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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第13話:信じる者はすくわれる……足下を。

 
前書き
結構気に入ってます、このサブタイトル。 

 
(裏切りの洞窟)
シンSIDE

「何で私がこんなジメジメ洞窟に入らなきゃなんないのよ!?」
先ほどからマーニャさんの不平が止まらない……
いや……先ほどからじゃないな、ずっと言い続けている。

ブランカを出立した俺たちは、東南に広がる砂漠地帯を抜ける為、砂漠の宿屋と呼ばれる施設に立ち寄った。
そこで“徒歩で砂漠を渡るのは大変危険だ。馬車を使わないと、とてもじゃないが生きてアネイルには辿り着けないぞ!”と、宿屋の主人に教えられた。

どうやらこの場所を拠点に、砂漠を渡る為の業者が居るらしいのだが……数日前にトルネコさんを運ぶ為出て行ってしまったららしく、その馬車が戻ってくるまで砂漠は渡れないと拒絶された。

困り途方に暮れていると、宿屋の隣に納屋があり……その中で立派な馬車と、綺麗な馬車馬が置かれているのを発見する。
馬車があるのだから何とかならないのかと宿屋の主人に尋ねたところ……
『その馬車と(パトリシア)は、息子のホフマンの物だ。勝手に使う事は出来ない』
と断られる。

それではと思い、ホフマンさんに直接交渉をしたのだが……
『イヤだね! 人間なんて信用できない……どうせ砂漠を渡りきったら、そのままパトリシアと馬車を奪って逃げるんだろ! 下手に俺が付いて行ったら、砂漠の真ん中で殺されかねない。お前らなんか信用できるか!』
と不本意な事を言われ拒否られた。

彼の言い分を聞いて怒鳴りそうになったリューノちゃんを抱え、一旦外に出て対策を考える事に……
するとご立腹の少女から『ふざけやがってあの野郎。あんなヤツぶん殴って、馬車だけ奪いましょうよ!』と、感情丸出しのご意見を賜りました。

『落ち付けって……お前の父親が一番に言いそうな事を、娘のお前が言うんじゃない! もっと穏便に解決する方法があるはずだから、不穏な発言をするんじゃない!』
常識的なウルフさんの意見に従い、取り敢えず彼が極度の人間不信になった理由を聞き回って見る。

すると直ぐに判明。
何でも以前に(ホフマン)が、心から信頼できる親友と共に東にある『裏切りの洞窟』へ宝探しを行ったときから豹変したと言う……

宿屋の主人……つまり父親が言うには、血だらけでパトリシアに連れ帰られたホフマンさんは、傷が治ってもその時の事は教えてくれず、極度の人間不信になったらしい。
う~ん……困った。

『こりゃぁお手上げね!』
と、マーニャさんが諦めると……
『ダメですよ姉さん! 信じられなくなった人を、そのまま放置するなんていけません! 何とか私たちでホフマンさんの心を癒してあげましょう』
と、ミネアさんが言い出し……

「あんなヤツの為に、私が洞窟で苦労する意味なんてないのに……」
と、俺を先頭にミネアさん・リューノちゃん・マーニャさん・ウルフさんの隊列で、この洞窟を探索し原因究明をしている俺達なのです。
彼女(マーニャさん)の愚痴と共に……

だがマーニャさんの意見も一理ある。
この洞窟は、ある程度腕力のある大人が2.3人で協力しないと突破できない石壁があり、結構先に進むのがめんどくさかったりもするんだ。

「おい気を付けろ……敵の気配はするのに、敵が襲いかかってこない。何かおかしいぞ……」
不平を言い辟易している俺やマーニャさんに、ウルフさんが格好良く状況を見据え注意を促してくる。
そうだよね、気を抜いちゃダメだよね!

気持ちを入れ替え俺が一歩を踏み出した途端……
“ガコン!”という音と共に、俺の後ろの床が抜け、隊列中央にいた女性3人が下の階へ落ちてしまいました!
慌てて後を追おうとしましたが、抜けた床が元に戻り俺達の行く手を遮りました。

「ど、どうしましょうウルフさん!?」
「落ち着け! リーダーが最初にパニクッちゃダメだ。見た目だけでも平常心を貫け!」
そ、その通りだ! ここでパニックを起こしては敵の思う壷……流石はウルフさん、格好いいです!

「何事もプラス思考だ……小うるさい女共が居なくなって清々したと思えば良い。……どうだ、気が楽になっただろ?」
えぇ~……それってプラス思考なんですか?

「よし、一旦町へ帰って作戦を練りながら、町の女の子でもナンパしようか!?」
すごい爽やかな笑顔で、一旦帰還案を提示するウルフさん。
ワザとなのは解っているけど、それでも不安になってしまいます。

「で、でもウルフさん……先ほど通ってきた道ですが、また石壁に塞がれてしまい、俺達だけじゃ帰れなくなってますが……皆さんを捜しません?」
「しょうがねぇなぁ……運良くミネアさんだけと合流できれば助かるが、きっと3人娘が一緒だろうなぁ(笑)」

ウルフさんは楽しそうに笑いながら、唯一行く事が出来る下りの階段を指さし、俺に行く先を指示する。
本当は彼もみんなの事が心配なのだろうけど、そんな様子は微塵も見せない。
出来る男ってのはこうでなきゃ!

シンSIDE END



(裏切りの洞窟)
ウルフSIDE

やっべぇ~……
よりによってリューノとはぐれてしまった!
アイツ戦闘能力は皆無だから、怪我でもしてなきゃ良いけれど……
マーニャさんとミネアさんが守ってくれるだろうけど……心配だ。

俺より先にシン君が取り乱しちゃったから、カッコつけて平静を装ったけど……
リュカさんが居ない今、娘等を守るのは俺しか居ないのに……
でもシン君が素直な良い子で助かる。

全てを言わなくても俺の考えを察して先頭を歩いてくれる。
唯一の通路を彼を先頭に慎重に進む俺達。
やぱり女っ気は欲しい……マーニャさんの匂いは、凄く良い匂いなんだ!

「「「きゃー!!」」」
そんな事を考え、ちょっとムラムラしていると……
前方で女性の悲鳴が聞こえてくる。

シン君と共に慌てて悲鳴の下へ駆け付けると、マーニャさん・ミネアさん・リューノの3人がモンスターに襲われていた!
直ぐさま彼女らの前に躍り出て、襲ってきたモンスターを倒す俺達。
やっぱイケメンは格好良く美女を救う姿が絵になるね!

俺は振り返り3人に無事を確認しようと見渡す……が、何かがおかしい事に気付く。
シン君は何も感じてない様子だが、何かがおかしい……なんだろうか?
そういえば……マーニャさんの良い匂いが感じない。
香水とかではない美女の良い匂いってヤツだ……それが感じられない。

「シン君気を付けろ……こいつ等は偽者だ!」

ウルフSIDE END



 
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