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妖精の十字架

作者:雨の日
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~It works together⑩~

「さて、ミラを探しに行くか・・・」

額を流れる血を拭いながら立ち上がる。そして、ミラを探しに向かった

「ミラー?」

するとミラが慌てて駆けてきた

「クルス!大変!無いのよ!」

何が?

「盗まれた宝石!!」

「・・・!?」

さっきメイコムが言っていたことは本当だったようだ
さらにミラが驚きの事を告げた

「しかも!ここは狩人の巣じゃない!!」

「な・・・ッ!?」

その時後ろから拍手と足音が聞こえた

「お疲れさま。クルス・・・?」

背後に立っていたのは船上パーティ参加者、ヤムルだった

「お前、やはり闇ギルドとつながっていたか」

「ご名答!!正確にはスポンサーだけどな」

ヤムルが道をあけると背後にはボロが

「俺はな、財宝を盗んでもらうかわりに金をやり、盗んだ宝石を闇ルートで高値で売り付ける!」

「ハ、屑の極みだな!」

「てことはあんたが今回の騒動の犯人!?」

ヤムルは指を鳴らして親指を立てた

「その通り!・・・でも原因はあんたらにあるんだぞ?」

何を言うかと思えば意味不明なことを言いだした

「もともと、今回のオークションではじっとしておくつもりだったんだ。だがお前が余計な邪魔するから・・・」

完全に八つ当たりだ
隣でミラもあきれ顔

「だからいつも通りボロに盗ませた、と。だが何故ここに居る?」

「それは簡単っすよ兄貴・・・いや、覇界神?」

背後からすっと現れたのはさっきの男。縄に囚われているはずなのに・・・?

「そんな顔しないでくださいよ!俺ですよ!」

「わかっている。だが何故お前がここに居るのかは全くわからない」

「ふふふ、覇界神も以外と頭悪!簡単だって、俺がこのギルド、蜘蛛の巣のマスターってだけの事」

そう言いながら右手の甲を掲げる。そこには確かに蜘蛛のマークが

「え!?じゃぁあの情報は・・・?」

「だまされたな。俺らはまんまと奴らの戦争に手を貸してやったってことだ」

男は大声をあげて笑いだす

「ハハハハ!その通り!おかげで面倒な狩人を一掃できた!まさか黒バルカンを倒すとは思ってなかったがな!!」

「会話はその辺にしておけ。さっさと殺せ」

無常にも命令するヤムル
男は小さくうなずき、ギルドのメンバーに向かって叫ぶ

「やれ!」

「ミラ、さが、・・・ツッ!?」

膝が抜ける。ダメージを負いすぎた。体が言うことを効かなくなってしまっている。しかし、そんなことはお構いなくで蜘蛛の巣は遅い来る
とっさに指を鳴らし、天井を崩す

「・・・くうぅっ!?」

体が軋む。ミラが心配そうに肩を貸してくれたが立ち上がっても足に力が入りきらない

「大丈夫!?」

「あぁ・・・悪い、逃げるしかない、かもな」

するとミラは臆することなく言った

「ううん。私たち二人なら勝てるわ」

「だけどミラ、魔法・・・」

「使うわ」

使う。全身吸収を
その魔法は昔の事件以来使わない、いわゆる戒めだ。それを使うことは過去を乗り越えた時だと俺は思っていたのだが

「大切な人のピンチに出し惜しみなんてしたくない!!」

ミラの涙交じりの言葉に俺は静かにうなずいた

「・・・わかった。前衛は任せられるか?俺は後方から援護する」

「うん!」

崩れた天井を乗り越えて蜘蛛の大群は姿を現す
その時、俺の目の前で可憐な少女は獰猛な悪魔へと姿を変えた

「行くわよ。私、優しくないから」

手から収束された魔力が放たれる。その光線は魔法剣を構えた男を捕らえ、吹き飛ばす。そして大きくな羽で飛び上がり、急降下しながら魔道士を爪で引き裂いていく
ミラを一つの魔法弾が狙っていた。俺はその魔道士目掛けて、指を鳴らし、大気をも揺らす

「・・・ありがとう」

「気にすんな。ほら、まだ残ってるぞ!」

俺を狙ってくる魔道士に一発一発魔法弾を撃ち込み、意識を刈り取る
ミラはミラで肉弾戦を綺麗に決めていく。右の爪で切り裂き、回し蹴りを炸裂させる。魔道士は火を放って攻撃してくるがミラの体を纏う魔力にかき消される
ミラのその攻撃は俺の格闘技と違って無慈悲なもので、回転を軸にした動きで骨ごと砕いていく

「ハァァァァァア!」

ミラを中心として魔力が膨れ上がり、触れたものは次々と砕ける。勿論人間もその限りだが、そこはさすが元s級魔道士ミラ、原型はとどめておく

「俺もそろそろ落ち着いてきたな、覇竜の咆哮!」

まだ四肢に力が入らないが口は動く。咆哮を左右に払い、まとめて屠る

「ミラ!俺ごと衝撃派!」

「うん!」

大きく上に飛ぶ。そして、両手に魔力を収束させた手を振りかぶり俺を含めて衝撃の渦に巻き込む
傷が徐々に癒えていくのがはっきりとわかった

「・・・助かったミラ。」

「クルス!最後お願い!」

俺とミラは背中を合わせて魔力を手に込める

「覇竜―――」

「サタン―――」

「砲破!!」

「ブレイブ!!」

気がつけば魔道士は全員壁に減り込んでいた 
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