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ONE PIECE NOVEL -SHISHI BREAK STORY-

作者:伝龍
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第04話 参戦

「さてと、ルフィの負担を減らすとは言ったが……俺はどうするかねぇ。」

俺はスピードを緩め、徐々に下へと降りていく中、腕を組みながら戦場を見回してみる。両軍共に入り乱れて銃弾や砲弾が飛び交い、ガキン!と刃がぶつかり合う音があちらこちらから聞こえてくる。

その中にルフィが雄叫びを上げながら、エースの処刑台へ向かう姿が見えた。

「(ルフィに関しては、イワさんやジンベエに任しても大丈夫だろう。それに白ひげ海賊団の隊長達も援護も入るから、結果的に処刑台には辿り着けてるわけだし……)」

俺は下手にルフィをサポートしながら戦うよりも、俺個人が敵を引きつければ多少なりとも手助けになるだろうと考え、それを実行に移すことにした。

そこへ……

ズゥゥン!!!!!!

巨大な轟音と共に爆発が起こり、その余波がこちらにも伝わってきた。

「おっと、こりゃ『黄猿』のレーザーだな。全く、いくら天竜人に急かされてるからってここまでやるか?味方の兵もいただろうに……っと!!」

俺が黄猿の無茶苦茶な行動に呆れていると突然の爆発の中からレーザーが現れ、俺は軽くステップを踏むかのように避けた。

「お~、今のを避けるとはねェ~。」

間延びした声でハイキックの体勢で黄猿が俺をサングラス越しに俺を見ていた。

「おいおい、挨拶もなしか?」

「海賊相手に名乗る必要もないからねえ~。まあ一応言っておくけど、わっしはボルサリーノ…海軍大将で『黄猿』なんて呼ばれてるがねぇ。君、麦わらのルフィと一緒にいた男だよね~?どこの誰だか知らないけど、死んでもらうよォ~。」

そう言って黄猿は人差し指をこちらへ向け、光を収束してレーザーを放ってきた。

「ふぅー……『偏光』(デフレクション)。」

「?」

いきなりの攻撃にも俺は軽く溜息をつくと、両手を前に突き出して身構えた。その光景に黄猿も疑問を感じたが、次の瞬間……

キュイン!!

「!!」

俺に向かって放たれたレーザーは目の前で別方向に逸れて、他の場所へと着弾して爆発した。その光景にさすがの黄猿も驚きの表情を見せた。

「お~!ビックリしたねェ~。今のは何なんだい?」

「何、ちょっと光の軌道を変えただけだ。」

ニヤリと笑う俺の前には薄い透明の板の様な物が展開されていた。それを見た黄猿は当然の質問を俺に投げかけた。

「お前さん、能力者かい?」

「ああ、これは『タテタテの実』の能力。あらゆる盾を作ることが出来る『盾人間』とでも言っておこうか。」

これは俺の世界でネットで名前は創作されていた物だが、内容は少しアレンジした物だ。この実の能力は自分の前に盾を作ることが出来て、その用途は様々な物に応用が出来る物だ。

今のはエネルギーフィールドを展開することによって、レーザー等の光線を屈折させる事が出来る『偏光シールド』と呼ばれる架空物を真似た物である。

但し、この能力で作った盾は攻撃を受けると徐々に耐久力が下がっていく上、自分の前面にしか作ることが出来ない。そして、一度盾を作ると破壊されるまで次の盾を作ることができないのだが、そんな条件はチートの俺には関係ない。

そう言って俺は目の前の盾を解除して、黄猿を睨みつける。

「面白いねぇ~、名前を聞いておこうか。」

「俺はジンドウ・シシ。目的はエースの救出だ!」

「麦わらのルフィと同じ目的だねェ~。ところで、今君は浮いているけどそれも君の能力かい?だったらおっかしいねェ~、悪魔の実は1人1つのはずだよ?」

「さあな?それを教える義理はない。」

「そうかい?それじゃあ~もう一つ聞くが……」

そう言うと黄猿は体を光に変えて、俺の背後に回り込み、シャボンディ諸島でバジル・ホーキンスに言ったセリフを口にする。

「速度は『重さ』…『光』の速度で蹴られたことはあるかい?」

同時に黄猿の蹴りが俺のこめかみに向かう。が……

スカッ!!

「!?」

蹴りはこめかみを通過し、振り抜いた後の足を覇気を出して俺は掴み、そのまま全力で氷の地面へ投げつけた。

「え……!?黄猿さん!?」

「あそこにいるぞ!!撃て!!撃てーーーーー!!!」

戦っていた海兵達は仰向けに倒れている『黄猿』の姿に驚き、俺の方へ視線を向けると銃撃や砲撃を浴びせるように撃ちまくる。

「悪いな、いくら『光』の『重さ』で蹴ろうが『幻』相手じゃ意味はない…じゃあな。」

俺は飛んでくる銃弾や砲撃を躱しながら、さらに先へ進むため再び移動を開始した。シシが黄猿の蹴りを躱したのは『イリュイリュの実』の能力であり、自分を『無いもの』としたためである。

つまり黄猿はシシがそこにいるつもりで蹴りを放った訳だが、シシは自分を『幻』の状態としてその蹴りを躱しただけなのだ……どんなに強力な攻撃であろうと、そこに対象がいなければ意味がないのである。

しかし、この実にも弱点はあり、能力を使用している間は一切動くことができない。つまり防御については効力を存分に発揮できるが、反撃などを行う場合は必ず実体になる必要があるので危険を伴うのだが、言わずもがなシシには適用されない。

「大丈夫ですか!?黄ざ………あ。」

シシが去った後に海兵達が黄猿の安否を確認するために駆けつけるが、何事もなかったかのように黄猿はスタスタと歩いていた。

「ん~~~、腹が立つねェ~。」

そんな言葉を言う黄猿の顔は笑っているが、その周りには怒りのオーラが立ちこめており、思わず海兵達は黙り込んでいた。

「しっかし、厄介だねェ~。あー、誰かいるかい?」

「ハッ!は、はい!!!」

黄猿の呼びかけに、1人の海兵が慌てながら返事をして敬礼をする。

「中将達とその他の部隊に通信を入れてくれるかい?あとセンゴクさんにもねー。」

「わ、分かりました!!」

そう言うと海兵は通信を入れるための準備を始めた。






















一方、処刑台ではセンゴクとガープ、それにエースがどんどんと突入してくる白ひげ海賊団と海兵達の戦い、そしてルフィの姿を見ていた。

「ルフィ……みんな……」

悲痛にも似た表情で弟と仲間の心配をするエース。そこへ……

「センゴク元帥!!」

「…どうした?」

連絡兵がセンゴクの元へ慌てた様子で駆け寄ってきた。

「ハッ!黄猿大将からの通信が入りまして、その報告にと!!」

「分かった、聞こう。」

「はい!湾内にて、『麦わらのルフィ』の隣にいた白銀の男と接触し、戦闘を行ったそうです!!」

「!!」

その報告にセンゴクはやや驚きはしたものの平常を保ったまま、次の報告を待った。

「名前はジンドウ・シシ!目的は『麦わらのルフィ』と同じくエース救出だと思われます!!」

「そうか…で?その男は捕らえたのか?」

「いえ…それが……」

センゴクが男の捕縛について確認すると、連絡兵がたまらず言い淀んだ。その様子にセンゴクは違和感を感じ、問いただした。

「?どうした?早く報告しろ。」

「黄猿大将を退け、そのままこちらへ向かっているそうです。」

「何だと!?」

この報告にさすがのセンゴクも驚きを隠せず、連絡兵に詰め寄った。海軍本部最高戦力とも称される存在であり、その実力は海軍のみならず海賊達にも知られている存在……それを相手に退けるなど並大抵の事ではない。

「あと…もう一つ報告が…」

「!!……今度は何だ?」

「はい。これは自分も信じられないのですが……黄猿大将が言うにはその男は悪魔の実の能力を複数使ったとの事です……」

「!!!」

「あの黄猿大将が嘘をつくとは考えられません…ですので本当の事かと思われます。」

恐る恐る答える海兵に苛立っていたセンゴクは声にならない驚愕の表情で青ざめていた。

「なお、中将達やその他の部隊にも通信を入れておりますので、じきに対応できるかと思いますが……」

「なるべく早急に対処させろ!!準備が整うまで保たせるんだ!!」

「ハッ!!」

センゴクの苛立った声に連絡兵は敬礼をして再び戦場へと戻っていった。

「(いったい何だと言うんだ…!!あの男は…!!)」
























「いたぞ!!報告にあった男だ!!」

「何としてでも討ち取れぇー!!!!」

センゴクが海兵からの報告を受けたのと同時刻、シシは処刑台からやや右に逸れた場所から広場に向かって移動していた。その道中に『黄猿』から連絡を受けたであろう部隊がシシの姿を確認すると、銃や刀を手に襲いかかってきた。

「どうやらうまくいったみたいだな…『鉄塊』!!」

俺は飛んでくる銃弾を鉄の甲殻まで固めた体で受け止め、さらに……

「くらえぇぇ!!!」

「『紙絵』!『獣厳』(ジュゴン)!!」

「ぐぉ!?」

刀で斬りつけてくる海兵の攻撃をヒラリと躱し、カウンターでCP9のフクロウが使っていたパンチを繰り出し、仕留めていく。

「な!?何なんだ!あの男は!!」

奇妙な技を使う俺に周りの海兵達が思わずたじろいでいく姿に俺は満足気に見ていた。

「六式はCP9が修得している物だからな…一部の海兵を除いては知らない奴もいるだろうな。しかし、まさか『黄猿』の奴も自分が利用されたなんて気付いてないんだろうな。」

俺はボソッと独り言を言った……なぜ、あの時に奴を仕留めておかなかったのか?その理由は単純明快、俺の存在をアピールするためだ。あの大将を退け、さらに能力をいくつも使えば海軍にとっては、包囲壁展開とパシフィスタによる追撃作戦に支障をきたす事になり、

もし今の段階で作戦を中止すれば、いずれは『白ひげ』が広場に上陸し、猛威を許すことになる…その前に俺をどうにかしなけばいけないと考えるだろう。

「(まあ、俺のこんな考えなんか成功確率の低い…というかすぐにバレるもんだと思っていたが、儲けものだったな)」

そう考えていると……

「来るな!!ルフィーーーーーー!!!」

エースの声が戦場に響き渡る……その後に『これは俺の問題だ』『おれにはおれの仲間がいる』などルフィの行動を責めるものばかりだったが、心の中では弟を道連れにしたくない…兄貴らしい事をしてやりたいという思いを秘めていることは誰の目にも明らかだった。しかし……

「おれは弟だ!!!!」

そう叫ぶルフィはどんどん敵を倒しながら進んでいく…その最中にセンゴクがルフィの出生を明らかにし、皆が驚く中、ルフィはさらに言葉を続けた。

「好きなだけ何とでも言えェ!!おれは死んでも助けるぞォォォォ!!!!」

ルフィは一度自分で決めた事は意地でも変えない…それを一番よく知っているエースは唇を噛んで俯いた。

「やめとけエース!!!ルフィは一度決めた事はやり遂げるまで止まらねえよ!!!」

「「「「「「「「!!」」」」」」」」

「!!あんたは……」

「シシ!!」

俺の叫びはルフィやエース、海軍と海賊両方に届き、どちらも俺の方へと視線を向ける。

「俺はジンドウ・シシって言うモンだ!!今はあんたを救出するためにルフィ達と共に行動している!エース!!あんたは自分の弟や仲間が危険を顧みず、必死になってあんたを救おうとして伸ばしている手を拒むのか!?」

「だが、俺は……」

「いつまでも悩んでんじゃねぇ!!!これだけは言っておくぞ!!!あんたが誰の子供だろうが、あんたはあんただ!!皆、それを分かって助けたいと思ってるんだ!!お前が望んだ物は目の前にあるんだ!!!」

「そうだぜぇ、エース!!!俺達はお前を助け出すぞ!!!」

「諦めるんじゃねぇ!!」

「待ってろエースーーーー!!!!」

「………!!!」

俺の叫びに続けと言わんばかりに白ひげ海賊団やその傘下の海賊達から声が上がり、その光景にエースは目を少し潤ませた。

「『ホワイト・ランチャー』!!」

「お?」

突如、俺に向かって煙が迫り、十手を俺の胸元に押しつけてそのまま仰向けに倒した。

「お前だな?報告にあった『麦わら』の隣にいた男は?」

厚手のジャケットに葉巻を加えた白髪の男がこちらを睨みつけてくる。

「ああ、さっきも言ったが俺はジンドウ・シシだ。初めましてかな?スモーカー准将?」

「ああ、いきなりで悪いがお前を始末させてもらう!」

そう言ってスモーカーは手に持った十手にググッと力を入れる…まあ、俺にとっては初めてではないし、俺にとってはこんな物、何の役に立たないんだが……

「へぇー…海楼石入りね。」

「ほう、よく気がついたな。お前がなぜ2つ以上の能力を使えるのは知らねえが、能力者ならこいつは効くだろ?」

海楼石が効いている演技をしながら、俺はなぜスモーカーがここにいるのかを考えていた。確かこいつはルフィの進路上にいたはずだが?

「ところで、俺なんかに構ってていいのか?ルフィを叩き潰すんじゃないのか?」

「!!どうして、お前がそれを……まあいい。報告を聞いた時から興味が出てな…一度顔を見ておきたいと思っただけだ。『麦わら』ならあとで始末する…あいつの能力じゃ俺には勝てないからな。」

スモーカーがそう言うと俺は納得した。なるほど、俺が登場したせいで原作がさっそく変わってきているのか。まあ、『黄猿』が仕掛けてきた時点ですでに変わっているが……

「なるほどな。ああ、それと……」

「あん?」

「俺にこんな物通用しないから。」

そう言って俺は覇気を出しながら、スモーカーの横っ面を全力でぶん殴って吹き飛ばした。

「!?」

突然の出来事に驚くスモーカーに俺は何事もなかったかのように起き上がりシャツやズボンについたホコリを叩いた。 
 

 
後書き
いよいよシシが参戦いたしました。ここぞとばかりにチートを使っておりますが、まだまだ序の口ですのでこれからもご期待下さい。

最後に今回出てきた悪魔の実を紹介したいと思います。

名前:タテタテの実
種類:超人系(パラミシア)
能力:いろいろな盾を作成することができる。
備考:作る盾によっては耐久力が変わり、攻撃を受ける度に耐久力が減少する。
自分の前面にしか展開できず、盾が破壊されるまで次の盾を作ることができない。

名前:イリュイリュの実
種類:超人系(パラミシア)
能力:自分の体を『幻』にすることが出来る。
備考:幻になった場合、いかなる攻撃も受け流す事が出来る。
   この能力を使用している間は一切動くことが出来ず、動けば能力は解除される。
   (自然系(ロギア)ではないのは、自らの意志で幻になっているため) 
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