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駄目親父としっかり娘の珍道中

作者:sibugaki
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第1部
ジュエルシード事件編
  第1話 働かざる者食うべからず

 結構時が経過した此処は相変わらずの江戸の町、歌舞伎町。
 そして、相変わらずと言う感じで其処にあるスナックの二階に作られた建物。
 一つ変わっている点と言えば、其処には大きく【万事屋銀ちゃん】と言う感じの看板が立て掛けられていた事であろう。
 まぁ、要するに何でも屋みたいな類の仕事の総称を指す。赤子だったなのはを銀時が引き取ったあの日からそれなりの年月が経過し、流石に何時までも稼ぎがないままでは仕方ないと、銀時が無い知恵を絞って作った結果と言える。
 が、渡る世間は何とやら。そうそう楽はさせて貰えそうにないらしく―――
 その証拠に、作ったは良いが儲けはあんまり良いとは言い難いらしい。
 そんな万事屋銀ちゃんに向かって行く一人の少年の姿があった。
 青っぽい着物を着ており眼鏡を掛けた見るからに地味っぽそうな感じの少年。彼に読者の方々は見覚えがある筈。そう、言わずと知れた眼鏡が本体と呼ばれている少年だ。

「今日こそは仕事入るかなぁ・・・・・・でないと今月の給料貰えないよ」

 等と、先行き不安そうに呟きながら少年は階段を一段ずつ上っていく。地獄の沙汰も金次第とはよく言う事。幾ら願った所で仕事がなければ金は入らない。金が入らなければ給料も入らない。何とも世知辛い世の中話だと、何処ぞの誰かはそう豪語していそうだから恐ろしい話だ。
 そんな事を考えながらも、少年は黙々と階段を登る。幾ら稼ぎがないとはいえ働かざる者食うべからず。階段を登り終わり万事屋の入り口前に立つ。今日こそは仕事をして金を手に入れる。
 そう硬く決意を固めていた正にそんな時であった。

「んごわああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 万事屋の中からこれまた盛大な位の男の叫び声が木霊した。それを聞き、付近を歩いていた何人かは肩を震わせる。並々ならぬ絶叫だから仕方がないのだが、はっきり言って近所迷惑も甚だしい。下手したら通報されるレベルの叫びだった。
 だが、少年は全く動じていない。寧ろ、慣れてしまっている。仕方のない事だ。
 少年にとって、今の坂田銀時の悲鳴は日常茶飯事なのだから。
 また何時ものあれか―――
 少年は小さくそう呟く。毎朝この絶叫から一日が始まるのだから、流石に慣れる。
 それでもはじめの内は驚いてしまい、危うく階段から転げ落ちそうになった事もあるが今となっては懐かしい思い出話の類だ。

「おはようございまぁす」

 何時もの様に入り口を開き普通のテンションで挨拶をする少年こと【志村新八】。
 すると、そんな新八の目の前では寝巻き姿で上半身ずぶ濡れの状態となり何故か湯気がたち篭る銀時と一人の少女が激しい喧嘩をしていた。
 少女の方は既に普段着に着替えており身支度も整えてある。小さなその体に似合わない位の大きな寸胴鍋を両手に抱えて銀時と睨み合っている。鍋からはまだ湯気が立ち上がっており、その鍋の中にさっきまで熱々の熱湯が入れられていた事を物語っている。
 

「やれやれ、毎日毎日。良く飽きないなぁこの二人は」

 溜息混じりに新八はその二人を無視しながら客間にあるソファーに腰掛ける。最早止める気も失せた。この親子の喧嘩などそれこそ日常で起きる事。止める行為こそ時間の無駄。
 そう言いたげな面持ちで新八はスルーを決め込んだ。そんな新八の事など全く気にする素振りなど見せる事なくこの親子、坂田銀時となのはとの激しい喧嘩は続いていた。

「だぁかぁらぁ! 何回も言ってるだろうが! 何処の世に育ての親の顔面に熱湯ぶっ掛けるガキが居るんだよぉ! 朝から銀さんからだ全身ふやけちまったじゃねぇか! 起こすんならもうちっと起こし方を考えろって何時も言ってるだろうがコノヤロー!!」
「だってお父さんそれ位しないと起きないじゃない! もうお昼前だよ! 普通の人だったらとっくに活動開始してる時間だよぉ! それに、これくらいしないとお父さん起きないじゃない! 熱湯掛けられるのが嫌ならちゃんと起きてよ!」

 と、こんな感じで激しい喧嘩をしていたのであった。
 前回を読んだ読者の皆さまは既にお分かりかと思うが、なのはと呼ばれてる少女は前回銀時が育てる事となった赤子の事で、あれから既に9年の月日が流れていたのだ。
 え? 幾らなんでも話しが飛び過ぎだって!? 世の中は常にスピードアップを要求してくる時代なのです。なので省ける所は省いて行かないといけないのです。何事も省エネ省エネ。
 ・・・決して面倒だからじゃありませんよ。
 そんな訳で、あの日から既に9年の月日が経過し、すっかり女の子らしい姿になったなのはであったが、どう言う訳か父親に似る事はなく、中身はかなりしっかり出来上がっているらしく。だらしない銀時とは正反対の性格に育っていた。浪費家の銀時に対して倹約家のなのはと言ったところだろうか。
 とても銀時が育てたとは思えない育ちっぷりだった。これぞ後の世に語られる事になる【大江戸七不思議】の一つであった。(嘘)
 

「大体てめぇ! こないだの儲け何処に隠した! 久々のあぶく銭が入ったからあれで昨日パフェ食おうと思ってたんだぞ! 俺のチョコレートパフェといちご牛乳をどうしてくれんだ!!」
「教える訳ないでしょ! 大体あれは今度お登勢さんに支払う家賃なんだから勝手に使ったら駄目だよ! それに、何時も言ってるけどお父さんは糖分取り過ぎなの! 少しは自重しないと今度こそ本当に金玉とか爆発するかも知れないんだからね!」
「良いんだよ! 俺は好きな事やって太く短く生きるって心に決めてるから問題ないんだよ! それにちょっとばかり浪費したって問題ねぇんだよ。そん時ぁ残りの金を元手にギャンブルして何倍にも膨らませて返しゃ問題ないだろうが!」
「そう言って一文無しになったの忘れたの? そんな壊れかけの危ない橋に投資なんか出来ないよ! 鉄骨で補強したコンクリート並の頑丈な橋にしか私は投資しません!」
「バッキャロウ! ジャンプ主人公がそんなチキン戦法してられっか! 男なら突撃あるのみ! 当たって砕けろだ!」
「私女だから分かりませぇん!」

 側から聞いていると涙が出て来そうになったのを新八は必死に堪えていた。
 なのはも案外不憫だ。よりにもよってこんな駄目人間の元で育ったが為にかなり苦労してきたようだ。今ではとても9歳児とは思えないしっかりっぷりを発揮している。
 それに比べて此処の主でありオーナーでもある坂田銀時の堕落っぷりと言ったら目も当てられない始末と言えた。金銭感覚は絶望的だし無駄遣いは多いし、何時だったか家賃代をネコババしてパチンコをしたのがばれて激怒したなのはにボコボコにされていた事もあった。その時は大家でもあるお登勢が多目に見てくれたから良かったものの、彼女が居なかったら今頃銀時達は路頭に迷っていたのは確実だった。

「んだよ朝からうっせぇなぁ。折角酢昆布食べまくってる夢見てたのに覚めちゃったアルよ。回りの迷惑を考えろよ腐れ天然パーマ!」

 喧嘩している銀時となのはに割って入るかの様に、押入れから這い出てきた別の少女が目を擦りながら現れた。なのはとは違いオレンジ色の髪をした小柄の少女だ。まぁ、小柄と言っても背丈も若干こちらの少女の方が高い。
 彼女こと【神楽】もまた此処万事屋に住み着いている従業員の一人だ。と言っても、なのはほどしっかりしては居らず、どちらかと言うと宿六な感じでもある。
 しかし、この神楽は只の女の子ではない。実は彼女は天人であり宇宙最強の戦闘種族【夜兎族】の一人らしい。
 んで、出稼ぎで地球に来て、そのまま方法の定で此処に居座る事となったようだ。
 この四人が此処【万事屋銀ちゃん】の主な従業員メンバーとなる。オーナー? の坂田銀時とその目付け役兼雑務担当のなのは。現場担当の神楽と新八の四人構成となっております。

「やれやれ、このメンバーで良く今までやってこれたもんだよ」

 相変わらず纏まりのない光景を見て新八は一人溜息を吐いていた。確かに纏まりはほぼ皆無だ。例えるなら伸び切ったゴムの様に纏まりがない。これだったら消しカスが纏まる消しゴムの方がまだ纏まるだろう。
 しかし、いざと言う時はかなり硬い結束をするのでそれなりに問題はないようだ。喧嘩するほど仲が良いと世間では良く言うしね。




     ***





「ったく、朝から最悪だぜ! こう毎日毎日頭から熱湯かけられた日にゃ本当にふやけちまうぜ!」
「だったら規則正しく起きたらどうですか? そうすればなのはちゃんも熱湯をかけるような事しないと思いますよ」

 言ってしまえばそうだ。銀時が普段だらしないからなのはもこんな強行に走ってしまうのだから、それが嫌なら規則正しい生活をすれば良いだけの話だ。
 だが、だからと言ってすぐに実行出来る程この男は優れた人間ではない。例えすべての人類が規則正しい生活を送ったとしてもこの男は不規則生活を止める事は恐らくはない。

「んなの無理だよ。俺の血糖値知ってるだろう? 俺は基本的に昼の12時過ぎに起きる人間なんだよ」
「あんたの腹時計は修復不可能な位にぶっ壊れてるんじゃねぇの? とにかく、それじゃ毎日熱湯を被る羽目になりますよ」
「う、それは勘弁だなぁ・・・・・・しかし早起きかぁ・・・・・・憂鬱だなぁ」

 明らかにやる気のない発言をする銀時に対し、これまた盛大に溜息を発する新八。
 と、こんな二人の会話を聞いててふと疑問に思った方も居るだろうが、先ほどまで銀時と喧嘩していたなのはと、押し入れから出て来た神楽の姿は其処にはなかった。二人ともやる事をやったらさっさと遊びに出掛けてしまっていた。
 まぁ、これも何時もの事であり、幾らしっかりしてるとは言えなのはも年頃的には遊びたい盛りの女の子。
 その為やる事が終わると神楽と一緒に遊びに出かけてしまう。
 健康的に育ってくれて良い事なのだろうが金銭面に関してはかなり口うるさくなってしまったのが銀時にしてみれば失態だと思われているらしい。まぁ、新八には有り難い話なのだが―――

「でも、なのはちゃんが金銭管理をしてるお陰で家賃払いも楽で良いじゃないですか。それに食事代だってお登勢さん持ちなんでしょ?」
「まぁな。なのはを引き取ってる間はババァが飯代の方を工面してくれてっからその辺は助かってるんだよ」

 お登勢も何かとなのはの面倒を見てくれているらしい。拾った手前もあると言ってるようだが、要するに老婆の運命(サガ)の様なもの。要するに孫娘みたいななのはを見て放っておけないのだろう。
 そのお陰か飯代の方は免除してくれてるだけでなく困った時は家賃を免除してくれたりするのでその辺りは大いに助かっている。
 普段から金銭面では荒い銀時がそれだけではこうはいかない。一重になのはの管理による賜物と言える。銀時が普段だらしなさ過ぎるせいか、娘同然のなのはは異常なまでに金銭面に関しては厳しくなってしまった。
 俗に言う【片っぽがだらしないともう片っぽがしっかり者に育つ】と言う古来から言い伝えられてきたジンクスだ。

「ったく、見方を変えたらあいつは疫病神だぜ。全くよぉ、あいつのせいでギャンブルも全然出来ねぇしパフェだって週に1回しか食えねぇし・・・・・・・本当散々だぜ」
「僕から見たらあんたの方が疫病神ですよ。正直なのはちゃんが居なかったら僕達まともに機能してないでしょうね」

 全くどちらが疫病神なのか分からない。
 それはそうと、こうして日がな一日ずっと此処で座りっぱなしと言うのも小説的に辛い。万事屋なのだから何かしら仕事が欲しい所なのだが―――
 生憎万事屋の電話には一本も電話が引っ掛からない。つまり仕事がないのだ。仕事がなければイベントもない、ただ延々とこの二人の無駄なトークを見せなければならないと言うのは読者も作者も辛い。

「どうすんですか? これじゃ僕達の給料だって危ういですよ」
「わぁってるよんなこたぁよぉ! だが仕事がないんじゃどうしようもないだろうがよぉ」

 今まではなのはが外で仕事を持ってきてくれた為にどうにかなった。しかし今日はなのはは神楽と一緒に外で遊びに出掛けている。
 こう言う日だけはなのはは普通の子供みたいになってしまい遊びに全神経が行ってしまっている。
 その為仕事や万事屋の事などアウト・オブ・眼中になってしまう。
 つまり、こう言う日は自分達で仕事を探すしかない。
 普段からなのはに頼りっぱなしだったツケが此処で回ってくるのがたまにあるのだから溜まったもんじゃない。

「とにかく、何処かで仕事探しましょうよ。このままじゃ来月の家賃が危ういですよ」
「んな事言ってもよぉ~。正直言って面倒なんだよなぁ」
「娘におんぶに抱っこされてる駄目親父なんだからこんな時位働いて下さいよ。でないとなのはちゃんに愛想尽かされますよ」

 痛いところを突かれたのか、はたまた何も考えてないのか銀時は片手で頭を掻き毟る。自分の指定席に腰を下ろしながら腕を組み何かを考え込んでいた。
 だが、新八は分かっている。その姿は外見だけであり実際は何も考えていないと言う事を―――

(本当、こんな駄目人間の元に育てられたなのはちゃんには心底同情するよ)

 新八の心の声が木霊する。
 まぁそんな訳でこのままだと今日も何もする事なく一日が終わってしまう危険性がある。
 しかし、物語には動きがあると言うもの。いつまでもこんな堕落した日々で済む筈がない。

「ただいま~」
「野郎共! 歌舞伎町の女王神楽様達のお帰りアル! 道を空けるヨロシ!」

 外で遊び回っていた年頃の少女二人が帰って来た。よほど楽しく遊んだのだろう二人共満面の笑みであった。年頃のお子様は皆元気はつらつなので羨ましい限りだ。常にエネルギーに満ち溢れておりネガティブなんて言葉が全く似つかわしくないほどだ。
 それとは対照的に銀時達の顔は浮かない。正しくお先真っ暗な感じの顔色、常にネガティブ思考まっしぐらな中年親父を彷彿とさせていた。

「相変わらずド暗い顔してるアルなぁお前等。そんな顔してたんじゃ運が逃げちまうアルよ! お前等今日は外で寝るヨロシ」
「てめぇには弱者を労わると言う気持ちはねぇのか?」

 相変わらずの毒舌っぷりに銀時は涙目になり掛けている。神楽の毒舌は今に始まった事ではない。初登場時から結構な毒舌っぷりを遺憾なく発揮していた。この毒舌こそが神楽の持ち味なのだからこれは外せない。

「その様子だと、お仕事の電話は来てないみたいだね」
「来てねぇよ。来てたとしても俺ぁ仕事なんかしたくねぇけどな」

 相変わらずやる気の欠片もない銀時の発言に新八となのはの二人は揃って溜息を放っていた。
 この銀時のやる気の無さも今に始まった事ではない。ないのだが此処までやる気がないと流石に呆れを通り越して尊敬すら感じてしまう程だ。まぁ、だからと言ってこんな風にはなりたくはないが―――

「何であんたみたいな駄目人間が主人公なのか今更ながら僕は疑問に感じてきたよ」
「うっせぇなぁ。世間じゃどいつもこいつも【熱血】とか【気合】ばっかで熱苦しいんだよ。たまには使ってやれよ【てかげん】とかさぁ。良いじゃんたまには俺みたいなゆる系の主人公が居たってさぁ」
「あんたみたいなダメ人間の主人公なんか見たって楽しくないわ!」

 銀時と新八の口喧嘩がいよいよ本格的にやばそうな方向へ転びそうになりだしている。このままだとガチで殴り合いに発展しそうだ。
 人間の感情が狭まるとこんな事をしでかすのだから怖い話である。まぁ、仮に殴り合いにでもなってくれれば文章的にも面白味があるのだが―――

「そう言えば、仕事じゃないけどこんな噂話を聞いてきたよ」
「噂話だぁ? どんなのだよ」

 金になるのであれば何でも良い。そんな思いと共に銀時はなのはが拾って来たその噂話に耳を傾ける事にした。
 まぁ、十中八九信用してないのが、聞かないよりはマシだ。

「実はね、最近この江戸の町に変な怪物が出るんだって」
「怪物? どんな怪物なの?」
「え~っとねぇ、丸くって、全身に毛が生えてて、目つきが鋭い奴みたいだよ」

 身振り手振りで説明する。要するに球体の強面の化け物と言う話らしい。天人がこの江戸に飛来してからは、天人だけでなくエイリアンまでもが江戸に入り込んできている。なのでその手の被害報告は珍しくない。

「どうせどっかの流れエイリアンとかだろ? んなのほっとけほっとけ。一々相手にしてたらキリがねぇよ」
「え~、でもその怪物に懸賞金が掛かってるみたいだよぉ。お父さんの言ってた【税金ドロボー】って所がそれなりな額のお金をくれるみたいだよ。そのお化け倒したら」
「なのはちゃん。それってもしかして真選組の事?」
「そうそう、それそれ!」

 因みになのはが何故真選組を税金ドロボーなどと言うかと言うと、それは一重に親代わりである銀時の影響でもあるが、なのは自身薄々そう感じているからだそうだ。
 真選組とはその名の通り江戸の治安を守っている組織なのだが側から見ると税金ドロボーじみた組織と思われがちな行為がちらほら目立つ。常に誰かをストーキングし続けているゴリラ局長に瞳孔開きっぱなしで年がら年中たばことマヨネーズを吸い続けているマヨネーズ中毒な副長、そんな副長を隙あらば亡き者にしようと虎視眈々と好機を狙うハニーフェイスな腹黒ボーイ。その他ect・・・・・・
 そんな説明はさておき、懸賞金とそれなりの額と言う言葉を耳にした銀時が突如立ち上がる。まるで生気の欠片もなくなった主人公が友の死を見て激しい怒りに奮い立つ胸熱な場面を再現するかの様に立ち上がる。
 だが、あえて言わせて貰うと、絶対にそんな胸熱な内容で立ち上がった訳ではない。120%私利私欲の為に立ち上がっただけの事だった。

「てめぇら何してんだ! さっさと支度しろ! 出掛けるぞ」
「って、何処へ出かけるんですか?」
「決まってるだろうが! その懸賞金を貰いに行くんだよ! エイリアンだか毛むくじゃらだか知らねぇが棚から牡丹餅たぁこの事だぜ。あの税金泥棒連中からってのがいまいち気に入らねぇがこの際なんでも良い。懸賞金は全額俺達万事屋が根こそぎ頂きだぁ! そんでもって、その懸賞金でドンペリのドンペリ割をたらふく飲みまくったらぁ!」

 拳を握り締めて笑みを浮かべる銀時。何とも自信とやる気に満ち溢れた顔をしていた。
 普段からこれ位やる気を出してくれれば有り難いと思えるかもしれないが、それは言わないお約束ですよお客さん。




     つづく 
 

 
後書き
次回【寝る時は部屋の電気を消して暗くして寝ましょう】お楽しみに 
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