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神々の黄昏

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第二幕その三


第二幕その三

「あの岩屋からもうか」
「そうだ。それでグンター達は後から来る」
「二人というとだ」
「ブリュンヒルテもいる」
 ここで彼は勝ち誇った様な顔になるのだった。
「既にだ。安心してくれ」
「そうか。それは何よりだ」
 それを聞いて安心した顔を見せるハーゲンだった。
「よくやってくれた」
「そしてグートルーネは?」
「あれは朝が早い」
 妹のことはそのまま述べたのである。
「もう起きている時間だ」
「そうか。それは好都合だな」
「グートルーネ」
 早速彼女を呼ぶハーゲンだった。
「庭に来るのだ。ジークフリートが帰って来た」
「私はここにいる」
 ジークフリートも言う。
「ここだにだ」
「躊躇わずに迎えに来るのだ」
「ギービヒの姫よ」
 ジークフリートの言葉は朗らかである。
「さあ、どうかここに」
「まさかもう帰って来られたなんて」
 そのグートルーネが出て来た。彼女は素直にその早い帰還に驚いていた。
「何という方なのかしら」
「今日は」
 ジークフリートはその彼女にこれ以上はないまでに明るい笑顔を向けて告げた。
「貴女を妻にする為にここに」
「では兄上もまた」
「その通りだ」
 朗らかにそのことも告げるのだった。
「既に彼の傍に」
「兄上は炎に燃やされなかったのですね」
「私がその代わりになって進んだのだ」
 このことをここでも話すのだった。
「それによってなのだ」
「炎は怖くないのですか?」
「燃え立つ炎は私を喜ばせるだけだ
「何と」
 このことはグートルーネにとっては驚く他ないことだった。
「炎ですらもですか」
「そう。私は恐れを知らないのだから」
「彼は真の勇士だ」
 ハーゲンもグートルーネに親しげに言ってみせた。
「だから案ずることはないのだ」
「炎ですらも貴方を」
「恐れはしない」
「しかしそのブリュンヒルテという方は貴方を兄上と思ったのですね?」
「ハーゲンに教えてもらった通りだった」
 ジークフリートはここでハーゲンを見て語った。
「隠れ兜の力を使って貴女の兄上の姿になったのだから」
「私はいい忠告をした」
「全くだ」
「そしてその人は兄上と共に」
「今下っている。結婚はしていないのでお互い離れてはいるが」
 ここでこう言うのだった。
「グンターは生真面目だ。結婚しないと肌を触れないというのだから」
「あれはそういう男なのだ」
 ハーゲンも言うのだった。
「だから今まで一人だったのだ」
「そうだな。実は私にしても」
「貴方もですか」
「その証にまだ貴女に触れてはいない」
 グートルーネを見たうえで微笑んだ言葉だった。
「それが何よりの証ではないか」
「そうですね。確かに」
 ジークフリートは嘘を言っていない。このことはグートルーネにもわかった。それで彼女も納得した顔で彼の説明に頷いたのであった。
 そうしてだ。グートルーネは二人に言うのであった。明るい笑顔で。
「それでなのですが」
「それで?」
「そうです。兄上がもう戻られます」
 その話をするのである。
 
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