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妖精の十字架

作者:雨の日
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~It works together⑫~

「終わったぞ。宝石も回収した」

「ありがとうございます!!」

ケビンは勢いよく頭を下げた
ボロから奪った異空間にストックした宝石類を出して、ケビンは目を輝かせた
しかし、ここで話している場合ではない

「悪い、ミラが魔力切れで意識ないんだ。ベッド貸してくれるか」

「それは大変です!!急いでこちらに!」

案内されたのは隣にあった小屋だった。中には簡易的ではあるが医療器具も揃っていてミラをベッドに寝かせると急いで治療に取り掛かる

「・・・ただの疲労だな。安静にしてれば大丈夫だ」

「そうでしたか・・・本当にありがとうございました!後、この次の依頼無いようなんですが・・・」

そういえば、今回の依頼内容は船の担当とその後の物資運搬の護衛か

「了解。今すぐ向かう。ミラはここで寝かせておいてくれ」

「い、いえ!それが、クルスさんが船底で戦っている時間に山の黒バルカンが全て消えたんです。原因はわかりませんが・・・」

おそらく、あの時戦っていた黒バルカンは山のものだ。ボロが魔法陣で転送したのだろう

「ですので今回の依頼はここで終了です。本当にありがとうございました!!」

「いや、こちらも完遂出来て良かった。船上パーティの料理作ったコックにうちの連れが絶賛していたと伝えておいてくれ」

「ふふふ。わかりました。では、報酬を」

現金は直接ギルドに届けるそうなので、追加報酬の宝石をもらった

「綺麗だ・・・」

「でしょう?ミラさんもきっと喜びますよぉ」

あぁ。ミラはこの宝石ほしがってたもんな

「・・・まぁ、大方クルスさんがあげるとさらに喜ぶかと・・・」

「ん?何かいったか?」

俺は宝石を眺めるあまりケビンの話を聞いていなかった
しかしケビンは繰り返してくれなかった

「あぁっと、評議院に連絡して、ここのギルドの検挙を頼む」

地図を取り出して詳しく説明した

「わかりました。依頼、本当にありがとうございました!」

「お安いごようだ。悪いがここ、もう少し貸してくれるか?ミラももうすぐ目覚ますと思う」

どうぞどうぞと言ってケビンは小屋を後にした
そして小屋には俺とミラだけに

「・・・んぅ」

かすかに上気しているミラの顔がはっきりと見える
銀色の綺麗な髪に整った顔だち。今まで何度かグラビアだったり看板娘としてミラを見てきたが、今俺の目の前にいるのは、まだあどけなさの残る少女だ
無意識のうちに俺はミラの綺麗な髪をすくっていた

「ん、・・・んぅぅん」

ゆっくりとミラが目を覚ました。俺は伸ばしていた手を高速で引っ込める

「おはよう」

「クルス~?おはよう」

若干寝ぼけている。そっと水を差し出した

「ぷはぁ~。生き返るわ~」

「生き返って早々悪いが帰るぞ?」

するとミラはいきなり立ち上がった

「あいつらは!?」

「・・・結構いまさらだが倒したよ。依頼もこれでお終いだ。っとこれ」

俺はさっきもらった宝石を手渡す

「わっとっと・・・わぁ!ありがとうクルス!」

「ん、どういたしまして」

綺麗・・・と言いつつミラは宝石に目を奪われていた

「・・・バイク、乗るんだろ?」

「は!!そうだったわ!!」

いそいで宝石をしまい、俺とミラは外に出てバイクを取り出し、ミラは後ろに跨り俺の腰に手を回してきた

「・・・ミラ、くっつきすぎじゃねぇか?」

「なんで?大丈夫でしょ!」

これが大丈夫じゃなかったりする。その、当たってる・・・

「それじゃ、帰ろうか」

聞く耳持たずのミラは梃子でも動かない。俺は小さく息をもらし、エンジンを起動させた

「よし!つかまってろよ!!」

「うん!」

風を切って、風になって、俺達を載せた愛車は家族の待つ妖精の尻尾へと帰っていく―――
 
 

 
後書き

やっとオリジナル終わった・・・

次回からようやくガルナです!
お楽しみに!! 
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