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ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~

作者:enagon
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第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
  第50話 チュパチュプチュッポン

 
前書き


祝! 50話!
というわけで記念オリジナル短編を! ……とも思ったんですが、せっかく本編が盛り上がりを見せようとしている時にそんなことをしたらいろいろと批難されそうですので、今回は記念短編はなしで。
次回こそは!
100話の時こそは記念短編が書きたいです!
50話で3巻の途中ということは100話はおそらく……5巻が終わるくらいですかね?
その時には記念短編に挑戦してみたいです。

さて、最近の私ですが研修と言う名の雑用係として東奔西走しています。
いや一応自分研究職として入社(研究所なんで入所?)したんですが、何故か事務の研修とかもあって大変です。
これが8月終わりまで続くのか……。
しかも9月には今度は関西圏にひと月の実地研修に行くとかね、もういつになったら研究できるのやら。
まあそんな訳で何が言いたいかといいますと……社会人って大変だね。


 

 



「そんなことがあったんですか……」

 木場が部室を立ち去ったあと俺達は家に帰り、今部長から最近の木場の様子がおかしかった原因を俺の部屋で聞いていた。聖剣計画……聖剣エクスカリバーを扱える者を育てる計画。それだけならそれほど間違っているとは思えない。だけど教会の連中が人為的に養成させた人たちを、適応できなかったからって処分するのは絶対に間違ってる! 仮にも同じ人間だろ! どうしてそんな真似ができるんだよ!

「……主に仕える方々がそんなことをするなんて……」

「私のことといい、アーシアのことといい、教会の連中ろくな事しないわね」

 一緒に説明を聞いていたアーシアは悲しそうな顔をしている。でも確かにレイナーレの言うことには一理あるよな。木場のこと、アーシアのこと、それに昔レイナーレにあったことを考えるととてもじゃないけど教会が、いやこの場合神か? 神がアーシアの思っているような聖人君子とはとてもじゃないけど思えない。

「私が祐斗を悪魔に転生させた時、あの子は瀕死にもかかわらず強烈な復讐を誓っていたわ。生まれてからずっと聖剣に狂わされてきた人生だからこそ、悪魔としての生を有意義に使って欲しかったのだけどね……」

 部長も悲しそうにしてる。そりゃそうだよな。せっかく助けることが出来た命だってのに復讐のためだけに生きるなんて、そんなの悲しすぎる。

「それで部長、これからどうするのかにゃ?」

 そこで話を聞きにうちに来ていた火織たちのうち、黒歌姉が部長に聞いた。

「……しばらく様子を見るわ。あの写真を見てから祐斗の頭の中は聖剣のことでいっぱいでしょうから」

「……祐斗さん、以前みたいに戻ってくれますよね?」

「もちろんよアーシア。だから安心なさい」

 そう言って部長はアーシアの頭を撫でてあげていた。木場のやつ、アーシアにこんなに心配かけやがって。いろいろあったんだろうけど早くもとのお前に戻れよ!

「……さて、夜も遅いことだしそろそろ寝ましょうか」

 そう言って部長は……おもむろに服を脱ぎだした!?

「ちょっ!? 何してるんですか部長!?」

「何って服を脱いでいるのよ? 私、寝る時は裸でないと眠れないの。言ってなかったかしら?」

「初耳ですよ!? ってそうじゃなくてなんでここで脱いでるんですか!? ここ俺の部屋ですよ!?」

「ここであなたと寝るからに決まっているでしょう?」

 いやいやなんでそんなあたり前の事のようにして言ってるんですか!?

「わ、私も寝ます! 一緒に寝ますぅ!!」

 ってアーシアまで脱ぎだそうとし始めた!? ちょ、部長はともかくとしてアーシアみたいな純粋な娘までそんなことしちゃいけません!

 俺は今にも服を脱ごうとするアーシアの両手を抑えた!

「部長! アーシアに悪影響です! 早く服を着て下さい!」

「悪影響? ずいぶんとした言い方ねイッセー」

 そう言って既に下着姿だった部長は不機嫌そうに眉を吊り上げつつもそのままブラのホックを……

「おっと、そこまでにゃん」

 とその時黒歌姉が後ろから部長の手を押さえつけた。一体いつの間に?

「ちょっと!? 離しなさい黒歌!」

「それは聞けない相談にゃん。今の部長はアーシアにも、それにイッセーにも悪影響にゃ」

「って本当にそれどういう意味かしら!?」

 おおう、黒歌姉と部長の間でものすごい火花が。でも腕力でも体勢でも黒歌姉が完全に優位にたってるな。部長、完全に身動きが取れなくなっちまってる。

「ちょっ!? 何すんのよ!?」

 へ? 今のはレイナーレの声? 俺はどうしたのかと思い部長からレイナーレに視線を移すと……こちらでも半裸のレイナーレが白音ちゃんに押さえつけられていた。

「レイナーレ先輩、一体何しようとしてるんですか?」

「な、何って寝る準備に決まってるじゃない!」

「どうしてここでしてるんですか。自分の部屋に帰ってして下さい」

「そ、そんなの私の勝手でしょう!?」

「……レイナーレ先輩、カラスは抱き心地は良くないと言ったはずです。お兄ちゃんとは寝かせません」

「いいじゃない! あんたと違って私は本当にイッセーのペットなんだから!」

「使い魔でしょう。いいから大人しく出てってください」

 そう言って白音ちゃんはギャーギャー喚くレイナーレを扉まで引きずっていった。更に黒歌姉の方も未だにもがきつつ喚いている部長をレイナーレ同様扉の方まで引きずってる。そして

「た、龍巳さん! お願いします! 見逃してください! 服は脱ぎませんからぁ!」

「ダメ。アーシアも外出る」

 いつの間にか俺が掴んでいたアーシアも龍巳によって引きずられていった。そしてそのまま喚く三人を扉の外に放り出し、扉を閉めて鍵をかける。

「開けなさい! 主の言うことが聞けないの!? 扉を消し飛ばすわよ!?」

 それでも部長は諦めることなく扉をドンドンと叩く。って扉を消し飛ばす!? 俺の部屋の扉なんですけど部長!?

「まったく、うるさいバカ殿にゃ」

 そう言うと黒歌姉は手を扉にかざす。すると扉の上に魔法陣が拡がり、外から扉の叩く音も部長の声も聞こえなくなった。

「何をしたんだ、黒歌姉?」

「この部屋に結界を張っただけにゃ。まあ部長相手ならこの程度で大丈夫でしょ。朝になったら自然と解けるから心配ないにゃ」

 と言うことは今夜はベッドに忍び込まれることもないわけか。でもだからと言ってこれなら明日の朝誰も起こしに来ないってこともないし

「助かったぜ黒歌姉。サンキュ」

「にゃ~に、お安いご用にゃ。……さて、じゃあ私達も寝る準備しようかにゃ?」

 そう黒歌姉が言って……今度は黒歌姉が脱ぎだした!?

「ちょっ!? だからなんで俺の部屋なんだよ!?」

「だってイッセー、部長やレイナーレとは寝てるくせに私達とは寝てくれないって不公平にゃ」

「だからそれは俺の意思じゃねぇ!!」

「イッセー、我、何もしない。安心する。だから一緒に寝る」

「下着姿で手をワキワキさせてにやけながら言う言葉なんて信じられるか!!」

「お兄ちゃん、猫を一緒の布団に入れたら暖かくて安眠できますよ?」

「暖かいどころかこの人数が入ってきたら暑苦しいわ!!」

 ああもう部長たちの魔の手から逃れられたと思ったらなんでこうなるんだよ!?

「ほら、部長たちもいつ結界突破して入ってくるかわからにゃいし。となればその時のために私達がここで待機していたほうがイッセーも安心して眠れると思わにゃ「思わねぇよ!」……うぅ~、イッセーのイケズ」

「しょうがない。なら勝手にここで寝る」

「あ! 龍巳姉さまずるいです! 私も!」

「にゃ!? イッセーの隣は渡さないにゃ!」

 そう言うと3人は勝手に俺の布団の中に入り、布団の中で取っ組み合いを始めた。こいつら……

「……いいからとっとと出てけぇ!!」

「「んにゃ!?」」「あぅ……」

 俺はベッドの上の3人を布団ごと掴んで窓から火織の部屋に放り出し、ピシャリと窓を閉めた。まさかこんな所で修行でつけた筋肉が役に立つとは。まったく、ようやくこれで落ち着いて寝れるぜ。

「災難だったわね、イッセー。でもいいの? 普通女の子に一緒に寝ようって言われたら男の子は喜ぶところだと思うけど」

「確かに嬉しくないわけじゃないけど、でも俺には……」

 ……ん? 今の声って……

「火織!?」

 火織が俺の勉強机の椅子に座りつつ苦笑していた! そ、そうだ忘れてた! 火織もこの部屋にいたんだよな! さっきから皆が騒ぐ中火織だけ喋らないからすっかり忘れちまってたぜ。 ってそういえばこうして俺の部屋で火織と2人きりってすっげー久しぶりじゃねぇか? もともとこいつら姉妹はセットみたいにいつも一緒にいるし……ヤベ、今更ながらなんか緊張してきた。

「『俺には』……何?」

「な、なんでもねぇ! 言い間違えただけだ、気にすんな!」

 あ、あっぶねぇ! こんな所で火織への気持ちをカミング・アウトしちまうところだった!

「そう? まあいいや。じゃあおやすみイッセー」

 そう言って火織は窓から火織の部屋へと帰っていった。……はぁ、期待はしてなかったけど火織も少しくらい俺と一緒に寝たいとか、そこまで行かなくてもせめてもうちょっとここに居たいとか思ってくれたらなぁ。一体いつになったら俺は勇気を出して火織に告白できるようになるんだろ……

『ククク、そんなに悩んでいるのなら玉砕覚悟で告白してみるのもいいのではないか?』

「馬鹿言え。火織は自分より強い相手がいいなんて言ってるんだぜ? 今の俺じゃあフラれるのが目に見えて……」

 ……ん? ちょっと待て、今の声って……

『まあそうだろうな。だが安心しろ。神裂火織の力の上限がどの程度かまでは分からんが、俺の力を使えばそのうち必ず「ドライグ! お前無事だったのか! もう大丈夫なのか!? 体におかしなところはないか!?」……ああ、大丈夫だ相棒。ここ最近再び眠り続けたおかげで何とか持ち直した。今のところ異常はない』

「そうか、良かった……。あの後一切話せなくなったから心配してたんだ。……ごめんなドライグ。あの時俺が龍巳にうまく説明しなかったばっかりに……」

『何、別に相棒のせいってわけでは無いさ。ただまあ……あの時は本気で死を覚悟したぞ……』

 そ、そんなにか。いったい龍巳はあの時神器(セイクリッドギア)の中でドライグに何をしたんだ?

『まあ俺のことはもういい。それより相棒、今はお前のことだ』

「俺のこと?」

『ああ。好きなんだろう? 神裂火織のことが』

「ちょっ!? おま、そんなはっきり……。っていうかなんだよいきなり……」

『何、これから共に戦う相棒にアドバイスをと思ってな。いつ白いのと戦うことになるのか分からんのだ。せめて後悔しないようにだけはしておいた方がいい』

「……なあ、その白いのって白龍皇のことか?」

『ほう……、もう知っていたか』

「ああ、主に龍巳から色々聞いたよ。白龍皇、バニシング・ドラゴンのこと、3大勢力の戦争中に戦いだして、一時的に手を組んだ3大勢力に倒されて封印されたこと、封印後も宿主を変えつつ戦い続けたきたことなんかをな」

『大体は聞いているようだな。ならば分かるだろう? いざ戦うときに心残りがあるようでは遅れを取るぞ? 白いのに出会うことがない宿主もいたが、相棒は悪魔になって寿命が伸びたからな。出会わないということはないだろう』

「じゃあ俺もいつか……」

 くそ、この話を聞いた時から思ってたが、結局俺もこの赤白対決に巻き込まれるのかよ。正直白龍皇との対決なんて俺は興味ないのに……。

 と思っていたんだけど、その後ドライグから続けられた言葉は意外なものだった。

『とは言ったが相棒はあまり気にする必要はないかもしれん。白いのの宿主がどれほどの使い手であろうとも、相棒とは勝負にならないだろうからな』

「おい! それって俺がどう頑張っても勝てないってことか!?」

『そうじゃない。俺としては本意ではないが勝負事態が起こらない可能性があるということだ』

「……は? えぇと、どういうことだ?」

『つまりだな相棒、例え白いのの宿主が相棒の前に現れたとしても、お前と戦闘になる前に奴が白いのを倒してしまう可能性があるということだ』

「奴?」

『ああ、今は神裂龍巳と名乗っていたか?』

「龍巳が!?」

 えぇっ!? いやまあこの話聞いた時に心配ないみたいなことは言われてたけど!

『奴はお前のことが大好きらしいからな。お前に指一本でも触れようものならその瞬間綺麗サッパリ消し飛ばされるかもしれん。クク、愛されているな相棒』

「いやいやちょっと待てよ!? 白龍皇の宿主の方が龍巳より強いかもしんないだろ!」

『それはありえんな。奴が相手では例え封印前の最盛期の頃の俺と白いのが束でかかっても勝てんさ』

「はぁ!? ちょっ、お前も白龍皇も話では神よりも強いドラゴンなんだろ!?」

『ああそうだ。本来の俺も白いのも聖書の神など歯牙にもかけないほど強い存在だ。だがな相棒、奴は俺達よりもさらに上位の存在だ』

 神より強いドライグたちを同時に相手にしても更に強いって……

「……なあドライグ、龍巳って……一体どういう存在なんだ?」

『……あいつはどうも自分の正体を知られたくないみたいだからな。相棒、知りたければ本人に直接聞け。俺が言うべきことでもないだろう』

 確かに皆が何度聞いても教えてはくれないから多分知られたくはないんだろうけど……。そういえば俺自身が聞いたことはなかったな。正直今までは龍巳がどんなドラゴンだろうと俺にとっては大切な幼馴染だし、気にしてなかったんだが……こんなこと言われたらさすがに気になるよな。にしても……

「はぁ……情けねぇな俺。それだと俺はいくら修行したところでいつまでも守られる側ってことかよ……」

『何だ相棒、強くなることを諦めるのか?』

「……いや、やっぱりいつまでも守られてるばっかってのは嫌だ! いつかは俺が龍巳を守ってやれるようになりたい!」

『はっはっは!! あいつを守るか! 随分と大それた目標だな相棒! 今までそんなことを思った奴なぞ1人たりともいないぞ!』

「そんなこと知るか! 龍巳がどんな存在だろうと俺にとっては大事な幼馴染だ!」

『くっくっく、そうだな、お前にとってはそれでいいのかもしれん。ならば頑張ることだな相棒。何らかの理由であいつが弱体化しない限りあいつを超えることは出来ないだろうが、それでも並ぶことは出来るかもしれんぞ?』

「ああ! 絶対に強くなってやる!」

 その日、俺は今一度決意を新たにした。

 ちなみに次の日、窓から入ってきた白音ちゃんに起こされて廊下に出てみるとそこには昨日の格好のまま肩を寄せあって寝ているアーシアとレイナーレ、そして眼の下にくまを作りつつも魔力切れを起こして扉の前にへたり込む涙目の部長がいた。 ……流石に可哀想だったかな?







 その日の放課後、俺は旧校舎の朱乃さんが使用している部屋に上半身裸になって待機していた。今日は定期的に俺の龍化してしまった左手のドラゴンの気を吸い取ってもらう日なんだよ。この左手は俺の意思のもと行ったことの結果だから龍化してしまったことに関しては気にしてないんだけど、さすがに鋭い爪が生えて、さらに鱗だらけのままじゃ日常生活は送れないからな。俺の指を口に咥えてドラゴンの気を吸い出すことで見た目だけは今まで通りのものに戻せるんだよ。

 ……この方法が分かってから誰がそれをするかで揉めたな。俺としては火織にしてもらいたかったんだけど、みんなに猛反対されちまった。……あれってもう完全にみんなにバレてるよな、俺の気持ち。で、その結果吸い出す係が唯一俺にそういった好意を寄せていない朱乃さんになったんだ。あれから数回吸い出してもらったんだけど、やっぱり申し訳ないよな。好きでもない奴の指咥えるなんて普通嫌だろうし。俺が火織にやってくれってビシっと言えたら良かったんだけどな。

 と、そんなことを考えていると、扉が開く音がした。朱乃さんが準備を終えて来たのかと思い、そちらに目を向けると………………えぇっ!?

「準備ができましたので始めましょうか、イッセーくん?」

 朱乃さんがそう言うけれど俺は言葉が耳に入って来なかった。なぜなら……

「あ、朱乃さん!? その格好は!?」

 なぜなら朱乃さんのあられもない姿がそこにあったから! 吸い出す儀式のために白装束に着替えて、普段ポニーテールの髪を下ろしているのはいつも通り! でもその格好で今日の朱乃さんは濡れていた! 濡れた白装束が肌に張り付いて、色んな所が透けて丸見えなんですけど!? 胸の頂上のポッチもバッチリ見えるし、下半身の茂みもうっすらと……って白装束の下何も着てないのかよ!? しかも濡れた髪が体にまとわりついてて、もうめっちゃエロい! この間のキメラ騒動とかで朱乃さんの肢体は何度か拝む機会はあったけど、今日はその中でもダントツで股間にクるよ!

「あらあら、この格好は儀式のために水を浴びてきたのだけれど、おかしいかしら? 似合ってない?」

「いや似合ってるか似合ってないかで言えば確実に似合ってるんですけど!」

 そりゃあもう目が離せずガン見してしまうほどに似合ってますとも! っていうか隠す気ゼロですか!? さっきから身体中まんべんなくガン見してるのに恥ずかしがる様子も、隠す素振りもない……あれ? 若干顔が赤い? それに息もさっきから荒いような……って朱乃さん、俺に体見られて興奮してないか!? なんか今の朱乃さん、前に一緒にロッカーの中に入ってた時の発情した黒歌姉にそっくりなんですけど!

「うふふ、それは良かったですわ。ではイッセーくん、始めましょうか。左手を出してくださいますか?」

「え、あ、はい!」

 え、この状態のまま始めるの!? と思ったけどいざ儀式を始めると、朱乃さんは至極まじめに俺の左手からドラゴンの気を吸い出してくれた。左手が軽くなっていくのを感じる。朱乃さんの格好に初めは焦ったけど、何事も無さそうで助かったぜ。なんて思っていたら

「うふふ」

ぬちゃ

「うひぃ!?」

 あ、朱乃さん、吸い出し終わったのか指から口を離したと思ったら、いきなり今まで吸っていた指先を舐めてきた!? 思わず変な声出しちまったよ!

「うふふふふ」

 俺の反応がお気に召したのか、さらに指の根元まで端正に舐め、そこからさらに別の指も舐めてきた!? 

「う、うぁぁぁぁぁ……」

 指を舐められるなんとも言えない感覚に悶えてると、朱乃さんは悪戯っぽい笑みを浮かべてさらに手のひらまで舐めてくる! 朱乃さん、明らかにSのスイッチ入ってないか!? 朱乃さんの表情、それに舌の先から俺の手に渡っている唾液の糸がもう背中にゾクゾク来るほどエロ過ぎる!!

「あらあら、そんなに可愛らしい反応をされてしまったらこちらもさらにサービスしてあげたくなってしまいますわ」

「サ、サービス!?」

 なんですかサービスって一体!?

「ええ、私だって可愛い後輩を皆のように可愛がりたいのですわよ?」

 そう言って朱乃さんはまたしても俺の指に吸い付……いや、しゃぶりついてきた!? しかもそのまま妖艶な表情を浮かべつつにじり寄ってきて、ついには俺に正面から抱きついてきた!?

「ん、チュブ、チュパ、ん、んん」

 そのまま朱乃さんは俺の指にむしゃぶりつく! しかも密着した体を俺にこすりつけてくるもんだから、朱乃さんの体の感触がダイレクトに伝わってくる! だって俺と朱乃さんの間には濡れた薄い白装束しかないんだもん! おっぱいの尖った先の感触までバッチリだぜ! しかもふわっとすごい良い香りがするし! おまけに開いてる俺の右の手のひらにはこの世の物とは思えないくらい極上に柔らかい感触が、って!?

「ん、んぁ、チュプ、ん、ふぁ、あ、あぁ!?」

 お、俺いつの間にか開いてる右手で朱乃さんのおっぱいを揉みしだいてる!? 揉む度に朱乃さんがエロい声上げてるよ! ってなんで俺の手はこういう状況になるといつも勝手に動いておっぱい揉みしだいてるんだよ!? あれか!? 欲求不満なのか!? それとも長年火織を想い続けるもいつまで経っても火織のおっぱいを触れないせいでストレス溜まって暴走してんのか!?

「あん!? ……うふふ、イッセー君ったら大胆ですわね」

「うぁぁ、す、すみません」

 とか言いつつも右手がおっぱいに張り付いて離れない! ほんとにもう俺の意思じゃどうにもならねぇ!

「うふふ、いいですのよ。私、これでもイッセーくんのこと気に入っているのですから」

「お、俺のことをですか!?」

「ええ、最初は可愛い後輩、ただそれだけだったのですけど、でも最近は違うの。この間のフェニックスとの一戦、皆が諦めかけた中1人諦めずに立ち向かうあなたの姿、そしてその後のフェニックスと互角に戦う姿……あんな素敵な戦いを見せられたら、私も感じてしまいますわ」

 ぶっ!? か、感じてしまう!?

「ねぇ、イッセーくん。私あなたのことを考えると胸のあたりが熱くなってしまうんですのよ。それに黒歌たちとくっついている時は胸が張り裂けそうになってしまいますの。あなたのそばにいるだけで、どうにかなってしまいそうですわ。それにこうしてイッセーくんを楽しませていると、もっといい声で鳴かせてみたくなりますの……これって恋かしら?」

 えぇ!? こ、恋!? い、いやいやいや、おかしいだろ! なんでここ最近俺の周りの女の子たちはそういう気持ちを持つようになるんだ!? 今まで幼馴染以外にモテたことなんてなかったのに! っていうか朱乃さんのそれって本当に恋なのか!? いい声で鳴かせたいって、それいじめっ子の気持ちじゃね!?

「ねぇ、イッセーくん……私と浮気、してみる?」

「う、浮気!?」

「そう浮気。うふふ、イッセーくんは火織ちゃんのことが好きなのでしょう?」

 うぼぁ!? 朱乃さんにもバレてたのか!? っていうか俺の気持ち、ほんとに駄々漏れじゃねぇか!

「私も一度体験してみたいの。肉欲のままに年下の男の子に貪られる……考えてみただけでゾクゾクしますわ。私ってSではあるけれど、Mの気もあるのですわよ? それにそろそろ一度くらいは男性を受け入れてみたいですし」

「え? そ、それって……」

「ええ、私、処女ですわよ。うふふ、イッセーくんの方が知識は豊富でしょうからリードしてくれると嬉しいですわ」

「で、でも俺には……」

 そう言って抵抗の意思を示すんだけど、いや未だにおっぱい揉み続けてるくせに抵抗もクソもないだろと俺も思うんだが、それでも口だけは抵抗しようとする俺に、朱乃さんはさらに笑みを深めた。

「ねぇ、イッセーくん……」

 そう言って朱乃さんはさらに密着してくる! そして朱乃さんはその言葉を俺の耳元でささやいた。

「私、少しは火織ちゃんに似てると思いません?」

「は、はい!?」

 た、確かにそう言われてみれば2人共黒髪ロングを今では絶滅危惧種のポニーテールにしてるし、結構背も高めだし、おっぱいも大きいし、共通点は多いかもしれない。それに初めて会った時から思ってたんだけど、朱乃さんの声って若干火織に似てるような気がするし。

 そんなことを思い戸惑っていると、朱乃さんはさらに体重をかけてきて、俺は畳の上に押し倒された! 更にその状態で朱乃さんが上体を起こすもんだから、俺の息子が朱乃さんの柔らかいお尻の下敷きに! うぁ、これだけで体中に甘い痺れが……。しかも今の動作で白装束が着崩れて、片方のおっぱいが丸見えに!

「ねぇ、イッセーくん。いつまでも火織ちゃんとの仲が進展しなくて辛いでしょう? だから私があなたの欲望を代わりに受け止めてあげますわ。私のことを火織ちゃんだと思って好きにしていいですのよ? 火織ちゃんの前に私で練習してみたいと思いません?」

 そう言われた瞬間………………俺は右手で未だに揉んでいた朱乃さんのおっぱいを思わず握りこんでしまった。

「んあっ!? イ、イッセーくん?」

 戸惑ったような声を上げる朱乃さん。でも俺はさっきまでの朱乃さんの色香に溺れそうな状態から目が覚めていた。

「……朱乃さん、そんな代わりとか、練習とか、そんな悲しいこと言わないでくださいよ。た、たしかに俺は火織のことが好きです。想いを伝えられずにヤキモキしてることも確かです。でも……だからって他の人を、朱乃さんを火織の代わりになんて見ていい訳ありませんし、見たくありません! 火織のことは好きですけど、でも朱乃さんは朱乃さんで、素敵な所いっぱいあるんですから!」

 そう俺が言った瞬間……

ボッ!!

 あ、朱乃さんの顔がいきなり真っ赤に!? えっ、いったい何事!? あんな色んなことしたりされたりしても恥ずかしがる気配もなかったのに!?

「あ、あらあら、参りましたわねぇ」

 朱乃さんが真っ赤になった両頬を抑えてるんだけど、なんか目がさっきまでの興奮したものじゃなく、なんというか……目に涙をためたトロンとしたものになってるぞ!?

「そ、そんなこと言われてしまったら……私…………本気で……」

 本気で!? 本気でってなんですか!? って朱乃さんが上体を倒してしなだれかかって来た!? あ、朱乃さんの顔がすぐ目の前に!

「イッセー……くん……」

 もう十分近いのに、さらに朱乃さんは顔を近づけてきた!? こ、このままじゃ……

「朱乃……さん……」

 俺は朱乃さんの目から目線をそらすことができず、そのままなすすべ無く唇と唇が付きそうになる………………瞬間!

ドガァァァァァアアアアアアン!!!

 な、なんだぁ!? 扉が爆発して吹き飛んだ!? 俺も朱乃さんもあまりの事態に固まり、扉の方に視線を移す。するとそこには!

「イッセー、朱乃。一体にゃ~にをしていたのかにゃ?」

 そこには黒歌姉に龍巳、白音ちゃん、アーシアにレイナーレが! 泣きそうになっているアーシアを除いて、皆さんものすごい怒気を纏ってらっしゃる! こ、怖い……。

「あらあら、ドラゴンの気を吸い取っていただけですわ」

 そう言って朱乃さんは俺に覆いかぶさったまままたしても俺の指に吸い付いてきた! さらにからだをこすりつけてきて、もう全身で朱乃さんの柔らかい感触が堪能できてしまう! でもそんな光景を見せられた皆さんはというと……

ビキィッ!!!

 ひぃっ!? な、なんか聞こえてはいけないような音が聞こえたような!?

「とにかく離れるにゃ!」

 そう言いつつ皆がずかずか寄ってきた!

「やーですわ―」

 って朱乃さん! この状況でさらに首筋に抱きついて来ないで! お願いだから皆をこれ以上刺激しないでくれ! 殺されちまう!

「もう任せられない。我に変わる」

「あらあら、そういう訳にはまいりませんわ。この役目は私のものと、以前に決めたでしょう? それに龍巳ちゃんだって一緒にお風呂に入っているのですから、私だってこのくらいさせて頂いてもいいでしょう?」

 う、それを言われると……。一昨日随分と久しぶりに龍巳と一緒にお風呂に入ったんだけど、実は昨日もほぼ強制的に一緒に入らされたんだよな。この分だと今日もって言い出しそうだし、龍巳に強行されたら俺達じゃ対抗しようがないんだよ。

「いいから早くお兄ちゃんから離れて下さい!」

「それにいつまでもそんな格好してんじゃないわよ!」

 とそこで白音ちゃんが朱乃さんを俺から引き離し、レイナーレが掛かっていたカーテンをひっぺがして朱乃さんの体を覆った。

「で、どういうことか説明してくれるかにゃ?」

「なんであんたまでイッセーに手を出してんのよ!」

「あのあのあの、朱乃さんももしかしてイッセーさんのこと……」

「とにかくどういうことか説明して下さい」

「ん、さっさと話す」

「あらあら、困りましたわねぇ。話すといっても特に話すようなことはありませんわよ?」
 
 皆が朱乃さんに詰め寄り追求する中、朱乃さんは言葉上は困りつつも、ニコニコと楽しそうにしていた。そんな朱乃さんの様子に周りはさらにヒートアップする! うわ、皆すごい殺気立ってる。ここにいるのはまずい気が……皆も朱乃さんの方に注意が行ってるし……ごめんなさい朱乃さん! 俺は逃げます!

 俺は皆がこっちに注目していないことを良い事に、足音を忍ばせて破壊された扉の方へ向かう。そして扉の所まで辿り着いたその時!

「い、いてててて!?」

「イッセー、随分とお楽しみだったようね。朱乃の体はそんなに良かったのかしら?」

 ぶ、部長!? 扉のところにはいつの間にか部長がいて、俺のほっぺを引っ張られる! っていうか部長、涙目になって頬をふくらませてるよ。

「朱乃、これはどういうことかしら?」

「あら部長。いらっしゃったのですわね? どうと言われても……うふふ、イッセーくんのこと、たっぷり堪能させて頂いただけですわ」

 って朱乃さん、なんちゅー事を! それじゃあ勘違いされちゃうじゃないですか!

 一方それを聞いた部長はというと

「……バカ! もう勝手にしなさい!」

 と言うなり、どこかへと走り去った。







 部長が走り去ったあと、部屋は微妙な空気になりそのまま解散、今俺達は帰宅の途に付いている。俺の隣にはあの場にいなかった火織、そして後ろには部長以外の兵藤家と神裂家の面々が……いやもうなんか後ろから感じる視線が半端ない。振り返るのが怖いくらいだよ。隣にいる火織も苦笑するばっかで助け舟出してくれねぇし。

 しかしどうすっかな? 朱乃さん、あれ本当に俺の事好きなのか? なんだか半分からかわれてるような気がするし、近くに手頃な男がいたから興味があった肉体関係的なことをしてみたいという風にも感じる。……もしそうなら、絶対に止めよう。考え方が古いかもしれないけど、そんなことしたら将来好きな人ができた時に絶対後悔する気がする。俺なら後悔するし、もし火織がそんな感じで初めてを既にしていたら……考えたくねぇな。

 とにかく明日ちゃんと朱乃さんと話してみるか。2人っきりだとまたあんなことになりかねないし、だからといって皆の前で話せるような内容じゃねぇし、どこで話すかが重要だな。

 ……それにしても気になるのは最後の朱乃さんの赤面した反応だ。あれは一体なんだったんだ? 恥ずかしがってるってわけでも無さそうだったし、興奮度が臨界点に達したってわけでも無さそうだった。どちらかと言うと照れてるっていうか……いや、というよりあの反応はまるで……

 と、そんなことを考えると、ようやく我が家が見えてきた。ようやくこの後ろからのプレッシャーから開放されるぜ。……とも思ったけどどうせ皆家まで来るだろうから一緒か。部屋にこもっても入ってくるだろうし、となると俺の安息の地は……トイレか?

 なんてことを思っていると

「っ!? 止まって!!」

 後ろから黒歌姉の大声が? どうしたのかと思い振り返ると……なぜかこんな所で黒歌姉、それに白音ちゃんも猫耳を出していた!? ちょっ!? 今丁度周りに人いないけど、いつ誰に見られるか分かんねぇのに何やってるんだよ!? それにアーシア以外のみんなが何故かものすごい警戒するような表情に……一体どうしたっていうんだよ? とその時

ブルッ

 え? な、何だ!? なんかすごい悪寒が!? この悪寒、覚えがあるぞ!? 確かあれはアーシアに初めて会った時、教会の近くで感じた悪寒にそっくりだ! で、でもどうしてこんな所で!?

「うちの玄関から聖なる波動の残り香を感じます」

「でも問題はイッセーの家にゃ。イッセーの家の中から尋常じゃないほどの聖なる波動を感じるにゃ」

「この波動、これって聖剣じゃない!?」

「この波動……確か……」

 そ、そんな!? レイナーレの言葉が本当なら、うちに聖剣があるっていうのか!? それに龍巳は何か心あたりがあるのか? ってそんなことより!

「ちょっと待てよ! それってもしかしてうちに悪魔祓い(エクソシスト)がいるのか!? うちには母さんがいるんだぞ!?」

「そんな!?」

 俺の言葉にアーシアがショックを受けたように口を手で覆う。でも

「いえ、大丈夫です。おばさまの気も感じます。乱れてもいませんし、危害は加えられていないようです」

「人質にでもするつもりかにゃ? どちらにしても……ふざけたことしてくれるじゃない」

 皆が殺気立ち始める。これは……覚悟を決めたほうがいいか。母さんを巻き込んでしまった以上、もう俺が悪魔だってこと隠すわけにはいかなくなったな。

 そうして皆で警戒しつつも家に向かおうとすると……

「待った」

 今まで黙っていた火織が待ったをかけた。

「? 火織お姉ちゃん?」

「皆は私の家で待機していて。イッセーの家には私とイッセーだけで向かうわ」

「「「「「「!?」」」」」」

 ちょっ!? 火織、何考えてるんだ!?

「火織姉様危険です! 家の中から悪魔祓い(エクソシスト)らしき気配が2つ感じられます!」

「聖なる波動もこの間の雑魚どもとは比べ物にならないにゃ!」

「大丈夫よ」

「なんでそんなこと言えるんだよ!? 母さんが人質に取られてるかもしれないんだぞ!? ここは皆で行った方が!」

「だから大丈夫だって。居るのは私の、いえ私達のお客さんよ」

 そう言って火織は俺の肩にポンッと手を乗せる。……え? 俺と、火織の客?

「……火織お姉ちゃん、どういうこと?」

「詳しいことはあちらの話を聞いてから話すわ。とにかく相手を刺激したくないから、皆は待ってて」

 そう言って火織はスタスタ行っちまった。

「ちょっ!? 待てよ火織!」

 俺は慌てて火織の後を追いかける。振り返れば皆が追いかけるべきか悩みつつその場を動けずにいた。

「火織、本当に大丈夫なのか?」

「多分大丈夫よ。殺気だって感じないし。とにかく下手なことは言わないようにね」

 ……それって下手なこと言ったら危ないってことか? それのどこが大丈夫なんだよ?

 そしてうちの玄関までたどり着くと、火織は躊躇なく玄関を開け放った!?

「ただいま~!」

 っておい!? ちょっとは警戒しようよ! と思ったんだけど

「あらおかえりなさい。あら? 黒歌ちゃんたちはどうしたの?」

「皆ちょっと用事があって、私達だけ先に帰ってきたんです」

 ……あれ? なんかリビングから普通に母さん出てきたぞ? 玄関入った時もそっちから笑い声がしてたし、本当にただの客?

「でも2人が先に帰ってきてよかったわ。ちょうど2人にとって懐かしい娘が来てるわよ」

 え、マジで俺達2人の客なのかよ? その言葉を受けて火織はリビングの方に向かっていく。俺もその後を追い、リビングへ。そしてリビングにいたのは

「久しぶりね、イリナ」

「火織ちゃん……」

 そこには緑色のメッシュを髪に入れてる目付きの悪い女性と、栗毛色の髪の毛の、俺達を見て何故か絶望したような表情を浮かべる、イリナと呼ばれた女性がいた。


 
 

 
後書き


次回予告

「日本最強の剣士と聞いて期待していたが、とんだ的外れだったよ」

「イリナ、私ね、姉妹が出来たの」

「あいつが好きなの、ヨーグルト味だったっけ?」

「火織ちゃんは必ずあなた達から救い出す!」

「ここに墮天使がいる以上、信用など出来ないな」

 次回、第51話 客人

「「エクスカリバー!!」」


 
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