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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第3章:武器屋トルネコと幼女騎士リューラ
  第3話:仕掛看破

(レイクナバ北の洞窟)
トルネコSIDE

私は幼き騎士リューラさんを連れ、レイクナバの北にある洞窟へと、鉄金庫を求め訪れている。
鉄金庫があれば、資金の紛失や盗難を避ける事が出来、今後の発展に大きく拘わる事と期待している。
しかし……

「此処の敵は随分と厄介ですね! この『切り株お化け』は、ダメージを与えても薬草で回復してしまい、倒すのが大変ですよ!」
私が『破邪の剣』を使い、少しずつダメージを与えていると、もう少しという所で薬草を使い回復を謀るモンスター。

だがリューラさんといえば…
私が1匹の敵に辟易している間に、『バブルスライム』『悪戯モグラ』『ハサミクワガタ』と、私の三倍もの敵を一瞬で撃滅させている。

流石騎士を目指し鍛錬を積んできただけの事はある。
私としては戦闘は全て任せたいのだが、後の為に“共に戦った”と言う事実がほしく、危険ではあるが努力をしている訳なのである。
彼女の口から『トルネコは戦わなくてもいいよ』と言ってくれれば助かるのだけど…

(ザシュ!)
私が苦戦をしていた敵を一撃で駆逐すると、無表情のまま剣を鞘に戻し先へ行く事を促してくるリューラさん…
やはり私だけ戦闘無しと言うのは都合(むし)がいい話か。



暫く進むと数々のトラップが私達を苦しめる。
中でも厄介なのは、大岩が後ろから迫ってきて私達を追い詰める仕掛けだ!
だが、このトラップは宝へと近付く為の足掛かりでもあった。

普通であれば飛び越せない大穴に、大岩を上手く誘導すれば、大穴が塞がってその先へと進む事が出来るのだ!
転がる大岩から必至で逃げ惑っている内に、偶然攻略する事の出来たトラップだ。

そして進んだ先には、ゴツゴツとした岩が多数散乱してある回廊…
歩きづらく疲労が蓄積されるばかり。
小柄で俊敏なリューラさんには問題がなさそうだ…良いなぁ…

「トルネコ……あれ!」
私の遙か前を先行するリューラさんが、突如立ち止まり私に何かを訴えてきた。
通路を曲がった先を指差す為、私にはまだ何も見えていない。

散乱する岩に足を取られ、何度も転んで傷だらけになり彼女の下へと辿り着く。
そしてリューラさんが指差す方を見詰めると、台座の上に四角い金庫らしき物体が置いてあるのが目に入ってきた!

「こ、これがトム爺さんが言っていた『鉄金庫』ですね!? さ、早速手に入れましょう!」
嬉しくなった私は、慌てて鉄金庫まで走り出す。
しかし悪い足場の所為で何度も転び、体中青痣と擦り傷だらけだ…

「ホイミ…」
すると突如、私の前を歩くリューラさんが回復魔法『ホイミ』を唱え私の傷を癒してくれた。
何と彼女はホイミを…魔法を使う事が出来たのか!?

「リュ、リューラさんはホイミを使う事が出来たのですか!?」
驚きのあまり立ち止まって確認すると、恥ずかしそうに黙って頷く彼女…
もっと早く言ってくれれば、薬草を無駄に買ったりはしなかったのに…

「ほ、他には「アレ…鉄金庫。早く手に入れよう…」
他に使える魔法を聞き出そうとしたのだが、言いたくないのか先を急がせてくる。
利用出来るものがあるのなら、徹底的に利用したいのだが…

とは言え、目的の物を手に入れる事の方が先決だ。
私もリューラさんの後を追い、慎重に鉄金庫まで辿り着く。
そして渾身の力を込め、目の前の鉄金庫を持ち上げた…その途端!

(ズ~ン!!)
思い音と共に目の前の通路に大岩の扉が下りてきて、私達を袋小路に閉じこめてしまった!
あまりの出来事に驚き、持っていた鉄金庫を元の台座に落としてしまう…
すると大岩によって閉じていた通路が解放され、逃げ出すチャンスが訪れる。

「こ、これは…鉄金庫を持ち上げると、押し止めてあったスイッチが解放され、通路を通過できないようになる大岩で塞ぐトラップが発動するみたいですね! どうしましょう…これでは鉄金庫を持ち帰れないですよ…」

鉄金庫の代わりにこのスイッチを押し続けてくれる何かがあれば…
代わりに人が乗っているだけで、通路は解放されるのだろうから…誰かが犠牲になってくれないだろうか……?

私は大岩が下りてきて通路を塞ぐ付近で、何かを捜しているリューラさんを見詰め考える。
彼女の体重でも、スイッチを押し続ける事は可能だろう…
後日、代わりになる何かを持ってくると言えば、信じてもらえるだろうか?

この場さえ信じてもらえれば、私の冒険は続けられる…
こんな事なら家族に会わせるのでは無かったな。
ポポロは気に入っていたみたいだし…
まぁ『お父上と再会出来、自分の住む世界へ帰った』と言えば信じるだろう。

「トルネコ…手を貸して!」
私が意を決してリューラさんを騙そうと決意した時、彼女から声をかけられた!
同じ事を考え、私を犠牲にするつもりだろうか!?

「これ…この岩が…鉄金庫(それ)と同じくらいの重さだ…」
い、岩…?
同じくらいの重さ…?

私は慌ててリューラさんの側に近付き、彼女が指差す岩を見詰める。
確かにあの鉄金庫と同じくらいの大きさと重さ…
これを鉄金庫の代わりにスイッチの上に置けば、閉じこめられることなく鉄金庫を持ち帰れるのでは?

「素晴らしい! 凄い機転ですよリューラさん!!」
先程までの私の思考など知らない彼女は、私の言葉に恥ずかしそうに俯き照れる。
良かった…私も後味の悪い思いをせずに利益を得られる。

やはり彼女は手放せないな!
私の夢の為に最大限利用させてもらわないと!

トルネコSIDE END



 
 

 
後書き
着々と腹黒さを醸し出してきましたトルネコ氏。
彼は知らない……
リューラさんを犠牲にしたら、大魔王より怖い父親が居るという事を! 
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