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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 飛び立つ光

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お兄様は行かせない! フラン対閃輝

太陽も落ちて、月が天高く上り、月光が夜を照らす筈の夜だが今日は生憎の曇りで月は見えない。今日は満月の日だというのに・・・。

「フラァァアアアアン!!!!」
「ヤァァァァアアアッ!!!!」

そんな闇が包む夜に紅魔館の上空で激しくぶつかり合う爆音と閃光が迸っている。一つは赤が主体の七色に輝く閃光と白く神々しい閃光がぶつかり合っていた。その度に凄まじい衝撃波と爆音が生まれ、周囲の木々などを大きく揺らす。そして次第に天気は荒れて行き、凄まじい突風が巻き起こり、雷が轟く。

再び二つの閃光がぶつかりあう、その時。その閃光の近くを雷が掠めるように落ちる。その雷撃に照らされて二つの閃光の主が露になった。赤が主の七色の閃光の主はフランドール・スカーレット。神々しい閃光の主は霧雨 閃輝だった。

「フラァァァァアアアアン!!!!」

閃輝はフランの名を喚きながらフランに突撃して、冥神剣を振り下ろす。フランも勢い良くレーヴァティンを振るって閃輝に打ちかかって来る。お互いの武器を交わしながら、両者激しく斬り合った。フランは閃輝の体を突き飛ばし、レーヴァティンを大きく一閃する。レーヴァティンは閃輝が纏っている鎧の一部が切り離され、宙を舞う。

「ぅうぉおおおッ!!」

フランはまるで極上の餌を見つけた獣のように喚いている事に気がつかなかった。ひたすら目の前の敵を追った。自分の目から溢れ出す涙にも気付かないまま

―――お兄様!!ヤダヤダヤダヤダお兄様と離れたくない!!お兄様はフランのだもん!!!フランだけのお兄様だもん!!!―――

レーヴァティンを振るったその一連の動作でフランはそのまま閃輝の顔面を蹴り付けて、下へと蹴り落とした

「ぐぅッ・・・!!」

蹴り飛ばされ、閃輝はあまりの蹴りの強さと衝撃で呻いた。先程からフランの攻撃が狂気に取り付かれたような戦いぶり。それには竜神騎士も苦戦していた。それに加えて、閃輝にとってフランは本当の妹のような存在なのだ。その妹に強い攻撃はし難かった。だがここまでやられては自分の命も危ない。閃輝は決心したように空中で体勢を立て直し、片足で紅魔館の庭の地面をしっかりと捉えてそのまま再び跳躍した。その際に、両手を握り締めて懇願する様にしている自分の妻の咲夜とレミリア、パチュリー、自分の妹のラウラが心配するような目で自分を見ていたのが解った。それを見た閃輝は本気でフランと戦う決心がついた。

―――負ける訳にはいかない―――。

「俺がッ!フランッお前を!倒す!!」

閃輝は全身に力を入れて霊力と神力を練り上げて一気に力を高める。本気を出す事を決めた閃輝。冥神剣を振り被りながらフランに襲い掛かる

「うぉぉぉぉおおおっ!!」

冥神剣がフランの右腕を捉えて飛ぶ、だが斬り飛れた右腕は蝙蝠のようになってフランの右腕に吸い付くようにくっ付き、元通りの右腕となった。お返しと言わんばかりにレーヴァティンが閃輝の顔面に向かって行く。閃輝は当たる寸前に頭を動かして、ギリギリでレーヴァティンは頬を掠めた。攻撃に勢いを付けすぎたのか、フランには隙が出来ていた。それを見逃す閃輝ではなかった。フリーの左腕でフランの腹部に殴りつけた

「ッ・・・!!」

フランは痛みに顔を歪ませながら後退しようとするが、目の前に閃輝が迫っていた

「ハ、ハヤイッ!!!」
「遅いッ!!!」

体を縦に思いっきり回転させる閃輝、そしてそのままの勢いで冥神剣でフランに斬りかかる。フランはそれをレーヴァティンで防御する。がそれで防ぎきれる訳も無く、フランはそのまま押し込まれるように閃輝と共に落ちていき、フランは庭に咲いていた花などを薙ぎ倒しながら倒れた。

「クゥウ・・・ッ」

落下の衝撃から立ちなれず、倒れたままのフランに空中から冥神剣を両手持ちして落ちてくる閃輝が迫る。目にも留まらぬ速度で振り下ろされた剣を、フランはボロボロのレーヴァティンで受けた。

「貴方・・・!!」
「フラン・・・」
「フラン・・・なんて・・・」
「お兄様・・・」

それを見守る咲夜、レミリア、パチュリー、ラウラ。凄まじい戦いで自分達が入り込む隙がまるで無い。ただ見守る事しか出来ない

「ウワァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」

フランの咆哮と共に閃輝は一気にフランと距離を取り、冥神剣を構える。フランはボロボロとなったレーヴァティンを消した

「フフフッ・・やっぱり強いねお兄様・・・。これはやりたくなったけどこれしかないね」

フランは手を出すとそこにあるものが出現した。それを見た一同は凍りついた。フランの手の上に浮いているのは目玉だった。

「そいつは・・・俺の目か」
「そうだよお兄様。これにね、力を通してね。キュッとするとぜ~んぶドカ~ンってなるんだよ?大丈夫だよ一瞬で終わるから。何も怖くないよ?」

フランの能力『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』

全ての物質には『目』という最も緊張している部分があり、そこを攻撃することで対象を破壊する事が出来るらしい。実際に閃輝も冥神剣を要してその部位を突き刺す事で妖怪退治をしている。しかしフランはその『目』を自分の手の中に移動させる事がで出来、手を握り締めて自身の妖力を通して『目』を壊せば無条件で対象を破壊出来る。

今フランの手の上に在るのは閃輝の目という事になる

「閃輝!!逃げなさい!!!貴方の速度ならあれから逃げ切れる筈よ!!!早く!!!」

レミリアは自分の大切な友人が死に瀕してるのを見て、顔を真っ青にして叫ぶ。しかも友人を殺そうとしてるのは自分の妹なのだ。

「貴方!!早く!!!妹様が目を潰す前に!!!!」
「何してるのよ!早く逃げなさい!!」
「お兄様!!急いd心配するなみんな」お、お兄様!?」

皆の逃げろという言葉を遮って閃輝は声を上げた。レミリア達の方に手を向けて辞めるように言っている

「な、何か策があると言うの!?幾ら貴方でもあれは無理よ!!」
「心配するなレミリア。さあフラン」

閃輝はフランの方に向き直り

「やれよ」
「!!!??」

閃輝が言ったのは、フランに目を潰せと言う言葉

「何か策があるんじゃなかったの!?」
「あれを受け止める気なのですか!!?お兄様!!?」
「幾ら貴方でも無茶ってもんよ閃輝!!」
「貴方・・・!!!」

フランは狂気に満ちた目で、閃輝の目に指を向けて潰そうとする

「いいの?抵抗しなくて」
「ああ、今からじゃ逃げても無駄だ」
「・・・きゅっ」

フランは何の感情を見せる事無く目を潰した。そしてその瞬間、閃輝の体が大爆発を起こした。全員は閃輝を凝視する。煙が晴れるとそこにはバラバラにさえ放っていないものの生気が無い閃輝の姿が見て取れた。

咲夜は口に手を当てて、首を横に振っていた。自分の最愛の人が目の前で・・・

「あ、貴方・・・そ、そんなぁ・・・」

咲夜は膝を付いた。そして涙が頬を伝おうとしたとき

「・・・・・・・・・・くっっ!!!」
「「「「「!!!!!!!??????」」」」」

聞き覚えのある苦しげな声が聞こえた。その声がした方向を見ると荒々しい息をして、全身がボロボロだが確かに生きて、言葉を発してる閃輝の姿があった!!!

「どぉした・・・フラン・・・俺はまだ死んでねぇぞ・・・・・・・死に慣れてる・・・・・しぶとい俺を・・・舐めるのも・・・・・大概にしろ・・・・・・・・はぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

閃輝が咆哮をあげると、強い光が閃輝を護るかベールのように現れる。それは全て神力が可視化した物だった。フランは再び妖力を目に通して握る。再び大爆発を起こすが、閃輝は完全に耐え切っていた。

「なっっ!?」
「どうしたフラン。俺を粉々にするんじゃなかったのか、そんなことじゃ、そんなことを何十回、何万回やって俺を殺す事なんて出来ねぇぞフラァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッッ!!!!!」

閃輝の声に呼応するようにベールのようなっていた神力が一気に吹き飛んで大気を振動させて、紅魔館全体を大きく揺らす。その覇気にフランは

「ああ・・・あああ・・・・」

強い恐怖感を感じていた、凄まじい覇気で体中が震えて目からは涙が流れ落ちている。その間にも閃輝は一歩一歩フランに近づいていた。フランは動く事が出来ずに唯恐がっていた。そして閃輝はフランの目の前に迫っていた。

「覚悟はいいか・・・フラン」
「ああ・・・ああああああ・・・っっんぐ!!」

いつもの優しい声とは違って相手を威嚇し殺すような冷たい声、フランはその声で更に恐怖心が掻き立てられてしまい瞼を閉じた。これほど恐い閃輝は見た事が無い。寧ろ、これほど強く、圧倒的な絶望と恐怖感をフランは味わった事が無い。そして目を背けた。そうしなければ自分が壊れてしまうと思ったからだ。そして自分は完全に殺されると思った・・・そして・・・

ぽふっ

「・・・・・・・・・・・・え?」

頭の上に優しく何かが乗ったのを感じたフラン。目を開くと閃輝が自分の頭の上に手を置いて撫でていた

「なんてな、恐かったかフラン」
「ああ・・・あああ・・・・・・!!!うわぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!」

フランはそのまま閃輝に抱きついた。閃輝はボロボロな体を動かして左手を上げてフランの頭を撫でる。フランは必死に閃輝に抱きついて、絶対に離さない様に抱きつく。

「ごめんなさい!ごめんなさいいいいいいいいいいい!!!ッわだじ!わだじぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「良いんだよフラン、お前は俺に傍に居て欲しくてこんな事したんだろ?だったら俺が傍に居てやるからもう気にするなよ。出来るだけずっと傍に居てやるから」
「でも・・・!あだじ!!おにいざまにいっぱい酷い事しちゃった!!全部解ってるのに!!おにいざまを独り占めしたくて!!わだじ・・・!!うわぁぁあああああああん!!!!!」
「俺の事なんて気にすんなよ、俺が誰だと思ってるんだ?お前のお兄様の霧雨 閃輝だぞ?」

閃輝はしゃがんでフランと視線が合うようにする。フランは大粒の涙を流しながら、閃輝を見る

「なあフラン。だったら今度は俺に良い事してくれよ、俺と遊んだり、手伝いしたり、俺を守ったりしてくれよ。そうすればお前はもっと良い子になれるさ」
「っっえぐ!!ひっぐっっ!!ホ、ホントに・・・?わたじ・・・お兄様に酷い事いっぱいしたのに良い子になれるの・・・?」
「ホントホント。俺が言うんだからホントさ、なっ?フラン」

閃輝はフランの肩に手を置いて出来る限るの明るい笑顔をしてあげた。フランをそれを見て、更に涙が溢れて来たが、自分も必死に笑顔を作って閃輝に笑いかけた

「うん・・・!フラン、絶対良い子になるから!!!」
「良し良し、それじゃ皆の所にいこっか」
「うん!!」
「それっ」

閃輝はフランを持ち上げて、肩車をしてやった。フランは嬉しそうな声を上げながら涙を拭く。閃輝はそんなフランを安心したのか、鎧を解いて咲夜達の方に歩き始めた 
 

 
後書き
ゆ「さあ、ハイパー次回予告タイムだよ!

フランと閃輝との戦いは終わった。でも何故このような戦いが起きたのだろうか

それは覇狼と同じ神である閃輝に関わる事だった

戦いの理由は如何に・・・!?」

覇狼「次回、IS 〈インフィニット・ストラトス〉 飛び立つ光

神として

さてと、けじめをつけますか」 
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