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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第12話 魔法学校での日々

 
前書き
結局こうなりました。

ネギアンチ成分が濃くなりますので、ご注意下さい。 

 
 大泣きに泣かれた。

 ネギ兄さんに会う会わないよりも、ネカネ従姉さんに会う方が辛かった。

 泣かれるのはわかってたから。

 だからさっさと日本へ帰りたかったのに。
 何で連れてくるかなぁ、高畑さんは………。



 ネカネ従姉さんは、父ナギ・スプリングフィールドの兄、ロギ・スプリングフィールド叔父さんの一人娘である。今は石像と化しているロギ叔父さんは、あの事件の日までオレ達双子を育ててくれた恩人だ。

 ロギ叔父さんは、バカ親父とは違い、並み程度の魔法使いだったみたいだけど、親子3人慎ましく暮らし、季節の折々にちょっと贅をこらすような「魔法使い」ということを除けばごく一般的な家庭人だった。
 オレ達双子は、ナギ教の村人がわざわざあつらえた母屋から離れた別宅で3歳の誕生日から暮らしていたが、夏の熱帯夜のある夜、寝苦しくて起きたオレが冷たい飲み物でももらおうと母屋に伺った時に、叔父夫婦がたまたま話しているのを立ち聞きしたことがある。

 それは、ネカネ従姉さんだけでなく、オレ達双子の分の学資等の積み立ての話しだった。

 なんと、バカ親父は叔父夫婦に養育費などをまったく渡していなかった。「英雄」とか呼ばれ、大戦時には「紅き翼」とかいう名で傭兵をしていてそれなりに金はあっただろうに………。少なくとも「闇の福音」の600万$という懸賞金は手元にあったはずだ。
 それなのに、一銭も養育費を渡さず押しつけた不肖の弟の息子というだけで、2人分もの余計な積み立てをしてくれていたのだ。本来ネカネ従姉さんの分だけで良かったのに。

 本当に情けなくて頭が下がる思いだった。
 叔父夫婦には本当に感謝している。

 スタン爺さんとココロゥアおばさん、そして叔父夫婦だけはなんとか石化解除して助けたい。
 あの村でオレ達双子を「英雄」の息子としてしか見ない「ナギ教」の奴らとは違う、本当のオレ達を見てくれていた数少ない大人だから。





  ☆  ★  ☆  





 「泣く子と地頭には勝てぬ」とはよく聞くが、あの日乱入してきたネカネ従姉さんにより、なし崩し的にオレのメルディアナ魔法学校の在籍が決まった。

 符術師や神鳴流剣士として生きていけるオレに「魔法使い」の称号など意味がないと話しても聞く耳を持たず、まったく話しにならない。しかも泣く。只でさえ女の人が泣くのを見るのはキツイのに、ネカネ従姉さんのような美人さんがとつとつと泣くのは本当に堪える。反則だと思う。

 ぶっちゃけ、日本に逃げ帰ったら追っかけてきそうで嫌だった。

 で、妥協の産物として「メルディアナ魔法学校を卒業するまではここで暮らす」ということになった。

 ネギ兄さん?
 最初の挨拶が済んだらすぐ席を立ったよ。
 なにやら、図書館で読書中にアーニャ経由で校長室に連れて来られたらしくて、一言二言交わしたら本当に直ぐ出て行った。最初に聞かれたのはあの事件の時のバカ親父のことで、次に無事で良かったと言われたのは、らしいっちゃ、らしくて笑えなかったが。
 まぁ、それを追いかけて話しもそこそこに出て行ったアーニャはご愛敬か。
 あの高畑さんでさえ、あんまりな成り行きに愕然としていた。

 結局、最初は年齢通りの学年に通わされる流れだったが、話しの末、ネギ兄さんと同じ学年での編入試験を1週間後にしてもらった。当然合格し、3月から7月という四ヶ月だけ通うことにするのに成功した。
 ちなみに試験範囲が事前にわかるペーパーテストのたぐいは、「念」での暗記力の強化と「分身(わけみの)符」での4人態勢で、まったく死角がない。今回は、見られるとマズイので分身符は使えなかったが。

 実技試験の方も卒業するだけなら、「魔法の射手」「武装解除」「障壁(盾)」の3種類の呪文をなにか1属性で使えればいいので、実は編入試験前の1週間で一番覚えやすかった(リニスが先生となって教えてくれるのに雷属性が相性が良かった)雷属性の魔法は覚えてしまっている。
 実際は個人装備が試験で持ち込み可だったので、デバイスにミッド式のよく似た3種類の魔法を登録しておけば覚える必要すらなかった。



 それから、ネギ兄さんとはほとんど没交渉だ。
 お勉強しかしていないネギ兄さんより鍛えているオレの方が10センチは背が高いとか、「立派な魔法使い(マギステル・マギ)」を目指すならまずは現実を見ろよとか、魔法の呪文を増やすだけじゃなくて魔力の制御もしかっり練習しろよとか、禁呪書庫に忍び込むなよとか、忍び込むならアーニャを巻き込むなとか、色々言ったら怒って無視されるようになったからだ。
 やはり弟から見ようとしていないことを見るように指摘されると兄として嫌だったかな?



 5月に入る前の最後の日曜日に、オレ達双子の誕生日(5月2日だ)を休みが取れたネカネ従姉さんとアーニャが街のレストランで祝ってくれたが、ネギ兄さんがその席で、くしゃみによる「風花 武装解除」を暴走させ、レジストに失敗したネカネ従姉さんやアーニャの服を脱がして大騒ぎになったのは苦い思い出だ。ちなみにアーニャはオレには見られたくなかったからか、ネギ兄さんではなくオレに対し「こっち見んなー」と蹴りを放ってきた。理不尽である。

 誕生日後、日本のGWの連休に合わせて忍義姉さんとすずかが遊びに来て、祖父さんやネカネ従姉さんと挨拶を交わした。祖父さんとは今後の話しを詳しくしたようだ。
 ネギ兄さんとは挨拶だけにしてもらった。
 何と言っても誕生日の時の前科があるので、すぐに2人をネギ兄さんから引き離したというのが本当なのだが。
 2人がネギ兄さんに服を脱がされるとこなんか見たくない。
 もっともネギ兄さん自体オレの関係者に興味はなさそうだったけど。

 魔法学校は休んで(さぼって)すずかとロンドン観光した。
 楽しかったけど、倫敦塔に魔術協会の総本山があるかとか、ロンドンのどこかにダイアゴン横丁があるかとか聞いたり調べたりはしていない。「君子危うきに近寄らず」ってね。 

 誕生日祝いも兼ねて2人は来てくれたみたいだけど、それとは別に忍義姉さんには一番安いダイオラマ魔法球を購入してきてもらった。魔法球の内外の時間差が0の、そこそこの建物があるだけの最低ランクの魔法球だ。お金は符を納入したお金で相殺した。

 何故魔法球が必要なのかというと「魔法使い」にばれないように「リニスが人化するスペース」「修行するスペース」「分身符を使うスペース」「分身を使って符を作るスペース」が欲しかったからだ。
 鶴子さま経由で「分身符」の購入意欲が広まっており、実はかなりの増収が見込めるのだ。

 なにより、日本の食材等もかなり魔法球に入れてきてもらったので、部屋で食事を取る場合、リニスに魔法球内で料理してもらえば、好みに合わないイギリス料理をもう食べずに済むのだ。

 ちなみにリニスは、大魔導師と呼ばれるプレシア・テスタロッサが全盛期に創造したので、大魔導師及び卓越した魔導科学者としてのプレシアの魔法理論や知識、技術、雷属性の変換資質、最大魔力量に加え、アリシア・テスタロッサの良き母であるプレシア・テスタロッサの家庭的、母性的資質まで持つハイスペックな使い魔であり、フェイト・テスタロッサに戦闘技術を教導できる優れた魔導師でもある。オレの使い魔になってからは強化系の念能力者にもなった。日本で符術、メルディアナで図書館から魔法使いの魔法の指南書をオレ経由で借りて学んでいる。多分そのうち神鳴流も使えるようになるんじゃないか? とも思える廃スペックだ。

 なので、料理なんかもすごく上手である。
 豊かな食生活は人生を彩るよね、と言いたい。



 6月には卒業判定試験が行われたが、座学に関しては一般教養((イギリス)語・数学・理科・歴史・地理・外国(ニホン)語)・魔法学共にネギ兄さん・アーニャを抑えトップだった。
 実技については、属性ごとに受けれる試験を、手を抜いて雷属性1つでしか受けなかったため、風・光・雷・火・水の5属性や火・光・風の3属性で試験を受けたネギ兄さんやアーニャに大差をつけられた。ちなみにこの魔法学校の試験は、一つの属性の効果や制御を突き詰めることよりも、複数の属性を使えることを是とするため、アーニャではなくネギ兄さんが主席となった。
 バカ親父の形見の超高性能な魔法の杖がないとほとんど魔法が制御できない上に、杖があっても時折魔力が暴走するネギ兄さんが、主席どころかここまで飛び級できていることすらちゃんちゃらおかしいワケだが。

 結局成績自体は中の上ぐらいだった。





 そして7月20日やっと卒業式である。 
 

 
後書き
やっと本編に入れます 
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