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ONE PIECE NOVEL -SHISHI BREAK STORY-

作者:伝龍
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第12話 独壇場

「た、大将達が負けたーーーーーーーーーー!!??」

「最高戦力がああも簡単に!?」

シシ達の戦闘を近くで見ていた海兵達は膝をついている大将達の姿に釘付けとなっており、その中には膝から崩れ落ちる者もいる。

「『赤犬』!!『黄猿』!!『青キジ』!!」

処刑台にてシシと3大将の戦闘を見ていたセンゴクも思わず声を張り上げた…まさか、あの3人が敗れるとは夢にも思わなかったのだろう。

「センゴク…!!こりゃあ、本気でマズイのう……アイツら3人でさえ、あの男は軽くあしらいおった。わしやお前が行ったとしても、勝てるかどうか分からんぞ!?」

同じように戦闘を見ていたガープもこの状況にはさすがに焦ったらしく、その額からは冷や汗が流れている。

「そんな事は分かっている!!だが、ここであの男1人に屈すれば、世間は海軍に対しての信頼を失うのもお前は分かっているだろう!!それだけは避けなければならん…ここは世界のほぼ中心にある島『マリンフォード』!!ここに我々がいる事の意味を考えろ!!」

ガープの言葉にセンゴクは怒声にも近い声で答えた……最初にエースの存在を発表した時も言っていたが、エースの処刑は必ず成功させなければならない。もし失敗すれば、次世代において海賊の頂点に立つ資質を発揮し、いずれは『海賊王』になる可能性もある…それと同時に海軍は『海賊王の息子』を野に放したとして、信頼が皆無となるのは当然の事となるだろう。

「センゴク元帥!報告します!!」

そんなセンゴクとガープの元に海兵から報告が入った。

「くっ、こんな時に……どうした!?」

「はっ!!ジンドウ・シシによって破壊された『包囲壁』から続々と『白ひげ』傘下の海賊達が進入してきております!!また、広場の中を『麦わらのルフィ』、ジンベエ、イワンコフの3名が猛然とこちらへ向かって来ております!!」

「ぬぅ……全部隊に連絡しろ!!『白ひげ』とその傘下の海賊達、『麦わらのルフィ』、ジンドウ・シシに戦力を分散して応戦させろ!!とくに、ジンドウ・シシは注意しろ!!あの男は最悪、足止めでも構わん!!」

「りょ、了解しました!!」

「これからエースの処刑を行う!!すぐに準備するんだ!!」

「「はっ!!」」

海兵は慌てて返事をして、すぐさま命令通りに行動をし始めると同時にセンゴクは処刑人にも指示を下した。



















「こんにゃろー!!」

同じ頃、広場の中を走りながら立ちはだかる海兵達をなぎ倒していくルフィ、ジンベエ、イワンコフの3人だが、ジンベエとイワンコフはシシと別かれた後に少しだけだが不安に感じていた…あの時はルフィ達の言葉を信じたが、いくらシシが実力があろうとも、あの3人を1人で相手にするにはやはり無理があったのではないかと思っていたが……

「!!……いくらシシ君でもあの3人を相手にするのは無理じゃと思とったが……心配は無用じゃのう。」

「そうダッチャブルね。いくらシシボーイでも思っティブルけど、やるじゃナーイ!!」

「ハァ…!!ハァ…!!さっすが!シシはすっげーなぁ!!おれももっと強くならねーと……!!」

後方から聞こえてくる海兵の叫びに後ろを振り返る3人…と、その時……

「隙あり!!」

スパン!!

「うわぁああ!!」

そんな言葉と共にモヒカン頭の海兵がルフィの足に刀の鋭い一撃を見舞い、その攻撃で前に倒れ込みそうになるのを必死に堪えるルフィだが……

「『指銃』!!」

ドスッ!!

「ぐぶぅ!!」

それに合わせるかのように今度は獣のような姿をした海兵がルフィの腹へと指を突き立てるとその衝撃で後ろへと吹っ飛ばされた。

「大丈夫か!?ルフィ君!!」

「しっかりおし!!」

「ハァ…ハァ…!!だ、大丈夫だ!!これくらい何ともねぇ!!」

突然の出来事に驚く2人は飛ばされたルフィの元へと駆け寄り、体を抱き起こして前を見るとそこには2人の男……1人は刀を逆手に持ったまま、こちらを睨みつけており、もう1人は腰を低くして両手を広げ、今にも飛びかかりそうな体勢で立ちはだかっていた。

「あれはモモンガ中将!!それにダルメシアン中将も……!!」

「やった!!『海軍本部』の中将達だ!!」

周りの海兵達はその姿を見ると、喜びと安堵の表情を浮かべる…大将に次ぐ地位を持つ彼らの実力は敵味方関係なく知れ渡っている。特にモモンガ中将は刀で海王類をも仕留めるほどの実力者であり、もう1人のダルメシアン中将に関してもそれと同等の力を持っていた。

「悪いが、ここを通す訳にはいかん!!」

「ヌハハハハ!!大人しく観念するんだな!!」

そう言うと2人は再びルフィに攻撃を仕掛けようと『剃』を使って、近づき攻撃しようとするが……

「そうはさせん!!『魚人空手』…『鮫肌掌底』!!」

「近づくんじゃなッキャブル!!『DEATH・WINK』!!」

「むっ!!」

「ぬっ!?『鉄塊』!!」

モモンガの攻撃を弾くジンベエと同時にイワンコフがダルメシアンに向かって、まばたきを放つが、咄嗟に防御して、一旦距離を取る2人。

「『海軍本部』の中将か……こりゃあ、手強いのう!」

「だけど、こんな所で時間は取ってられナッシブル!!麦わらボーイ!!ここはヴァタシ達が何とかするから、ヴァナタは先にお行き!!」

「分かった!!すまねぇ!!ジンベエ、イワちゃん!!…『ギア2』!!」

ルフィは再び血流を加速させて、中将の隙をついて突破するとそのまま一直線に処刑台へと向かっていく。

「!!……逃がしはせん!!」

「そうはさせるか!!」

ルフィの行く手を阻もうと再び『剃』を使おうとする2人だが……

「『魚人空手』…『五千枚瓦正拳』!!」

「ニューカマー拳法44のエステ奥義…「夢打撃処裏拳」!!」

「「!!」」

ジンベエがアッパーカットのモーションで正拳突きを放つと同時にイワンコフも残像が見えるほどの超高速でチョップを放つと、それに気付いた2人は即座に防御や回避行動を取る。

「お主らの相手はわしらじゃ!!」

「ヴァナタ達には悪いけど、麦わらボーイの邪魔はさせナッシブルよ!!」





















「おし!これで『白ひげ』やルフィ達にとって、厄介な大将達は封じたな。」

俺は目の前で苦悶の表情を浮かべる3大将の姿を見つめながら、軽く溜息をついた。

「まあ、中将や七武海の奴らがまだいるかもしれんが、そこは何とかなるだろう。他の中将達は『白ひげ』傘下の海賊や隊長達の相手をしてたし、七武海もハンコック以外はそれぞれ相手を見つけていたからな。」

そう言いながら俺は手を顎にあてて、これからの行動を考える事にした。

「(しかし、よくよく考えてみると他の2人はともかく『赤犬』をぶっ飛ばしたのは、少々まずかったな。これじゃあ、海底に潜ませた『外輸船』が出てこれない……)」

俺は後ろを振り返り、未だに氷の海となっている湾内を見つめながら頭を掻いた。原作では『赤犬』が湾内の氷を溶かし、それを利用して『白ひげ』が海底に潜ませた『外輸船』とリトルオーズJr.を使って広場へと突入していたが、今回はそれをやる前に倒してしまった。

「(こうなりゃ、ジョズにでも氷塊をぶっこ抜いてもらうか?開戦し始めた時にも同じ事やってたし……)」

原作でジョズが氷塊を腕力でぶち抜いた時の場面が頭に浮かぶ…改めて考えると、非常識にも程があるよな、俺が言うのは間違いだけど。

首を横に振りながら、そんな風に考えていると……

「撃てー!!大将達を救出するんだ!!」

「負傷していない者は援護に回れ!!」

ドンドンドン!!

大将達の危機に周りにいた海兵とその隊長らしき人物が俺に目がけて、一斉に銃を発砲する。

「おいおい。人が考え込んでいるのに邪魔するんじゃねーよ。」

ボボボッ!!

放たれた銃弾は俺の体を貫通するも、次の瞬間には音を立てて燃え上がり、元の状態へと戻っていく。

「なっ!?あいつも『自然系』…!?しかも、『火拳』のエースと同じ『火』だと!!」

「そんなバカな……!!」

「怯むな!!どんどん撃てー!!」

エースと同じ能力を使う俺に驚く者もいたが、それでも大半の海兵は俺に向けて銃を発砲する。

「攻撃を仕掛けなきゃ、このまま素通りしたんだが……仕掛けてくるなら話は別だ!!悪いが、反撃させてもらう……『火拳』!!」

俺は大きく右手を振りかぶると、炎と化した拳を発砲する海兵に向けて殴りつけるが、その瞬間……

「『九尾・銀幕』(きゅうび・ぎんまく)!!」

ジュウッ!!

「え!?これは……壁?」

海兵達の目の前に銀色の液体が壁の様に立ちはだかり、思わず見たままの感想を口にする。

「?……これは一体。」

「『九尾・銀槍』(きゅうび・ぎんそう)!!」

「!!」

ボボボッ!!

突然現れた壁に俺は疑問を抱く間もなく、今度は別の場所から同じく銀色の液体が槍の形となって、俺の体を貫くがさっきと同じように音を立てながら、元に戻っていった。

「ほう、なかなか厄介な能力を持ってるな……『白銀街道』(はくぎんかいどう)!!」

シュルルル!!

海兵達の守っていた銀色の壁の上から、銀色の細長い道が出来上がり、その上を滑るように1人の男が降りてくる。

「あ、あれは……」

「銀色の壁と槍は…間違いない!!」

周りの海兵達が自分達を守ってくれた銀色の液体の正体とその使用者に気づき、徐々に活気づいていく。

「それにサカズキ大将やクザン大将、ボルサリーノ大将の3人を倒したとなると、実力はあるようだな。」

銀色の道から降り立つと、すぐさま俺を睨みつける…海軍の支給品である『正義』と書かれたコートを羽織っており、身長は俺より少し高めで黒髪に整った顔立ちだが、そのオーラは歴戦の強者にも勝らぬものであった。

「「あ、アスラ中将!!」」

「お前みたいな奴が何故、今まで頭角を現さなかったのかは分からないが…俺達の邪魔をするなら、容赦はしない!!」

海兵達が男の名を叫ぶと同時に男が威圧を出すと、俺はニヤリと笑いながら男を睨み返した。

「!…へぇ、面白そーな奴だ(しかし、あの男…アスラと言っていたか。俺の知る限りじゃあ、聞いた事はないな)。」

現在、判明している海軍本部所属の中将は10名、海軍支部には1名だけだ。俺は出来る限り、原作を思い出してみるが、どこにもアスラという名の海兵は登場していない。

確か、海軍本部に駐留する中将の規定は16名…まだ登場していない残り6人の中、あるいは支部って事もあるだろうが、それだと実力は本部と比べて3段階降格…つまり、『大佐』相当……まあ、『大佐』でも相当な実力は持っているが…あの男は別だな。

「どうした?そっちが動かないなら、こちらから仕掛けさせてもらう!!『九尾・銀鞭』(きゅうび・ぎんべん)!!」

俺が思考していると、アスラの背中から先程と同じ銀色の液体が流れ出しはじめ、巨大な獣の尻尾の様な形となっていき、俺に向かって振り下ろされる。

「なるほど。『九尾の狐』をイメージとしているのか…こっちにもそんなのがいるとはな?『剃』!!」

アスラからの攻撃を難なく避けて、俺は間合いを詰めると両手を握り拳にして、アスラの体へと押しつける。

「!!」

「それじゃ、アンタの実力…確かめさせてもらうぜ!!『六王銃』!!」

俺の行動にやや驚いたアスラに『六式』を極限以上に極めた者だけが使うことが出来る最終奥義の衝撃が送り込まれる。

ドパァン!!

強烈な衝撃でアスラの体から銀色の液体がはじき飛ばされるが……

「驚いたな、この技を使う奴がいるとは…だが、甘い!!『指銃・黄蓮』!!」

六式最終奥義である攻撃を受けたアスラは感心した様子でこちらを見ながら、右手で『指銃』を連射させる。

「!?」

ボボボッ!!

俺は驚きながら相手の攻撃を防ぎ、『月歩』で空中へと舞い上がるが……

「逃がしはしない!!『九尾・銀枷』(きゅうび・ぎんかせ)!!」

「うぉっと!!」

再びアスラの後ろにある尻尾が勢いよく伸び、俺の体に巻き付くとそのまま地面に叩きつけようとする。

「やらせるか!『火鼠』(ひねずみ)!!」

そう言うと同時に俺の体全体を炎が包み込み、その熱によって巻き付いた尻尾がドロリと溶けると即座に反撃に移る。

「『火拳』!!」

「ちっ!!」

ジュウッ!!

俺の攻撃に他の尻尾で防御をすると、先程と同じく音を立てて防がれる。その間に俺は炎を消しながら、ゆっくりと地面に降り立つと、これまでの相手の攻撃や行動を元に予想を立てていた。

「(なかなかの実力だな。そして、あの能力……)」

『動物系』や『自然系』の可能性はないな…『動物系』はあくまで『身体能力』が強化される系統で格闘戦などに向いているが、いくら動物特有の箇所が強化されるといっても、あそこまでする動物など存在しない。マルコもあの炎は傷を再生し、攻撃を無効にするための炎であり、それ自体を攻撃に使用してはいないしな。

『自然系』に関しても俺の攻撃を受けても『自然系』の『物理攻撃を無効にする』という特性はあったが、あれを自然現象とするのは無理があったし、なおかつ『自然系』にしては他の能力にに比べて、攻撃能力が低いように感じられる。
まあ、並の実力者なら充分に脅威なのだが、『白ひげ』クラスの実力者となると少し疑問が出てくる。それにあの尻尾だが、なぜか攻撃・防御共に能力の性質なのか切り離して使おうとしなかった。

となると残るは『超人系』だが、これが1番可能性が高いだろう。ゴムゴムやバラバラ、グラグラなど特殊な体質になったり、その他に作用する能力が付与される。さらにゴムゴムは打撃や電撃等が無効になるし、バラバラなら斬撃は無効になるから俺の攻撃を無効にできるのも説明できる。
ドルドルやドクドクと同じく自ら発生させた物なら、自在に操ることも出来るから条件にほぼ近いだろう。

「(となると、あの男の能力だが…)」

さっきの攻撃で液体を操る能力だというのは判明したが、水ではないな。見た目はもちろんの事だが、仮にそうだとしたら俺なら海水や体内の水分を操って攻撃等の手段に使う。
しかし、見たところそれらを使用しているとは思えないし、何より俺の攻撃で蒸発したのではなく溶けるということは水の性質からは考えられない。そう考えると、残るのは……

「(アレか……1度試してみるか)『剃』!!」

俺は自分の考えが合っているかを確かめる為に、真っ正面から相手に突っ込んでいく。

「!…真っ向から勝負を挑むとは……何か策でもあるのか?」

突然の俺の行動にアスラはやや驚くが、手を振り上げると尻尾を攻撃態勢に移らせる。

「策があるなら、それごと対処するまで…『九尾・鋭貫銀槍』(きゅうび・えいかんぎんそう)……!!」

「!!『鉄か……』」

「甘い!!」

グサッ!!

アスラが手を下ろすと同時に尻尾が先程より鋭く尖った形となり、それが突っ込んできた俺の腹へと突き刺さる。

「見ろ!!奴を仕留めたぞ!!」

「ウォォォ!!さすがはアスラ中将だ!!」

その光景に周りの海兵達も歓喜の声を上げる。

「『鋭貫銀槍』は『銀槍』の貫通力を強化したもの…お前が六式を使う事はさっきの『六王銃』で分かっていた。いくら『鉄塊』とはいえども、防ぐことは出来ない…恐らく、接近戦で何かするつもりだったのだろうが……勝負あったな。」

そう言って俺の腹に刺さった槍を引き抜こうとするが……

ガシッ!!

「!…何の真似だ?」

引き抜かれる前に俺はその槍を強く掴んで抜かせないようにする行動にアスラは疑問を投げかけると俺はニヤリと笑った。

「やっぱりな……分かったぜ?アンタの能力。」

「!ほう…面白い。なら聞かせてもらおうか?」

「まずはアンタが『動物系』『自然系』『超人系』のどれかって事だが、『動物系』や『自然系』はまずない。それぞれ当てはまる条件にばらつきがあるからな……となると必然的に『超人系』という事になるが俺は最初、水を操る能力かと思った。それなら、海水や相手の体内の水分を操れるし、わざわざこんな尻尾を作る必要など無い…まあ、カモフラージュにはなるかもしれないがな。」

「ただ単に使わなかっただけ……とは考えなかったのか?」

俺の言葉にアスラは単純な答えを示すが、俺はそれを否定するかのように首を振った。

「それはないな。それに、何より水ではないと判断したのは俺の攻撃で蒸発ではなく、溶けたいう事だ。『水が蒸発する』なら分かるが、『水が溶ける』なんて事はあり得ない。そう考えると強度があり、なおかつ溶けるという言葉を使うとなると……『金属』しか俺は思い浮かばなかった。」

「………」

俺の回答に黙りこむアスラだが、そんな事は気にせずに俺は言葉を続けた。

「『金属』でもいろいろな種類があるが、基本はどれもが常温・常圧では固体だ。しかし、たった1つだけ例外がある。その金属は常温・常圧でも『液体』だから、いろいろな形に変形させることは容易だ……今、アンタが使ったようにな?その『金属』とは……『水銀』だ。」

「………」

「『水銀』はその名の通り『銀』のような光沢を放つことからその名前がついている。アンタの使っている能力も同じ『銀』色だ……どうだ?俺の言っていることは間違ってるか?」

俺は反論はあるかと言わんばかりに聞き返すと、アスラは……

「ふっ……まさか俺の能力があっさり見破られるとはな。お前の言うとおり、俺は超人系悪魔の実『メタメタの実 モデル水銀(マーキュリー)』を食べた『金属人間』だ。だが、それが分かった所で何になる?お前が何を企んでいるのかは知らないが、このまま……!!」

アスラはさらに別の尻尾を同じく槍に変形させようとしたとき、何かに気付き、口元を緩ませた。

「いや、少しやり方を変えよう。」

そう言うとアスラは尻尾を操作して、俺を動けないように巻き付けていく。

「何をやって…?」

突然のアスラの行動に俺は首を傾げるが、巻き付いた水銀はなおも強く締め上げられていく。

「お前の力は確かに大した物だ。『火拳』だけではなく、3大将の能力まで使えるとはな?今の現状では俺1人では手に負えない……だから!!」

アスラがそう言った同時に俺の背後から……

「『アイスBALL』!!』

「なっ!?」

そんな声と共に巨大な氷塊が投げつけられ、シシの体が凍り付いた。

「連携して、お前の相手をさせてもらう…そうですよね?クザン大将。」

「あー…まあ、そういう事だな。」

口から血を流しながらも、やれやれといった感じで『青キジ』が溜息をつきながら、こちらへと歩いてきていた。

「でも、まあ…よくやったな?」

「クザン大将を見つけた時、奴に気付かせないように自分は注意をそらしただけです。あとはそちらがやってくれると信じていましたから…」

「……何とも嬉しい言葉だねぇ。聞いたかい?」

「ふん!お前に言われんでも、聞こえとるわい!」

「聞こえてるよぉ~~~~」

『青キジ』は背後の2人……『黄猿』と『赤犬』に振り返りながら、声を掛ける…つい先程、アスラがとどめではなく、シシの動きを封じ込めたのはシシの背後に大将達がゆっくりと立ち上がる姿が目に映ったからだった。

そこでアスラはそれに気付かせないために注意をそらしながら、大将達が動くまで時間を稼いでいたのだった。

「ところで、大丈夫なのか?一緒にお前の水銀も凍らせたが……」

「凍り付く前に切り離したので心配いりません。そのくらいの事が出来なければ、大将達にはついていけませんから。」

そう言いながら少し口元を緩めるアスラ…その時……

「『赤犬』!!今すぐ作戦の続きを実行しろ!!」

3大将の姿を確認したセンゴクが処刑台から『赤犬』に対して、即座に作戦の続きを行うよう指示を出した。

「センゴクさんも相当、ご立腹のようだな。サカズキ…それじゃあ、頼んだよ。」

「お前に言われんでも、やるつもりじゃあ!!黙って見ちょれ!!」

クザンの言葉に不機嫌な様子で前に出ると、両腕をマグマに変化させる。

「こりゃ相当機嫌が悪いな。」

「海賊に…それも無名の海賊に自分が遅れをとった事が許せないんでしょう。」

「気持ちは分かるけどねェ~~~。」

その背後で『赤犬』の言動について話す3人だが、それに構わずマグマに変えた両腕を空に向けると、そのまま噴出させる。

「『流星火山』!!」

拳の形をした火山弾が複数打ち出されると、それは湾内の『白ひげ』達の方へと落ちていった。 
 

 
後書き
オリジナルの技を紹介。

名前:『九尾・銀幕』(きゅうび・ぎんまく)
説明:アスラの能力によって作られた尻尾によって形成される防御技。その強度は大砲などの攻撃を軽く防ぐ。今回は海兵達を救うのに使われた。

名前:『九尾・銀槍』(きゅうび・ぎんそう)
説明:アスラの能力によって作られた尻尾を槍に形成する攻撃技。なお応用技である『鋭貫銀槍』(えいかんぎんそう)はこの槍の貫通力を強化させたもの。

名前:『九尾・銀鞭』(きゅうび・ぎんべん)
説明:アスラの能力によって作られた尻尾を鞭に形成する攻撃技。シシには避けられたが、本来は複数の敵をまとめて薙ぎ払うことができる。

名前:『九尾・銀枷』(きゅうび・ぎんかせ)
説明:アスラの能力によって作られた尻尾を枷に形成する捕縛技。元が水銀であるため、その強度は非常に高いがあっさりとシシに破られた。

名前:『火鼠』(ひねずみ)
説明:シシが使った『メラメラ』の実のオリジナル技。全身を炎で纏うことでアスラの攻撃を防いだ。元は竹取物語の『火鼠の皮衣』。
 
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