まあ、強制はしないけどなさ。嫌だってんなら別に一人で……いや、ノワールとアリアと

一緒に行くか。久しぶりに家族サービスでm―――(ガシィッ!!)」


ギリギリギリと俺の腕を掴むアリカさん。

痛い!痛いですって!!王家の力入れんといて!?


「そんな事をせずとも良い。行くぞ、シュウマ。」

「え、いやだってさっき―――。」

「嫌とは一言も言うていない!!良いから行くぞ!!」


ええ~。なんで怒ってるの?!俺なんかしたか!!?

ひょっとしてもうルート確定ですか!?


Side out

―――――――――――――――――――――――――――


subSide アリカ


「嫌だってんなら別に一人で……いや、ノワールと――」


シュウマが言った瞬間、私の胸がズキン、と痛んだ。・・・・なんじゃ、これは・・・?


初めてノワール殿を紹介された時も、こうであった。

二人が結婚しておることは、日記から承知しておったが、

実際にその事を聞いた時にも、胸が痛くなった。


「そんな事をせずとも良い。行くぞ、シュウマ。」

気付くと私は、シュウマの腕を掴み歩き出しておった。


―――後日、義姉君に聞く所によると、これは嫉妬じゃと言う。

じゃが、それは有り得ん。


「え、いやだってさっき―――。」

「嫌とは一言も言うていない!!良いから行くぞ!!」


それでは・・・それでは、まるで、私が―――――


Side out


―――――――――――――――――――――――――――



Side エルザ


フゥ、本当に手間の掛かる妹ね。――いや、義妹、ね。

シュウマさんにはもう奥さんが居るけれど、あの子も王族。

一夫多妻なんて気にしないだろうし、幸いシュウマさんもノワールさんも抵抗は無いみたいですし。



――アリカの政治手腕は、小さい頃からその才を認められ、将来は確実に王族一と言われていたわ。

それを狙う他の王族があの子を引き込もうと多々手を使い、その結果あの子は、

誰にも表情を見せなくなった。

・・・その分、それ以前から熱中ていたシュウマさんの事に更に力を入れ調べる様になって行き、

何時しか惹かれて行ったわ。


何故私が知っているかと言うと、私には偶に話してくれたの。

その度に、その時だけは、少しだけ楽しそうな顔をしていたわ。

何故犯罪者の事などをと思っていたけれど、『日記』を写した物を少しだけ見せてくれて、

納得したわ。・・・歴史が確実に覆る内容だったのは、驚いたけれど。


会った事の無い王子様に、想いを馳せる。あの子の恋は、それと似ているわ。私もだけれど。

私はナギへの想いを恋だと理解しているし、行動もしているわ。

けれど、あの子は人と関わらなかったせいで気付いていない。

不器用な妹の初恋、・・・いいえ、最初で最後になるであろう恋を、

成就させてあげたいと思うのは、姉として当然でしょう?


「ナギ、探したわ。い、いま、お暇かしら?」

「ん、お、おお、エルザか。

そ、そんな…いや、えっと……き、着替えて、どうしたんだ?」

「よかったら、その………。お買い物に、行きませんか?」

「あ、おう、いいぜ。ひ、暇だったからな!!」


でも、私は私の事をしないといけない。いい加減気づけないと―――


Side out



Side 愁磨


アリカに連れられ、買い物始めてから4時間。

俺は服だの何だので積み重なった荷物で前が見えなくなっていた。

女って、何でこう、買い物長いんだろうな?


「シュウマ。あれは何じゃ?」


と、アリカが指差した先には殴り合う男達と、半券片手に叫ぶ大勢。


「ん~?ああ、野試合だよ。拳闘大会みたいに金掛けて、どっちが勝つか予想するやつ。」

「なんじゃと?そんな事をして良いのか?」

「許可取ってなきゃ、今頃警備が飛んで来てるよ。

偶に喧嘩が白熱して、野試合みたいになる時がそうだな。」

「……見ていて気持ちの良い物では無い。行くぞ。」

「へいへい、姫様。」


・・・アリカは外に出た途端、全くの無表情になった。

今は認識阻害効いてるから、王女様とか考えなくていいのにな。


女の子がつまんなそうな顔してんのって嫌いなんだが・・・。

正直、会って数週間経ったが、好みとか趣味とか一切分からないし、アリカの場合、

他人に自分のそう言うの話さないから、余計糸口が掴めないんだよな~。


「で、今度はどちらへ行かれますですか?」


ま、こう言うのはゆっくり解決するしかないんだけどな。


「変な言葉遣いをするな。

……今日の用はもう済んだ。かえr「危ねえ!!!」――?!」


俺がアリカを抱え横飛びした瞬間、


ドゴオオオン!!!!

横で爆発が起こり―――――


「大丈夫か?!エルザ!!」

「ええ、ナギが守ってくれたから……。」


赤毛の鳥頭と、お姫様抱っこされたお姫様が飛んできた。


「くそっ、こんな街中でデカイ魔法使いやがって!!死人出てねぇだろうな?!」

「やぱり、今のは……。」

「フム、重傷者2名、軽傷者16名だな。重傷者も命には問題無い。

それと、間違いなく『完全なる世界』の奴だろうな。

流石に、お前等のどっちを狙ったのかは知らん。」

「?!あ、愁磨か!ビビらせんなよな!?」


やれやれ、やっと気付いたか・・・・。


「ナギ、お前もデート中だったのか。野暮なモンだよな~。」

「な?!ち、ちげぇよ!!///これはただ買い物に来ただけ―――」

「うら若き男女が、二人っきりでお買い物。これをデートと言わず何と呼ぶ。

それにな、そんなに否定したから、エルザさんが泣きそうじゃないか。」


俺の言葉に慌てて後ろを振り向くナギ。


「ぅえ?!いや、違うんだ、エルザ!これは……。

って、なんかすっげえ良い笑顔なんだが?」

「それについては分からん……。で、追跡魔法は掛けたんだろうな?」

「勿論だぜ!!やっと尻尾を出したんだ、逃がさねえぜ!」

「よし、いい子だ。エルザさんとアリカは一緒に基地に戻っててくれ!!

………アリカは何行った?!」

「……シュウマさん、それはギャグなのかしら?」


ん?おお、そう言えばずっとお姫様抱っこのままだったな。


「悪い悪い、余りにも違和感が無かったもんで。

立てるか、アリ「(ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!)」……。」


・・・・何故か泣きそうな上、震えてるんですが?


「…あの、シュウマさん……これは…。」


なんか複雑な顔のエルザさん。

んー・・・、火事か爆発にトラウマでもあるのかな?


「よっと。んじゃ悪いけど、俺はアリカと一緒に戻るわ。

ナギ、エルザさんと一緒に敵基地ぶっ壊して来い。」


アリカを抱え直し、ナギ達に言う。


「ちょ、ちょっと待てよシュウマ?!そんな所に連れてったら危険だろうが?!」

「生憎、俺は腕が塞がってて二人は無理だし、それに。」

「私の魔法は役に立つわよ。忘れたのかしら?」

「ぬぅぅぅ、しゃあねえ!!行くぜ、エルザ!!」

「ハイ!」


ナギはエルザさんを抱え、襲って来た奴を追って行った。

さてさて、俺はアリカを連れて帰りますか。


―――――――――――――――――――――――――――


subside アリカ



「危ねえ!!!」


シュウマがいきなり叫び、私を抱えて横に飛んだ。


「な、何じゃ、いきなr―――――――」


突然の所行に、抗議しようとしたその瞬間――――


ドゴォォォォオオオオオン!!!!

横で、魔法による攻撃が爆発が起こった。



火事で火傷を負う者、逃げる者。

その光景は、私の両親が殺された、あの時の様で―――


side out


―――――――――――――――――――――――――――――



俺とアリカが基地に帰って来てから10分程経ったが、アリカはまだ浅く呼吸し、

震えながら俺に掴まっていた。

帰って来た時、お姫様抱っこしたままだったから、あいつ等が冷かそうと来たのだが、

アリカの様子に気付き、そのまま静かに去って行った。・・・余談だな。


「…すまない、無様な所を見せた……。」


アリカが復活した風に俺の胸に手を付き離れるが―――


「もうよい、大丈夫じゃ……あっ?!」


まだフラフラしていたので案の定倒れそうになったが、予想していたので難無くキャッチした。


「全く、何が大丈夫なんだよ。ほら、寝てろ。もしくは、また抱き締めてやろうか?」

「………すまぬ……。」


と言ってアリカは再び、俺に体を預けて来る。

・・・・・おかしいな、冗談の方を取られたぞ?


「…調子狂うな……。一体どうしたんだよ……?」


アリカの頭と背中をポンポンしながら聞く。


「…そうじゃな…主になら、話しても良いな……。

歴史を悉く覆す存在じゃ。今更、この程度の話しをしても、何ら問題無いじゃろう……。」


アリカはそう言うと、話しだした。

なんか、失礼な事言われた気がするが・・・・・・。


「あれは……、私が6歳の頃じゃった。……とある王子の誕生日の宴であった。

そこには、前国王を始めとした我が国の要人が集まっておって、私の両親もおったのだ……。

私と義姉君は、親に止められ行けなかったのじゃが、

忍びで行ったのじゃ……行って、しまったのじゃ。」


――あとは、簡単な話だ。現国王派の連中がクーデターを起こして、虐殺。

隠れていた二人は居ない事になっているから助かった、と。


「そして奴等は、証拠隠滅に、屋敷を……爆破したのじゃ。

…と言っても、火を放つ為の爆破だったらしく、完全には倒壊せんかったのでな……。

……私と義姉君は、火の放たれた屋敷で、必死に親を探した。」


――段々と、アリカの顔が青くなり、また震えて来た。


「が、そこは……まさに地獄だったのじゃ……。

火に喘ぎながらも、足を斬られ動けん者…、断続的に続く爆発…。

そ、そして…、漸く見つけた、と、父様と母様は……、」

「……もういい。もういいよ、アリカ………。悪かった…、辛い事、思い出させたな……。」


アリカを強く抱きしめ、再び頭を撫でてやる。

――と、今度はアリカの顔が真っ赤になって来た。


「………シュウマ、主は……

主は、王女と云うものを、どう、思う………?」



side out




Side アリカ



「………シュウマ、主は……

主は、王女と云うものを、どう、思う………?」


私が問うと、シュウマは、不思議そうな顔をする。

何の脈絡もない問いでは、当然じゃろう。


「え、……どう、って言われても………。王女、じゃないか……?うん。」


尤もな回答をするシュウマ。しかし―――


「私が聞きたいのは、そう言う事では無い……。」


他人を信用しなくなって久しい私が、出会って僅かしか立っておらん男の腕の中に居て、

その上、安心までしておる。


「そ、その……ぬ、主は………。」


最近までは、物語の中の人物じゃった。・・・義姉君の言葉を否定したが、そう、なのじゃろう。


「主は、王女が……、自分勝手に……恋愛を、して……良いと思うか?」


何時の間にか、そうなっていた事に、

気付かなかった、いや・・・気付かぬ振りをしておった。


「え、う……え?アリカ、なに言って―――」


しかし、気付いてしまったモノは、仕方ない・・・。

義姉君もやっておるのじゃから・・・・・私も良いじゃろうか・・・?


「シュウマ、私は…、私は……主の事が………。」


この気持ちを、言うくらいなら、

言うだけなら、許されても良い、じゃろう・・・?


「…シュウマの…、事が……………。」


Side out
 
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