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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第三章 聖杯大戦編
  第七十四話    『聖王と覇王の戦場』

 
前書き
二人の王の決着の時。
トーラスはやはりというべきか彩と同じ小者っぽいですね。
己の野望とキャスターの願いが一致しないことに気づいていないようです。 

 


アリシアは月村邸でみんなに向かって、

「私の名前はアリシア・テスタロッサです! よろしくお願いします!」

フェイトと同じ姿形だがフェイトとはまた違う人懐っこい笑みを浮かべて元気に自己紹介をした。
それでみんなは拍手を贈り、

「それにしても本当にフェイトそっくりねぇ…。本当にこの体って人形なの?」
「ええ。私の体も成長する人形の体だって事は知っているでしょう?」
「そうだったわね…。でも魔術でこんなものを作っちゃうなんてその蒼崎橙子さんって人、すごい魔術師なのね」

アリサが感心しながらシホにその事を聞く。

「ええ。だからこそ私と同じく封印指定をかけられたわけだけどね」
「さて、アリシア嬢よ。体の具合はどうじゃ?」
「…うん。違和感ないです。むしろ死ぬ前より性能が上がっているかもしれない」
「そうじゃろう…。蒼崎によれば今回のお題は三体の人形ともサーヴァントが宿って全力で動いてもガタがこないをコンセプトに作ったっと言うからな」

ゼルレッチが自分の事のように自慢げにそう話す。
それに一同は「おー!」という声を上げる。

「それじゃゼル爺! もう私と志貴の体も出来上がっているの?」
「うむ。しばし待て」

ゼルレッチは一度その場から消え、次に現れた時には二体の人形を持ってやって来た。
それはまさしくファニーヴァンプに殺人貴と瓜二つの人形だった。

「まさか、俺の人形も作っているとはな…」
「私が頼んだのよ? 感謝しなさいよ、志貴」
「ああ…」
「さて、では二人共。人形に宿ってみよ。霊体化して人形と重なるイメージを持てばリンクできるだろう」

そして二人は人形に宿った。
しばらくして二人は目を開けて立ち上がり、

「わぁー…。体が以前のように動かせるよ。魔力も自身で作り出せるようではやてから供給を断たれても大丈夫になったわね」
「うむ。その通りじゃ。ちなみにこの体の見本となったのは儂達の世界のアルクェイドじゃからな」
「へー…よく私が協力してくれる気になったわね」
「そこはまぁ、儂が頼んだことじゃ」
「そうなんだー?」

ファニーヴァンプはゼルレッチを褒めるように笑みを浮かべていた。

「して、遠野志貴、お主の方はどうじゃ?」
「そうだな。サーヴァントの力をそのまま発揮できるのはすごいことではある」
「それとやはりお主には包帯より眼鏡の方が似合っておる。だからこれをやろう。生前のやつより強力に作ったというから包帯より効果は上だろう」

ゼルレッチは懐から眼鏡を取り出して殺人貴にやった。

「あ、ありがとうございます…」
「よい。それとおまけでライダー。お主にも魔眼殺しをやろう」
「ありがとうございます。宝石翁」

ライダーにも魔眼殺しをやっていた。
それを随分気前がいいなとシホは思ったらしく、

「大師父…なぜか随分気前がいいですね…?」
「そうかの? まぁ、しいていうならシホに感化されたということじゃろう」
「そ、そうですか…」
「お主達にはこれからも残りの聖杯大戦の敵と戦ってもらうことになる。
だからこれくらいはサービスのうちにも入らんよ」

ゼルレッチはおおらかに笑い、隣にいたアリシアの頭を撫でていた。
アリシアもくすぐったそうに「にゃ~…」と鳴いている。

「でも、私はやっぱりリンカーコアはないみたいなの」
「そうなの? アリシア?」
「うん。その代わりと言ってはなんだけど魔術回路があるみたいなの」

それでアリシアは魔術回路を開くとその手に雷を宿らせた。

「やっぱりフェイトと同じで私の魔術の属性は雷に近いものみたいなの」
「そうなんだ…」
「あ、そうです。アリシアさん」

そこでリンディがアリシアに話を振る。

「なんですか…? えっと、リンディさん…」
「あのね。今フェイトさんをうちの子にしようという話があるのよ」
「り、リンディ提督…」

フェイトはその話になると顔を赤らめてどうにかしようと思うがリンディは話を進めていき、

「それでなんだけど、アリシアさんももしよかったら私の家族にならないかしら?」
「家族、ですか…。…そっか、薄々だけど覚えているけどお母様は死んじゃったんだよね…」

アリシアはそれで少し泣きそうになったがフェイトが手を握るとアリシアは途端に表情を緩めて、

「私はフェイトのお姉ちゃんなんだから泣き言を言っちゃいけないよね! それじゃリンディさん。もう少しフェイトと話し合って決めてみます!」
「そうですか。いい返事を待っていますね」
「うん!」

アリシアもフェイトもそれでリンディとは近々養子になるのかを決めることになる。
でも今はまだ聖杯大戦中…。
その話はまだ先に持ち越されることになった。


◆◇―――――――――◇◆


Side シホ・E・S・高町


それからアリシアはウチで預かるということでリンディさんの家にクロノによって連れられていった。
話によると勉強次第では新学期からはやてとともに聖祥大付属小学校に入学予定かもしれないと言っていた。
ま、それなら楽しくなるわね。

「それでですが、シホ。やはり『魂の物質化』はもうこれ以降乱用は控えた方がいいと思うのです」

アルトリアからその話を振られる。
確かにこの力を求めて人がやってきたら堪らないから控えようとは思っている。

「そうやね。きっと今回アリシアちゃんに使っている光景は管理局の人達の目にも晒されたと思うからきっとシホちゃんは今後大変やろうな」
「はやての言う通りだね。アリシアを助けてくれたのは嬉しいけどそれでシホが危ない目にあうのは私は耐えられない…」

はやてとフェイトがそう言ってくる。
むぅ、確かに管理局の目にも映ってしまったのだろうね。
そう考えると私ってかなりピンチ…?

「これはシホの全スキルはレアスキルとして登録してもらった方がいいだろう」
「そうね、士郎。落ち着いたら信用できる人に掛け合ってみましょうか」
「ああ、そうだな。だが今はとりあえずその話は置いておくとして…さて、それでは気を引き締めて聖杯大戦についてまた話し合おうか」

士郎がそう切り出す。
それでみんなは真剣な表情になる。

「今現在脱落したマスターは三人。そしてアサシンを除いてランサーとバーサーカーを倒したことになる。
だから次はキャスターを攻めようと思うの」
「そしてマスターのトーラス・スタリオンさんもだね?」
「ええ、なのは。いま現状でもっとも攻めやすいのがトーラスその人。
そしてあわよくばフィアを救出してクラウス…ファイターも仲間に引き入れたいのが本心ね」
「そうですね、シホ。クラウスが仲間になってくれれば心強いでしょう」
「そのためにはキャスターのところに攻め込まないといけない」
「キャスターとなると篭城攻めか…。しかし、それ以前に居場所がな」

それで全員が悩みの顔をしだす。
そう、いまだに居場所を掴めていないのだ。
これでは攻めようがない。
前回の戦いで場所を知っていそうなアクア・アトランティークは自殺してしまったし、今のところ手がかりはない。
今こうしている合間にフィアがなにかをされているかもしれないと考えると早く助けないと、という気持ちにさせられる。

「近場の限定した場所で聖杯大戦が開かれていればよかったものを、今は次元世界を跨いで戦っているからなかなか尻尾がつかめないのが痛いわね…」
「大聖杯は英雄王がその手に握っていますからね。破壊するのも一苦労でしょう」

アルトリアの意見には納得ね。
もしギルガメッシュを倒しても肝心の大聖杯を壊さなきゃまたいずれこういう戦いは起きてしまう可能性は無きにしも非ずだから。

「まずはこの海鳴の町をまた回ってみるのはどうだろう…?」
「言峰綺礼とノアはもう寄らないと思うけどね…」
「困ったね…」

みんなでなかなか出ない案を出し合っているところ、リンディさんが通信を開いて誰かと話をしている。

「リンディさん。どうしましたか?」
「いえ、今クロノと話しているんですけどアリシアさんがなにかを知っているそうです」
『えっ!?』

それで私達は驚きの声を上げる。
それならそれで帰る前に話してくれればよかったものなんだけど…。
そしてアリシアが画面に映りだすと、

『えっと…さっきはなにも話さないでごめんなさい。
ついさっき思い出した事なんだけど一人、マスターの行方がわかるの。
少し聞き取れなかったんだけどアクアさんとトーラスさんが別れ際に話していたんだ…』

アリシアの聞いた話をすぐにエイミィさんが解析にまわして場所をスキャンしてもらう。

『あったよ。この世界もまた無人の世界で潜むには絶好の場所みたい』

その世界が判明し、私達はまたいくメンバーを選出することになった。
そして行くメンバーは私となのはとはやて、ユーノ。そしてヴォルケンリッターにサーヴァント達。
フィア、必ず助けるわよ。


◆◇―――――――――◇◆


Side トーラス・スタリオン


くっ…! くそくそくそッ!!
この役立たずどもが!!
あちらの手を削ることもできずにすんなりとやられおって!
おまけに私がマスターである事がばれただと!?
このままではまずい…!
これですでにこちらの手札は三体も削られてしまった。
唯一の頼みの綱の言峰綺礼も今は通信に出ない。
これでは私は見捨てられたようなものではないか…!
だが今はまだ私には人質がいる。
そうしてフィアットという少女を見るが、そのサーヴァントが睨んでくる。

「マスターに手を出してみろ。僕はお前を真っ先に殺すだろう。覇王の名にかけて…!」
「くくく…、忘れるな? お前のマスターは今や私の支配下にあるということを」
「…ああ、わかっているとも。仕事はしっかりとこなすさ」
「それでいいんだよ…」

くくく…。サーヴァントというのはつくづくおかしいものだ。
マスターがいなくては現界もできないとは通常の使い魔より燃費が悪いのだからな。
だがその力は確かなことだけはある。
私ではあの戦闘の中に入っていった途端、すぐに殺されるのは目に見えている。
なら裏から操っていくしかないではないか。
そして聖杯に願い無能な最高評議会や管理局を滅ぼして一から私がまた新しい組織を創造し立ち上げてやるさ。

「ははは…!」
「ご機嫌だな、トーラス?」
「キャスターか…。ああ、そうだ。お前も望みを叶えたいならせいぜい私に噛み付かないことだな」
「ふんっ…分かっておるわ。うるさい塵芥め」

キャスターはその場から転移してどこかへと消えていった。
ふっ…令呪がある限りお前の命も私の手の中だということを忘れるなよ? キャスター。
そこにすぐに出ていったキャスターからまた連絡が入り、

『どうやらここを特定されたらしいぞ? さぁ、どうするトーラス? 出るのか?』
「ふっ…愚問だな。返り討ちにしてやれ」
『いいだろう…。まずはやつらを絶望に叩き落としてやるとしよう!』

キャスターはそう言って通信を切る。

「と、いうわけだ。お前にも働いてもらうぞ?」
「わかっているさ…」
「私の期待を裏切るなよ? その時にはお前のマスターはどうなることか…」

私は杖を構えながら挑発する。
サーヴァントは怒りの表情だがそれでも己を律しているようだ。
無言で部屋を出ていった。
さて、では私はここで私のサーヴァントが勝利する様でも見ておくとしようか。


◆◇―――――――――◇◆


Side シホ・E・S・高町


転送ポートでトーラス・スタリオンとフィアがいるであろう世界へと飛んできた私達はまたアジトの前で警備網を張って待機している管理局の魔導師の人達に話を聞く。
中にはなにかの結界でサーチャーが飛ばせなかったという。
ということはやっぱりキャスターの陣地作成で中はもうキャスターの根城と化しているという事だろうか。

「わかりました。それじゃみんないきましょうか」
「うん!」
「わかった!」
「了解や!」
「特にユーノはこの中で一番攻撃力が低いからシャマルさんと援護に徹していて!」
「わかった…!」
「わかりました」

それで私達は何が起こるかわからないアジトの中に侵入していった。
中に入った途端、外側の古ぼけたものではなくなり、あちこちに魔法文字が刻まれている不思議な空間と変わっていた。

「キャスターの陣地作成の結界内に侵入したようだな。気を付けよ、奏者よ」
「うん…」
「それにしてもなんだろう…?」
「どうしたんや、ファニーヴァンプ?」
「うん…なんか魔力が少しずつ吸われているような感じがするのよねー。私はそんなに気にならないけど…」

ファニーヴァンプがそんな事を言い出す。
という事はこの空間の中では常に魔力が吸収されているということになる。

「ファニーヴァンプのいう通りかもしれないわね。みんな、あまり魔力の消費はしないように気をつけて」

それにみんなが返事を返してくると同時に、

「なのは。…下がってください。サーヴァントの気配がします」

オリヴィエ陛下が感じ取ったのかなのはを後ろに下がらせる。
そしてそれは当たったようで目の前にはキャスターとファイター…クラウスが姿を現す。

「クラウス…」
「オリヴィエ…マスターを助けるためだ。だから今度こそ本気で行くぞ」
「わかりました…では。なのは、魔力供給をよろしくお願いします」
「はい!」

オリヴィエ陛下とクラウスが戦闘態勢に入る。
そしてファニーヴァンプがキャスターの方へと向かい、

「キャスター! あなたを倒すわよ!」
「ふっ…やってみるがいい。まずは小手調べだ。出てよ、守護騎士達!」

キャスターの言葉により魔法陣が浮かび上がりまたしてもシグナム達が姿を現す。

「あれが意識の奪われた我らの姿か…」
「見ていて嫌になってくるからさっさと退治してやるぜ!」
「意志の宿った拳をぶつけてやろう!」
「シャマルに関しては私がやろう」
「リインフォース、お願いします。私はみなさんの回復に専念します!」

シグナム、ヴィータ、ザフィーラは自分自身を担当することになり、リインフォースはシャマルを倒すことになった。
そしてファニーヴァンプがキャスターへと向かっていくようだ。

「奏者よ。我らは手が空いてしまったな…」
「そうですね」
「今はみんなが勝利するのを見ていましょう。いざっていう時には介入できるように力を蓄えておいたほうがいいから」
「うむ、それなら任せておけ!」
「了解しました」

そしてそれぞれの戦いが始まった。


◆◇―――――――――◇◆


Side 高町なのは


オリヴィエさんがクラウスさんに向かっていきました。
その体から魔力をあふれさせてクラウスさんへと突撃していきます。
そして最初の一手。
拳同士がぶつかり合いそれからというもの幾度も拳の応酬を繰り返します。
よくボクシングの中継とかでやっていますが殴り合いは痛そうであまり見ていないところがあります。
でも、今は目をそらさない。
そうじゃないとオリヴィエさんが負けそうになった時にマスターとして手助けができませんから。

「はぁっ!」
「せいっ!」

また拳がぶつかり二人はいったん離れてまた拳を構えながら、

「クラウス、前回の戦いの時より力を出してきていますね」
「ああ。負けられない理由があるからな」
「その理由がマスターを救うためというのはわかっています。ですが私も手加減は致しません。あなたを打ち破り代わりにあなたのマスターを救って差し上げましょう!」
「それは僕の役目だ、オリヴィエ。だから君を倒す!」
「やれるものでしたらやってみてください! はぁーーー…せいやッ!!」

オリヴィエさんの拳から魔力のこもった光が飛び出しクラウスさんに襲いかかります。
でも、それは、

「覇王裂波!!」

クラウスさんの繰り出した拳気によって打ち消されてしまいました。

「今度こそ僕はあなたを倒してみせる! あの時決着をつけられなかった聖王と覇王の戦い、今度こそ僕の勝利で終わらせる!」
「クラウス…あなたが願うことはもしや…」
「そう…あなたに勝利すること。あの時の決着をつけることだ! そのためには…僕も本気を出す!
今こそ見せよう! 生涯戦場を歩き覇王とまで呼ばれるようになった我が心象風景を!!」

クラウスさんがそう言った時、なぜかはわからないけどこの空間がさらに変わっていく気配がして次には世界が塗り替えられていきました。
場所はどこかの戦場風景なんだろうか…? 空は灰色に覆われあちこちが崩れかかっている荒廃した大地。どこからともなく聞こえてくる雄叫び。
気づけば私とオリヴィエさんとクラウスさん以外は誰もいませんでした。
これには覚えがあります。
シホちゃんの使った固有結界と似ていた。

「これぞ僕の宝具…固有結界『覇王の聖域』だ」
「覇王の聖域…」
「この中では僕のステータスはアップする。そして…!」

クラウスさんの覇気が私達を襲ってきてオリヴィエさんは一度片膝をつき、

「まさか…対象のパラメーターのダウン、ですか」
「そう…そしてこの空間が発動されている間は誰も宝具の開帳は一切できない。宝具封じの固有結界だ。……………さぁ、オリヴィエ。正々堂々とまではいかずとも戦おうじゃないか」
「クラウス…そこまでして私に勝ちたいのですか…?」
「ああ。僕は生涯君に勝てなかったことを、守れなかったことを悔やみ、ひたすら修練を重ねて鍛えて鍛えて鍛えぬきとうとう覇王と呼ばれるようになった。
だがそれでも僕の心の渇きは満たされなかった…。ゆえに、僕は君に勝って今度こそ本当の覇王になる…」
「そうですか…。もう、引き返せないのですね、クラウス」
「ああ。退路はない。ここが僕とオリヴィエの最後の戦いだ」
「わかりました。ならば私はそのあなたの気持ちに答えましょう。いきます!」

パラメーターがダウンしているというのにオリヴィエさんはクラウスさんに向かって行ってしまいました。
私ができることは、

「オリヴィエさん! 最初の令呪に命じます! 今出せる最高の力を発揮してください!」

それによって私の令呪が一画消え失せました。
でも、ここが勝負どころだと思ったから…!
そしてそれによってオリヴィエさんは体に力が戻ってきたようで、

「感謝します、なのは。これでクラウスと同等に戦えます! いきますよ、クラウス!!」
「応!!」

そこから二人は両手を振り拳をぶつけ合いました。
その拳速はすでにランサーさんの戦いの時と同じくらいのスピードを出しています。
武器がなかった昔の時代からの純粋な決闘方法。
それを私は今垣間見ています。
そして次第に両者とも顔や体にも拳を受けてダメージを負ってきています。

「やりますね、クラウス…。さすが私と武を競い合った友です」
「そちらこそ、オリヴィエ。僕はオリヴィエがゆりかごに消えていった後も鍛えていたというのにそれに追いついてくるとは…」
「これでも聖王の意地がありますから」
「こちらとて覇王の意地がある」
「どっちもどっちですね…」
「ああ…実に楽しい。いつまでもこの戦いを続けていたいと思うほどに…。ですが、僕にはそれ以上にマスターを助けたいという意思がある。だから…」

クラウスさんは拳を構えて足場をがっちりと固定しました。
なにかくる…!
私は直感でそう思いました。

「受けてください! 僕の技を!! 覇王…!」
「ッ!!」
「断空拳!!」

その拳はオリヴィエさんに直撃して大きく吹き飛ばされました。
でも倒れることはなくなんとか地面を削りながら持ちこたえました。

「…いい拳でした、クラウス。あれから精進したのですね」
「やはり、倒しきれないか…」
「はい。私も次で決めます…クラウス、何か言い残すことはありませんか…?」
「そうだな。また君と拳を交えて楽しかった」
「………」
「そして僕の心残りであるマスターを必ず助けてくれ!」
「その約束、確かに引き受けました。決めます…!」

途端、オリヴィエさんから魔力が溢れ出し七色の光が周囲を満たします。
そしてそれは拳に集まっていき、

「受けてください! 聖王…鉄槌砲!!」

七色に輝く光の砲撃が放たれ、クラウスさんは防ぐこともなくそれに飲み込まれて、そして…。
世界は元の場所に戻ってきました。
クラウスさんは横たわり体が粒子に崩れていきながら、

「…ははっ、負けたというのになんて爽やかな気分なのだろうか。オリヴィエ、楽しかったよ…」
「ええ。私も楽しかったです。…クラウス。また、いつか会いましょう」
「ええ。では僕は退場ですね。…あ、そうです。もし僕の子孫に会うことがあったならよろしく伝えてください…」
「わかりました」
「さらばです…」

そしてクラウスさんはその姿が完全に消えて消滅しました。
すごい戦いでしたけど、やっぱり幼馴染同士で争うのはやっぱり悲しいことなんだろうな…と思いましたけど全力で戦った二人に失礼だと思って私はそのことは話さないことにしました。
それで戦いは終わり、私ははやてちゃんの方はどうなったんだろうと思って見てみたら、はやてちゃんの姿だけがありませんでした。
それでみんなも緊張の顔をしていてなにが、あったのだろうととても不安になりました。


 
 

 
後書き
覇王の資料が少なくクラウスの宝具はまさにファイターの真髄だろうという効果を持つ固有結界にしました。

つまりこの宝具封じの空間では拳や己の武器だけが頼りのようなものでもしギルガメッシュが入り込んだら王の財宝やエヌマエリシュすらも使えないという過酷さw

そして聖王鉄槌砲はあくまで技であり宝具ではないのである。 
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