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トーゴの異世界無双

作者:シャン翠
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第二十五話 粋なネームングだなケリチョーカー

 朝はクィルの他に、ミラニも一緒に学園へ向かった。
 彼女曰く、また面倒事を起こされては敵わないとのことだった。
 だが、厄介事というのは異世界人、いや、闘悟には付き物なのか、昨日の金髪イケメンがまた現れた。
 しかし、その表情は昨日のように怒りに歪められてはおらず、むしろ嫌味そうな笑いが含まれていた。


「これを受け取れ」


 金髪イケメンであるリューイは、手を差し出した。
 そこには白と黒が入り混じったチョーカーがあった。
 こんな色のチョーカーは見たことは無い。
 少なくともルームを識別する色には無い。
 闘悟は差し出されている手の上のチョーカーを見る。
 だが、その様子を見ていた周囲の者達は一斉にざわめく。
 隣にいるクィルも目を見開く。
 ミラニはやれやれといった様子だ。
 小さな声で「また面倒な事を」とか言っている。


 どうやら、リューイのこの行為は周りに衝撃を与える意味があるらしい。
 本来なら警戒して受け取らないか、チョーカーの意味を聞いてから考えるが、闘悟はすんなりとそれを彼の手から取る。
 すると一段と周囲が騒がしくなる。


「受け取ったな?」


 意地が悪そうに口角(こうかく)を上げるリューイ。


「場所と時間は使いに知らせる。楽しみにしているんだな」


 そう言葉を放って去って行く。
 リューイが去って口を開いたのはやはりミラニだった。
 見るからに呆れていた。


「はぁ……貴様は本当に……」
「ははは! ま、これも人徳ってやつかな!」
「馬鹿者! 何が人徳だ! 貴様の人徳は言うなれば人毒だ!」
「お、上手いこと言うじゃねえか!」


 いや、でもさすがに人の毒ってやつは酷くねえ? 
 そんなに周囲に害を及ぼしてる?


「ト、トーゴ様?」
「何だクィル?」


 クィルがまた不安顔をしている。


「そ、それは『ケリチョーカー』と呼ばれるものなのです」
「けりちょーかー?」
「は、はいです」
「何だそれ?」


 すると、息を軽く吐いたミラニが話し出す。


「『ケリチョーカー』というのは、決闘用に使用される特別なチョーカーだ」
「決闘用?」
「ああ、色を見てみろ」


 色は白と黒のチョーカーだ。


「その色は白黒つけるという意味が込められている」
「ほぅ」
「また、『ケリチョーカー』のケリは、決着(けり)をつけるのケリからきているのだ」


 なるほど。
 分かりやすいな。


「決闘して白黒つけたい相手にこれを手渡す。そして、もし申し出を受けるならそれを受け取る。そうすることで決闘が成立する」
「へぇ」


 闘悟は『ケリチョーカー』を手で弄(もてあそ)びながら観察する。


「ここでは勝手な私闘は禁じられている。だが、戦闘技術は実戦を経験しなければ本物にならないのも確かだ。そこで、学園が作ったシステムがこの『ケリ』システムだ」


 まあ、受け取らなければ決闘は成立しないとはいってもよ、大きく見ればこれも私闘なんじゃね?
 そんな思いを抱いたが口には出さない。


「なるほどな。で? 受け取った以上は拒否できないと?」
「そうだ」
「ど、どうするのですかトーゴ様?」
「へ? だったらやるしかないだろ?」


 当然のように言う。


「た、闘うのですか?」
「ああ、クィルはオレが負けると思ってんのか?」
「……全く思っていませんです」
「だろ?」
「で、ですが私が気にしていますのは、そんなことではないのです!」
「じゃあ何?」
「トーゴ様はお強いです。ですがその強さは……」


 言い難そうに顔を伏せる。


「異常だって言うんだろ? だからもしここの連中がオレを見たら、恐怖を抱いてしまい、まともな学園生活を送れないかもしれない。そんなとこだろ、クィルが考えてんのは?」


 図星をつかれたのか口をパクパクさせる。


「それに、これが恐らくそういうものだろうとも、手に取る前にある程度は予想してたしな」


 『ケリチョーカー』を見下ろしながら言う。


「そこまで感づいていてどうして受け取った? 確かに貴様の実力を目にすれば、大抵の者は貴様を人間だとは思わんぞ?」
 
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