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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第三十七章 聖王の……ヴィヴィオ?



兵は神速を尊ぶ。
聖王のゆりかご本体に侵入するグループの仕事の速さがそのまま、事件解決速度の速さになる。
ヴィヴィオ救出は、俺となのはとヴィータが先行して聖王のゆりかご内部を進んでいた。
厄介だったのは、AMFによって俺の魔力供給が外の機動六課メンバーに供給できないことだ。
しかし、魔力供給がなくても機動六課メンバーなら何とかするだろう。
聖王のゆりかご内部ならば魔力供給ができる。
恐らく、侵入口近くならば外にも魔力供給可能だろう。
なのはとヴィータ以外に魔力供給先がない為に、魔力を大量に使って良いと判断した。

「速さが必要だけど、これは無いなー」
「えー、別に良いじゃん」

なのはの背中に抱きついて飛んでいる。
移動速度を重視するなら、俺が魔力供給しながらなのはが飛んで俺の魔力を使い加速し、高速移動する。
提案しといて格好がつかない様だ。
しかし、このスピードは速すぎるだろう。曲がる時どうするつもりだ。

「お前ら、イチャイチャし過ぎだバカやろう共め。別に羨ましくないんだからな」

ヴィータにも魔力供給しているので、ちゃんと付いてきている。
しかし、あれだ。
なのはのバリアジャケットもヴィータのバリアジャケットもなんでスカート形状なのだろう。
パンツが見えてしまうではないか。
まあ、今は俺以外男がいないから良いけど。
それに、見せパンだろうしな。
余り呑気に構えていてはいけないと思うが、如何せん抱きついての移動はなかなか良いものだ。

「分かってるさ。ヴィータそろそろ分岐地点だぞ」
「ああ、しかしここまで安易に侵入させる敵の目的がわからないぜ。気を付けろよ」

コレといって敵が現れてこなかったのは、スピード重視の移動が幸いしていると考えて良いのだろうか。
ヴィヴィオを助けるのと、駆動炉を壊して聖王のゆりかごを止める。
どちらから一方が達成されれば止まるかも知れない。
なのはに抱きついて移動して、更に敵すらも出てこないので俺は情報収集をしていた。
その結果の判断である。

「1人でいけるな? 油断せずに行こう」

ヴィータは強い。
だから掛ける言葉は少なくて済む。

「ああ、魔力供給は頼んだぜ。カートリッジを温存しておきてーし」
「分かってる。じゃあ、またな」

分かれ道に差し掛かり、ヴィータは曲がって行く。
俺達はそのまま直進だ。一瞬で、ヴィータの姿は見えなくなった。



「なのは、回避に専念。通り過ぎた後に誘導弾をぶつける」
「うん!」

ヴィータと分かれて少し移動してからガジェットが少しずつ現れてきた。
やはり、侵入してからの速さに対応しきれていない。
ガジェットを回避して通りすぎる。ガジェットが現れ始めてからなのはを囲む方に誘導弾を周りに展開させている。
スピードに乗ったまま誘導弾を維持しているので、そのままガジェットにぶつけるだけで、充分破壊力はある。
俺一人では出来無い攻撃方法だ。
移動スピードを落とさず、さらに攻撃も出来る。
防御と移動と攻撃の三重である。
これは、アリサのおかげだと言える。
シューティングゲームによくある自機を中心にサポートするシステムをそのまま魔法で実現させているだけなのだが、効果は実証された。
今後、空戦の訓練に入れよう。
AMF空間でのさらなる応用は難しいが、誘導弾を俺達を守るように展開するくらいはできる。
侵入の基本方針はなのはを温存することだ。
聖王のゆりかごの起動及び、動力はヴィヴィオになる。
よって、ヴィヴィオの警護には強力な人材がいると思われるからだ。
恐らく練度の高い戦闘機人の娘の誰かがいるだろう。

「50メートル先右ね」
「了解なの。煩悩退散、煩悩滅却」

なのはの背中に抱きついているわけで。
必然的会話すると耳元で話すわけで。
息をすると首元に息がなのはにかかるわけで。
なのはの性感帯は背中側に多いわけで。

「終わったらたっぷりするから我慢ね!」
「その言葉、忘れたらダメなの」

ヴィヴィオの事を忘れていないか不安だ。
しかし、ここに来ていつもの調子を取り戻した辺り、なのはは実戦向きなのだろう。
たぶん。



王座の間。
部屋の奥、椅子に座るヴィヴィオの左右横に、ディエチ、クアットロが、椅子の前に階段がありそのすぐ側に並んでトーレ、チンクがヴィヴィオを守る様にいた。
広く突き抜ける部屋だ。
ここならば空戦に支障はない。

「なのは、ヴィヴィオ横にいる奴らは遠距離系、目の前にいる奴らは近接戦闘系だ」
「いらっしゃーい。ご主人様。挨拶抜きに戦闘を構えるなんて無粋ですよー」
「……、ご主人様?」
「そこに反応するな。陽動、策謀。その類だ……」

クアットロとの関係は秘密にしておこう。

「まあ、酷い。――」

問答無用でディエチに対してなのはが砲撃を撃った。

『問答無用とは。恐ろしい人。ご主人様と、貴女2人ではこちらが不利ですね。目覚めてもらいましょう。古代の王に』

クアットロは撃たれて消えた。どうやら幻影だったようだ。
しかし、通信でこちらに話しかけてくる。

『陛下、目覚めて下さい。頑張ってやっつければ、パパと結ばれるでしょう。思いのままに、力を解放してください』

聞き違えだ。
うん。そうに違いない。

「パパ……、私は……、パパが好き!」

ヴィヴィオがでっかくなっちゃった。



疾走。
速度。
迅速。
配点:(スピード解決)



 
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