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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第四章 空白期編
  第百九話      『空港火災』

 
前書き
今回はスバルとギンガ初登場回です。
漫画とアニメから部分部分を切り抜くのに苦労しました。
それではどうぞー。 

 





シホ達はGWを利用して休暇を取り、陸士部隊研修中のはやてに呼ばれて空港に来ていた。

「でもすずかとアリサはともかくアリシアは用はなかったんだから来ればよかったのにね」

シホがそう話す。

「そうだね。久しぶりの休暇なんだから私たちと一緒に来れば楽しめたよ? きっと」
「そうだね。アリサちゃんとすずかちゃんも仕事が好きだもんね」
「アリサは、指揮官部隊研修生だっけ?」
「ええ。やっぱり人を指揮する仕事が得意だから、この適正はあっていると思うわ。今ははやての後輩関係ね」
「すずかちゃんは技術部に入ったんだっけ?」
「うん。マリーさんの弟子として魔術式デバイス作成を中心に学んでいるわ」
「そしてアリシアは前線部隊で魔術を駆使して活躍しているんだよね。
『ソニックスター』の二つ名で有名だよね」
「ええ。将来はアリサが魔術事件対策課の部隊指揮。魔術式デバイスの修理や作成をすずか。前線をアリシアが担当する理想の部隊になりそうよ?
他にも士郎やキャスターに志貴、カレンさんに部隊長のミゼさん、その他色々な得意魔術を使う魔術師がいるから戦力は充実しているわね」

シホが自慢げにそう言う。
期待は高いのだろう。笑みを浮かべている。
でも、となのはが呟き、

「シホちゃんは…?」
「私は教導隊も兼任しているから魔術事件対策課にいくことも緊急事態以外は最近少ないのよね…。
アリシアが『私達が頑張るからシホは教導隊の方も頑張って!』って、言われているのよ」
「アリシアらしい…。三人にはもうシホの教える魔術はほとんど教え切ったの?」
「いえ? まだ教えることはたくさんあるわ。私が今教え終わったのは、前線で使える攻撃系・補助系・防御系・治癒系・暗示系の魔術くらいよ」
「そっかー」

シホ、なんは、フェイトは楽しそうにしながら空港を後にしてホテルへと向かう。
途中ではやてとも合流した。

「よくきたなぁ、三人とも。歓迎するよ!」
「はやて!」
「はやてちゃん!」
「はやて、部隊研修は忙しい…?」
「うーん、まぁそこそこやね。やっぱり難しいことも色々とあるからなー…」

それから四人でホテルへと向かい、昼食を取った後、四人でどこかいい観光名地にでかけようかと話をしている時だった。
そこにいきなり非常回線が開き、

『八神一尉! 空港で爆発が起こり、全体に火が広がって民間人が多く取り残されています!
航空救助隊の首都からの航空支援魔導師がまだ到着しないという報告を受けています! ですから救援に来てもらって構いませんか!?』
「了解! 今ここに腕っ節の強い魔導師が他に三人もいるから一緒に向かうわ!」
『お願いします!』

それで通信は切れる。

「…と、いうわけや。三人とも、休暇はせっかくやけどお預けや。緊急出動や!」
「「「わかった!」」」

それで四人はすぐに顔色を変えて現場へと向かう。
そこではすでに色々な人が動いていて見れば空港はすごい火災になっていた。

「…数時間前まで私達もいた場所だね」
「そうね」
「そうだね」
「三人とも。私は現場指揮を担当するから、三人は民間人の救助に向かってもらってええか!?」
「了解! それじゃなのは、フェイト。行くわよ!」
「うん」
「了解だよ!」

そして三人ははやてを残してバリアジャケットをまとって空を飛んでいった。

「任したで…!」

はやては三人を見送り自身は部隊指揮に入った。

《フリューゲル・タラリア。展開します》

シホ達は空を駆けていく。そして三人は今も救助されていないリストを送ってもらい、そこへとそれぞれ駆けていった。

「でも、こんな時にネロ達を家に置いてきたのは痛かったわね…」
「そうだね。ランサーやファイター、セイバーがいればもっと早く救助できたんだろうけど…」
「最近、みんなも休みの時は家で過ごすことが多くなったもんね。もっと柔軟に待機していた方がよかったね」
《シホ、私も出ますか?》

そこにユニゾンデバイスのアルトリアがアンリミテッド・エアの中から話しかけてきたが、

「いえ、アルトリアはまだ待機していて! アルトリアはいざという時の切り札だから。
それにユニゾンは緊急事態以外はリミッターがかけられていて、承認されないかぎりできないから…」
《わかりました。…ですが、この事件が緊急事態に承認されないなんて管理局も心が狭いですね》
「そうね…。黙ってユニゾンできないものかしらね…?」

そんな話をしながら救助者を助けにいった。


◆◇―――――――――◇◆


『航空魔導師! 教導隊02応答願います!』
「はい。教導隊02、シホ・E・S・高町です!」
『現在、6番ゲートにて要救助者がたまっているみたいです! 至急向かってもらっていいですか?』
「わかりました。アンリミテッド・エア、一番近いルートを…!」
《はい、ルートを検索します》

そしてシホは6番ゲートに入っていき、消火作業をしている局員に話しかけて、

「要救助者が集まっているのはこの場所ですか?」
「…! あ、あなたは………いえ、はいそうです!」

局員はシホを見て一瞬驚きの顔をするがすぐにこの先、炎が回っている扉を指差す。

「この先にいるんですね?」
「はい!」
「わかったわ! アルトリア、出ましょう! 各自救助していきましょう!」
《わかりました、シホ!》

アルトリアが実体化して外に出てシホと共に救助者の下へと駆けていった。
そんな二人を置いていって、話しかけられた局員は、

「魔弾の射手のシュバインオーグ二等空尉に話しかけられたぜ!」
「あぁ! これで俺達はまだ頑張れる! 野郎ども、気合を入れろ!」
『おー!』

なにげに人気の高いシホなのであった。
それはともかく、シホは民間人を救助していく。
逃げ遅れた民間人に防御魔法を展開させて、送る道を確保して急ぎながらも安全に誘導していく。

「これで…このエリアは全員かしら?」
「そのようですね、シホ」
「それじゃ次の場所に向かおうか」
「はい」

それでシホとミニサイズになったアルトリアはシホの肩に乗り移動を開始した。
空でなのはと合流して、

「シホちゃん! そっちの方はどうだった!?」
「今のところ死亡者は出ていないわ! なのは、次に向かいましょう!」
「うん!」

二人は取り残されている一人の少女の話を聞き、それで中へと入っていき、前方の炎の海の中を、

「ストライク・エア!!」

ツヴィリングフォルムで風を溜めて一気に放ち炎の中に道を作る。
二人はそこを進んでいき、

「見えたわ! なのは、天使像が崩れそうだからバインドを仕掛けるわよ!」
「うん!」

それでなのはは通常のバインドを。シホは天の鎖を放ち、少女に天使像が倒れるのを防ぐ。
しかし、なのはのは設置したらそのまま当分はほっといて大丈夫だがシホのは離れると解除されてしまうのでそのまま待機だった。

「ええい! めんどくさい!」

シホは深く考える事を放棄して天使像を剣で粉々に切り裂いてしまった。

「あはは…シホちゃん、もう使われないからって過激だよ?…それよりよかった…。間に合って。助けに来たよ!」

なのはは一人の取り残された女の子に寄って、

「よく頑張ったね。えらいよ」
「そうね。よく無事だったわ」
「えっ…えぐっ…」
「もう大丈夫だからね。安全な場所まで一直線だから!」

シホが女の子に防御魔法を展開して守っている間に、なのははレイジングハートを天井に構える。

《上方の安全を確認》

それでなのはは杖をふり、

《ファイアリングロック、解除します》
「一撃で地上まで抜くよ!」
《All right. Load Cartridge. buster set.》
「ディバイーン・バスター!」

それによって壁抜きで一直線の道が作られた。

「なのはも大概過激だと思うのよね…」
「なにかいった? シホちゃん…?」
「いえ、なんでも? それより早くこの子を運びましょうか」
「そうだね」

それでなのはが女の子を抱えて空を飛び、シホもそれを追っていった。

「こちら教導隊01、及び02。エントランス内にて要救助者の女の子一名を救助しました」
『ありがとうございます。さすが航空魔導師のエース・オブ・エースに魔弾の射手ですね!』
「西側の救護隊に引き渡した後、すぐに救助活動を続行しますね」
『お願いします!』

落ち着いてなのはとシホは女の子に話しかけた。

「…あなたのお名前は?」
「スバル・ナカジマ、です…」
「スバルね。もう少しで救助隊に到着するからそれまで空は怖いだろうけど我慢していてね。
なのはは空を飛ぶのは一番得意だから快適に運んでくれるわよ?」
「シホちゃん、私にプレッシャーをかけちゃ駄目だよ!」
「あはは!」

その後はスバルを救護隊に預けて、二人はまた救援に向かっていくのだった。
将来スバルはなのは達に大きく関わってくるがまだそれは先の話。
二人ははやてに連絡をいれ、

「はやてちゃん! 指示があった女の子一人無事救出! 名前はスバル・ナカジマ。さっき無事に救護隊に渡したんだけどお姉ちゃんがまだ中にいるんだって…!」
『了解! 私もすぐに空に上がるよ!』
「了解!」

それでなのはははやてと通信を切る。
はやては指揮官応援に来ていたスバルの親であるゲンヤ・ナカジマとリインにここを任せた。

「それではナカジマ三佐、後の指揮をお願いします! リイン、しっかりな。説明が終わったら上で私と合流や!」
「はいです!」

それではやては甲冑を展開して空を駆ける。
一方、フェイトも救出した民間人を外に送った後、スバルの姉のギンガの救出を行っているところだった。
ギンガはもう救出されているスバルを探して中をさ迷っていた。
何度も爆発に見舞われ、それでも助けるといって泣きそうな気持ちを奮い立たせて前に進む。
フェイトもすぐに向かってギンガを発見するが、

「そこの子、じっとしてて!」
「えっ…?」
「今助けに行くから!」

だけど、ギンガの足元が突如として崩れてしまい地面へと落下していってしまっていた。
フェイトは即座にソニック・ムーブを使い加速して落下しているギンガを拾い上げる。

「危なかった…」

フェイトは両手でギンガを抱えて、

「ごめんね。遅くなって…もう大丈夫だよ」
「はぁー…そ、そうだ! スバル! 私の妹がまだどこかにさ迷っているんです!」
「妹さん、名前は…?」
「あっ…」
「どっちにいったとかは分かる?」
「あの、エントランスホールの方ではぐれてしまって…名前はスバル・ナカジマ。11歳です!」

それを聞いていた通信班は、

『こちら通信本部。スバル・ナカジマ。11歳の女の子。すでに救出されています』

画面が映し出され、そこにはシホとなのはに救出されているスバルの映像が映りだす。

『救出者は高町教導官とシュバインオーグ教導官です。怪我はありません』
「スバル…よかった」

それを見てギンガは涙を流す。

「さすがシホになのはだ。了解。こっちは今お姉さんを保護。お名前は…?」
「あ、ギンガ…ギンガ・ナカジマ。陸士候補生13歳です」
「候補生か…。未来の同僚だ」
「恐縮です…」

それでフェイトはその場を脱出していった。



そしてはやては空で、詠唱を唱えていた。

「仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ!」

それによって、はやての周りに氷の結晶が作り出される。
今か今かと射出されるのを待ちわびているようだ。

「八神一尉、指定ブロック非難完了です!」
「お願いします!」
「了解! 来よ、氷結の息吹! アーテム・デス・アイセス!」

それによって放たれた氷結魔法は地面を、そして燃え盛る空港自体を氷付けにしていく。

「よし…!」

その広範囲攻撃に局員は思わず、

「すっげぇ!」
「これが、オーバーSランク魔導師の力…!」

巻き添えを食らっているのに余裕の二人である。

「巻き添えごめんな。私一人やと、どうも調整が下手で…!」
「あ、いえ…!」
「次の凍結可能ブロックを探します」

そこに通信が入ってきて、

『遅くなってすまない! 現地の諸君と臨時協力のエース達に感謝する。後はこちらに任せてくれ!』

首都の航空隊が到着したようだ。

「了解しました。引き続き協力を続けますので指示をお願いします」
『了解!』

それからシホ達四人は協力を続けていった。


………………
……………
…………


それから翌日になって、ホテルで航空火災が報道されているのを見ながらなのは、フェイト、はやての三人とリインはベッドでぐったりしていた。
唯一シホとアルトリアはまだ余力が残っているのか立ちながら報道を見ていた。

「うーん…やっぱりなぁ」

はやてがため息をつく。

「うーん?」
「…どうしたの、はやて?」
「実際働いたんは災害担当と初動の陸士部隊。そしてなのはちゃんとフェイトちゃん、シホちゃんやんか」
「あはは…まぁ休暇中だったわけだし…」
「民間の人達が無事だったんだし…」
「死人もなく無事終了したからよかったじゃない?」
「そうですね」

それではやてが起き上がり、

「あんな。なのはちゃんにフェイトちゃん、シホちゃん」
「「「うん…?」」」
「私、やっぱり自分の部隊を持ちたいんよ!
今回みたいな災害救助はもちろん、犯罪対策も、発見されたロストロギアの対策も、なんにつけんミッドチルダ地上の管理局部隊は行動が遅すぎる。
後手に回って承認ばっかりの動きじゃあかんし、私も今みたいにフリーで呼ばれてはあっちこっち回ってたんじゃちっとも前に進めている気がせぇへん…。
少数精鋭のエキスパート部隊。それで成果を上げてったら上の方も少しは変わるかもしれへん。
でな? 私がもしそんな部隊を作ることになったらフェイトちゃん、なのはちゃん、シホちゃん。協力してくれへんかな?」

それでシホ達は顔を見回して、考えに耽る。

「もちろん三人の都合とか進路とかあるんは分かるんやけど…でも、その…」

それでどんどん声が小さくなっていくはやて。
まだ自信がないのだろう。
だがそこでなのはが一声をあげて、

「はやてちゃん、なにを水臭い」
「小学三年生からの付き合いじゃない?」
「そうよ、はやて。今更遠慮なんてしなくていいわよ」
「それに、そんな楽しそうな部隊に誘ってくれなかったら逆に怒るよ? ね、フェイトちゃん、シホちゃん?」
「うん!」
「そうね。それに私も地上部隊には少し不満を持っていたからね」
「私も微力ながら協力させてもらいますよ、ハヤテ」

それでシホ達ははやてに笑みを向ける。
信頼関係のできた感じのいい笑みだ。

「おおきに…。ありがとうな。なのはちゃん、フェイトちゃん、シホちゃん…それにアルトリアさん」

そして、はやては部隊を持つという夢にこれから進んでいく事になるのだろう決意をするのだった。

それからシホ達は休んだら改めて休暇を楽しんだのだった。


◆◇―――――――――◇◆


…とある場所で、

「では、私と組んでくれるかね? 魔術師殿」
「ああ、ドクター………“ジェイル・スカリエッティ”殿」
「くくく…これからが楽しみだね!」
「ふふふ…そうだな。まだ準備期間だが、いずれ魔術の力を大々的に知らしめる絶好のチャンスだよ。それに同士を集めなければいかんしな。ふふふ、ははははは…!!」

闇の中で最悪の二人が共闘してしまった。
未来はもう本来の歴史を辿ることは…ないかもしれない。


 
 

 
後書き
最後に暗躍しているまだ名を明かさない謎の魔術師とスカリエッティを協力関係にさせました。 
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