| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四章 空白期編
  第百十五話    『シホのミッドチルダでの暮らし』

 
前書き
今回で空白期編は終了となりますが締めの話が思いつかなったので即興で考えた話になりまして、少し短いです。 

 


Side シホ・E・S・高町


ミッドチルダで暮らすようになってはや三年、ランとレンという姉弟を迎え入れて魔術の修業と同時平行に家族として育てる事もやっているそんな最中。
来年ごろにははやての夢見た部隊設立も迫ってきているそんな時、部屋でアルトリアとネロと会話を楽しんでいるときだった。

「そういえばシホ、少しいいですか?」
「ん。なに? アルトリア」
「ランとレンですが、エリオとともに局員になる訓練を頑張っていますでしょうか?」
「そうね…。頑張っていると思うわ。
ランとレンは二人とも魔力変換資質【氷結】を持っているから割りと有利に学べると思うわ。
短期訓練校を卒業したら私の分隊に二人を入れるつもりだしね。
そしてエリオの方もフェイトは自分の分隊に入れるつもりらしいわね。
前に会った事があるキャロって子と一緒に。
歳はまだ現在二人とも九歳くらいだからあまり局入りはお薦めはしないんだけど、私達もそのくらいにすでに働いていたから何も言えないのよね」
「そうだな、奏者よ」

それで私は二人が相談してきた時のことを回想する。


◆◇―――――――――◇◆


ある日、扉がノックされる。

「はい、どなた?」
「私です。ランです」
「ぼ、僕もいます…」
「あ、ランにレン。なにか用? 遠慮せず中に入ってきていいわよ」
「それじゃ失礼します」
「失礼します…」

それで二人は中に入ってきた。その表情は真剣なものだった。

「シホさん! 少しいいですか!?」
「どうしたの? ラン?」
「はい。私とレン、管理局に入ろうと思っています。なにからなにまでシホさん達にお世話になるわけにはいかないですから」
「うん…まともな学校に通わせてもらっているのもシホさんのおかげです。
だから恩返しがしたいです」

ランと、普段は弱気であまり自己主張しないレンもそう話す。

「でも、いいの?」
「そうです。まだランとレンの二人は子供なのですからじっくり考える時間はありますよ?」
「その通りだぞ」

私、アルトリア、ネロの三人で本当にいいのかと聞く。
それに二人は元気よく「頑張ります」と答える。

「それに、私とレンはシホさんのように人の助けになる仕事に着きたいんです」
「うん…シホさんが助けてくれなかったら今の僕達はありませんでしたから…」
「そう…」
「いい志しですね」
「そうだな、アルトリアよ」

私達は二人の成長になにかいいものを感じているのだった。

「それにメールでエリオも管理局に入るって聞きましたから」
「あぁ、そういえばフェイトがそんな事を言っていたわね…」
「だからエリオ君と一緒の時期に短期訓練校に行こうと考えています」
「それじゃ三人ともまずは陸士研修生からスタートと言う事になるのね?」
「そうなりますね」
「うん…」

そうね…。それじゃ早速下準備を始めましょうか。
それで私は隣のすずかの家に向かう。
扉をノックするとすぐにすずかが家から出てきた。

「あ、シホちゃん。いらっしゃい」
「ええ、すずか。それでちょっと頼みたいことがあるんだけどいい…?」
「うん。シホちゃんの頼みならなんでも聞くよ!」
「そう、よかったわ。それじゃ少し私の家に来てもらっていい?
ランとレンを訓練校に入れるためにすずか謹製のオリジナル魔術式搭載のデバイスを作ってもらいたいのよ。
それでどんなデバイスがいいか希望を聞いてもらいたいの。任せていい?」
「うん、任せて。それじゃどんなデバイスかさっそく意見を聞いたら製作してみるから二人の意見を聞くよ」

それですずかに私の家に来てもらいさっそくすずかが二人にどんなデバイスがいいか意見を聞く。

「それでまずランちゃんはどんなデバイスがいいの…?」
「やっぱり私はベルカ式で剣型のデバイスがいいです。
アルトリアさんとネロさんに剣術を習っていますからそれを十全に発揮できる形態があったらいいですね。
それに魔術も行使できて、後は私とレンの魔力変換資質【氷結】も斬撃として放てたら嬉しいです」
「うんうん…それじゃシグナムさんのレヴァンティンタイプの剣型デバイスがいいかな?」
「はい、構いません」
「うん…それじゃ名前はなにがいいかな?」
「ええっと…“バルムンク”でお願いします」

バルムンク、ね。
どこから持ってきたのかしら?
有名どころだとジークフリートの剣だけど。
それで試しになんでか聞いてみると、

「それはですね…前にシホさんが地球の神話などの本を見せてくれた時にこの名前はかっこいいと思いまして。それに同じ剣型ですし」
「そっか。それじゃすずか。ランのデバイスはバルムンクで登録お願いね?」
「うん、わかったよシホちゃん。それじゃ次はレン君かな? どんなデバイスがいいの?」
「は、はい…。えっと、僕は盾型がいいです」
「盾型ね…。それだとやっぱりアームドタイプになるのかなぁ…ほかにはなにか希望はある?」
「はい。本来の使用はやっぱり盾でいいんですけどラン姉さんと同じで斬撃が展開できたらいいかなと考えています」
「盾に斬撃………それじゃ魔力の刃を展開できるように作ってみようかな。面白そうなものが作れそうだよ。でも、なんで盾なの…?」
「はい…。僕の性格は知っていると思いますが自分でも分かるようにどうにも消極的です。
だからあまり前に出れないかもしれません。それなら中衛でどこにでもすぐに回れて攻撃と防御を同時にできたらいいかなと思ったんです」
「そっか…。うん、わかったよ、レン君。そんな感じで作ってみるね? それで名前はなにがいい?」
「アウルヴァンディル、でいいですか…?」
「アウルヴァンディル…? シホちゃん、名前はなにが由来かわかるかな?」
「そうね…アウルヴァンディルっていうと、北欧神話に登場する小人の事で弓の名手で、ホズを弓矢で盲目にしたって言われている人物の名前、だったかしら?」
「あ、シホさん正解。それで合っています」

合っていてよかったわ。
でもなんでこんなややこしい名前にしたのかしら…?
理由を聞いてみると、

「その人は小人なのに関係なく大きい人に立ち向かっていったっていう話があります。だから僕もそんな勇気を持てる人になりたいと思ってデバイスの名前にしたいと思ったんです」
「なるほどね。自身の成長をデバイスと一緒に行っていくという意味合いもあるのね」
「はい」
「なら構わないかな。それじゃすずか。二人の意向でデバイス作成を進めていってくれていい? もちろん魔術式搭載は絶対条件で」
「うん。わかったよ、シホちゃん。ランちゃんにレン君もできるのを待っててね?」
「「はい」」

それですずかはそれからマリーさんの意見も参考にしていきながらもデバイス作成を取り掛かっていった。
そしてランとレンが短期訓練校に入学するちょっと前にデバイスが完成したという報告で家にやってきた。

「はい。ランちゃんにレン君。これがあなた達の意向の元に作られたデバイス達だよ」

すずかの手にはミニ剣の形をしたものと二枚のコインが糸で繋がっているものの二種類の待機形態のデバイスがあった。
それでそれぞれ剣型はランに、コイン型はレンに渡された。

「わぁー…これが私のデバイス」
「それでこれが僕の…」
「その子の名前を言って展開してみて? この子達はそれぞれに答えてくれるから」
「はい!」
「うん!」

それで二人は待機形態をかかげて、

「バルムンク!」
「アウルヴァンディル!」
「「セットアップ!」」

それで二人のデバイスは展開されていく。
ランの手にはシグナムと似た形の青白い片刃の剣が握られていた。
そしてレンの方には両手にとりつく形で二枚の標準サイズの盾が装着されていた。
それを見てすずかが、

「うん。試作タイプにしてはちゃんと起動してくれてよかった。まだ初期型だからその形態しかないけど物足りなくなったら言ってね? 新しいフォルムも考えてあげるからね」
「そんな…。これだけでまだ私達は十分ですよ」
「うん。まだ慣れないといけませんから」
「うん。了解だよ」
「ありがとね、すずか」
「ううん、いいよシホちゃん。いつでも頼ってね?」
「ええ」

すずかはやっぱりこういう分野では頼りになるわね。
それでランとレンはしばらくの間、寮通いの住み着きで訓練校に入っていった。
しばらくは少し家の中が寂しいと感じてしまうことだろう。


◆◇―――――――――◇◆


…しみじみとその時のことを思い出していた。

「二人の成長が今から楽しみね。はやての部隊でみっちり鍛えるつもりだし」
「そうですね」
「奏者のことは余が守るからな?」
「うん。二人共頼りにしているわね」
「はい」
「うむ」

ピンポーン♪

と、そこにインターフォンが鳴る音がして外に出てみると、そこにはすずかとライダー、フィアの三人がやってきていた。

「あ、お姉様。こんばんわです」
「こんばんは、シホちゃん」
「こんばんは、シホ」
「ええ。でも三人共こんな時間にどうしたの…?」
「うん。アルトリアさんとネロさんを交えた六人で女子会を開いて色々と話し合おうかなと思って…」
「はいです」
「将来、ね…。いいわよ。今はランとレンも家にいないことだしね」


………………
……………
…………


それから六人で色々と話をしていった。
途中で私が料理を作ったりしてみんなでつまんだり。
特にアルトリアが黙々と食べていたわね。それを見てライダーがなにやら含みのある笑みを浮かべていたり。
それはともかくとして女性になってから体重とかも気にするようになった身としては太らないのは羨ましいのである。

「…シホ? どうしたのですか? そんなにじっと見られては恥ずかしいですよ」
「いえ、いくら食べても太らないアルトリアとネロ、ライダーが羨ましいなって思ってね」
「あ、それは私も思いますよ、お姉様」
「うんうん、特にライダーはすごいプロポーションだもんね」
「…スズカ、恥ずかしいですから。それに私はそんな綺麗では―――…」

ライダーの言葉は最後まで紡がれなかった。
なぜかというとすずかがこわい笑みを浮かべていたからだ。

「ライダー? なんでいつもいつも自分を卑下しちゃうのかなー?」
「い、いえ…す、すみません、スズカ。もうこれは癖みたいなものでして」
「相変わらずですね、ライダーは」
「黙りなさい、アルトリア。ベルレフォーンを喰らいたいですか…?」
「エクスカリバーで返り討ちにしますよ?」

アルトリアとライダーがお馴染みの仲の悪さで喧嘩腰である。

「ははは、相変わらずの仲の悪さよの。アルトリアにライダーは」

ネロは二人の争いを肴にお酒を飲んでいるしね。

「ふむ、ここは余の歌で場を盛り上げようとするか」
「ッ!?」

ネロがそんな事を言い出して思わず私は顔を引きつらせた。
アルトリアも聞き捨てならない内容だけに私と同じような表情になっている。
他のメンツはまだ知らないらしくなんのこと?という表情になっている。
今回は洗礼としてみんなにも味わってもらおう。
ネロがマイクを持ち歌おうとしている。
それで私とアルトリアは耳を塞ぐ。
そして始まる。恐怖のリサイタルが。


―――ボエ~~~~~♪


しばらくして恐怖の時間は過ぎていったがそこにはグテっとしてるすずか、フィア、ライダーの姿があった。
やっぱりかぁ…。

「うむ、あまりの余の美声に驚いているようだな!」

ネロは状況が分かっていないらしく御満悦である。

「(し、シホちゃん…ネロさんって、かなり音痴なの?)」
「(ええ…。せっかくの美声なのにそれが台無しにしているのよね)」
「(い、言っておいてくれたらよかったです。はう…)」

フィアはそれでダウンしてしまった。
それからお口直し(?)という感じで私がローレライを熱唱するとダウンしていた一同はなんとか復活してくれた。
そんな感じで夜は過ぎていった。

―――そして翌朝、いつ寝たのか覚えていないけどなぜか下着姿で私達は一つのベッドで雑魚寝をしているのを見て、なにがあった…?という感想を持ったのだった。


 
 

 
後書き
ランとレンのデバイスは私オリジナルですが見本になったものがあります。
そしてネロの歌は音痴なのはエイプリルフール企画で確認しましたので今回出してみました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧