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神々の黄昏

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第二幕その十一


第二幕その十一

「だから私は彼の背中には力を授けなかったのです」
「ではそこに私の槍を」
「そう、そうすればです」
「わかった。それではだ」
 ハーゲンはここまで聞いて頷くのだった。
「わかった」
「それでは」
「グンターよ」
 ハーゲンはブリュンヒルテの話が終わるとうなだれたままだったグンターに対して声をかけるのだった。
「貴方はどうなのだ」
「私はどうすればいいのだ」
「貴方は恥を受けた」
 このことを言う彼だった。
「それは私も否定しない」
「貴方はどうするのですか」
 ブリュンヒルテは彼を責めてきた。
「ハーゲンは向かおうとしています。しかし貴方は」
「私は人を欺き欺かれた」
 あの策略のことも話していた。自然に出てしまった言葉である。
「裏切り裏切られた。この汚された名誉をどうするべきか」
「その名誉を取り戻すにはだ」
 ハーゲンは今度はグンターの傍に来て言うのだった。その重厚な声で。
「死だけだ」
「死か」
「そう、ジークフリートの死だ」
 まさにそれだというのである。
「それが貴方の名誉を守るのだ」
「それがか」
「それしかない」
 他の選択肢は出さないのだった。
「だからこそだ」
「しかし」
 だがここで。グンターは狼狽を見せるのだった。
 そしてだ。そのうえで言うのであった。
「我々は互いの血を飲み兄弟の誓いをした」
「その誓いが破られた時はだ」
 さらに言うハーゲンだった。グンターのその言葉に返してだ。
「血で償わなければならないからだ」
「彼が誓いを破ったからこそ」
「その通りだ」
「だからこそです」
 ブリュンヒルテはまたグンターに言ってきた。ここでハーゲンは二人に杯に入っている葡萄酒を出すのだった。二人にとってその葡萄酒はやけに赤く見えるものだった。
 その酒を受け取ってから。ブリュンヒルテはさらに言うのだった。
「彼は貴方を裏切った」
「兄弟の誓いをした私を」
「そして貴方達全てが私を裏切った」
 彼等も責めるのだった。
「私の為に全ての血が流れても貴方達の罪は償えない」
「そうだというのか」
「そうだ。ただ一人の死だけは全ての命に代えられない」
 こう話していく。
「ジークフリートはその罪の為に償わなければならないのです」
「彼は死ぬ」
 ハーゲンはまたグンターに言ってきた。
「貴方の幸せの為に」
「幸せの」
「その為に」
「名誉の為だけではないのだな」
 幸せという言葉に対して問うたグンターだった。
「ということは」
「あの指輪だ」
 ここでまたその指輪のことを話すのだ。
「それを手に入れればだ」
「その時はか」
「そうだ。ありとあらゆる力が貴方のものとなる」
「私のものに」
「その為にはだ」
 そしてさらに言うのであった。
 
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