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トゥーランドット

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第二幕その二


第二幕その二

 謎解きは宮殿の前の広場で行なわれることになっている。中央に三つの広い踊り場のある、大きな木の階段がある。そこの左右にある灯に先の三人よりも位のずっと低い若い宦官達が灯りを点けていく。民衆が少しずつ集まり上に文武両官がやって来た。そして彼等の中央に玉座がある。その周りを八人の年老いた大臣達が固めている。
 彼等はその手にそれぞれ封をした絹の巻物を持っている。おそらくそこに謎が書かれているのであろう。
「皇帝陛下が来られる、一同頭を下げよ!」
 民衆も文武の官達も皆頭を垂れた。銅鑼が鳴り一同が頭を上げた時玉座には皇帝が座していた。
 黄色、いや金の衣を身に纏い白い髪に白い髭を生やしている。かなりの高齢であるようだがその姿には威厳がある。そしてその強い目で民衆達を見ている。
「よくぞ集まって来てくれた、我が愛すべき者達よ」
 彼は民衆に対して語りかけた。
「陛下に栄光あれ!」
 民衆は彼を讃える声を出した。
「その言葉に朕は感謝したい。そして願おう、今日こそこの国に安堵の息が戻って来ることを」
 民衆は再び彼を讃えた。その中にはティムールとリューもいる。
「では今日謎に挑む勇敢な若者は何処か」
 彼は問うた。
「ここにおります」
 彼は階段の中央、階になっている場所に姿を現わした。
「そなたが姫の謎に挑む若者であるな」
「仰せの通りです」
 カラフは片膝を着いて答えた。
「そなたもまた我が国の者ではないな」
 皇帝はそれを見て言った。
「ハッ、韃靼より来ました」
 カラフは答えた。
「そうか・・・・・・」
 皇帝はそれを聞き少し哀しげな顔をした。
「顔を上げるがよい」
 そしてカラフに対して言った。
「ハッ」
 カラフは顔を上げた。
「いい顔をしておるな」
 皇帝は彼の顔を見て言った。
「有り難きお言葉」
 彼は謹んで答えた。
「だがのう」
 皇帝は暗い顔をして何か言おうとした。
「いや、止めておこう」
 だが彼は言うのを止めた。
「じきに姫の方から言うであろうからな」
 そして口を閉ざしてしまった。
 一人の武官が降りて来た。そしてカラフの横を通り過ぎ階段を少し行ったところで止まった。そして懐から一枚の紙を取り出して民衆に対して言った。
「皆の者、よく聞くがいい!」
 彼は語りはじめた。
「若者が姫が出される三つの謎を全て解いた時姫は若者の花嫁となられる」
 だがそれを聞いても誰も何も反応しなかった。
「しかし」
 武官は言葉を続けた。
「若し答えられぬ場合若者は死罪となる。その時は明日の月の出し時である!」
 その声を聞き皆下を向いてしまった。リューとティムールは顔を蒼くさせる。皇帝も大臣も他の役人達もその顔は暗い。ただカラフだけが自信に満ちた顔で微笑んでいた。
「もうすぐ姫が来られる。一同下に!」
 皇帝を除くその場にいた者全てが頭を垂れる。そして一同が銅鑼の音で頭を上げた時そこにはトゥーランドットがいた。
 彼女は皇帝の脇にいた。銀の冠を頭に被りその冠と同じく銀の長い衣を身に纏っている。
 そしてその美しい鳳凰の様な黒い瞳でカラフを見下ろしている。その光はあくまで冷たい。
「よくぞ来ました、怖れを知らぬ若者よ」
 彼女はカラフを見下ろして言った。
「よくぞ私の出す謎に答えようとここまで来てくれました。礼を言いましょう」
 その声は透き通っている。だが冷たく冷気を漂わせている。
「見たところ貴方も異郷より来た者のようですね」
 彼女はカラフの顔と服を見て言った。
「それならば遠い昔にこの城で起こった悲劇についてお話しましょう」
 彼女はカラフに対し話しはじめた。
「これはもう遠い伝説の時代の話です。この国にロウリン姫という美しい姫がいました」
 カラフはその話をジッと聞いている。
「美しいだけでなくその知恵と政はこの国を照らしました。しかしその素晴らしい姫をある日悲劇が起こったのです」
 その時トゥーランドットの瞳に憎しみの光が微かに宿った。
 
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