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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第三章 聖杯大戦編
  第六十九話    『幕間 ランサーとバーサーカーのマスター』

 
前書き
今回は幕間としてタイトル通り二人のマスターの過去やらなにやらを書きました。
ですから今回シホ達は一切登場しません。敵Sideは試験的なもので今回書きました。
今まで書いてきたものと比べると温度差がかなりあり少し湿ったい話でもありますので「これは無理!」とか思ったら流してくださっても結構です。
私の書くものでは少しダークな部分です。
直接今後の話しには…少しは触れますがあんまりいいものではありません。
そこのところのご理解をお願いしますm(_ _)m 

 


Side ミゼ・フローリアン


…私は昔から様々な劣等感をまわりから感じていた。
親からは優秀な魔導師になれるようにと様々な勉強を強いられてきた。
でも上達はしてくれなかった…。
どんなに魔法の修業をしても私はまわりの友達に追い付くことができなかった。
私の兄はエリート魔導師として大成したというのに私はいつまでたっても落ちこぼれ。
次第に親も私に期待しなくなってきて見放された。
見放されてからはグレはしなくとも学校などは休むようになり昼間からどこともしれない場所を出歩くようになった。
そんないっぺん自由な生活でも私の心は刺激が欲しくていつも退屈な日々を過ごしていた。
そんなある日に一度私を見放した親は私に話し掛けてきてまた魔導師を目指してみないか?と言ってきた。
その時はまだ私でも期待されているんだな…と漠然と思いまた真面目に学校に通うようになり進路を魔導師養成学校に進めた。
でもそれはやはり間違いだったのではと思うくらいの屈辱の日々の始まりだった…。
魔法を学んでもやはり劣等生というのは変わらず他の生徒達が次の段階に進んでいるのに私はいつまでも同じ事を何度も失敗してその時のパートナーだった人物にもうんざりとした顔をされるのが何度もあった。
そのたびに夜遅くまで勉強して復習し必死に習得する。
それで習得できたよ!とパートナーに言ってみるがパートナーは「…いまさらなの?」と言って呆れの顔をする始末。
私の何が悪いというのだろうか…?
みんなより少し覚えるのが遅いだけでここまでの仕打ちを受ける。
何で私はここまでダメなんだろう?

そんな暗い思いを抱くようになり、でも必死に頑張り魔導師養成学校をなんとか卒業した。
しかし卒業をする事だけ考えていた私は進路というものが明確にできていなかった。
魔導師ランクも低いしクラスでは落ちこぼれでいつも最下位だった私をとってくれる職場は見つからなかった…。
それでも短期の職場なら何度も関わる事があり実戦経験は積むことができた。
そんな時に偶然にも元・パートナーの職場を手伝うことがあり私は何かを言われるかもしれないとビクビクしながらも向かった。
それは案の定で、

「おまえか…せいぜい足は引っ張らないでよ? 落ちこぼれさん」
「くっ…!?」

何も言い返す事ができず私はその場の上司の命令にただ従いながらも仕事をこなしていった。
でもそんな日にかぎって私は失敗をおかしてしまいあろうことか元・パートナーが私のミスによって怪我をしてしまった。私は必死に謝ったが、

「しょせんあなたはこんな程度の低い仕事もこなせない落ちこぼれなのね。残念だわ…」

くやしかった…。
私にもっと力があれば見返してやれるのに…!
その晩はまくらを涙で濡らした。
それから惰眠な生活を過ごすようになり私はあまり外に出なくなった。
そんな刺激もなにもないくだらない日々を過ごしているときだった。
一人の神父が私の家にやってきたのは…。

「ミゼ・フローリアンだな…?」
「えぇ。そうですけどあなたは…?」
「私は言峰綺礼。おまえの悩みを解き放ちにきたものだ」

最初は何を言っているのだろうと疑心の目を向けた。
しかし言峰綺礼は私が抱えている劣等感をすぐに見抜いてきた。鋭い言葉で私の心を抉り古傷を幾度も開いてきた。
それを聞くたびに私は目の前の男に怒りを感じはじめて、

「なによ! あんたなんかに私の気持ちなんか分からないわよ! 放っておいてよ!」
「いや? 分かるつもりだ。私は神父であり迷える子羊を導くことをしている。
…して、ミゼ・フローリアンよ。まわりのものを見返したいと思わないかね…?」
「見返したい…? それは無理よ。私には才能がない…だからどんなに頑張って努力しても腕のたつ魔導師には決して敵わない。ダメなのよ…」
「そんなことはない。ミゼ・フローリアン…君には才能がある。“魔術”の才能がな」

魔術…? 魔法と何が違うっていうのよ?
それにそんな胡散臭そうなものの才能があるといわれてもいまいちピンとこないわよ。
だが言峰綺礼はその顔にまるで引きずり込まれるような底なしみたいな笑みを浮かべて、

「私が教授してやろう。そしてともに戦おうではないか」
「戦うって、なにとよ…?」
「魔術師とサーヴァントというもの達でどんな願いでも叶う聖杯というものをかけた殺し合い…聖杯大戦を」
「聖杯大戦…」

その話を振られて久しく私の心のなかの刺激をくすぶられる思いになった。
そして話は進められて、

「…本当にどんな願いでもかなうの?」
「ああ。君が望むのならばどんな願いだろうと…」
「そう…」

そして私は願った。私を今まで落ちこぼれと見下してきた奴らを見返してやりたいと…!
絶大な力をこの手にしたいと!
私の願いを聞いた言峰綺礼という男はまた深い笑みを浮かべ、

「喜べ、ミゼ・フローリアン。君にはマスターの資格がある。その右手に宿った令呪がその証拠だ」

それで私は右手の甲を見てみた。そこには三つの刻印が手に浮かんでいた。

「これが令呪…。サーヴァントという英霊を使役するための道具」
「さぁ、さっそく唱えたまえ。魔法陣は私が用意してやろう」
「わかったわ」

私は教えてもらった呪文を覚えた後、魔法陣の前に立ち、詠唱を行った。

「抑止の輪よりきたれ、天秤の守り手よ!」

魔法陣から嵐が吹き荒れそこから一人の男性が現れた。
男は無言でこちらを見てきた。でもその途端私は胸がドキリと高鳴った。
その男性の顔を直視するとなぜか動悸が治まらない。
私はどうしてしまったのだろうか…?
こんな気持ちは生涯ではじめての経験だ。
もしかしてこれが恋だというのだろうか…?

「■は…ラ■サーのサ■ヴァン■。いや、バーサ■カーでもあ■。ディルムッド・オ■ィナだ」

ディルムッド様…。
私はこの気持ちを正直に告げればいいのだろうか…?
でも目の前のディルムッド様はしょせん使い魔。いつかは最後は自害させないといけない。あぁ…でもこの人は殺したくない。私の心の奥底の気持ちがそれを否定する。
そして私は新たな思いを抱く。この人と一緒になれたらいいなと。
だから、

「ディルムッド様。私に勝利を導いてください。そしてあなたと一緒に暮らしたい…」
「■■■■■…」

何を言っているのか分からなかったがディルムッド様はその表情を幾度か変えた後、

「了■した…。マス■ー」

ここに私とディルムッド様は聖杯大戦を戦うことを決めた。
そして私をバカにしてきた奴らを見返して…ううん、■してやるんだから♪


◆◇―――――――――◇◆


Side ???


…私は、生まれた時は親達に祝福されていた。
確かにその記憶があるからだ。
だが、いつからだろうか?
親や兄弟達から怖がられるようになったのは…。
思い出せばその答えはすぐに分かる。
それはある時、一人で人形遊びをしている時だった。

「ねぇ、あなたは私のお友達…?」

人形は答えない。
当たり前だ。それは本当に人形なのだから。
でも、私にはあるものが見えた。
それはなんと表現すればいいのか…?
ふわふわと空中に浮いていて透けて見えるもの。
それは何度も私の周りに集まってはしばらくしたらまたどこかへと去っていくというもの。
親達に話してみても、親達は何も見えないという。
なんで私にだけ見えるんだろう?
ふと、そんな事を考えていた時だった。
私は好奇心からかそのふわふわしたものに手を伸ばしていた。
そしたらそれは掴める事ができた。
なんでそんな事が出来たのだろうとまだ幼かった私には理解ができなかった。
でもそれをたまたま手に持っていた人形に押し当ててみた。
すると人形が、

「やぁ!」

突然声を出して私に話しかけてきた。
普通ならびっくりしたり怖がったりするものだけど自然と私はその人形が怖いとは思わなかった。

「あなたは、誰?」
「君のお友達だよ!」

当時、友達というものを持っていなかった私はそう言われてすごく嬉しかった。
それから親達の目を盗んではそのお人形とお話をするというのが私の遊び内容になっていった。
でも、それは親達にすぐにばれた。

「いつまでもこんなお人形と遊んでいないで学校でお友達を作りなさい」

そう親達に言われて私は頭にきた。

「この子が私のお友達だもん! ね?」
「…※※※…その子は喋らないんだよ?」
「喋るもん!」

私は何度もお人形さんに話しかけました。
でもその時はお人形さんはなにも答えてくれませんでした。

「どうして…」
「※※※…お前はどこか疲れているんだよ。今は休みなさい」
「はい。お父様…」

それで私は部屋に戻りどうして話してくれないのかを聞いてみた。
すると今度はちゃんと答えてくれて、

「※※※、今は僕の声は君だけにしか届かないんだよ? 君がもっと力を行使できれば他のみんなにも聞こえるようになるよ」
「ほんとう…?」
「そうだとも。だから頑張ろう?」
「うん!」

それから私はお人形さんに習うようになり力を開花させていった。
ある時にはお人形さんを他のみんなの前で喋らせたり、ある時はお人形さんを空中に浮かせたり、またある時は、と…使える術を増やしていった。
最初、学校のみんなは興味深そうに見てきてそれで友達ができた。
でもそれは本当に最初だけ…。みんなは気味悪がって私から離れていった。
学校でもいじめを受けるようになり、なんでいじめられるのかも分からずとうとうある時お人形さんがズタズタに切り裂かれて学校の裏に捨てられていました。

「どうして、こんな事をするの…?」

私は泣きました。
なんで私の友達であるお人形さんがこんな目に遭わなければいけないのか。
でもお人形さんはそれでもまだ私に話しかけてきて、

「…泣かないで※※※。君の能力は素晴らしいものだよ…。だって、本当は死んでいた僕を人形に宿らせてくれたんだから…」
「え? 死んだって…?」
「僕はいわゆる幽霊って奴だよ。君の周りを見回してみなよ」

私は周りを見回してみました。
するとどうだろう。
今まで見えなかったのに今はたくさんのふわふわしたものが見える。

「君は、幽霊である僕達を操れる力を持っているんだよ?」
「操れる…?」
「だけど、僕はもう君といっぱい遊べたから悔いはないよ。だから、さよなら。※※※…」

そうしてお人形さんは今度こそ喋らなくなりました。
私はその晩はすごく泣きました。
でも、泣いてばかりではいけないと思った。
それから私は特訓した。
様々な幽霊の魂を操って人形に宿らせる事を何度もやったし、死んだ人の魂をその人の体に戻してあげたりした。
でも元の体に魂を戻しても所詮は一時しのぎなだけ。
少しは生き返ることができても一日くらい経ったらその人はまた死んでしまった。

「どうしてすぐに死んじゃうんだろう…?」

それからまた私は独学で勉強しました。
そう言った書物はないかと書斎をあさったり、なかったら他の次元世界までいってそう言った書物はないかを探したりと。
でも、親達はそれがとても不気味なものに見えたのだろう。
私の隙を見て部屋の中に閉じ込められました。
親達はもう私の事を理解してくれないのは昔から知っていた。
だから私はある決心をした。
前々から貯めていた貯金と色々な道具をバックに詰めて部屋を破壊し家出をしました。
それからは一人旅を続け、色々な部族とも交流を持って力を高めていきました。
そして今では私は幽霊の魂と死体を私がいいというまでこの世につなぎ止めておく事ができるようになった。
そう、死者の復活だ。しかも私の支配下に置かれるもので少し腐りはするものの一時的だからそれで十分だった。
そんなある時、

「プレシア・テスタロッサの娘の死体を回収…?」
「そうだ。器とその魂には君と同じ魔術の力が宿っているだろう。これから始まる戦いには重要な駒だと思うがね?」
「戦いって、なに…?」
「聖杯大戦…。どんな願いでも叶うという聖杯を巡って戦う儀式の事だ」
「どんな願いでも…?」
「ああ、君が願うならどんなものでもだ」

それで私はある願いを抱いた。
小さい願いだろうとまた私のいなくなってしまった最初の友達と会いたいという願いが。
だから私はその戦いに協力することにした。
どうせ私には仲間なんかいない。
なら使えるものはなんでも使えばいいという思いを抱いて。

作戦決行の日、プレシアの死体が焼き払われて次は娘のアリシア・テスタロッサの身体が火葬されようとしていて、私は秘密裏に霊達を使って人間に憑依させて操り死体を回収した。
そして私はアリシア・テスタロッサの体を得て、呪法を使いアリシアの魂を呼び戻した。
でも、自我を持ってもらっては困るのよ。
時が来るまであなたは眠っていなさい。
私はまた培養液の中にアリシアを沈めて合図が来るまで待った。



………………
……………
…………



そして時は経ち、

「…※※※よ。もう少しで聖杯大戦が始まる。
よって前々から教えていた呪文を唱え、この娘と自分に繋げるようにパスを繋ぎながら召喚するのだ。
聖遺物はないが聖杯の記録から再召喚できるようにセッティングしてある」
「わかったわ」

そして私は呪文を唱えていく。

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」

そこまで唱えて私は自身の体が別のものに変わっていくのを感じた。

「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ」

「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者」

そこまで唱えて私は追加である事を唱えることにした。
これの方が強化できるというから。

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者」

魔法陣から嵐が巻き起こる。
魔法知識ではこんなものはなかったからこれから何が出てくるのか楽しみでしょうがない。

「汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

そして魔法陣から一人の黒騎士が出てくる。

「…成功のようだな。喜びたまえ。君の願いを叶えるためにサーヴァントが召喚された。これで君は私の同士だ」
「ええ。是非協力させてもらうわ、『言峰綺礼』さん」
「後で同志達を紹介しよう。聖杯に選ばれたマスター…『アクア・アトランティーク』よ」

そして私は結託した。
それからしっかりとアリシア・テスタロッサと私にパスが両方つながっているのも確認できた。
待っていてね。私の最初のお友達…。
必ず願いを叶えてあなたと会うから。


 
 

 
後書き
ミゼは自分には才能がないと思い込んでいるティアナ以上に、本当の意味で魔導の才能というものがありませんでした。
アクアは想いが激しく少し狂気じみてきていますね。
二人共そんなところを甘い言葉で言峰につけ込まれた犠牲者といってもいいかもしれません。
しかも無印の時点からすでに活動をしていた言峰w

それと今後のキャラ立ちとしてミゼ・フローリアンの使う魔術を募集できたらいいなと思います。
なにかいい適正魔術があればそれを後々に使わせてもらうかもしれません。
みなさんの意見を聞きたいところです。よろしくお願いします。 
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