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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第2話:私だって気を使います

(山奥の村)
リューノSIDE

昨晩はベッドの中で泣いている私の手を握り、シンが優しい声で『大丈夫だよリューノちゃん。必ずお父さんとは会えるから……』って慰めてくれた。
でも泣いている事を知られるのが恥ずかしくて、私は『そんな事分かってるわよ! 私のお父さんは凄いんだから……必ず私を見つけてくれるんだから!』って言っちゃった。

本当は優しくされて嬉しかったのに、どうして素直にお礼を言えないんだろう?
そう言えばティミーやウルフにも怒鳴っているなぁ……
素直になるのって難しい。

そのシンは、今日もバトウってオッサンに剣の稽古を付けてもらっている。
私は剣術の事には素人だけど、お父さんやティミー…大きくレベルを下げてウルフと比べても、彼等は弱く見える。

お父さんが言っていたけど、“実践に勝る訓練は無い!”って事らしい。
こんな村に閉じこめてないで、大人達と一緒に外界で戦闘をすれば、今よりも早く強くなれるだろうに……
無駄に厳しくシンを鍛えているのを見て、そう言おうかなと思ったがめんどくさくなりそうなので控えた。



さて……
今日もハードな訓練を終え、愛しのシンシアに会いに行こうとするシン。
ウキウキとした足取りで、村の池に掛かる橋を渡っている。

すると池の中から一匹の蛙がピョコンと……
そして徐に話し出す!
「剣士様…どうか助けて下さい。私は蛙の姿をしておりますが、本当は蛙ではございません。私はある国の姫…悪い魔法使いによって、蛙の姿に変えさせられてしまったのです!」

「え!? それは大変ですね……」
確かに大変な事ではあるのだが……
“ある国”の“お姫様”って……胡散臭さ大爆発!
何処の世界のおとぎ話だ?

「あ、いえ…慣れれば蛙の姿も楽しいんですけど……」
「はぁ? では一体何を助ければ良いのですか?」
コイツ等は私の目の前で、何を間抜けな会話してんだろうか?
こんなほら吹き蛙は放っておいて、さっさとシンシアの下へ行けばいいのに。

「え~っと……何を助ける……? え~っと……あ、大変! 人が来る気配がします」
お人好しなシンが蛙姫(自称)を助ける為、お困り原因を尋ねたのだが……
誰も来やしないのに『人が来る気配がする』って言って、村の地下室へ逃げて行く蛙。

我が一族の90%の人間であれば、シカトして先を急ぐのだろうけど、お人好しMAXのシンは蛙姫の後を追い、地下室へと行ってしまう。
私一人でシンシアの下へ行ってもいいのだが、シンが居ないとガッカリした態度になるので、気を利かせて彼を連れて行こうと思い、渋々私も後を追う。

地下室に下り突き当たりまで進むと、そこにはシンシアが一人で佇んでいた。
まぁ結果オーライだけど……蛙姫は何処行った?
「あら、シンにリューノちゃん……どうしたのこんな所に?」

「うん。こっちに蛙が来なかった? 何か困った事があるみたいで、助けを求められたんだけど……」
「さぁ……私はずっと此処にいるけど、蛙は見なかった……わ……ふ…ふふふ……あはははは! ご、ゴメン……もうダメ……我慢出来ないわ!」

本気で蛙姫の事を心配するシン……
それを見てケタケタ笑い出すシンシア……
ビアンカさん似じゃなかったら、私のヒャドをお見舞いしているところだ!

「ちょっと何を笑ってるのよ!? シンはお人好しだから、本当に心配してるのよ!」
「ご、ごめんごめん……モシャス!」
シンシアは謝りながら聞いた事のない魔法を唱える……すると!

「剣士様…どうか助けて下さい」
シンシアがさっきの蛙姫に姿が変わった!?
……蛙の区別は付かないけど、多分さっきの蛙だろう。台詞が同じだし……

「どう? 新しく憶えた魔法『モシャス』よ。嬉しくて早くシンに見せたかったから、ちょっとからかっちゃったの……ゴメンねシン」
そんな魔法も存在するんだ……
お茶目にテヘペロするシンシアを見て、お父さんが居たら絶対押し倒しているだろうなぁと思いながら感心する。
正直、少しだけ若く見えるのと耳が長くなっている以外、ビアンカさんと瓜二つのシンシアなのだ!

「シンシアは凄いなぁ……変身する魔法を使えるなんて! 俺なんか『ニフラム』しか使えないよ……エイコブさんから色んな魔法を教わっているのに……」
「シン……焦らないで良いのよ。私はエルフで、貴方よりも魔法力が高いから、高位魔法を沢山憶えられるだけ……貴方は貴方に出来る事を今は頑張ればいいのよ」

「うん……ありがとうシンシア。君は何時も優しいなぁ……」
「ふふふ……だってシンの事が好きだから……」
何やら二人がピンク色の世界に入っていった……

お父さんで慣れている私は、気を利かせて静かに地下室から出て行く事に。
しかも地下室への入口で、他の人が入らない様に見張ってあげる。
私のファミリーの子供達は、アレ系の事で気を利かせるのが大得意だ!
なんたって日常の事だからね!

地下室からダダ漏れる二人の声を聞いていて分かった事は……
あの二人とも初めてだ!
“ここ?”とか“大丈夫…痛くない?”とか、最初の内は聞こえてきたからね!

私も初めての時は彼等みたいになるのかなぁ?
手慣れたお父さんのしか見た事ないから……

リューノSIDE END



(山奥の村)
シンSIDE

シンシアと初めて……
凄く良かった……最高の時間を体験した……

一通り終わって、服を着直し地上へ出ると、そこにリューノちゃんが座っていた。
どうやら二人だけの世界に入ってしまった俺達に気を使い、地下室へ誰も入らない様に見張っていてくれたらしい。
普段はツンケンしているけど、本当は優しい気の利く良い()みたい。

赤い顔をして地下から出てきた俺達を見ても『どうだった?』とか聞かず、ただ黙って立ち上がり家へ帰って行くクールさ……
恥ずかしかったけど、彼女の態度に救われました。

シンSIDE END



 
 

 
後書き
年齢設定

シン:15歳
シンシア:不明(エルフですからね。結構いってます! そう考えると彼女はショタです)
リューノ:12歳(あと1日で…) 
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