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魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記

作者:秋陽
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第十五話 強さ 思い 覚悟

 現在俺はテスタロッサ達に連れられてマンションの屋上に立っている。
 何もこんな高い所まで登らなくても良いのではないかと思ったが、人に見つかったりその他のリスクを考えるとこれがベストならしい。個人的にはこんな場所で魔法に関係ない人に見つかったほうが厄介事になるようなきがするのだが……、まぁ本人たちが納得しているのならそれで良いのだろう。

『マスターって基本的にビビリですよね。ビッグマウスのくせに』
(ビビリじゃなくて慎重と評価して貰いたいがね。個人的には)
「大地。準備は大丈夫?」

 そんな会話をセレネと繰り広げているとテスタロッサからそんな言葉がかけられる。
 今からフェイト・テスタロッサの母、プレシア・テスタロッサの隠れ家に行くというのみ我ながら呑気なものだ。自分で言うのもなんだが俺は大物なのか、それともただの大馬鹿なのか……。

『個人的には大馬鹿に一票ですね』
(お前の意見は聞いてねぇっつの……)

 何というか、最近セレネの俺に対する対応がどんどん冷たくなっているような気がする……。気のせいなのだろうか……。

「そういやお土産も買ったのか」

 テスタロッサが座標を指定している間アルフにそんなことを話しかける。
 別に本来なら母親のところに帰るのならお土産を持っていくのも珍しくはないのだろうが……、事情を知っているとやはり気になってしまう。

「そう……みたいだね。あの人が、フェイトの母親がそんなもので喜ぶとは思えないけどね」

 珍しくテスタロッサの行動に否定的なアルフ。それだけアルフはプレシア・テスタロッサの事を好いていないということだろう。

「そんなに酷い人物なのか? テスタロッサの母親は」

 実際俺はプレシア・テスタロッサがどんな態度でフェイト・テスタロッサに対応しているか、これからどんな事をされるかなんて知っているがこの二人は俺がプレシア・テスタロッサがどんな人物かしらないと思っている。実際は、この世界では知る機械などなかったのだからそれも当然なのだろうが……。
 だからこそ俺はプレシア・テスタロッサの事を知らない人間としてこの言葉に応対する。

「――――――!!」

 俺の言葉に対しアルフが少し興奮気味に何かを言ったようだが、生憎転移が始まってしまいその言葉は俺の耳には届かなかった。






 そしてテスタロッサの転移魔法によってプレシア・テスタロッサの隠れ家までたどり着いた俺達。俺とアルフも報告に行くテスタロッサに付いて行こうとしたが、テスタロッサが母さんが嫌がるだろうからと俺とアルフは扉の外で待つことになった。
 できる事なら一人で行かせたくはなかったが、アルフですらどんなに頼み込んでも無理なら俺では絶対に無理だろうと結局は大人しくアルフとともに待つことになる。

「……そういや、さっきの話の続きなんだが……」
「あぁ、フェイトの母親がどんだけ酷い人物かって話だね」
「具体的に言うと、どれくらい酷いんだ?」

 内容は知ってるため無理に聞く必要はないのだが、このままずっと無言というのも嫌だったので話題をもう一度戻して見ることにする。

「本当におかしい奴だよ。まるで自分の娘じゃないかのようにフェイトのことを扱ってるようにみえるね」

 自分の娘じゃないように……か……。
 少なくともこの世界でもプレシア・テスタロッサは娘に対し厳しいらしい。今のところ遭遇したジュエルシードは全て回収できているため何もないといいのだが……。

「きゃあああ」
「テスタロッサの声か!?」
「そう……みたいだね」

 なんでだよ……見つけたジュエルシードは一つも高町達に取られてなんかいないぞ……。なのに何が気に入らないってんだよ……。
 時間が経てばこの悲痛な叫びも止むのだろうが、さすがにそれを自然に待っていられるほど俺は冷静ではない。

「……だからさ、ちとそこから先の道を開けてくれないか? アルフ」
「アタシがここをどいたらどうするつもりだい? どうせあいつのもとに行こうとか考えてるんだろう?」
「だとしたら?」

 口にはしていないが、俺の顔を見ただけで今俺が何をしようとしているのか分かったのだろう。それだけ今の俺がどんなことを考えているのか分かりやすいほどの顔をしているということなのだろうが……。

「だとしたら、尚更行かせるわけには行かないね」
「なんでだよ! テスタロッサのことが大切なんだろ! だとしたら何故止める必要がある!? 気づいた時には手遅れなことだって腐るほどあるんだぞ!」

 途中アルフがなにか言いたそうではあったがそのことを気にせずに俺の言葉を続けながらアルフの胸ぐらをつかみながら壁際に押し込める。

「分かってるさ、気づいた時にはもう手遅れのことなんかざらにあるって……」
「だったら―――」
「でもね!!」

 そう言うと共に俺はアルフに押し戻され、そのまま尻餅をつくことになってしまう。

「でもね、そうと言われてもね譲れないものもあるんだ。どれだけ悲しくても、どれだけ止めたくても、今止めたら今までフェイトがやってたことはなんなんだい。全部無駄なことになっちゃうんだよ。アタシには何よりそれが耐えられないんだよ……」

 ……確かに、そうなのかもしれない。今ここで俺がプレシア・テスタロッサに立ち向かったとして、万が一勝ったとしてもフェイト・テスタロッサは喜ぶことはないのだろう。
 それどころか母親を攻撃した人間として一生恨まれることになるだけかもしれない。
 フェイト・テスタロッサをプレシア・テスタロッサの束縛から解くことができたとしても、その後のフェイト・テスタロッサは”抜け殻”のようなものだ。下手をすれば、そのままプレシア・テスタロッサの出した”結論”と同じ結末を迎えてしまうかもしれない。
 そんなことになってしまえば俺は相当な道化だ。そのくせ自分だけではなく守りたいと願った人間の人生まで曲げてしまおうとしていたらしい。

「でもさ……今俺が、プレシア・テスタロッサに怒りを持つくらいはかまはないよな……?」
「……良いんじゃないかい? そう思っても……」

 頭ではわかっている……つもりだ。だが、それで完全に納得出来るかと言われればそれは別になる。

「「……!! フェイト(テスタロッサ)!!」」

 そんな怒りの中テスタロッサが戻ってくる。……今は怒りを体の中に留めておくだけで我慢しようとしたことを忘れそうになるほどに体中に傷を作りながら……。

「……ごめん。……ごめんねフェイト」
「なんでアルフが謝るの? 私は平気だよ?」
「なぁ、なんでそこまで頑張れるんだ?」

 これは今でもテスタロッサに謝り続けているアルフに向けた言葉でもある。テスタロッサはここまで傷つけられても、アルフはここまで心を痛めても何故、ここまで頑張れるのだろうか。

「……母さんが待ってるから。母さんはずっと不幸で悲しんできたから、私がなんとかしてあげたいんだ」

 まっすぐこちらを見つめるテスタロッサの瞳。……そうだテスタロッサもアルフも純粋に自分のためではなく”大切な誰かのために”行動することができるから、ここまで強いのだ。それはこの二人だけではなく高町や佐倉にも言えるのだ。
 だからこそ俺は……。
 
 

 
後書き
こんばんは(おはようございます、こんにちは)。秋陽です。
テストも終わり、リアルの方も一段落して来ました。(まぁ、すぐに体育大会。その後にテストもあるわけですが……)
話は変わりますが、自分の愛用していたPCが成仏したので最近PCを買い換えました。自分の使っていたものに慣れているので、使い方を間違えたりなど……やっぱり新しいものよりも使い慣れたもののほうがいいなぁと実感しましたよ。ホント……。

強さの形は人それぞれ、だけれでもその根本は誰でも同じで……。

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