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作者:潮音
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ブリタニア国にて
  プロローグ

 
前書き
日常ほど壊れやすい者はこの世には存在しない 

 
ドンドンと自室を荒々しく叩く音で目を覚ます朝

「起きろ、ジーク

朝飯食べ損ねるぞ!」

俺の悪友、ロビンが勝手にドアを開け入ってくる

そして俺の布団をはがす

「ううん

やめろよ・・・

俺が朝弱いことわかってるだろ」

寝ぼけ気味に答えると

バチンと額に一発、デコピンをくらう

「いってぇ・・・・

はぁでも目が覚めた

ありがとな」

「礼は良いから

さっさと顔を洗って

着替えてこい

表で待ってやるから」

そう言ってさっさと出て行くロビン

部屋着を脱ぎ、制服に着替えて

取り敢えず洗面を済ませる

「お、来たな

さあ、わかってるだろ」

「ああ、もちろん

先に着いた方が奢るだったよな」

「わかればいい

よーい、スタート」

ロビンの合図で

寄宿舎からダッシュで

本館の食堂まで行く

途中先輩たちの罵声やら声援が聞こえるが

気にしない

(よしゴールだ!)

食堂のドアを開けようとしたら

いきなり襟首をつかまれ立ち止まる

「こーら

本館は走っちゃダメでしょ!」

後ろを振り返ると

ご立腹な食堂の番人ことエリーヌ・バシュラが居た

食堂の制服は淡い黄色のブラウスと下はフレアスカートで

上から黒のエプロンドレスを着ているのが特徴だ

エリーヌは黙っていればそれなりの美人なのに

口煩いのが彼女の短所だ

だが仕事をきっちりこなすので誰もが彼女を慕っている

俺もその一人だ

「離してくれないかエリーヌ

もうすぐロビンが着てしまう」

「はぁ?また貴方達競争しているの?」

眉をひそめながら掴んでいる手に力を込める

「お先にっとうぉ」

ようやく俺に追いついてきたロビンに

足を引っ掛けるエリーヌ

ブレーキがきかずエリーヌの足に躓き

勢いよく廊下を転がってゴミ箱にぶつかり止まった

「いてて

何だよエリーヌ」

鼻を押さえながら顔を上げるが

かなり間抜け面なロビンを見下し

「二人とも

神聖な食堂の前でこんなことをした罪を思い知りなさい

さあわかったら正座!」

その場の空気がぴしりと音を立てて凍った気がした

俺たちは素直に正座をし

約一時間ほど説教を食らったのであった

朝飯にありつけたのはありがたいが

足の感覚がほとんど無い

それはロビンも同じことだった

「ったく

あんなに怒ることもないよな

黙っていればそれなりに可愛いくせに」

ブツブツと文句を言っている割には目でエリーヌを追っているロビン

「ま、まあ朝飯をもらえるだけ有り難いじゃないか」

「だけどな

ああも可愛げがないと貰い手がないぞ」

「・・・・

誰が

誰が可愛げがないですって?

貴方こそもう少し騎士であることを自覚し

厳粛に振る舞ってみては?」

ステンレス製のトレーで思いっきりロビンの頭を叩き

清々しい顔で持ち場に戻っていくエリーヌだった

「いってぇ

あの怪力女・・・」

頭をさすりながら彼女の背中を涙目で睨むロビン

自業自得だがちょっとかわいそうな気がした

「まあまあ

早く食べ終わって

巡回に行くぞ」

巡回というのは

俺たち騎士団が一般市民をスラム街の悪党や

余所からやってきた者を取り締まるために毎回課せられている任務だ

そう

この日常に終止符を打つのが今日の任務だったとは

今の俺には予想できなかった

いつものように肩を並べ

泥だらけの格好を見てエリーヌに叱られ

また夕食時に食堂まで競争して

みんなに呆れられ

夜の巡回に行って

笑いながら夜道を歩き

自室へ帰ってからベッドに倒れ込んで

死んだように寝る

それが俺たちの日常

そんな日常があっさりと

まるで砂の城のように崩れ去るなんて

思いもしなかった 
 

 
後書き
初めて長編小説に挑戦します

受験生なので更新はのろまですが

御都合主義小説にならないように頑張ります

応援よろしくお願いします 
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