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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第3章:武器屋トルネコと幼女騎士リューラ
  第2話:祈願息災

(レイクナバ)
トルネコSIDE

夜も明け、私はリューラさんと共に再度冒険に出る為、町で仕度を調えている。
もしかしたら彼女のお父上の情報を誰かが持っているかもしれない…
私の様にリューラさんのお父上を森の中で見た人が居るかもしれない。

すると…
「おぉトルネコ……可愛いお嬢さんと一緒の所済まんが、ワシを教会まで押してくれんかね?」
と、トム爺さんが頼み事をしてきた。

普段であれば急ぐ用事もないので、雑談がてらトム爺さんを教会まで導くのだが…
今日はリューラさんのお父上捜しをしている。
それ程暇ではないのだ。

今回は断ろうと思った時…
「ん? おぉ…お嬢ちゃんがワシを押してくれるか!」
無言のままリューラさんがトム爺さんを押し始め、先程立ち寄った教会へ戻ろうとしている。

ここで『忙しいので』と断れば、私の信用問題に関わってくる…
本心では先を急ぎたいのだが、渋々私もトム爺さんを押す事に…
ついでに彼女のお父上の事を聞いてみよう…まぁ知らないとは思いますけど。

「トム爺さんは彼女の事をご存じですか? 4日前に異時代から落ちてきて、お父上とはぐれてしまったのですが…」
「なんと…可哀想に。お父さんと離れ離れに…すまんのぉ…ワシはこの通り足腰の悪い老人。周囲で何が起こっているのか、まるで知らんのじゃ…」

まぁそうだろうな。
黙って押すのは気まずいから、雑談として聞いただけだし…
早く教会へ届けて、冒険に出発しなければ…

「お嬢ちゃん…ワシにも息子が居ってな。どうしようもない放蕩息子なんじゃが…それでも大事な家族なんじゃ。その息子から音沙汰が無くなってな…元気なら良いのじゃが、やはり心配じゃよ」
あぁ…そう言えばトム爺さんには、馬鹿息子が1人居たなぁ…

「大丈夫…お爺さんの息子さんも……私のお父さんも、元気にしてる! だから心配しないで…きっと再会出来るから!」
「そうじゃな…ありがとうお嬢ちゃん」

リューラさんの全く根拠のない励まし…だがトム爺さんには効果的だったのだろう。
嬉しそうに頷き涙を流している。
随分と心優しい娘なんだなぁ…
歳も近いし、ポポロの嫁にしたいところだなぁ…



「やっと着いた様じゃな…ありがとうお嬢ちゃん、トルネコ。…これは少ないがとっておいてくれ」
そう言って2ゴールド…二人で分けたら1ゴールドを差し出し礼を言ってくる。
なんの足しにもならないなぁ…

「トルネコに渡してください…私…お金の使い方…下手だから…」
私の溜息を消すかの様に、トム爺さんからのお駄賃を全額私に譲るリューラさん。
“使い方が下手”って…1ゴールドじゃ何も買えないだろうに…

まぁ貰える物は貰っておくのが得だろう。
断る理由も無いし、荷物がかさばるとも思えない。
今後もこの体勢を維持しよう…二人で稼いだお金は、私が一括して管理する。
うん。理想的だ!

「おぉそうじゃトルネコ…お前は『鉄金庫』を知っているか?」
「鉄金庫ですか…? さぁ、聞いた事ないですねぇ…」
何だろう? 名前からして鉄で出来た金庫だろうが…

「今後お前は、そのお嬢ちゃんのお金も管理する事になるのだろう? だったらレイクナバの北にある洞窟へ赴き、奥に眠る『鉄金庫』と言うアイテムを入手することじゃ。『鉄金庫』があれば、旅の途中でお金を紛失する事も、泥棒に盗まれる事も無くなるじゃろう。…ただ、謎を解かねば『鉄金庫』は手に入らぬらしい。頑張ってみることじゃ」

そこまで言うとトム爺さんは、覚束ない足取りで教会へと入っていった。
前に旅立ちを伝えた時は教えてくれなかったのに、リューラさんが一緒だと教えてくれる…
美少女という物は得ですねぇ…

「トルネコ…?」
私が呆然と考え事をしていると、リューラさんが不安そうに話しかけてきた。
彼女を不安がらせては拙いな…

「そうですねぇ…お父上の情報も掴めませんでしたし、闇雲に旅立っても危険でしょう。トム爺さんの言う通り、旅費の紛失や盗難は死活問題でしょうから、試しに北の洞窟へ行ってみましょうか?」

鉄金庫というアイテムに興味があり、手に入れたいと思うのが最大の理由だが、彼女の事を考慮して納得の出来そうな理由を言ってみた。
それが功を奏し、無言で頷き行き先が決定する。

3日間森で彷徨える程の彼女の腕前なら、大抵の場所で危機が訪れる事は無いだろう。
リューラさんを言葉巧みに導けば、私の旅は順調に行く事間違いない!
これは世界一の武器屋になる夢…意外と近いかもしれないな!

俄然やる気が出てきた私は、太陽が真上に来る前に町を出て、レイクナバ北の洞窟へと急いで向かう。
今後の冒険に役立つアイテムを手に入れる為…
私の夢を現実にする為に!

トルネコSIDE END



 
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