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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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フェアリィ・ダンス~両刃の剣と天駆ける龍~
  世界樹へ《2》 迫る邪悪

「改めて自己紹介を。私はグリーヴィネスシャドウ。《グリヴィネ》とお呼びください。発音が難しければ《グリウィネ》とお呼びください。それ以外の短縮形・それ以外の短縮形は一切認めておりません」

 グリヴィネはそう名乗り終えると、自身も話に加わりたい、と申し出た。

「もちろんだ。今は人手が多い方がいい。よろしく頼む」
「ありがとうございます」

 ティールが応じると、グリヴィネは頭を下げ、話の輪に入ることになった。


「…セモン」
「ん?」
「グリヴィネ…だっけ?シャノンの妹って…」
「ああ。最近あまり見かけなくなったけどな、小さいころはよく陰斗について回ってたな。ゲームもうまくてなぁ。そうか、鎌装備はグリヴィネの得意武器だっけ」


「……話を聞く限り、どうやら《プレイヤーのモンスター化》という問題について話し合っていたのですね?」
「その通りだ。あそこにいるセモン君とコハクさん…ああ、グリヴィネさんとは知り合いなんだっけか。で、そのお二人の友人が、モンスター化してこの町を荒らしてたんだ」
「…なるほど。そのモンスターは、世界樹の方に飛んで行ったと?」
「ああ。できれば追いかけたいのだが…私たちはあいにくこれよりシルフ・ケットシーの同盟調印式の護衛にいかなければならない。そこでだ。来てくれてそうそうだが、グリヴィネさんと、セモンさんとコハクさん、この後なにも予定がなければ、世界樹の方に行ってみてくれないか」
「おう、いいぜ。つーか最初からそのつもりさ!」
「分かりました」
「よろしく頼む」


 こうしてセモン・コハク・グリヴィネの三人は、世界樹へ向かうことになった。

 ティールたちは別のルートで《蝶の谷》へと向かった。


                     *

「セモンさん、そのモンスターというのは…ハザードさんの事、ですね?」
「……何で知ってるんだ」
「セモンさんの知り合いと言えば、ハザードさんしか考えられません。それに、このゲームの管理者である須郷伸之…オベイロンにとっては、秋也さんは茅場晶彦への人質となりえるからでしょう」
「!?」
「どういうこと、それ!」

 
 続きは飛びながら話しましょう、といって、グリヴィネは翅を広げた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「?…どうかしましたか?」
「あの…ごめんね、私たち、まだ飛び方よく知らないのよ」
「ああ…それなら簡単です」

 グリヴィネはセモンとコハクの背後に回ると、二人の肩甲骨あたりに触れた。

「ここから、仮想の骨が伸びていると考えてください。それを動かす感じです。それと、この《飛行》では、イメージを強く持つことも大事です。空を飛ぶために翅を震わせる、そんなイメージを持って、翅を動かしてみたください」

 よくわからなかったが、とりあえず動かしてみることにしたセモンとコハク。

「こ、こうか?」
「難しいわね…」
「お二人とも、お上手です。では、そのエネルギーを使って空へ飛びだすイメージ…翅を広げて地面を蹴って!」

 言われるままに地面を蹴る。すると―――――


 ズバァァァアアアアアアア――――――――ン!とすさまじい音を立てて、体が浮き上がった。

「うおおおおぉおおおぉおお!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「二人とも!翅を広げて!ブレーキをかけて、グライダーのように風に乗ってください!!」

「こ、こうか!?」

 両手を使ってバランスをとると、何とか浮かぶことができた。

「ふぅ―――――――――何とかできたわね」
「し、死ぬかと思った…」
「びっくりしました。二人ともあそこまで推進力が出るとは…。では、今度はその翅を少し震わせながら、前に進んでみましょう」

 すい~っと、こちらは優雅に進んできたグリヴィネが、翅を震わせて前に出る。飛行体制になり、

「目指すは、世界樹イグドラシルです」

 
 彼方にそびえる世界樹に向けて、三人は飛行を開始した。


                      *


 世界樹のてっぺん近く。金色の鳥かごの近くに、黒い服に黒い髪、真紅の竜翼と竜尾を備えた男…ハザードが現れた。

「ご苦労だったね、《ファーヴニル》」
「グルルルル……」

 鳥籠の中にいた美貌の妖精王は、やってきたハザードに声をかけると、いとしい妖精女王の方を向いた。

「どうだいティターニア。これがボクの実験の成果さ」
「ひどい…こんな…須郷、今すぐやめなさい!」
「やめる?そんなことするわけないじゃないか。このシステムは明日の臨時アップデートで実装する。HPが0になったプレイヤーは、一定確率でアバターのコントロール権限を奪われてモンスター化。また、このモンスターに敗北したプレイヤーも100%モンスター化する。まるでバイオ〇ザードだよ」

 はははは、という愉快そうな声をあげて、妖精王は笑った。


「さぁ、ボクのアルヴヘイムは、どんな混沌を見せてくれるかな…ハハハ…アハハハハハ、ア―――――ッハッハハハハハ!!!」


 妖精王の高笑いは、いつまでも続いた。 
 

 
後書き
 久々の投稿です。そしてその割に短い。

 いよいよモンスター化のシステムが実装されてしまいます。セモン君たちはどう立ち向かうのか!?

 更新はすごぶる遅いですが、気長にお持ちいただければ幸いです。

 
 それでは! 
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