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ソードアート・オンライン〜Another story〜

作者:じーくw
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SAO編
  第24話 目指すべきもの


 3人は2層のフィールドである草原に入る直前にリュウキに追いついていた。 
 そこは、美しい夕日が照らす大草原。

「……キリトは兎も角。オレは、来るなと言わなかったか?」

 レイナとアスナの方を見てそう呟く。彼女達は殆ど初心者(ビギナー)も同然だ。確かに剣技は目を見張るものがあったが、それでも、あの戦闘後の2層目突入は危険の一言だ。

「えー、言ってないよっ! 死ぬ覚悟があるなら来いっていってた」

 レイナは フフンッ と一本とった。と言わんばかりに笑って言っていた。

「……そう、だったな。確かに厳密には間違いじゃない」

 リュウキは軽く笑っていた。来てくれたこと、それが素直に嬉しいのだろう。リュウキは、自分の気持ちにわかっていない様だったけれど。

「………。あなたに聞きたいことがあるから」

 次にアスナが聞きたいことがある様でリュウキの方を向いた。

「……ん、なんだ?」
「あなた……それにあなたも戦闘中に私の名前。呼んでたでしょ。何処で知ったのよ。……あれはレイ? それとも、アルゴさんから買ったの?」

 アスナはリュウキを、そしてキリトを見た後、レイナの方を見る。

「えっ? 私は、言ってないよ? 自己紹介はしたけどね」

 レイナは否定した。
 確かに記憶を張り巡らせても言った記憶はないし聴かれた記憶も無いから。そして、リュウキが名前をアルゴから買う様な事はしないだろうとも思う。

「え……?」

 キリトは……一瞬混乱した。だが、直ぐに理解した。彼女達は、スイッチ等の基本的なことを知らない。だから。

「ふぅ……」

 リュウキはレイナの方を改めて見た。訊いたのはアスナだったけど、傍にいたのはレイナだったから。それに、彼女も知らない様だ。

「………この辺りに自分以外の追加でHPゲージが見えるだろ? その下に何か書いていないか?」
「……え?」

 レイナはリュウキの指す先の方を見ようとするが。

「ああ、違う。顔を動かさず視線だけだ。顔を動かしたらゲージも動く」

 リュウキは手を頬にあてがいそういった。

「ぁ……////」

 レイナは思わず 顔を赤らめたが、視線を動かし、言われた方を見た。確かに、視界に表示されている。パーティとして登録申請した人数全員の名前が。

「リュウキ、Ryuki、ホントだ。あったっ。お姉ちゃんここにあったみたいだよっ!?」

 レイナは、そのままアスナを見た。顔を赤らめながら。

「………き……り……と。キリト? それじゃ これがあなたの名前?」
「うん」

 キリトも頷いた。どうやら、漸くわかったようだった。

「なぁんだっ。こんな所にずっと書いていたのね……?」

 アスナは表情が緩み、微笑んだ。

「あ……はは。お姉ちゃんが笑ったの久しぶりに見たっ」

 レイナも共に笑っていた。それを傍から見ていたキリト。本当に2人とも、凄く美人だ。
そして、そんな笑い顔を見たら、キリトも……見惚れるのを必死にこらえていたようだ。

 リュウキも、自然と笑顔になっていた。

 レイナは、本当に感謝をしていた。姉と、こうやって笑い合える日がまた来るなんて、と。
 
 そして、リュウキ自身もそうだ。
 笑顔にさせてくれたから。……自然に笑顔が出る様になったから。もう、そんな事二度とないと想っていたのに。

「あのね? リュウキ君。本当は、私あなたにお礼を言いに来たの」

 レイナがそう言うのを訊くとリュウキは、考え込み。

「……ん? ああ、風呂と寝床の事か?」
「ッ!!」

 お礼を言われるとすれば、一番それが当てはまるだろう。と、リュウキは思った。実際ものすごく感謝をされたから。

 そして、レイナは、本当に驚いていた。

(――まさかっ……! 2人の前でそんな事言わないでっ!)

 っとレイナが叫ぼうとした時に、アスナも同様に赤らめていた。どうやら……我が姉も同じだった様だとアスナは考えていたのだ。

「はは、ほんとに似たもの姉妹だな……」

 キリトは2人を見て笑っていた。そして、一頻り笑った後。

「そうね……。お礼は色々あるよ。……それに私はね? この世界で追いかけたいもの、目指したいものを初めて見つけたの」

 レイナは、リュウキにそう言った。

「へぇ……。それはどんな?」

 リュウキはレイナの言葉を興味深そうに聞くが。

「えへへ……内緒だよ」

 だが、レイナは教えてくれなかった。

「そうか、まあ、強制はしない」

 そして、リュウキは早々に諦める。簡単に諦められてしまって、正直レイナは、少し複雑だけど、まあ今は(・・)良い。と首を振った。

「ふふふ……奇遇だね。私も見つけたの。レイと同様にね?」

 アスナもそう言っていた。

「??」

 キリトの顔を見ているようだったが、わからないようだ。

「同じだね? お姉ちゃん。がんばろっ! 同じように目指した場所へいけるようにさ!」
「そうね……。がんばろっ! 一緒にさっ!」

 2人は互いに笑いあっていた。

「ふふ……」

 リュウキは安堵感につつまれる。この間言っていた言葉が本当に嘘のようだ。
 大切な人と別れたという言葉。本当に悲しそうな言葉だ。もうあんな姿は見たくない。

―――何故だろう……?

 そう強く思っている自分もいるんだ。こんな気持ち初めてだが。リュウキは不思議に思っていたがすぐに考えるのを止めた。

「……2人は強くなる。剣の技だけじゃない。強い心を持ってるんだから。この世界でそれが一番重要な事だ。……もし誰か信頼できる人にギルドに誘われたら断るなよ」

 リュウキはそう言っていた。

「ああ、オレもそれは思ってた。あの剣技……、凄まじかったもんな。……それでも、ソロプレイには限界がある。絶対的な……な」

 キリトもリュウキ同様強く推した。1人はダメだと。だから、必ずギルドに入れと。
 何か……その言葉に2人は寂しさを覚えた。自分達の事を思っての事、だとしても寂しさはあった。

「私はね……いや、きっとレイもそう、あなた達が歩いてきた道。そして、これから歩こうとしているところ……でもね。わたし……いつか」
「う……うんっ。わたしも……ぜったいに……いつか!」


『2人に追いついてみせる……』
『キリト君に!』『リュウキ君に!』



 その言葉……そこから先は口から出てこなかった。だが、2人は吹っ切れたように笑って。

「……じゃあ、またね。キリト。リュウキ」
「ありがとね……2人とも」

 そう言うと、第1層に戻ろうとしたその時だ。……開かれた扉の影に誰かがいるのを見たのは。

「え……?」
「あ……!?」

 近づいてみたら、直ぐに判った。大柄で、スキンヘッド。そんな人は1人しか知らない。

「え、え、エギルさんっ!!」
「いったい、いつからそこにっ!?」

 アスナとレイナは同時に反応していた。エギルは、バツが悪そうに頭頂部を掻くと。

「いや、これはだな……、《鼠》のヤツがどうしてもと言うから、仕方なく……!」
「ええ!! アルゴさんがっ!?」
「ってことは……」

 アスナとレイナは一気に顔を赤くさせる。情報屋が求めている物なんて、その名前に情報。とつくのなら何でもいい。金銭が絡むのであれば更に尚更。

「どど、どこから聞いたんですか!!」
「はくじょーしてーー!!」

 レイナとリュウキの2人に詰め寄られるエギル。流石に2対1は望むところじゃない様なので。

「あー…… えー……、許せ。Have a heart……!」

 そう言い残すと、これまたその巨体からは考えもつかない様な速度で、1層に続く階段を降りていった。ドタバタ、と効果音を発しながら。

「わっ! も、もーー!」
「エギルさんっ!! まって……ッ!」


 そんな3人のやり取りを訊いて、更に笑うキリトとリュウキ。
 ……本当に良い仲間に巡り会えた。この時心底リュウキは思っていた。キリトも同じだ。

「「……はは」」


 軽く笑うと、金色色の草原を歩いて行った。

 アスナとレイナは、その後ろ姿を最後に見収めると。

「ま、まって! エギルさんっ! 倍額、倍額払うよっ!」
「そ、そう! だから、アルゴさんにだけは言っちゃダメっ!!」

 エギルを追いかけて、1層へと戻っていった。



――その後、彼女達が情報を守れたかどうか、その詳細は省く。








 第2層の草原を歩いていく時、リュウキから話した。

「オレとしては、キリトにも言える事なんだが?」
「ん? 何のことだ?」
「さっきの、2人へのギルドに加入の件……だ」

 アスナとレイナも勿論だが、いくらキリトでも1人ではキツイだろうとリュウキは思っていたのだ。
16層以上、上に登っていないリュウキ自身にも、まだまだ不安が多いのだから。だが、キリトは鼻で笑うと自分もソロだと言っていた。そして、さっき自分自身も《ビーター》と呼ばれることになった事も。

「なるほどな…… 馬鹿だな」
「お前に言われたくないさ。たった1人よりは、協力者のポジだっているだろ……?」

 そう言い合うと今度は笑い合っていた。

 リュウキは、嬉しかった。『1人じゃない』とはっきり言ってくれたと感じたから。だから、キリトに軽く頭を下げた。……キリトにバレない様に、ひっそりと。






「……それで、キリトはどうするんだ」

 そして、リュウキは今後の事をキリトに聞く。

「オレは……、それよりリュウキ、さっきは……」

 キリトはその先の言葉がなかなか出てこなかった。あの時、一緒に言ってやれたら……と後悔しているのだ。遅れていう事、同じ境遇になる事は出来たが、それは後出しなのだから。

「……気にする事は無い。俺はそもそも、ソロでやってきたんだ。どうってこと無い」

 リュウキは考えを読んだようにそう言った。何より感謝しかないから。

「何でだよ……。ソロだと言うのなら、オレも同じだ。だから、あの時も……」

 キリトは真剣な表情でそう言っていた。1人じゃない、と言ってくれているだけじゃなく、自分の事が心配だ、といってくれている事が凄く伝わってきたから。

「……ありがとな」
「!」

 だからこそ、今度こそリュウキは礼の言葉をキリトに言った。それを訊いてキリトは目を見開く。

「オレは、そんなに他人と関わった事がないんだ。だから、他人の厚意とか……正直、よく判らない事が多い。これまで、判ろうとしなかったんだ。……だが、キリトがオレを心配してくれているのは判った。それに、皆もそうだ。……ありがとう。……レイナ達にも言っておいた方が良かったんだけど、な」

 リュウキはキリトに頭を下げる。今度ははっきりと、キリトの前で。

「何でお前が頭を下げるんだよ。礼を言いたいのはオレ達のほうなんだ」

 キリトもだった。互いが互いに言い合い、最後には笑っていた。

「さぁ……オレは前言通り、有効化(アクティベート)をしにいく。キリトはこの層を廻っておくか?」

 リュウキは一頻り笑った後、キリトにそう訊いていた。

「……ああ、そうだな」

 キリトは頷いた。

 だが、キリトは実は別のことも考えていたのだ。少しでも、この男との差を縮める。
 リュウキが2層の転移門を、有効化(アクティベート)している間に、……っと良からぬ事を考えていたキリトだった。
 勿論、その目を見たリュウキは大体察していた様だ。……そう言う類は鋭いのだろうか?

「まぁ……頑張れ」

 そう軽く返していた。その言葉を受け取ったキリトは、あのβ時代に嫌と言うほど味わった気持ちを再確認していた。そうこの感じは。


「やっぱり!嫌味くせえ!!!」

 
 キリトはそう叫んでいた。



「……この世界に来てさ。キリト。」

 リュウキは、第2層の空を、もうすっかり夕日は落ち……、星空の広がる空を眺めながらリュウキは言う。

「ん……?」

 キリトは、普段とは違うリュウキを見て、少し驚いていたが……そのまま聞き入っていた。

「オレは、向こうじゃ出来なかった事が出来た……ような気がする。それは、何にも変えられない事だ。……正直、感謝しているのはオレの方なんだ」

 そう言って……笑っていた。いつもの表情じゃない。
『ひょっとしたら、これがリュウキの一番 自然な素顔じゃないか?』とキリトは思っていた。

「そんな大それた事した覚えは無いさ。それに、感謝の度合いからいったら、間違いなくオレ達なんだぜ? 命を救われたんだからな。わかってないと思うが……俺ら以外のさっきの連中も」

 だから、キリトも自然にそう返した。見繕った訳じゃなく、本心の言葉を。

「………レイナやアスナ……そしてキリトにエギル。……こんなゲームだって言うのに……オレは…巡り……た………せ……だ」

 リュウキの最後の方は、掠れていて聞こえなかった。

「どうした……?」

 キリトは聞くが、それ以上リュウキは何も答えなかった。

「ははっ……。さて、オレはもう行く。アクティベートしてこの層を視て回らないとな……。また会おうキリト」

 右手を上げて横に振り、街の方へと歩いていった。

「ああ、また……な」

 キリトも同じように手を振っていた。先へと行くリュウキの背中。
 自分と同じで、そんなに大きくない。寧ろ大きさ的に言えば、小さく分類なのだが、……とても大きく感じる。

「この世界での目標か……」

 キリトは、アスナやレイナが言っていた言葉を思い出す。自分にも目指したい先は勿論あった。
 βテストの時から、ずっと思ってる事だ。……見つけた、追いかけた期間を考えれば自分の方が長い。だからこそ、頑張らないと行けないだろう。

「すぐに追いついてやるからな……リュウキ!」

 キリトは見えなくなっていくリュウキの方を向いて、決して聞こえていないであろう、彼の方を向いて、そう告げた。


 告げ終えると、キリトは第2層の広大な草原へと足を踏み入れていった。


 
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