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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第12話:良い女ッスよね

(ブランカ)
ミネアSIDE

昨晩の騒動を終え、私達は全員宿屋のロビーに集合する。
朝一でウルフさんに確認したら、彼はシンさんの部屋で休ませてもらったらしく、気を使って床で寝たのでちゃんと眠れなかったそうだ。

姉さんを部屋に連れ帰り、朝までお説教をしようと思ったのだけど、珍しく激しい自己嫌悪に陥っていた為、優しく悩みを聞いてあげる事に……
すると驚いた事に、姉さんの口からウルフさんへの恋慕を聞く事が出来た!

今まで『良い男が居ない』とぼやいていたのに、とうとう春が来たのだと感じ嬉しくなる。
でも……だからこそ子供と喧嘩をするなんて大人として恥ずかしい事!
そんな女性はウルフさんも嫌いなはず……そう言って、今日は先に謝る様に説得しました。


暫くすると、リューノちゃんがロビーに下りてきました。
ウルフさんが言ってましたが、彼女も本意では無かったのでしょう……申し訳なさそうに皆の顔を伺いながらの登場です。

彼女は極度にプライドが高いのだと思います。
心の底では姉さんに謝り仲直りをしたいのでしょうが、口を開くと出てくる言葉が気持ちと裏腹になるのでしょう。

「リューノ……昨日はゴメンね。何か酷い事を言っちゃったよね私……本当は妹みたいで可愛いから、喧嘩をするつもりなかったんだけど……大人気なくてゴメン」
そう……リューノちゃんが先に口を開くと、また喧嘩になりかねないのです。
だからこそ姉さんが大人として彼女に謝り、全てを丸く収めるべきなんです!

「……がう……違うよ……」
姉さんが先に謝って、リューノちゃんが多少の憎まれ口を叩き終わると思っていた仲直り……
しかし先に謝られたリューノちゃんは、瞳から大粒の涙を流して泣き出してしまいました!

「わ、私が悪いの……本当はあんな事を言うつもりはなかったのに……マーニャは美人だから、あんな酷い事を言いたくなかったのに……でも言っちゃった私が悪いの!」
どうやらリューノちゃんは、私が思っていた以上に優しい良い子みたいです。

きっと一晩、一人で苦しんだのでしょう……
心にもない事を言って姉さんを傷付けてしまい、そして事態を解決せずに別れてしまった事に……
姉さんから謝り罪を全部引き受けられ、彼女の優しい心は強いショックを受けたのでしょう。

私達はとても素敵な仲間に巡り会えたみたいです。

ミネアSIDE END



(ブランカ)
シンSIDE

マーニャさんに抱き付き泣き続けるリューノちゃん。
とっても優しい顔で彼女の頭を撫で続けるマーニャさん……
良かった……二人の関係が修復されたみたい。

「おいシン君……ちょっと二人の側に行って『うわ~い! 僕もマーニャちゃんの細い腰に抱き付きた~い!』って言ってこい!」
突如小声で俺にだけトンデモない事を囁いてくるウルフさん。
一体何を考えてるんだ!?

「な、何ですかそれ!? 嫌ですよ俺……折角綺麗に解決しているのに、そんな事を今言いに言ったらボコボコにされるじゃないですか!」
「そうだよ……ボコボコにされて来いって言ってるんだよ」

何なんだ……理不尽すぎる命令だぞ!
何故俺がそんな事にならなければいけないんだ!?
「絶対に嫌です! ウルフさんがやればいいでしょ……ウルフさんはそう言うキャラを持ってるんだから!」

「俺じゃダメだ……マーニャさんがその気になっちゃうから! 二人に怒られなきゃならないんだよ。今は二人に共通の敵(怒られ役)が必要なんだよ」
共通の敵(怒られ役)?

「今あの二人は仲直りをした。ここで共通の敵(怒られ役)が現れれば、二人の絆は更に深まるんだ! 謝るという気持ちで共鳴している時に、怒るという気持ちで更に共鳴させれば、二人の心は共鳴し続けるもんなんだよ」

つまり……ワザと怒られて二人の仲をもっと結束させろって事か!?
マジか……リーダーとして、そこまでやらなくちゃならないのか!?
し、仕方ない……俺もウルフさんの様な格好良く頼れる男になりたいし……

「う、うわあ~い……俺もマーニャさんの細い腰に抱きつきたぁい!!」
俺は恥も外聞も捨て渾身の芝居でマーニャさんの腰に抱き付いた!
そして不可抗力なのだが…腕が腰に巻き付いた為、顔は胸の谷間に埋もれる形となる。
ほんの数秒、天国を味わい……そして地獄へと落とされた!

「このエロガキ何しやがる!!」
俺の股間に、鈍い音と共にマーニャさんの右膝がメリ込んだ。
「シン、アンタ何考えてんの!? 最低ね!!」
リューノちゃんの右手の平が俺の左頬にヒットする。

痛いけど……声も出ない……
言い訳したいけど……声を出せない……
チラリとウルフさんを見る……
軽く微笑み、小さくサムズアップをして褒めてくれた。

こ、これで良いのですね……
俺は貴方の期待に添えたのですね!?
頑張ります……俺、頑張りますから色々教えて下さい。貴方の様に格好いい男になれる様、色々とご指導して下さい!

シンSIDE END



(ブランカ)
ウルフSIDE

どうしよう……コイツ素直で可愛いな。
何だか弟が出来たみたいで、凄く楽しい気分になってきた。
しかもシン君は、俺がリュカさんから学んだことを積極的に吸収しようとしている。

やっぱりリュカさんは格好いいんだ!
俺が憧れる男の影を、会った事のない彼が追い求める……
すげーよリュカさん!

あとは仕事を真面目にやって、部下の俺に迷惑をかけなければ完璧なんだけど……
でもポピーお義姉様が言ってた…『お父さんが完璧な人間になったら、世界中の人々が彼を神と崇め、全てを託すだろう。世界を征服したくないお父さんには、悪夢以外の何物でもない! お父さんにとって欠点をさらけ出すのは、世界の為でもあるのよ』って……

解る気がする。
人々は努力する事をやめ、全てを神に任せるかもしれない……
それはリュカさんが常々思っている“人々の成長”とは真逆の効果だろう。

しかし俺は思う……
部下の身にもなってくれよ!!

ウルフSIDE END



(ブランカ)
マーニャSIDE

「このエロガキ……美女に簡単に抱き付いて許されると思ってるのか!?」
突然シンに抱き付かれ、思わず彼の股間を蹴り上げてしまったけど……
きっとウルフの計らいで、私とリューノの仲をサポートしたに違いない。

「そうよアンタ……突然の痴漢行為、ウルフの真似をしすぎよ!」
リューノは彼らの思いに気づいてない様だし……
好意を無駄にしてはダメよね。

「アンタ、私を安い女だと思ってんでしょ!」
リューノと共にシンを攻める事で、私たちの間に仲間意識が強くなる。
先ほどのまま、お互いに謝って表面だけ仲直りした感じじゃ、どことなくぎこちなさが残ってしまうが、こうやって連帯感を高めれば互いを信頼しあえる気がするわ。

「アンタ……今度気安く抱き付いたら、私のメラで丸焦げにするわよ!」
チラッとウルフを見て、サムズアップしているのを確認する。やっぱりね……
心から感謝ですよ。

「そうよ。私のヒャドで凍り漬けにするわよ!」
私とリューノの罵声を浴びながら、股間の痛みに苦しんでいるシンに近づき、胸座を掴んで立たせながら小声で彼に礼を言う。

「ありがとう。んでゴメンね…とっさだったからつい……」
そのまま乱暴にシンをウルフの方へ投げつける。
そしてリューノの肩を抱き寄せて、男二人に向かって指さし怒鳴る。

「なめんじゃないわよ! 私の身体は気安く触って良い物じゃないんだからね!」
「その通りよスケベども! ホント、男ってヤツは……」
同じように彼らを指さし罵声を浴びせるリューノ……可愛いわぁ~。

「何言ってやがる小娘が。男がスケベなのは当たり前だろう! そのお陰でお前は生まれたんだぞ! お前の父親が、品行方正・清廉実直な人間だったら、奥さん以外の女性に手を出し、お前を誕生させる事などなかったんだぞ! 男のスケベさに感謝しろ!」


ニヤニヤ笑いながら苦しむシンを抱き起こし、リューノを怒らせる様な事を言い続けるウルフ……
楽しそうねぇ~……

マーニャSIDE END



 
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