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魔法科高校の神童生

作者:星屑
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Episode11:襲撃と姉弟喧嘩

 
前書き
お待たせしてすみません!新生活が始まりバタバタしていたもので……それでは、どうぞ! 

 

「くぁ……」


達也のビックリ魔法ショーから少しして、俺と達也と渡辺先輩は防災法やらなにやらを完全無視した風紀委員本部へと来ていた。
現在は先輩が達也になんか説明している最中で、俺は一度聞いたために暇を持て余していた。
にしても、部活勧誘週間があることすらちょっと驚きだが、それに警備が必要とは……流石魔法科高校、ぶっ飛んでるゼ。
と、少しテンションがおかしくなりながらも表示されている端末データに目を落とす。表示されているのは、部活勧誘週間のときの、それぞれの部活の拠点の位置。んー、どっかサボれるようなところはないかな?


「くれぐれも、サボることなどないようにな?」


「あっれー?なんで分かったんすか?」


冷や汗ダラダラな俺の背後に立つ渡辺先輩に戦慄しながら、開いていた端末の電源を落とす。


「いやなに、お前が美術部の拠点辺りにマークしているのが見えたんでな、カマをかけてみたら見事にだ」


「だ、騙された……」


苦笑いを浮かべる渡辺先輩の後ろで、達也はやれやれと言いたそうに肩を竦めていた。むう。








「んじゃ、俺ちょっと用事あるんで先上がりますね?」


「用事?なんのだ?」


渡辺先輩の話しがひと段落ついてしばらくしたのを見計らって、俺は座っていた椅子から立ち上がった。
弄っていたCADから目を離して疑問を投げかけた達也に、俺は立てた人差し指を口元に持って行った。


「お家のことでね、トップシークレットで頼むよ」


この時代、そして俺の家柄として、大体の『御家騒動』は外部に漏らすことのできないトップシークレットとして扱われる。その禁断の領域にわざわざ踏み込んでいくような馬鹿は、今この場所にはいない。
気障な仕草でそう言うと、達也も渡辺先輩も納得したようだった。


「じゃあ、明日はメンバー全員に揃ってもらうことになるから必ず来てくれよ」


「分っかりました」


渡辺先輩にそう答えて、俺は風紀委員本部から出た。














「ハッ、ハッ、ハッ」


走る。ただひたすらに。最大出力の加速魔法を自分にかけて。車は疎か、電車すらも抜かして走る。
委員会本部では余裕そうに振舞っていたが、実際はあんな悠長に構えていられる事態ではなかった。
『御家騒動』、ではないが、その事件を知ったのは姉さんのメールでだ。
『家が何者かに襲撃を受けている。人数がおおすぎて正直一人では一時間ほどしか保たない。早急に戻ってきてくれない?』
正直な感想は、一時間も保つんだね。だった。しかし、この事態は異例だ。今までは仕事先でしか邪魔してこなかったが、まさかここまでダイレクトにくるとはね。


「とにかく…最悪の事態は防がないとね」


そう呟いて、俺は地面を思い切り蹴り抜いた。












九十九家は、他の百家や十師族のように何代も連なってできた一族ではない。そもそも、隼人の父と母から九十九家は始まったのだ。だが、その二人の魔法は、恐らく世界で最も『魔法使い』に近いとても強力なものだ。故に、血を重ねてゆっくりと地盤を固めてきた他家とも渡り合うことができる。故に、九十九家の力は秘術とされている。故に、九十九家は都市部とは隔離されている。
それは誰が望んだわけでもなく、そうせざるを得なかったからだ。
強力な魔法師をつくるには、其れ相応の強力な血が必要となる。九十九家の血は、他家に狙われる。そんな理由があって、九十九家の家は東京郊外の、過疎地帯にあった。
隠れるにはうってつけの場所。だが、バレてしまったら人目を気にすることなく攻めていける場所だ。
今回、なぜ家の場所がバレてしまったのかは分からない。もしかしたら隼人がうっかりしていたのかもしれないし、自分がヘマをしたのかもしれない。そう思いながら、九十九家長女兼当主の九十九スバルは自らのCADである刀を賊に叩きつけた。空気を切り裂いた刀は、賊を頭部から力尽くに叩き斬った。


「まったく、キリがないわね」


「ったく、この人数相手に言うセリフじゃないと思うけど?」


刹那ーースバルを取り囲んでいた賊が、腕から血を撒き散らして倒れこんだ。誰一人の、例外もなく。


「あら、速かったじゃない。さっすが私の弟ね」


「いや、弟いなくてもこれなら姉一人で片付けられるんじゃないかな?」


「あら、隼人はか弱いか弱い女の子一人にこのむさ苦しい賊の相手をさせるのかしら?酷いわー」


「か弱い、だと……?」


「あー、酷い!それはお姉さん怒っちゃうわよ」


「いやいやいやいや、『か弱い女の子』って言葉は姉さんに最も合わないんじゃないかな?」


「あらぁ…あの隼人が、随分と言うようになったじゃない?」


「ふっ、あの頃の俺じゃないことを見せてあげるよ…たっぷりとね……」


姉弟の間に不穏な空気が流れ、魔法が発動される瞬間、



「お前ら姉弟なんだから仲良くしろよ!」


「「うっさい!!」」


思わず叫んだ賊の一人は、ブリザードの如く吹き荒れたドライアイス群に包まれた。

























死屍累々ーーそんな言葉が似合いそうな光景が、九十九家の玄関前にはつくられていた。


「ふふっ、やるじゃない……」


「ね、姉さんこそ……流石は剣姫(ブレイド・クイーン)だね」


隼人がそう言うと、スバルは少し照れ臭そうにはにかんだ。


「そんな中学二年生が考えそうな名前、誰がつけたのかしらね?」


「あ、はは…容赦ないね」


ーー実際、つけて広めたのは隼人や彼女の両親だったりする。
自分のことを言われて密かに傷ついた隼人を他所に、スバルは座り込んでいた地面から立ち上がった。


「さて、隼人、ゴミ処理はよろしくね?姉さんはお風呂入って来るから」


そう言って、玄関のドアに向かって歩いていく。


「へいへい」


軽く返事をし姉を見送る。と、スバルはなにか気づいたように、ドアの取っ手に手をかけてから隼人に振り向いた。


「いくら姉さんが大好きでも覗きはNGよ?」


「しないよ!!」


どこまでもマイペースな九十九家当主であった。

















ーーto be continuedーー 
 

 
後書き
いやー、お待たせしてしまったのに短かったですね、すみません。次回はなるべく長く、内容が濃く、かつおもしろく!そしてミスがないようにしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。 
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