| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐ 

作者:やつき
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一章 『交差』 ‐暴風の竜騎兵と紅の姫君‐
  第9話 『約束』 前編


――大人達の真意を知る『二人』、託された未来と希望を手に二人は進み続ける。
ごく当たり前の日常、暖かくて、安心できるそんな日常。誰もが当たり前だと思えるそんな日常。

『二人』と『彼女』もまた、暖かい日常が続けばどれだけ幸せかと思う。

――だが『運命』とは気まぐれで、そして残酷だ。
訪れる未来、迫られる選択――『陽だまり』を捨ててなお、『二人』は進もうとする。


そんな二人に、『彼女』は何を思うのか。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――『前見た時より、嬉しそうに笑うようになった』

俺とアリアはシャルロットを連れて部屋に戻ると、彼女と話をしていた。
他愛の無い話だけど、そんな中で俺は思った事があった。
それが『前に会ったあの時より、嬉しそうに笑うようになった』という思いだ。

今の彼女は心の奥から嬉しそうに、楽しそうに笑う。
まるで、何か重かったものがなくなったみたいに。吹っ切れたかのように。
太陽のような笑顔を浮かべながら話す彼女を見ながら、俺とアリアは話を聞いていた。

「――それでね、お父さんがそのお店がお勧めだって教えてくれてね…」

シャルロットは笑顔で話をしていた。
そして、その言葉なの中には『お父さん』や『お母さん』という言葉もあった。
彼女に何があったかは知らないが、俺自身少し驚いていた。

あの時シャルロットと集合墓地で会った時、彼女は父親との会話で父親の事を『貴方』と呼んでいた。
そして、俺がその事を聞いたときも『あの人』と言ってたのだ。

それなのに、今ここで満面の笑顔で話をしているシャルロットは『お父さん』や『お母さん』と言っているのだ。
他愛の無い話、そんな話でも彼女が嬉しそうに話す話題は、『両親』についての話だった。

「なぁ、シャルロット」

「ん?――何? ユウさん」

「随分と嬉しそうだけどさ、何か良い事でもあった?」

そう聞くと彼女は笑顔で言った

「うん、とってもいい事があったんだ――全部、ユウさんとアリアさんのお陰だよ」

「俺とアリアの?」

「私とユウの?」

俺とアリアを見るとシャルロットは言葉を続けた

「うん、ユウさん…集合墓地で会った時言ってたよね?『人は、可能性を信じる限りどんな絶望や困難があっても――人であり続けられる 困難や絶望を乗り越えられる そして、どんな状況にも可能性は存在する』って」

「ああ――確かに、そう言ったな。だけど…それがどうかしたのか?」

「あの時、ユウさんとアリアさんと出会って――『もう一人じゃない』って言ってもらえて、それで…二人に『可能性』を示されて――僕は、変われたんだ」


俺とアリアはその言葉を黙って聞いていた、何故なら――その時の彼女の目は、とても真剣だったから。

「二人に聞いて欲しいんだ、今までの僕がどうだったのか――そして、二人のお陰で僕は、どう変われたのか」

そして彼女は語った。今まで自分がどうだったのか。父に捨てられて、実の母親が死んで、実家に引き取られて――そして自分が父と義母とのすれ違いでずっと二人を憎んでいた事を。
自分は相手を知ろうとせず、ただ否定して、憎んで『自分にはそんな現実を変える力も勇気も無いんだ』と思っていた事を。

その話を聞いて、俺は彼女に言葉を掛けようとしたが、彼女は俺が言葉を紡ごうとするのを止めると言葉を続けた

あの時、俺とアリアと出会って、『可能性』と『分かり合うことの大切さ』、自分達二人に『今まで』を変えるために一歩踏み出す勇気を貰ったということ。
自分でできる最大の勇気を出して『父』に思いをぶつけて、そして『義母』とも話をして――『自分達親子はただすれ違って、ただ思い込んでいただけ』という事を知って、分かり合えた事。そうすることで『家族』に戻れたという事を。


「だからね、僕は――今すごく幸せなんだ。 お父さんともお義母さんともちゃんと分かりあえて、そしてもう僕は『全てを否定だけして逃げる事』もやめることができたから、『シャルロット・デュノア』はここに居ます。もう――『鳥篭の中の鳥』なんかじゃありません。だからね、二人には言いたいんだ――」

シャルロットは俺とアリアの顔を目をそらさずに見ながら


「――僕を変えてくれて、未来を変える勇気をくれてありがとう それと……これからも、よろしくお願いします」

そんな彼女を見て、俺とアリアは


「こちらこそ、シャルロット。これからも『友人』としてよろしく頼む」

「私も、よろしくねシャルロット。 それと――おめでとう、今のシャルロットは…凄く幸せそうでいい顔をしていると思うから」

だけど、俺はシャルロットの言っている事は少しだけ間違っていると思った。

――俺やアリアが君を変えたんじゃない。 変わるための一歩を踏み出したのも、勇気を出したのもシャルロットだ。 だから……それは何者でもなく『君の強さ』だよ、シャルロット

そして、心の中で俺は――彼女に申し訳ないとも思いながら、ある事を思っていた。


自分は、『男性IS操縦者』だ。そして俺のISも規格外の化け物だ。俺が恐れたのは、自分の立場と背負うと決めた力、それがいつか、シャルロットを傷つけるんじゃないかと。
自分の持ってしまった力は、俺が望んだもう一度空を飛ぶための『翼』は――あまりにも危険すぎる。 
世界を狂わせるほどに、壊してしまうほどに。

それでも、俺は信じたい。
ISの可能性、『兵器』としてではなく『人が進歩する為の力』という事を信じたい。

きっと、そう遠くない未来で――俺は『世界』にとって文字通り『破滅因子』、イレギュラーとなるだろう。
『男がISを動かしてしまった』それだけでも今の世界のバランスは崩れかねない。
そんな自分が『シャルロット・デュノア』という人物と関わってしまってもいいのだろうか?
俺は…いつか自分の存在が『友人』である存在を傷つけるのではないかと思った。


――じゃあ、お前の隣に居る『アリア・ローレンス』はどうなんだ?『シャルロット』は傷つけたくなくて、隣に居る『アリア』は傷つけても良いのか?お前は


自分の中に浮かんだその問いかけに、俺は――答える事が出来なかった。答えが…見つからなかったから。

そこで俺は考える事を破棄した。考える事から逃げて、単純に自分の中で結論だけ出した。
『自分に関わるとシャルロットを傷つける。 
彼女は『未来』を掴んだのだ、それを自分が壊してしまうのではないか――そんな自分が、彼女の友人でも良いのか』

そう考えた直後だった。部屋の扉がノックされた。ノックされた音に俺は我に返る。

「開いてます、どなたですか?」

座っていたソファから立ち上がると俺は扉の方を向く。扉を開けて入ってきたのは――


「すまないな、取り込み中か? ――む…そちらの女性は?」
「失礼するよ、ユウ君にアリアさん――おっと、君は…」


ドアを開けて入ってきたのは、エディさんとレオンさんだった。

「あ…えっと、僕は『シャルロット・デュノア』と言います――お二人と話がしたかったので、お邪魔させていただいています」

エディさんとレオンさんは納得したように頷くと

「あぁ…君がジェームズの――そんなに畏まらないでいい、ユウとアリアさんの知り合いなのだろう? 私はルヴェル・エディ、二人の保護者といったところだ よろしく頼むよ」

「自分はレオン・ハルベルトと言います。 デュノアさんのご息女でしたか――ご丁寧にありがとうございます」

シャルロットは二人に対して自己紹介をした後礼儀正しく頭を下げる

「君の事はジェームズから聞いているよ、『うちの自慢の娘』だと先程話をしてきた時にのろけ話を聞かされたよ」

「す、すみません…父が何かご迷惑を…?」

「いやいや、違うさ――ジェームズから君の話を聞いてね、よほど大事にされているのだと思っただけだよ気にしないでくれ――さて、ユウ、アリアさん」

エディさんは俺とアリアの方を見ると口を開いた。恐らく――自分達にとっての最重要目的についてだろう

「こちらの用件は済んだよ。ジェームズが二人に話があるそうでな――すまないが、向かってくれるか」
「わかりました――それじゃシャルロット、悪いんだけどちょっと行ってくる」
「戻ってきたら、また話…聞かせてね?」

それに対して、シヤルロットは困惑していた。

「あ…う、うん――じゃあ、また後で」

「シャルロットさんについては私とレオンに任せなさい」

お願いします とだけ俺は言うと部屋を出て社長の自室へと向かった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺とアリアは部屋を出て、社長の自室に着くと部屋の中に通された。
俺が思ったのは――厳重すぎる警備体制だ という事だ。
そして彼、『ジェームズ・デュノア』に部屋の中に通され、今向かい合って座っている。
最初に口を開いたのは、彼だった。

「今日はわざわざ来て貰ってすまなかったね――はじめまして、デュノア社社長の『ジェームズ・デュノア』だ。娘から君たちについては話は聞いている」

「――フランス空軍スカイハウンド隊所属の月代悠です」

「…アリア・ローレンスです、よろしくお願いします」

俺、そして恐らくアリアもかなり警戒していた――何故ならば先日の電話の一件といい、今日のことといい、『デュノア社』に対する不審は募るばかりだったからだ。

「そんなに警戒しないでくれ――そうだね、先に言っておこう。私は君たちが何者か知っている、そして――月代 悠君、君が持っているISがどんな物か、それから君が『男性IS操縦者』だという事もね」

「…貴方の目的は、何ですか?俺達の事を知って、そして今日この場に呼んで――何か目的があるんですか?」

俺は事務的な言葉遣いでそう言った。そんな俺を見て――彼は苦笑すると、話を続けた

「まず、先に言っておきたい――私は君達二人の敵ではないよ。君達の事を知ってどうこうしようという気もない――だから一度警戒心を解いてくれないか。 私に話を、させてくれないか」

そう真剣な目で言うと彼はいきなり俺達に対して頭を下げた。流石に俺とアリアは驚いた。

「頭を上げて下さい、デュノアさん――分かりました、話を聞きましょう」

「ありがとう――さて、何から話そうか」

俺とアリアは彼から話を聞いた。それで一番最初にハッキリしたのは――彼の言うように『デュノア社』は自分達を利用したり、脅そうとしたわけではないという事だ。
それがハッキリわかってしまうと、俺もアリアも、警戒心は薄くなっていた。

彼はまず、電話の件について話すと俺達に謝罪した。『余計な不安をさせてしまった』と。
そして――エディさんとレオンさんに話した案件、俺達も気になっていた『重要な話』について聞かされた。
それは…デュノア社とネクスト・インダストリー社の提携、デュノア社の全面協力についてと、『仏蘭西国企業連』の立ち上げについてだった。
彼は 『それからもうひとつ』 と言うと再び話し始めた

「――今日君達を呼んだ理由として…君達二人に、お礼を直接言いたかった…ありがとう」

何の事だ?自分達は――『彼』に感謝されるような事はしていないはずだ。むしろ、彼と会うことも今日が初めてなのだ。

「…デュノアさん、自分達が感謝される理由がよくわからないのですが」

「ふむ――私はね、いや違うな…私達家族は君達二人に救われたんだよ。君達がシャルロットを変え、私達をも変えてくれた――変わり、分かり合うというのは…年老いた私が言うのも何だがとても難しい。他人を否定したり憎んだり、そんな事は簡単だが――『分かり合う』というのはとても難しい」

俺は、彼の言葉を黙って聞いていた。その時の彼の目は――先程シャルロットが見せたあの真剣な目と同じだったから。

「だが君達は、私達に分かり合う『可能性』を示してくれた。諦めかけていた私に、本当の強さを見せてくれた。だから――礼を言わせて欲しい。 本当にありがとう 」

彼は、そう言うと今度は――俺の目を見て言葉を紡いだ

「そして、もうひとつだけ話がある――ユウ君…といったか、君についてだ」

唐突に自分の名前を呼ばれて、俺は驚いた。

「自分…ですか?」

「ああ、君だ――ユウ君、私はさっき言ったように君達二人の味方だ。約束しよう――そして君については、ルヴェルから聞いている。君が『男性IS操縦者』だと言う事も、君の持つ力――暴風の意を持つ"Tempest_Dragoon"についてもだ。私に、教えてはくれないだろうか――君の覚悟を」

俺自身の目を見て、彼はそう言った――俺自身の覚悟、それは

「…自分は、自分の特異性について理解しているつもりです。下手をすれば自分の存在と、自分のIS――『テンペスト』は世界を壊します。犠牲を生んで、きっと悲しみを生みます 『それでも』自分には責任と想いがあります」

「それは、何だね?」

「どんな形であれ――自分はあの時望みました、いえ――ずっと望んでいました。『もう一度空を飛ぶための力が欲しい』と――そして、得てしまいました。とても大きくて強大な力を。ですが…それを望んだのは自分です」

俺は、彼――『ジェームズ・デュノア』の目をしっかりと見ながら言った。自分の覚悟を、想いを。

「力を持つものには責任があります――そして『男性IS操縦者』でもある自分は、力を手にした時点で既に大勢の人間の運命に介在しています。…その責任は自分が背負わなきゃいけない事なんです――『想い』をやり遂げる事、それから『力』を得た責任は取らなければならないんです」

「君の言う、その『想い』とは――何かね?」

自分の想い――ISに対する思いは、1つだった。
篠ノ之 束、ISの生みの親であり、『あの事件』の引き金となりもみ消した彼女に対しては確かに思うところがある。だが――それは一個人の勝手な感情だ。想いではない。
『兵器としてではないIS』と『兵器としてのIS』、ISという力はきっと――人の未来を切り開ける力だと俺は信じている。

自分の持つISが『人を殺すために作られた軍用IS』であったとしても、それでもきっと『その力は人を救う力にもなる』という可能性。
『ISという力は使い方で、人の心によってどんな方向にも進める――『無限の可能性』』なのだと俺は思う。
インフィニット・ストラトス――『無限の空』、『無限に広がる空』という意味合いのようにきっと――ISにはどんな方向にも進める『無限の可能性』があるんだと。


篠ノ之 束が憎くないのか、自分の大切な人が死ぬ原因になった出来事を引き起こし、それをもみ消した彼女が憎くないのかと聞かれたとしたら、俺はきっと彼女を『憎い』と答えるだろう。
だけど、それは俺個人の感情だ、俺自身の憎しみであり『IS』は関係ない。
そしてもし、そんな憎しみに飲まれて、ISを『兵器』としか見れなくなってしまったら――きっと、ISは『兵器』にしかならない。
自分の憎しみで動いてしまえば、『ISの可能性』を否定する事になる。そして――憎しみで動いてしまえば『自分自身と自分の想い』すら否定する事になる。


――俺は、『IS』の可能性を信じたい。矛盾しているかもしれない、狂っているのかもしれない。だけど…俺は『ISは人を革新させる無限の可能性』だと思うから、その想いだけは枉げたくは無いから。だから俺は戦う。戦いながら、『それでも』と言い続ける。それが、自分自身に対する『約束』だ。


それが、俺の決めた覚悟と想いだ。
『テンペスト』は確かに『兵器』として作られたかもしれない。
だけど――『力』である以上、それは使い方でどんなものにも変わる。だったら後は、『俺自身』の選択だ。



俺は、一度深呼吸をすると――彼を、デュノアさんの目を見て口を開いた


「――例えそれが幻だろうと、幻想だろうと、自分は『IS』の可能性、『無限の可能性』を信じています。だからこそ――自分の力は『未来を切り開く』為に使います。それに…きっと篠ノ之 束博士も、『ISを人殺しや戦争の道具』として作った訳じゃないと思います――なら、『兵器ではないISの可能性』を信じたい、そして『兵器』としてのISを否定します。否定して…矛盾してるかもしれませんが戦います。そしてその覚悟と責任は全部自分が背負って行くと、そう決めたんです」

きっと『兵器としてのIS』ではなく『兵器ではないIS』を信じたいと言いつつ戦う事を選ぶ俺は、矛盾していているんだろう。
でも、戦わなければ進めない、傍観しているだけではきっと何も変わらない。それに『軍属』である俺に出来るのは――戦って、その中で未来を掴んでいく事しかできないんだろうと思う。


俺の言葉を聞いて、デュノアさんは黙ったままだった。

「――おかしいと笑いますか?矛盾していると思いますか?自分でもそうだと思いますよ。ですけど…自分は、『ISを兵器として見る事』だけはしたくないんです、『可能性』を信じてそれに賭けてみたいんです。それをやめて現実を肯定してしまえば――『ISはただの人殺しの道具』です」
「…そうだな、その通りだ。――アラスカ条約によって規制が敷かれ兵器運用が禁止されているとはいえ、それは一般論だ。実際のISは今やただの『兵器』だろう。人殺しの道具だ… 間違っているのはきっと『世界』なんだろう」

それまで黙っていたデュノアさんは、どこか嬉しそうに笑いながら口を開いた。

「ISを量産し、それをビジネスとしている私が言えた事ではないかもしれない――だが確かに篠ノ之 束が『ISを人殺しの道具』として作ったわけではないというのは私もそう思う。はじめは宇宙空間での活動を想定した上で開発されたマルチフォーム・スーツ――それが『IS』だったのだからね。それを『あの事件』から軍事に利用し、そして『人殺し』の道具にしてしまったのは――私達大人と、世界だよ」

俺の勝手な思い込みだが、『IS』<インフィニット・ストラトス>、『無限の空』という由来は――当初の宇宙を飛ぶために作られたという所から来ているんじゃないかと思う。
無限に広がる宇宙という『空』、その『無限の空』を飛ぶための翼であり力――それが『インフィニット・ストラトス』だと、俺は思っている。

「きっと、私達大人がISをそのように扱い、そのISの可能性を『兵器』という方向に向けてしまった――全く、本当に愚かだ。自分達に反吐が出るよ… さて――ユウ君」

「はい、何でしょうか」

自分の考えや想いは否定されてもおかしくない。だけど、否定されたから諦めて、『可能性』を捨てしまえばきっと――何も変わらない。未来を、今を変える事なんて出来ない。
だから俺は、自分以外の誰もに『否定』されても、『それでも』と言い続けてあがき続けると、自分と『テンペスト』に誓ったんだ、『約束』したんだ。


「やはり君は、可能性の塊で、強い子だよ――ルヴェルとレオンが認めているのも納得だ――ユウ君、私からの願いを聞いてもらえないだろうか」

彼の願い、とはなんだろうか――?

「自分で出来る事でしたら」

「ああ、そうだな――私は君なら出来ると信じているが… 君に、私の希望と未来を託したい。――勝手かもしれない、無責任かもしれない。 だが世界を今のようにしてしまった老いぼれの一人として、君に託したい――私の希望を。願いを、約束を1つだけしてもらいたい。 きっとこの先、困難や絶望が君を待っているだろう、だが『それでも』君のその覚悟と信念を決して枉げずに進んで欲しい、絶望や困難を退けて、君のその『可能性』を実現させて欲しい」

彼の目は、真剣で――そして俺は『既に多くの人間の人生に介在してしまっている』のだ。

「――世界をダメにしてISを実質上兵器としてしまった老いぼれの頼みだ。君達のような若い力に私達の尻拭いをさせているかもしれん、押し付けているかもしれん、だが――この通りだ」

そう言うと、デュノアさんは立ち上がり俺に頭を下げた。
自分に出来る事があるのなら、そしてこの人もきっと心の中で今の世界が『こんな筈ではなかった』と思っているのだろう、俺はそう思った――だから

「…頭を、上げて下さいデュノアさん――約束します。絶対に自分は諦めません、『ISの可能性』を信じて進み続けます」

「ありがとう――老いぼれの一人として、君に――君達二人に未来を託す。そして君達の為なら私も全力で協力しよう それから――シャルロット、あの子をこれからも頼む。仲良くしてやって欲しい」

その時の彼の顔にあったのは、『笑顔』だった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――託された『願い』と『希望』。世界を変えていく力と意思は『可能性の申し子達』に手渡される。

――たったひとつの『約束』。手渡された希望と己の誓い、そして意思を胸に二人は未来へと向かう。

全てはこれから始まり、未来には多くの困難と絶望が待ち受けている。


――だが、『それでも』それら全てを跳ね除けて、望んだ未来に『可能性の申し子達』は進む。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧