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転生者とマテ娘と日常?

作者:マテ茶
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犯罪と違法な魔導師



「なぁなぁ、ディアーチェちゃんのポロリとか見たことあ…おごぉっ!?」
「飯中に変なこと言うな。」


昼休み、弁当を食べていると変なことを言ってくる奴を、慣れた手付きで鳩尾に拳を埋めて沈める。


「安心しろ有馬、痛みは一瞬だ。ちょっとくすぐったいぞ。」
「十分痛いわ!!」


こいつは有馬賢二。この中学に入って出来た悪友だ。
直ぐ様起き上がり突っ込みを入れる。この手の変態は復活が早い。


「で、実際どうなんだよ?」
「だから飯中…」
「こまけぇこたぁ良いんあがぁ!?」


いきなり悲鳴を上げ踞る有馬。視線を上げると、辞書を片手に弄ぶディアーチェの姿があった。


「ディアーチェ。弁当はどうだった?」
「いつも通り美味であった。明日は我が作るぞ?」
「ああ、頼むよ。」
「うむ。それで今日の買い出しなのだが、我もレヴィもシュテルも誘われてな…」
「ああ、わかった。此方で済ませておく。」
「すまない…ありがとう。」
「良いっての。楽しんで来いよ?」


頭を下げて友人の元に帰るディアーチェを見送ると、残りの弁当を食べる。普通の生活をしてる実感から少し口許が綻んだ。
暫く踞った有馬を見る。こいつは見ていて飽きない。だが、こいつとつるんでると女子から変な目で見られる気がする。


「ぐぉぉ…いてぇ…」
「自業自得だ。」


苦悶の声を上げながら復活を果たした有馬をバッサリ切り捨て、食べ終わった弁当箱を片付ける。デザートに持ってきたクッキーを取り出すと、有馬にも勧めた。


「ん、サンキュー。お前って良い嫁さんになれんぜ?」
「止めろ、俺は男だ!」
「いやいや、お前ってなかなか可愛い部類に入るからな…俺は好きだぜ?」
「やめんかい!」


ノートで力一杯叩く。有馬は冗談だよ、と笑いながら離れると自分の席に戻っていった。アイツの目とマジトーンが俺の恐怖心を煽る。…夢に出るかも知れねぇ…。








「えーここ最近小さな子や、あなた達のような子供が狙われる事件が起きています。重々気をつけて下さいね?」


SHRにて担任が注意を呼び掛けている。皆の反応は大体同じようで半信半疑に返事をする男子や、情報を交換しだす女子が多かった。


「とにかく!一人で遅くまで遊んで帰らないように!以上!」


再度担任が強く注意すると、学級委員長の号令によって解散となった。
俺は鞄を持つと、財布の中身を確認する。生活費は十分過ぎるほど送られて居る。…神様に。とんでもない御都合主義だと思うが、有り難く使わせて貰っている。


「本当、頭が下がるよな。」


誰ということ無く一人呟きながら上履きから靴に履き替える。すると有馬が後ろから肩を叩いてきた。


「よ、昼の話からすると買い物か?」
「そういうお前は部活か?」
「まあな。」


サッカー用のスパイクを見せて肯定を示す有馬に頑張れよと一言告げる。有馬も、片手を上げて笑って返した。
グラウンドに向かう有馬を見送り、行き付けのスーパーへの道を歩く。
商店街近くまで辿り着くと、一人の少女と男が路地裏に入って行くのが見えた。どうも様子がおかしいと思っていたが、その予感は的中する。


「結界!アイツ魔導師か!」
[マスター!嫌な予感がビンビンします!]
[それくらい、言われなくてもわかってる!結界内転移!いくぞ!]
[合点!]


緊張感の無い返事とともに俺達は結界内への転移をした。





「いや!いやぁ!来ないでぇ!」
「おやおや…知らない人に着いてきた子の言うことじゃありませんね…。これからあなたは私愉悦の為に辱しめられ、痛ぶられ、そして殺されるのです。」
「……ビンゴだな。」


離れた建物の屋上で様子を見る。男は逃げ惑う少女の足元を狙い、時に掠らせ、時に当て、徐々に追い詰めていく。少女は何が起きているかわからないのかパニックを起こして泣き叫ぶ。


「…先生が言ってた奴か?」
『多分そうでしょう。』
「…セットアップ。あんなのが居たらディアーチェ達が安心して過ごせねぇ。」
『もう、素直じゃないんですから。』


バルディオンの戯れ言を無視してバリアジャケットを装着する。正義の味方は柄じゃねぇんだ。
俺は槍になったバルディオンを手に持ち、少女を庇うため空を駆ける。
すると、男が魔力弾を放つのを止める。どうやら此方に気付いたようだ。


「おや…どうやら魔導師が紛れ込んだようですね。」
「ちっ…不意打ちで決めようと思ってたのによ。」


少女から俺に視線を向けた男に対して毒づくと、俺は地面に降り立ちか槍を構え、警戒したまま男を睨む。
男は溜め息を吐きながら自嘲気味に笑っていた。


「私としたことが…詰めを誤りましたね…。管理局に見付かるとは…」
「アンタにとっちゃ嬉しい情報教えてやるよ。俺は局員でも嘱託でもない。」
「それでもですよ…誰にも見付からないように凌辱するのが私のポリシーなんですよ。」
「知るか。」


相手の言葉を切り捨て魔力弾を放つ。それを難なく防御すると、深々とお辞儀をしてきた。


「私はアレッサ、あなた方の見る最後の人間でございます。」
「随分余裕なんだな。」
「ええ、だって貴方に私は倒せない。私の魔力ランクはSS-なのですから…」


男…アレッサが顔を上げるといきなり数十の魔力弾を放つ。パイロシューターのような誘導性は無いし、電刃衝のような速さもない。俺は魔力を槍に纏わせると、向かってくる魔力弾を全て叩き伏せた。


「中々面白いですね、少しは楽しめそうです。」
「随分良い趣味してんな?その年でロリコンは不味いんじゃねぇ?」
「何を言いますか!汚れなき美しき肢体、甘い香り、何れを取っても最高じゃないですか!」


変態染みた笑みを浮かべるアレッサに恐怖を覚える。コイツはオープン通り越したカミングアウトし過ぎだ。
速攻で終わらせようと俺は踏み込み、槍を突き出す。しかし槍は、ガキンと鈍い音をたてて防壁に阻まれた。


「っ…かてぇ…」
「えぇ、私の本領は防御にあります。ですが……」


刹那、腹に鈍い衝撃が走る。膝で体をかちあげられた後、思いきり蹴り飛ばされた。
腹の中が掻き回される感覚に吐き気を催すが、歯を食い縛り何とか耐える。アレッサを睨んでいると、心配した少女が俺に駆け寄ってきた。


「に、にげようよ!殺されちゃうよ!」
「逃げてぇなら…一人で勝手に逃げな。」
「わ、私は足が…一人じゃむり…」


泣き言を吐く少女に治療魔法をかけ、転移魔法で脱出させる準備をする。


「ほら、外までは送ってやる。後は知らねぇよ。」
「ま、待って……」


何か言おうとするが、記憶を操作した後結界の外に転移させる。アレッサはその間、なにも仕掛けては来なかった。


「良いのか?お前の獲物逃がしちまったぜ?」
「ええ…残念ですが、今は貴方に興味があります。」


アレッサは足に着けた装甲型デバイスを撫でながら笑みを浮かべる。


「近距離戦は久し振りなので、心踊りますねぇ。」
「防御特化近距離魔導師とか…勘弁してほしいな。」


俺はバルディオンにカードリッジをロードする。余剰魔力を排出させると同時にアレッサに向かって走って行く。カードリッジで出力を上げ、槍に纏わせる魔力を濃密にする。


「っ…はぁぁぁぁぁ!」


気合いと共に防壁に槍を突きつける。またもやガキンという音と共に阻まれるが、力一杯押し防壁を削っていく。障壁には徐々にヒビが入っていったが、態と力を緩め次に備える。。

「ほぅ、中々の威力ですね。少し胆が冷えまし…」
「光龍槍!」


アレッサの台詞を遮るように、俺は槍を引き同じ場所に突き出す。今度は防壁貫通重視の光龍槍も着けてやる。
すると今度は障壁が音をたてて割れ、アレッサに光龍槍がヒットした。


「はぁ…はぁ…神経使うぜ…」


吹き飛んでいったアレッサに毒づきながらも、警戒は解かない。


「…驚きました。まさかこのように破壊してくるとは…」
「固い物にはそれなりの刃の通し方があんだよ。」
「ふふふ…ああ楽しい!とても!とても楽しいですよ!最高の愉悦!最高の殺しになりそうだ!」


声高に叫ぶアレッサに冷めた目線を送る。さっきからコイツは苛つく事を口走る。殺す事が愉悦?ふざけんな。


「…お前、人を殺して楽しむなよ…」
「おや、異なことを言われますね。ゲームをするのにコインを使うように、遊びには対価を支払わなければいけないのです。」
「人がその対価だと?」
「理解が早くて助かります。それに…私以外の生き物がどうなろうと、別に良いではありませんか。」


その言葉を聞いた瞬間、俺は槍を強く握りアレッサ向けて走り出していた。こんな奴に小さな子達が…と思うと腸が煮え繰り返る。連続で槍は突き出すも手甲に阻まれる。辺りに火花が飛び散り、狭い路地裏に金属のぶつかり合う音が響く。


「冷静さを失っていますね?がら空きですよ?」
「ぐぅぅ!」


脇腹目掛けて繰り出される拳に俺は反応できなかった。だが、殴り飛ばされる寸前に俺は魔力を最大まで貯めたバルディオンで脚の装甲を砕いた。


「おや、存外冷静でしたか。驚きですね。」
「るせぇ…人の命を踏みつけて楽しむような奴に負けられっかよ。」
「ほほぅ?ならば貴方が私を裁くと?」
「裁かねぇ…お前に罪を数えさせるだけだ。バルディオン、モードアンロック!ブラスターモード!」
『了解!カードリッジロード!ブラスターモードアンロック!バリアジャケット再構成!デバイスフレーム換装!』


俺の合図と共にバルディオンが強く輝く。バルディオンがカードリッジをロードし薬莢が排出される。それと同時に俺の周囲に膨大な魔力が産まれ、バリアジャケットに吸収されると、軽装であったバリアジャケットが白銀の鎧に変わり、鎧で覆われていない部分は青色のシャツに覆われた。槍の柄が短くなり、柄と刃の間に鍔が形成されて刃が伸びる。それは槍から変貌し、人振りの剣となった。最後に兜が形成され、頭部を守る。


「其は守りし勇気の剣!」
『ブラスターモード!』
「さぁ…」
「『お前の罪を数えろ!』」


剣を構え素早く接近する。力を任せに叩き斬るのではなく、あくまで防壁をなぞるように。すると防壁は呆気なく砕けた。否、切れたと言った方が正しいだろう。


「な、何故私の防壁が!?」
「確かにお前はすげぇよ。結界技術、防壁の固さ、俺には真似できねぇ。だけどそれだけだ。」
「な、なにを!?」
「さっきの魔力弾といい何かおかしいと思った。防壁も、膨大な魔力量で無理やり固くしてるんだ。構成自体も三流だ。」
「違う!私は敵の攻撃を防御し近接で倒す…」
「そうならざるをえなかった。お前は魔力弾やら砲撃みたいなものが一切使えなかった。いや、結界魔法に全ての才覚が奪われていた。」
「違う!違う違う違う!」


アレッサの出した魔力スフィアから膨大な魔力弾が発射される。だが…それだけだ。俺は剣に魔力をコーティングさせて思い切り振る。魔力を帯びた衝撃波が魔力弾を掻き消す。


「断空…射撃魔法にうって付けの技だ。」


単なる衝撃波だがな、と付け加えると魔力を帯びた指先で剣の腹を撫でる。撫でられた場所から剣が光だしていく。アレッサは何が起こったかわからないかの様に呆然としていた。


「…終幕だ。最後にもう一度言う。お前の罪を数えろ!」
「っ!煩い煩い!殺してやる!殺してやる!」


思い出したかの様にわめき出すアレッサは、構成も何も滅茶苦茶な魔法を放つ。どうやら集束も何もない、単なる魔力衝撃波の様だ。
バルディオンがカードリッジを三発ロードする。は剣を片手で高く持ち上げると、思い切り地面に降り下ろした。


『ドライブ!』
「ピンポイント…ブラスター!」


巨大な魔力の剣圧が衝撃波を切り裂きアレッサに命中する。アレッサは衝撃で吹き飛び、壁にめり込んで気絶した。それと同時に結界が無くなる。


「…コイツが普通の魔導師だったらヤバかったな。」
『そうですね…』


バルディオンがブラスターモードを解除し首飾りに戻る。SS-の魔力で砲撃されたらたまったもんじゃない。腹に三発貰っちまったしな…
俺は気絶したアレッサを収容してもらうために、フェイトの携帯に電話をかけフェイトが到着するまでに自分に回復魔法をかけていた。





「暁、大丈夫!?」
「おう、無事だから落ち着けフェイト。」


十分後、駆け付けたフェイトによって捕縛されたアレッサは、管理局へと転送させられた。


「何で私を呼んでくれなかったの!暁は局員じゃ無いんだから…」
「はいはい、悪かったよ。」
「罰として…今度遊園地に着いてきて…?」
「はいは…い?」


何を言われたのか理解できないまま話が進められていく。そうして今週末、フェイトと遊園地に行くことになりました。


「じゃあ、私は行くね?」
「お、おう、御仕事お疲れさん。」


片手を振り見送る。フェイトも手を振り駆けていった。何がどうしてこうなった…。



その後買い物も済ませ帰宅して漫画を読む。今日はディアーチェの当番だし、ゆっくり出来る…。
宿題も済ませ夕飯の時間にリビングに集まる。


「アキラ、何難しい顔してるの?」
「ん?別に何でもねぇよ。」


夕飯を食べていると、レヴィから指摘を受ける。いけねぇいけねぇ、顔に出てたみたいだ。
俺はレヴィの頭を撫でると、気取られないようにはぐらかした。
暫くすると携帯の着信音が鳴る。どうやらメールが来たみたいだ。


「ん、アキラ。フェイトから。」
「お、おう……」


携帯はレヴィの近くにあり、レヴィが俺に携帯を渡す。俺は携帯を受け取るとチェックをする。




From フェイト・T・ハラオウン
Sub 日曜日、楽しみにしてるね?
Txt
今日はお疲れ様。本来なら私達局員が鎮圧しなきゃいけなかったのに…
でも!連絡の一つもしなかった暁が悪いんだからね?
約束、破っちゃヤだよ?




背中から滝のような汗が流れる。ま、マジだ!フェイトの奴マジだ!
俺の様子に気付いたのか、シュテルが俺の携帯を覗く。内容を見たシュテルの周囲にどす黒いオーラが見える…


「アキラ……これはどういうことですか?」
「い、いや…違法魔導師勝手にぶっ飛ばしたら何か約束させられ…」
「違法魔導師なんて聞いてません…これはどういうことですか?」


どうしろってんだよ!と心の中で突っ込みながら思考を巡らせると、ディアーチェが助け船を出してくれた。


「そのメールに書いてあるように、連絡をしなかったアキラが悪いのであろう。」
「そ、そうそう。俺が悪いわけであって他意は無い…って何で俺こんな言い訳してんの!?」
「んー…フェイトばっかズルい!僕も行きたい!」


…そういえば、ディアーチェ達と遊園地に行ったことなんてなかったな…。
よし、と頷くと全員を見て提案する。


「…よし、お前らも行くか?」
「良いの!?」
「ああ。普段から色々してもらってるご褒美だ。」
「アキラ…本当に良いのですか?」
「二人きりとは言われてねぇし、大丈夫だろ。」
「では…お言葉に甘えます。」
「アキラだーいすき!」
「うおっ!?」


後ろから抱き着いてくるレヴィの頭を撫でる。気付けばディアーチェとシュテルも俺の側に来ていた。


「全員まだまだ子供だな。」
「アキラが大人っぽいんですよ。」


先程の怒りは無くなったのか、シュテルが穏やかに微笑みながら言う。まあ、転生者だし大人っぽいのは当たり前だ。


「じゃあ、メール送っておくか。」


俺はフェイトにメールを入れると、抱き着くレヴィを離して風呂に入る。
戦闘で溜まった疲労を風呂で流すと直ぐ様部屋に行く。メールの返事を見ることなく、俺は夢の世界に旅立った。





おまけ


From 三崎暁
Sub 日曜日なんだが。
Txt
悪い、ディアーチェ達に見付かった。あいつらも連れていって良いか?




「っー…暁って鈍感なのかな…」
「あらフェイトさん、どうかしたの?」
「う、ううん。何でもないよ、母さん。」
「…どうして暁さんが気になるの?」
「へっ!?な、何でわかったの!」
「あら、ビンゴだったみたいね?」
「も…もー!」
「あらあら。で、どうして気になるの?お母さんに話しちゃいなさい。」
「そ、その…私が九才の頃に助けて貰った人だから…」



その後リンディに根掘り葉掘り探られて終始赤面なフェイトであった。


 
 

 
後書き


どうも、知り合いとカラオケボックスで話し込んでいたら三時間経っていたマテ茶です。
戦闘回二度目で、新しいフォームが出てきてましたね!
新しいフォームについて。
ブラスターモードと言いますが、砲撃戦闘特化ではなく、割りとオールラウンドで戦えます。とあるカードゲームをしてる方はわかると思いますが、形状はブラス○ーブ○ードです。
魔法、ピンポイントブラスターについては汎用性が高く、振れば魔力で強化された剣圧が飛び、突き出せばロングレンジまで届く仕様となっております
断空は、剣圧で存在する魔力を吹き飛ばす仕様です。アクセルシューター等が消えます。

悪い点でご指摘を受けましたが、暁君の表記について此処に説明させて頂きます。
暁君の呼び方として、暁、アキラがありますが、前者はマテリアル以外の人物が使います。後者はマテリアル達が使います。読みにくいとは思いますが、これはマテ茶のスタイルであると納得して読んで下さると嬉しいです。


それでは、次回お会いしましょう。お相手はマテ茶でした。
 
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