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恋姫~如水伝~

作者:ツカ
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二十六話

 
前書き
構想練り直すの、意外と早かったです。 

 
官渡の戦いの戦勝によって華琳は袁紹、袁術の領土の殆どを手に入れ、その広大な領地を支配下に置いた。
手に入れた新領地は曹操の政策によってすぐに安定させ、曹操の覇道の足がかりとした。

しかし、曹操の勢力拡大に警戒した他の領地からの侵攻を受け。曹操軍の将達は連日駆り出された。

その為に曹操の手元の将は外交と諜報、防諜を担当する如水だけが残り、如水の部下の三人も単独で兵を動かし、華琳の元には一万程しか兵力が残っていなかった。

一方で、華琳の領内を通り逃げ延びた劉備は蜀地方に逃れ。勢力を拡大した。

華琳私室
「劉備は呂布を配下に下し、勢力を拡大し、大陸南西部を支配しようとしている。一方で孫家は現在孫策の戦死で勢力の建て直しに手一杯だ。この状況下でなら劉備が仕掛けてくるだろう。君の思う壺だな」
「そうね、劉備の力は認めるけど、あのやり方は容認出来ないわ。おそらく向こうもそうでしょう」
「ああ、恩を忘れこちらの留守を狙って君の首を獲りに来るだろうな。その証拠に劉備は軍の編成をしている。向かうのは間違いなくこちらだ、なにせ密偵の報告では今回の戦いは復讐と唱えているからな」
「それを言えば貴方もじゃない。何せ劉備の旗を奪ったのだから」
「そうだな、通行税として買ったのだがどうやらとんでもない買い物をした様だ」
「そうね。それより劉備が攻めてきそうな国境沿いの城の改修は上手く行っているの」
「ああ、完成した。しかも、向こうには偽の設計図を奪わせる事も成功した。間違いなくそこに来る」
「ならいいわ。鉄玉の備蓄は」
「それなら二千個以上が城に保管されている」
「そう。ところで貴方、いい加減、旗は決まったの?」
「ああ、藤の花だかどうかな」
「花の旗印とは珍しいわね。でも貴方には似合っているわ」
そう言ってからかいながら褒めた。

三日後
劉備軍が動いたとの方が届き、如水の設計した出城に五万の大軍が進軍しているとの報を受けた。その報告を聞き、華琳は如水らを連れ出城に入った
「上手く嵌ったわね」
「そうだな、向こうも情報収集に余念が無いが。こちらの防諜を見抜く事は出来なかった様だ」
「まずは私が相手するわ、貴方はその後に困難な仕事をして貰うわよ」
「了解している。そのかわり、劉備の言動にむきになるな」
「…わかったわよ」
「…私の不安はそこだけだな」
如水は華琳が必要以上に熱くならない事を釘刺し、華琳も納得した。

「華琳様、出撃準備整いました」
「じゃあ、行ってくるわ」
そう言って華琳は城外に布陣した。
「やはり、天下を取るにはこの場面でも、守勢だけに回らない事が必要なのだな」
如水は伝え聞いた、秀吉と家康の小牧・長久手の役を思い出していた。

最初の舌戦では初め、劉備が華琳のやり方を非難した。
その言葉を遠出に聞き、如水は劉備の言動の矛盾に呆れた。
「劉備も軍を動かしているというのに、なぜ、自分が正しいと言い切れるのか私には分からないな、私としてはああいう手合いが一番苦手だ。なにせ自分が善と信じ切って居る」

華琳も似たような事を思ったか、劉備のしてきた事と自分と何が違うのかを言い。結局、舌戦は華琳の方に優勢で終わった。
そして曹操軍と劉備軍が激突した。華琳は少数ながら巧妙に立ち回り奮戦したが、圧倒的数の前に撤退し、如水はその援護に移った。

「君が自棄になるのを心配したが、大丈夫だった様だな」
「さすがにあれだけ釘を刺されたら、大人しくするわよ。それより後は頼んだわよ」
「了解した。君は急いで戻り、軍を集めてくれ」
「わかったわ。でも本当に貴方と詠だけで良いの?」
華琳の心配に如水は笑って答えた
「この城に八千も居れば四ヵ月は持つ。安心してくれ」
如水の言葉を信じ、華琳は急いで撤退して各地に居る配下を一箇所に集める様に指示した。

華琳が城を去った後、如水は自身の旗を立て、以前劉備が置いていった旗を城壁に吊るした
それを見た劉備軍は憤慨した。

劉備軍本陣

「っつ…われらの誇りをあの様にして、一体あの旗は誰のだ?」
「おそらくですが、黒田さんの旗では無いかと。他の曹操軍の誰とも一致しません」
「ひどいのだ、あいつは絶対、鈴々が倒すのだ」
「そうだな。曹操の前にあ奴をかならず討ち取ってくれる」
「私達みんなの誇りを踏みにじる行為は絶対許せないよ」
「しかし、曹操さんが居ないのに城を攻めても意味が無いです」
「黒田は我らの誇りを二度も侮辱したのだ、このまま兵を引けば新しく加わった仲間までもが我らを見くびるぞ。それだけはさせぬ」
「そうですね、幸いにも、城の設計図は手に入れています。この程度の城なら何とかなるかも知れません」

軍議が終わり劉備軍は城攻めを開始した。

それを見た如水はほくそ笑んだ
「あの高名な諸葛亮を騙せるとは、私も捨てたものではないな。詠、本陣は君に任せる。私は防戦を担当しよう」
「わかったわ、それにしても趣味の悪い作戦ね」
「ああ。だが、劉備らには効いた様だ。必死に攻めてくる」
「華琳様が戻って来るのに早くて二ヶ月は掛かるわ。それまで持ち堪えましょう」
「そうだな、こんな所で負けるわけにはいかない」

劉備軍は城攻めを開始したが、手に入れた設計図と違い。更に、城内の兵の連携に困惑し、城攻めは上手くいかなかった。

「どうなっている!私達の知る城ではないぞあの城は」
「…おそらくですが私達が手に入れた設計図は偽物だったのかも知れません」
「なんだと!」
「え、うそ!」
「さすがは水色策士。まんまと騙されました」
「つまり、我らは今まで奴の掌で踊らされていたわけか」
「…はい、そうなります」
「っつ、くそ!」
そして、本陣へ伝令が駆け込んできた。
「…大変です。味方が動揺しています」
劉備軍の軍師、龐統その内容を味方に伝えた。
「城から、矢文が打ち込まれました。内容は、…劉備軍は、黄巾の乱の折の曹操の恩を忘れ、更に昔日の恩を忘れた不義の軍である。その様な者には、曹操の手を煩わせずこの黒田の手で十分であり、貴殿らの不義・忘恩に味方する事は進められず」
「くっ…」
如水の文に対し、沈黙する劉備軍、新参配下は劉備に不審感を持ち、困惑した。

困惑した劉備の陣に、城壁の兵が鉄玉を投げ込み。劉備軍は混乱した
「なに、今度は。一体どうしたの」
「わかりませんが、あれがおそらく官渡で使った曹操軍の新兵器でしょう」
そこに再び、伝令が駆け込んだ
「報告します、呂布軍が撤退して行き、他の軍にいたっては曹操側に降伏しています」
「どうして!」
「それが、約を違い、自身の武を穢されて指をくわえて見ている者等とは共に戦いたく無い、との事です」
「くっ!」
「桃香さま、私達も撤退するしかありません。これ以上は戦えません」
「っつ!でも」
「私も朱里と同じ意見です。直に曹操が他の将を引き連れてやってきます、これ以上の戦いは危険です」
「星!貴様、それでも武人か」
「なら、みすみす兵達を死なせるつもりか」
「それは…」
「愛紗ちゃん、星ちゃんの言うとおりだよ。くやしいけど引き上げよう」
「わかりました」

こうして劉備軍は撤退した。それを見た如水は城壁に吊るした劉備らの旗に火を掛け燃やした。
そして、劉備の新参の配下は劉備を見限り。如水の元に行き、曹操に帰順したいと申し出て来た。

この戦いで如水は五万の敵を八千で防いだと大陸に再び、勇名を広めた。
 
 

 
後書き
ここから最後まで一応、最後まで書けました。
投稿を続けるのでご理解下さい。 
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