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妖刀使いの滅殺者

作者:雨の日
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第32話


「ん、ん~!良い天気…」

窓を開け放し太陽の光を一身に受け、両手を天に向かって高く掲げる
昨日、夜遅くまで盛り上がってしまったので今かなりの寝不足だが、まだ昨日の熱が残っているのか不思議と眠気は感じない
俺はしばらく空を仰ぎ、コーヒーを淹れる。そして、まだ起きてこないサチの為に簡単な朝食を作る。今日の朝食は簡易的サンドウィッチにコーヒー(サチはミルクあり)スープだ

「ん~、おはよう~。れい」

ゆっくりとベッドから出てくるサチ。どうやら俺と違ってまだ眠たそうだ
俺はサチを椅子へと誘導して、朝食を摂る。その間2人の間には会話は特になかった。決して仲がどうこうとか喧嘩とかではなく、単純にサチが寝ぼけているからだ
朝食を食べ終えたサチはまだ目が半開きだ

「れい~。今日はどうする~」

机に寝たまま今日の予定を確認しあう事に

「そーだなー。とりあえず、レベル上げでもするわ。後チョイなんだよ」

「ふ~い」

「…眠いなら寝とけば?」

サチは机に寝たまま体制を変えず手を振ってその直後、規則正しい寝息をたてて就寝した

「…じゃ、行ってきます」

サチの髪を軽くすくいレベル上げの為、狩りに出かけた
今日はクエストを受けて、その経験値をもらうかな?
俺はこの世界の「クエスト」と呼ばれる、NPCから頼まれる依頼をこなし、その報酬として貰える経験値を狙う事にした

「昨日の今日で攻略は勘弁だしな…」

75層の街でクエストを受ける事のできるクライアントを探した
すると、NPCの人ごみの中にクエストの表示が浮かんでいた。俺はNPCをかき分けて奥に進むと、クラインが逆手持ちの片手剣NPCがデュエルをしていた
クラインの体力はイエロー、NPC、(名をトランダ)の体力はまだグリーンだ
トランダは剣を横に薙ぎ払いながらクラインに切りかかる。その攻撃の速度は恐ろしく早く、映像と音がぶれる錯覚に陥る程だ。クラインはその斬撃をかろうじてかわす。しかし、クラインに反撃の余地は見られない。トランダは剣を左手に持ち替えしゃがんでいるクラインに襲いかかる

「やべぇえ!?」

悲痛な声と共にクラインの体力がレッドに突入する。普通の決闘は初撃で決着、もしくは、イエローになる事で決着がつくのだが、レッド突入という事は全壊決着という事だ
俺は慌ててクラインに降参させるようにしようとしたがその行動に気付いたNPCが俺の行動を制し

「大丈夫、体力は1になるようになってるから」

…どうやらクエストによる特殊な決闘なようだ
再び視線を戻すとクラインは刀を構え、大きく上から振り下ろす。しかし、トランダにはその攻撃が通用しないようだ。いとも簡単に剣で刀を弾き、空いた胸を深々と突き立てた。その攻撃で決着がついたようだ。大きな歓声と共にデュエルが終わる

「おいおいクライン、なに負けてんだ?」

「師匠!?見てたのかよ…」

クラインを立たせ、トランダの元に歩み寄る

「…なぁ、俺も戦えッか?」

「あぁ。良いだろう。我は探しておる。力を正しいものとし、この街を守れる者を」

すると目の前にYESorNOボタンが出る。俺はもちろん即効でYESだ

「構えよ」

「いつでも来い…!」

強く地面を蹴り、一気に距離を詰め、トランダの懐に入る。逆手で剣をふるう場合、手前に攻撃がしにくい。その弱点を突いた攻撃はトランダを翻弄した
黒印を振り上げ肩を裂く。さらに俺は斜めに切り崩し、トランダの左手を斬る
トランダはここに来てようやく剣を持ちかえ俺の鼻先目掛けて剣をふるう、が俺は頭をすこし後ろにさげてかわす

「中々の剣の使い手と見た」

「剣じゃねぇ刀だ」

俺は黒印を横に構え、左を突き出す。その型がシステムに感知され淡いライトエフェクトを帯びながら≪業輪・破≫が発動する
初めに斜め斬りを2回繰り出す。トランダは剣で俺の斬撃を受け止めてくるが筋力値の差でトランダの体制が大きく崩れる。2撃めが通りトランダの体力が削られる。そして、最後の一撃、下から体を大きく捻りながら切り上げる。再び体制が崩れるトランダだったが、剣が淡く光っていた。ソードスキルだ
剣が下から振り上げられる。俺は一歩下がりつつ避けた。そして黒印の刀身を手でなでるようにして滑らせる。黒印は黒い光を帯びる
4連撃至近距離スキル≪風魔・豪≫。システムの動きで左手は腰に引き寄せられ、右手首で黒印を左右に振り斬る。トランダはバックステップで俺の間合いから逃げたため、俺のスキルは無駄になった

「硬直もらったり!」

しかし、俺の強運は今日も絶好調なようだ。俺のスキルによる硬直が「無効化」された
黒印で上から振り下ろされる剣を弾き、右わき腹に突き刺す。トランダは一瞬の出来事に対処しきれず、困惑した
しかしそこはNPC。すぐに立て直し、黒印を握り、俺の動きを封じてくる

「まずは一撃」

黒印を掴まれた俺に成す術は無く、肩に深々と剣が付きたてられた。体力が大きく減少した
お互いに武器が刺さったままにらみ合いが続く

「…なぁトランダ?」

「何用?」

「こっからスキル使えるって、俺凄くね?」

そういったと同時に黒印が輝く。≪居合・真≫だ。この技の発動条件、武器を腰に近づけ、足を開き、居合斬りの姿勢をとること
つまり、鞘は関係ない。俺は体をトランダの側面に滑らせ、黒印の位置を腰に近づけた。そして

「ハァァァァ!」

逃げようにも避けられないトランダの胴体から勢いよく黒印を抜刀する。その時のダメージでトランダはレッド、残り数ドットに追い込まれる。対照的に俺は斬った分回復する

「ラストぉッ!!」

「甘い!!」

その声が聞こえた時、トランダの姿は見えなかった
あたりを見回す、前に背後から斬られた
俺は前転で何とか距離をとる。後ろにはいつの間にかトランダの姿が見えた

「はっ!ようやく本気か?」

「そうではない。最後の攻撃だ。このスキル34連撃スキル≪ライフ・ドレイン≫は自らの命が減ると共に発動する。つまり後33回攻撃をかわせば主の勝ちだ」

「いいねぇ。来いよ!」

トランダが剣を水平に構え、襲ってきた。俺はその斬撃を黒印で止めにかかった。しかし、俺の防御は一回剣を弾いただけだった。その後すぐに剣が襲ってっ来た

「回避しかなしかよ…」

剣が斜めにふりおろされる。体をよじってかわし、横に振られた剣をしゃがんでかわす。さらに振り上げられた剣はバック転で避け、突き出される剣には黒印で斬撃の軌道をそらす




そんな攻防、いや、防戦一方が数分続き、遂に残り2回にまでとなった

「あと、二発!」

「覚悟ッ!!」

大きく跳びあがり剣を地面に突き立てる。俺はそれをバックステップで避けた。しかし、剣が宙にある俺の体を捉えに来た

「セイヤァァァ!」

その刹那、空中専用高速移動スキル≪電光石化・華≫を使った。宙からでしか使えないが、高速で空を舞い、切り裂くスキルだが、今回は避けるために使った。その結果は…





















―――YOU WINNER!!

俺の目の前に勝利のアナウンスが流れた。俺の、勝ちだ

「…お主ならば託せるな」

「?何をだ」

トランダは膝をついたまま重い口調で話しだした
おそらくクエストなのだろう

「―――この街はもうすぐ崩壊の危機を迎える」

前言修正 おそろしいクエストだろう

「崩壊ィィイイィ!?」
 
 

 
後書き

更新が遅れました。。。
しかも、悪いことにこれからしばらく中間試験期間になるので更新ができません(泣

新しいストーリーに軽く触れただけでしばらく時間が空くのは心苦しいですが、皆さまのご理解、ご協力お願いします 
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